国会質問

質問日:2023年 6月 8日  第211国会  憲法審査会

人権脅かす基地放置 衆院憲法審 赤嶺氏“現実ただせ”

 

 衆院憲法審査会は8日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は「いま政治が行うべきは憲法を変えるための議論ではなく、憲法から乖離(かいり)した現実をただす議論だ」と指摘。日米両政府が全面返還に合意してから27年が経過した米軍普天間基地について、危険性が放置されていると強調しました。

 赤嶺氏は、同基地所属機が墜落事故を繰り返し、保育園や小学校に部品を落下させるなど、住民の命に関わる重大事故が起こっても「日本政府は米軍の飛行再開を次々と容認してきた」と指摘。問題の大本にある屈辱的な日米地位協定は改定を提起もしないとして「政府の対米従属姿勢のもとで、県民の人権は脅かされ続けている」と厳しく批判しました。

 さらに赤嶺氏は、福島県民を置き去りにした原発推進等5法や、健康保険証を廃止するマイナンバー法、難民申請中でも3回目以降は送還を可能にする入管法の改悪などが次々に強行されていることを挙げ、「憲法がないがしろにされる現実を改めることこそ政治の優先課題だ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2023年6月9日)

 

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人権脅かす基地放置(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 初めに、国民投票法について発言します。
 私は、現行の国民投票法については、国民の民意を酌み尽くし正確に反映させるという点で、重大な欠陥があると述べてきました。
 具体的には、最低投票率の規定がないこと、公務員や教育に携わる者の投票運動を不当に制限していること、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことの三点を指摘してきました。
 自民、公明、維新、有志の四会派が提出した公選法並びの改正案を速やかに処理すべきとの主張が行われていますが、こうした投票法の根本的欠陥を放置したまま拙速に結論を出すことは許されないということをまず指摘しておきたいと思います。
 そもそも、国民投票法は、改憲作業と地続きのものです。私たちは、二〇〇七年の制定当時から、国民が憲法改正を望んでいない下で、改憲のための手続法を作る必要はないと主張してきました。今の改憲議論は、安倍元首相が二〇二〇年と期限を区切って九条改憲を提示したことが発端です。しかし、国民の間に改憲を求める声は広がらず、安倍首相自身が、辞任会見で、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと認めざるを得なかったことは、この間指摘してきたとおりです。
 五月三日の憲法記念日に合わせて共同通信が行った世論調査でも、改憲機運は高まっていないと答えた人が七割を超えています。毎日新聞の調査でも、岸田首相の在任中の改憲に反対が四七%で、賛成の三五%を上回っています。
 国民が改憲を政治の優先課題と考えていない下で、改憲のための議論を行う必要はありません。憲法審査会は動かすべきではないのであります。
 今、政治が行うべきは、憲法を変えるための議論ではなく、憲法から乖離した現実を正すための議論です。
 その最大の問題の一つは、沖縄の米軍基地問題です。
 日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから二十七年が経過しました。普天間の危険性は何も変わっていません。放置されています。二〇〇四年に同基地所属の大型ヘリが沖縄国際大学に墜落し、二〇一六年にはオスプレイが名護市に墜落しました。二〇一七年には、基地周辺の保育園や小学校にヘリが部品を落下させました。
 ところが、日本政府は、事故原因も明らかになっていないのに、米軍による飛行再開を次々と容認してきたものであります。しかも、軟弱地盤が見つかり、辺野古の基地の完成には政府の試算でも十二年を要することが分かっているのに、それまで普天間の使用を認めるというのが日本政府の態度です。深夜、早朝の米軍機の飛行を規制する騒音防止協定があるにもかかわらず、それを守らせるためのまともな交渉も行っていません。
 発がん性が指摘される有機フッ素化合物、PFASが高濃度で検出されているにもかかわらず、汚染源を特定するための県の立入調査は、米軍が応じないとして、実現しないままです。問題の大本にある屈辱的な日米地位協定は、アメリカ政府に改定を提起すらしようとしません。政府の対米従属姿勢の下で、県民の人権は脅かされ続けているのであります。
 そもそも、沖縄県民は、選挙や県民投票で、辺野古新基地建設に反対の意思を何度も表明してきました。民主主義の国の政府というのであれば、民意を受け止め、計画を再検討するのが当然のことです。
 ところが、政府は、アメリカとの合意を優先し、辺野古が唯一の解決策と繰り返し、県民の民意を踏みにじって埋立工事を強行しているのであります。沖縄県は、公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認としました。普天間の早期返還につながらず、十分な調査さえ行っていなかったからです。ところが、政府は、またしても行政不服審査制度を濫用し、同じ政府機関による自作自演で県の決定を取り消しました。このようなことがまかり通れば、憲法が保障する地方自治は破壊されてしまいます。
 沖縄だけではありません。今国会では、まるで原発事故などなかったかのように、福島県民を置き去りにして、原発推進にかじを切る関連五法が強行されました。保険証情報の誤登録などが相次いで発覚したにもかかわらず、医療事故を招きかねない重大問題を放置して、健康保険証を廃止するマイナンバー法も強行されました。非人道的な入管難民行政を改めず、難民申請中でも三回目以降は送還を可能にする入管法の改悪も押し通そうとしています。憲法がないがしろにされる、こうした現実を改めることこそ、政治が最優先で取り組むべき課題だということを強調いたします。
 最後に、先ほどから、次期憲法審査会について、緊急事態についての論点整理を行う、このような主張が展開されておりますが、今国会は多岐にわたる自由討議が行われ、論点は緊急事態条項だけではありませんでした。論点整理は行うべきではないということを主張し、発言を終わります。

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