国会質問

質問日:2023年 3月 30日  第211国会  憲法審査会

憲法違反は明らか 敵基地攻撃能力の保有巡り 衆院憲法審で赤嶺氏ただす

 

 衆院憲法審査会が30日に開かれ、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、敵基地攻撃能力の保有は「憲法違反だ」と指摘し、岸田政権が進める大軍拡を批判しました。

 赤嶺氏は、歴代政府が憲法9条のもとで、敵基地攻撃は法理的には可能だが、その保有は憲法に反すると説明してきたと指摘。この政府解釈について、阪田雅裕元法制局長官が「日米安保条約がある状況では、憲法上、敵基地攻撃能力の保有も認められないという趣旨だ」と述べていることを紹介し、「歴代政府の解釈との矛盾について岸田首相は一切説明していない」と厳しく批判しました。

 さらに赤嶺氏は、政府が集団的自衛権の行使としての敵基地攻撃さえ可能だとしていることは「憲法上絶対に許されない海外での武力行使そのものだ」と強調。「いま必要なのは、平和のための準備だ」と述べ、東アジアに全ての国を包摂する対話の組織をつくることに「憲法9条を持つ日本が積極的役割を果たすべきだ」と主張しました。

 自民党の新藤義孝議員は緊急事態条項の議論の促進を主張。立憲民主党の奥野総一郎議員は、内閣の緊急政令や緊急財政処分を盛り込んだ緊急事態条項は必要ないと主張しました。(しんぶん赤旗 2023年3月31日)

 

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憲法違反は明らか(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 岸田政権が安保三文書に基づき戦後の安全保障政策を大転換しようとしていることは、日本国憲法を真っ向からじゅうりんする極めて重大な問題です。衆参の予算委員会でも、憲法との深刻な矛盾が明らかとなりました。私は、岸田軍拡について、改めて三つの点を指摘しておきたいと思います。
 第一に、敵基地攻撃能力の保有は憲法違反だということです。
 歴代政府は、憲法九条の下で、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力だから憲法に違反しないとし、専守防衛に徹すると説明してきました。その下で、敵基地攻撃は、法理的には可能だが、その能力を保有することは憲法に違反する、これが歴代政府の憲法解釈です。
 一九五九年三月十九日、伊能繁次郎防衛庁長官は、法理的には可能というのは、他に全然方法がないと認められる限りとして、仮定の事態を想定して、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところでないと述べています。阪田雅裕元法制局長官は、この伊能長官の答弁は、日米安保条約がある状況では、憲法上、敵基地攻撃能力の保有も認められないという趣旨だと明確にしています。
 この歴代政府の解釈との矛盾について、岸田首相はまともに説明を一切していません。こうした姿勢にメディアからも批判の声が上がっています。
 更に重大なことは、集団的自衛権の行使としての敵基地攻撃さえ可能だとしていることです。日本が攻撃を受けてもいないのに相手国領土を直接攻撃することは、憲法上絶対に許されない海外での武力行使そのものです。
 第二に、今回の大軍拡がアメリカの戦略に追従するものだということです。
 長射程ミサイルの配備も軍事費のGDP二%への増額も、アメリカが同盟国に要求してきたものです。日本の敵基地攻撃能力は、アメリカの統合防空ミサイル防衛、IAMD計画の一翼を担うものであり、アメリカの情報と指揮統制の下で運用されることは明らかです。だから、日米首脳会談の共同声明は、敵基地攻撃能力の開発及び効果的な運用について協力を強化すると明記したのであります。政府は、そのために三千億円以上を投じて、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークを四百発購入する計画です。軍事戦略から部隊運用、兵器購入に至るあらゆる面で対米従属を深化させるものです。
 第三に、国土の焦土化を招く極めて危険な計画だということです。
 政府は、日本が集団的自衛権を行使した結果、相手国から反撃を受け、大規模な被害が生じる可能性を認めました。防衛省が日本全土が戦場になることを想定して、全国約三百の自衛隊施設を核攻撃にも耐えられるよう強靱化する計画も明らかになりました。戦争遂行を至上命題とし、国民の犠牲など全く顧みなかったさきの大戦の過ちを繰り返し、国民の平和的に生きる権利を脅かすもので、絶対に認められません。
 今必要なのは、戦争のための準備ではなく、平和のための準備です。岸田首相は、ウクライナは明日のアジアかもしれないと繰り返し、大軍拡を正当化しようとしています。
 ウクライナ侵略の責任がロシアにあることは言うまでもありません。しかし、そこに至った背景には、欧州安保協力機構、OSCEというロシアも含めた包摂的な平和の枠組みをNATOの側もロシアの側も生かせず、力対力に陥った外交の失敗があります。軍事対軍事の悪循環に陥るのではなく、包摂的な平和の枠組みを発展させる、これがウクライナ戦争から酌み取るべき教訓です。
 沖縄では、対話によって戦争を回避する努力が始まっています。玉城デニー知事は、地域の緊張緩和に貢献する自治体外交に取り組もうとしています。先日、市民団体が開いたシンポジウムでは、パネリストとして出席した台湾の軍事専門家が、東アジアにはASEANのような組織がない、そういった組織ができたら紛争はなくなるのではないかと述べていたことも重要な発言でした。
 東アジアの平和のために必要なのは、軍事力を強化することではありません。全ての国を包摂する対話の枠組みをつくることです。そのために、憲法九条を持つ日本こそ積極的役割を果たすべきことだというのを強調し、発言を終わります。

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