国会質問

質問日:2023年 4月 13日  第211国会  憲法審査会

財政民主主義を蹂躙 予備費軍拡使用 赤嶺議員が批判

衆院憲法審

 衆院憲法審査会は13日、自由討議を行いました。自民党の新藤義孝議員は「憲法には国防規定がない」などと憲法9条改憲を主張。立憲民主党の中川正春議員は、9条改憲には「強く反対する」と述べ、敵基地攻撃能力の保有や、43兆円もの軍事費と憲法の関係を議論すべきだと主張しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、岸田文雄首相が表明した軍事費の国内総生産(GDP)比2%はアメリカが同盟国に繰り返し求めてきたもので、「いまの軍拡は徹頭徹尾アメリカが起点だ」と批判しました。

 赤嶺氏は、岸田政権が軍拡財源のために建設公債の発行を決めたのは「過去の戦争の教訓を全く顧みないものだ」と批判。戦前の日本が戦費調達のために国債を大量発行し、侵略戦争へ突き進んだ反省から、財政法第4条で公債発行を原則禁止したと指摘。財政法を起案した大蔵省の平井平治・主計局法規課長が「公債のないところに戦争はない」と述べたことを挙げ、「財政法4条は憲法9条を具現化したもので、重く受け止めるべきだ」と強調しました。

 赤嶺氏は、自民党が2022年度予算の予備費10兆円のうち、不用額約4兆円を軍拡財源につぎ込むべく検討していると指摘。憲法83条は、国の財政は国会の議決に基づき処理するとしており、「巨額の予備費は国会の権能を奪う」と述べ、予備費の軍拡財源への使用は「幾重にも財政民主主義の原則を蹂躙(じゅうりん)するものだ」と厳しく批判しました。(しんぶん赤旗 2023年4月14日)

 

質問の映像へのリンク

財政民主主義を蹂躙(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 せっかく玉木先生からアドバイスいただいたわけですが、日本共産党は九条を断固として守り抜くという立場には変わりがありませんので、そういう立場から、憲法審査会、改憲のための審査会は動かすべきではないということを改めて申し上げたいと思います。
 日本共産党としては、私は、先週に続いて、岸田軍拡とアメリカとの関係について意見を述べます。
 前回、私は、今の長射程ミサイルの配備計画はアメリカの軍事戦略から始まったものであり、敵基地攻撃はアメリカの統合防空ミサイル防衛、IAMDの一翼を担うものだと指摘しましたが、今の軍拡は、徹頭徹尾、アメリカが起点です。軍事費のGDP二%もアメリカの要求に基づくものです。
 アメリカは、同盟国に対し、軍事費をGDP二%に引き上げるよう、繰り返し求めてきました。トランプ前大統領は、就任以来、NATO諸国に、二四年までの二%の目標を早期に達成するよう繰り返し圧力を加え、今すぐ二%を払わなければならない、最終的には四%に上げろなどと恫喝してきました。
 NATOだけではありません。当時のエスパー国防長官は、二〇二〇年十月に、日本を含む全ての同盟国が最低でもGDP比二%を防衛費に充てることを期待すると述べています。この下で、岸田首相は、昨年五月の日米首脳会談で、防衛費の相当な増額を表明し、軍事費のGDP二%へと踏み切ったのです。
 岸田首相はしきりに必要な防衛力を積み上げた結果だと弁明していますが、軍事費を補完する取組は一体何をどこまでやるのか、検討を進めるための仕組みさえ、まだ決まっていません。首相自身が、安保三文書の中身が決まる前から、二%に増額するよう財務大臣や防衛大臣に指示しております。数字ありきそのものです。日本の軍事費がGDP二%になれば、アメリカ、中国に次ぐ世界第三位となります。軍事大国ではないなどというのは詭弁にすぎません。
 大軍拡の中身は、アメリカ言いなりです。二三年度のFMS調達は一兆四千億円以上になり、前年度の四倍という破格の金額です。安保三文書では、トマホーク四百発を始め、F35戦闘機、イージスシステムなど、アメリカ製の高額兵器が大量に並んでいます。日本国民の血税をアメリカの巨大軍事企業に差し出すものです。
 岸田政権は、この大軍拡の財源を、国民の生活に不可欠な予算の削減や所得税の増税で賄おうとしています。軍事のために国民の命と暮らしを犠牲にするものです。この点で、憲法と財政法の根幹に関わる重大な問題として二つの点を指摘しておきます。
 一つは、軍事費を公債で賄うことです。
 岸田政権は、戦後初めて、軍拡財源のために建設公債四千三百四十三億円を発行することを決めました。これは、過去の戦争の教訓を全く顧みないものです。日本政府は、さきの大戦で、戦費を調達するために大量の公債を発行して軍備を増強しました。国家財政も国民生活も破綻に追い込みながら、侵略戦争へと突き進んだのです。
 この反省から、財政法四条は公債の発行を原則禁止しています。財政法を起案した大蔵省の平井平治主計局法規課長は、一九四七年に発行された「財政法逐条解説」で、四条について、「公債のないところに戦争はないと断言し得るのである、従つて、本条は又憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするものである」と述べています。財政法四条は憲法九条を具現化したものであることを重く受け止めるべきです。
 第二に、予備費の軍拡財源への転用です。
 岸田政権は、大軍拡の財源として、今後五年間で決算剰余金から三兆五千億円を充当し、さらに、想定を上回る増加分として九千億円を当て込んでいます。政府は、二〇二二年度の予算にコロナ対策や物価高騰への経済対策を理由に十兆円もの予備費を計上し、約四兆円が不用額として決算剰余金に繰り入れられます。自民党はこの予備費を軍拡の財源につぎ込むことを検討していると報じられています。
 日本国憲法八十三条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と明記しています。予備費は災害等の予見し難い予算の不足に充てるものであり、巨額の予備費を計上すること自体、国会の権能を奪うものです。さらに、これを軍拡財源に使用するなど、幾重にも財政民主主義をじゅうりんするものであります。
 あらゆる面で憲法を踏みにじり、大軍拡を推し進めることは絶対に許されないことを強調して、発言を終わります。

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