国会質問

質問日:2023年 6月 13日  第211国会  沖縄北方特別委員会

米軍に国内法適用を 日米地位協定巡り 赤嶺氏に参考人

衆院沖北委

 

 衆院沖縄北方特別委員会は13日、沖縄県内の米軍基地問題について参考人質疑を行いました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、敵基地攻撃可能な長射程ミサイルの沖縄配備が取り沙汰され、再び戦場になるとの不安が県内で広がっていると指摘。県の「地域外交室」設置や、市民らが政治的な立場や意見の違いを超えて対話する「沖縄対話プロジェクト」などの取り組みを紹介し、政府にどのような外交が求められているか質問しました。

 前泊博盛沖縄国際大教授は「中国と直接対話することに取り組まざるを得ないところまでこの国の外交が弱まっている証左だ」と述べ、政府が外交努力を強める必要性を強調しました。

 赤嶺氏は、県内でコロナ感染が拡大した要因には、米軍の出国前のPCR検査の取りやめや基地から入国する際の日本の検疫免除があるとして、感染症に強い沖縄経済をつくるうえで日米地位協定の問題は避けて通れないと指摘しました。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、同協定について「やはり問題だと思う。必要なところは改善できたらというのが率直な思いだ」と発言。前泊氏は「せめて(米軍に)国内法を適用するぐらいは主権国家としてやってほしい」と強調しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

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米軍に国内法適用を(衆院沖縄北方特別委)

議事録

○赤嶺委員 どうも。日本共産党の赤嶺政賢です。
 今日は、ちょっと連続的に委員会が重なっておりまして、長友先生の御理解を得て、理事の皆さん、委員長の御理解を得て、順序を入れ替えさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
 ふだんから両参考人には、沖縄県内での御活躍、ずっと見てまいりました。そして、お話についても参考にしてまいりました。こういう形で委員会にお招きして、発言の機会を持たれたことに私たちも大変喜んでおります。
 それでは、最初に、渕辺参考人からお伺いしたいと思います。
 沖縄経済にとって観光はリーディング産業であり、欠かすことのできない存在になっています。しかし、その一方で、外的な要因に左右されやすい脆弱な面も持っております。二〇〇一年の九・一一テロで、米軍基地が集中する沖縄の観光は大きなダメージを受けました。
 今、安保三文書に基づいて、敵基地攻撃も可能な長距離ミサイルを沖縄に配備する動きが取り沙汰され、沖縄が再び戦場になるのではないかという不安が広がっています。しかし、観光も経済も平和でなければ成り立ちません。
 「観光は平和へのパスポート」、こんなふうに言われました。これは、国連が一九六七年を国際観光年に定めたときのスローガンです。観光は、世界各国の人々の相互理解を推進し、種々の文明の豊かな遺産に対する知識を豊富にし、また異なる文明の固有の価値をより正しく感得させることによって世界平和の達成にも大きな役割を果たす、国連ではこのようにされております。
 今、何よりも大事なのは、平和的な環境をつくるための政府の取組だと思います。地域の緊張を緩和し、信頼関係を構築するための外交に積極的に取り組み、安心して経済活動に取り組むことができる環境をつくることが政府の役割だと思っております。
 この点について、渕辺参考人のお考えをお聞かせください。

○渕辺参考人 御質問ありがとうございます。
 観光は平和産業である、平和じゃないと観光は成り立たない、全くそのとおりだと思います。
 でも、その平和を守るための考え方の、いろいろな方の違いがあるのかなという感じがするところでもございます。
 私は先ほど、今年の四月に経済同友会の全国大会があった、それはテーマが「経済人として安全保障にどう向き合うか」ということだと申し上げました。そこで一緒に出た方の一人が住友商事の役員だったんですけれども、クリミアにいたと。クリミアにいたときに突如ロシア軍が入ってきて、自分たちが逃げるのに大変な苦労をしたという話がありました。
 ですから、現実的な物の見方と、本当はそうあるべきだというのと両方あると思うんですけれども、私は、対話、外交はもちろん大事だと思っております。もちろんそれは大事であり、それを前提として、だけれども、いざというときの備えとして、これも先ほど申し上げましたけれども、これもしかるべきことは必要だろうと思っているところでございます。
 以上です。

○赤嶺委員 どうもありがとうございました。
 次に、前泊参考人にお伺いします。
 この間、沖縄県は、沖縄と諸外国・地域の交流促進を目的に地域外交室を立ち上げ、アジア諸国を中心に地域レベルでの外交が始まっています。
 沖縄では、市民レベルでもそういった諸外国・地域との対話プロジェクトが始まっており、私もこの間のシンポジウムに参加させていただきました。
 昨年九月には、台湾有事、南西諸島有事を決して起こさせてはならないと考える沖縄の市民が、政治的な立場や意見、思想の違いを超えて対話していこうとする企画、沖縄対話プロジェクトが発足され、その発足の記者会見に前泊参考人も出られていた、このように認識しております。第一回目の、台湾から識者を招いてのシンポジウムでは、前泊参考人は司会も務めておられました。
 そういったシンポジウムに参加されて、今、政府にはどういう外交努力を求められているとお考えか、先ほど政治家への意見もありましたが、前泊参考人のお考えをお聞かせください。

○前泊参考人 まさに、対話プロジェクトを始め、国連誘致のためのプロジェクトも含めて、今取り組んでいるところであります。
 沖縄で、台湾や中国あるいは周辺諸国からたくさんの方々を呼んでシンポジウムやフォーラムを開催しているんですが、ここで気になるのは、なぜ全国でその動きが出てこないのかというところです。沖縄が戦場になるかもしれないという沖縄有事の中で、沖縄は危機感を持って取り組んでいるんですが、全国での取組が非常に弱いような気がします。特に、この国の外交はまだよく見えてこない部分があります。
 今、新聞紙上では、習近平、シー・チンピン氏が沖縄の帰属についての問題を発言をしたとか、いろいろな、フェイクニュースも含めて飛び交っています。地域外交室ができて、中国と直接対話をするということを自治体として取り組まざるを得ないところまでこの国の外交が弱まっている証左だというふうに思っています。是非、地方自治体がおのずと動かなくてもいいぐらいまで立派な外交をしていただければというふうに思っています。
 特に、外務大臣として最長記録を持っている方が、今、総理大臣をなさっています。是非、戦争にならない、先ほど國場先生からは、空手のように、専守防衛でいっていただければというふうに思いますけれども、沖縄では今、敵基地攻撃能力を持ったようなミサイル配備まで進められようとしています。なぜ南西諸島にシフトしなければならないのか、これを東北の記者から聞いても、東北にあった、北海道にあった部隊が沖縄にどんどんシフトしているという話を聞かされても、非常に危機感を持って受けとめざるを得ない。
 それから、今日の資料にもありましたように、衆議院の予算委員会の中で私もこの二月に指摘をしました。三・三倍の弾薬量、激増させている理由は何なのかという、戦争の準備を始めたのか、この国はという危機感です。それから、維持費もほぼ倍増していますけれども、こういう状況がなぜ生じたのかという、これまでの政権の中ではこれほどの危機は招かなかったにもかかわらず、なぜ今この危機に直面をしているのかという説明まで含めて、是非、国民に分かりやすい言葉でお話をしていただける政治をつくってほしいというふうに思っています。よろしくお願いします。

○赤嶺委員 どうもありがとうございました。
 続きまして、両参考人にお伺いをいたします。
 この三年間のコロナ禍を経て、ようやく沖縄経済にも明るい兆しが見えてきました。今後の沖縄経済を考えていく上で、いかに感染症に強い沖縄経済をつくっていくのかが問われていると思います。
 その点を考えていく上で避けて通ることのできない問題が日米地位協定の問題だ、このように思います。オミクロン株が米軍基地から市中に広がりましたが、その背景として、政府の入国停止措置の下でも米軍関係者が自由に入国を続け、出国前のPCR検査も一方的に取りやめていたことがありました。そもそも、米軍関係者は米軍基地から直接入国する場合には日本の検疫を免除されております。日米地位協定が政府の感染症対策の妨げになっていることが、コロナ禍を通じて改めて浮き彫りになりました。
 感染症に強い経済をつくっていく上で、日米地位協定の問題についてどのようにお考えか、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

○渕辺参考人 ありがとうございます。
 今後をどういうふうにして、コロナにかかわらず、そういう感染症から守るかということにおきましては、防疫体制を強化するということは大きい問題だろうと思っております。そのためには、さっき申し上げたDX、そういったことも、もっといろいろなところで必要だと思っております。
 それから、赤嶺先生がおっしゃったアメリカの問題、日米地位協定ですけれども、そこはやはり問題なのかなというのは私も率直に思います。そういったところ、必要なところはやはり何とか改善できたらなというのは、私、個人的には率直な思いでございます。
 以上です。

○前泊参考人 地位協定については十一ページに資料をおつけしてあります。今日同席をいただいている平良さん、あの「ゴルゴ13」の原作も書かれている方ですが、彼に漫画にしていただきました、この防衛準備態勢の問題ですね。
 日本においての地位協定は朝鮮有事の際に結ばれたということで、DEFCONでいえば有事態勢の中での地位協定が締結をされている。平時においては国内法の適用を基本とすべき話が、なぜか有事態勢という状況の中で、アメリカ軍に対しては自国法が適用できない、そういう状況になっているようです。そういう意味では、自国、国内法の適用を当たり前にする。
 旗国法原理というのがあります。これは旗の国の原理というもので、今結ばれていますけれども、アメリカ人にはアメリカの法しか適用できない、アメリカ軍にはアメリカの法しか適用できない、そういう状況になっている、そんな状況であります。領域主権論というのが別にあります。これは、郷に入っては郷に従え。
 今どき旗国法原理を大事にしているのは日本だけだと言われています。主権国家として国内法を適用するのは、あの同じ敗戦国のドイツやイタリアでも同じように適用されています。そろそろ国内法をしっかりと米軍に対しても適用するような主権国家になってほしいと思っています。
 これは河野大臣が、外務大臣あるいは防衛大臣もなされましたけれども、二〇〇四年の段階で、自民党でも地位協定の改定案を作られています、ネット上ではなぜか消えていますけれども。その中にはしっかりと、国内法の適用で入国管理、アメリカ軍に対しても入国管理については日本側がやる、国内法を適用すると書いてあったんです。あのときに適用していれば、オミクロン株で沖縄の被害は防げたかもしれない。それをやれなかったことを、なぜできなかったかということを衆議院の予算委員会でも御指摘をしました。せめて国内法を適用する、それぐらいは主権国家としてやってほしいと思います。
 それから、同じようなことで言うと、沖縄は復帰前にも風疹児の問題がありました。風疹児がかなり広がって、特別な聾学校を造って対処しました。これも米軍基地由来というふうな指摘もあります。国内法をしっかり適用して、国民を守る安全保障に変えてほしいというふうに思っています。
 以上です。

○赤嶺委員 大変時間が押してまいりましたが、前泊参考人にお伺いします。前泊参考人の大学のある、隣の普天間基地の問題です。
 九六年の普天間の返還合意から既に二十七年がたちました。今、政府は、仲井真元知事が埋立申請を承認したときには一切触れていなかった軟弱地盤が見つかったと言って、完成までには更に十二年が必要だと言っています。しかも、技術的にも疑問符のつく難工事で、一体いつになったら普天間が返還されるのか分からない状況に立ち至っていると思います。しかも、工費は従来の二・七倍、九千三百億円というとんでもない額にまで膨らんでいます。
 辺野古が唯一の解決策と言い続けてきた政府の論拠は既に破綻していると思いますが、その点、前泊参考人の端的な御意見をお伺いしたいと思います。

○前泊参考人 これは、自衛隊の幹部の皆さん、アメリカの司令官クラスが辺野古を視察した際に、この基地は何のために造っているんだという質問を受けたんだそうです。普天間の代替施設として造っているという話に対して、今どき我々はドローンで戦争しているんだ、この基地ができ上がるのはいつなんだと。もうそれが待てないので鹿屋という話も出てきている、そういう動きすら出ている。そういう意味では、総合的な判断をし直す時期を迎えていると思います。
 辺野古の問題でいうと、私は資料をおつけしましたけれども、辺野古の新しい基地の建設よりも、辺野古弾薬庫の、新しい弾薬庫建設の方が沖縄にとっては脅威なんですよ。新たな核貯蔵庫が造られるかもしれないという問題に対しては、なぜ国会で取り上げていただけないのか。
 そして、過去の台湾有事の際に、一昨年の朝日新聞が報道していますけれども、ダニエル・エルズバーグ氏は、台湾有事の際に、沖縄の各基地から核ミサイルで中国を、威嚇をしているんですね。それに対してロシアのフルシチョフ第一書記は、その場合には我々は中国を支援してあらゆる手段で報復すると言って、そして核報復をにおわせたにもかかわらず、アメリカは沖縄からの核攻撃を断行しようと判断をしていた、その際には沖縄と台湾を失うことになるとまで言っているんですね。
 こういう状況に置かれている中で、沖縄が核問題について触れないわけにはいかないと思っています。こういう問題についてもしっかりと御議論をいただかなければいけないというふうに思っています。
 辺野古の問題。そろそろ、私はもう二十年、三十年前に、この基地はできないと何度も言ってきました。なぜなら、この基地そのものが、過去に、九ページに入れましたけれども、一九六〇年代に、アメリカ海軍、海兵隊は、辺野古に新しい基地を造ろうという計画をしていました。この計画図を見たら分かると思いますが、軟弱地盤はしっかりと外しています。
 防衛局長にもお伝えをしましたけれども、せめてアメリカの計画ぐらい見た上で計画を作ったらどうかというお話をしました。この計画については、アメリカの予算がどこにあるんだということで会計検査院から駄目出しをされて、ベトナム戦争のさなかだったので頓挫したんです。これが普天間の話とひっかけられて造らされているとするならば、この国の外交は何なんだという話になります。
 しっかりと、この基地の必要性についても再議論をしていただいた上で、この不要かもしれない一兆円を超すような工事についてはストップをしてほしいというのが沖縄からの要望ではないかと思っています。
 是非、赤嶺議員、御尽力をお願いしたいと思います。

○松木委員長 そろそろ時間がね。

○赤嶺委員 どうも、今日は、渕辺参考人、前泊参考人、大変参考になるお話、ありがとうございました。これで終わります。

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