国会質問

質問日:2022年 10月 28日  第210国会  安全保障委員会

オスプレイ“野放し” 赤嶺議員 低空飛行合意撤回を 衆院安保委 

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は28日の衆院安全保障委員会で、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の輸送機MV22オスプレイが、航空法が定める最低安全高度以下で低空飛行訓練を実施することを容認した日米合意の撤回を求めました。

 日米合同委員会は9月26日、MV22が国内の山岳地帯で、航空法が定める最低安全高度150メートルを下回る地上約90メートル以上で低空飛行訓練を実施することに合意。従来の日米合意では、在日米軍は同法の最低高度基準を用いているとしていました。

 赤嶺氏は、今回の合意で「従来の日米合意さえ破り、航空法の安全基準は守らなくていいと政府がお墨付きを与えたことになる」と批判。住宅地上空の飛行を避けることなどを根拠に「米軍は安全に妥当な配慮」をしているとする日本政府の主張に対し、「これまでの日米合意にも(住宅地上空を避ける規定は)あったが、住宅地や学校上空の飛行が全国で無数に確認されている。言葉だけの合意を重ねても実態は変わらない」と迫りました。浜田靖一防衛相は「米軍にさらに安全確保を求める」と述べるにとどめました。

 赤嶺氏が、米軍が低空飛行訓練を実施する「住宅地等の上空を避けた区域」とはどこかとただすと、防衛省の増田和夫防衛政策局長は「具体的なルートは米軍の運用に関することで答えられない」と拒否。赤嶺氏は「外国の軍隊が野放しで日本の空を飛びまわるのは許されない。それを許可した今回の合意はただちに撤回すべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2022年10月29日)

 

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低空飛行合意撤回を(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案については、国家公務員全体の給与引上げの一環であり、賛成であります。
 アメリカの海兵隊オスプレイの低空飛行訓練に関する日米合意について質問をいたします。
 防衛省は、九月二十六日の日米合同委員会で、米軍普天間基地所属のMV22オスプレイが日本の航空法が定める最低安全高度百五十メートル以下の九十メートルで低空飛行訓練を行うことを容認する合意を取り交わしました。
 米軍機による低空飛行訓練は、これまでも日本全国で問題になってきました。日本国内に七つの低空飛行訓練ルートが設定され、突然鳴り響く米軍機の爆音によって住民の静かな生活を脅かすとか、訓練中の墜落、あるいは木材運搬用ケーブルの切断、衝撃波による土蔵の崩壊、窓ガラスの破損、家畜への被害などが繰り返されてきています。
 沖縄でも、近年、県内各地で、かつてなかったような超低空での飛行訓練が頻繁に目撃され、住民から不安と怒りの声が上がっています。
 全国の自治体、住民から危険な低空飛行訓練の中止を求める声が上がっている下で、訓練をやめさせるのではなくて、それを容認し、さらに、従来の日米合意さえ踏み破って、日本の航空法の安全基準は守らなくていいと政府がお墨つきを与えてしまったのが今回の合意であります。
 防衛大臣、伺いますが、今回の合意を交わすに当たって、これまで繰り返されてきた訓練に伴う様々な被害、全国各地から上がってきた訓練中止を求める声についてどういう検討を行ったのですか。
○浜田国務大臣 先般日米間で合意をした訓練を含め、在日米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、関連する合同委員会合意を遵守するとともに、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもありません。
 このため、先般の合意においては、例えば、住宅、学校、病院などの上空を避けること、送電線などから十分回避できる距離で飛行すること、緊急の際に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着できる高度を保つこと、土日及び日本の休日等には実施しないこと、午後十時から午前七時までの間は実施しないことなどについても合意をしておるところであります。
 引き続き、オスプレイの日本国内における飛行運用に際して最大限の安全対策を取るとともに、周辺住民への影響を最小限にとどめるよう米側に求めてまいります。
○赤嶺委員 最低安全高度の、以下を拡大したわけですよ、今の大臣のお話を聞いていると、より安全になったような、ルールが決まったような、そういうお話ですけれども。
 住宅地上空の飛行を避ける、このようにおっしゃいました。それは、今までの日米合意にもあったことですね。あったにもかかわらず、住宅地や学校、病院の上空の飛行が全国で無数に確認をされてきました。住宅地上空を飛行しても、どれだけ低い高度で飛行しても、立証責任は住民の側に負わされ、多くはうやむやにされてきました。私も被害者から何度も訴えられて、結局、防衛省は立証責任を被害者の側に負わせていく。
 だから、今の日米合意、公共の安全に関する合意というのは、言葉だけでの合意になっているわけですよ。言葉だけで実態の伴わない合意を、今回、制限を緩和して、そういう合意を重ねても、実態は何も変わらないと思いますが、いかがですか。
○浜田国務大臣 我々としては、米軍に対して更に安全確認をしっかりとするよう求めてまいりたい、このように思っております。
○赤嶺委員 求めても変わらなかったのが現状なんですね。
 それで、日本国内の住宅地などの上空を避けた区域という文言があります、合意の中に。日本国内の住宅などの上空を避けた区域で実施すると言いますが、それはどこを指しているんでしょうか。そして、日本政府と協議して決めるんですか。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
 住宅地等を避けた区域と合意の中で記されているわけですが、この件につきましては、本訓練については、住宅、学校、病院、原子力・火力発電施設等の上空では実施しないことを合意しておりまして、このことを住宅地等の上空を避けた区域と表現しているものでございます。
 具体的な飛行ルートにつきましては、米軍の運用に関することであり、お示しできませんけれども、本訓練実施に当たりましては、シミュレーター等による事前の慣熟を行うことについても合意しておりまして、米軍は、本訓練の実施前に周囲の状況を十分把握した上で、住宅地等を避けながら本訓練を安全に実施していくというものでございます。
○赤嶺委員 いつもの米軍の言い分ですよ。どこだと言わないで、そして、自分たちはシミュレーターを使って慣熟訓練をしているんだから絶対安全だと言いながら、しかし、目の前では、住宅区域を避けると言いながら、日本の中にどこがそういうところなんだという思いがあるわけですよ。
 訓練に先立って、事前に区域を米軍から報告させるわけですか。そして、それが妥当かどうか日本政府が判断する仕組みはあるんですか。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
 この合意に基づきまして、米側とは緊密な連絡を取っております。
 それで、今回の訓練につきまして申し上げますと、防衛省といたしましては、本飛行訓練が、日米間の合意に基づき、沖縄を除く日本国内の住宅地を避けた区域で実施されたことを確認してございます。
 他方、これ以上の詳細につきましては、米軍の運用に関することでございまして、防衛省からお答えできないことは御理解いただければと思います。
○赤嶺委員 いや、理解できないからこういう質問になっているわけですよね。
 今、沖縄を避けたとおっしゃいますけれども、その期間中も、沖縄でも低空飛行訓練、幾らも目撃されておりますよ。皆さんは、沖縄のオスプレイを本土に訓練移転する場合に沖縄の負担軽減と言いますけれども、訓練が移転されても、負担は何も軽減されていないですよ。軽減されたという声なんか上がらないですよ、大臣。
 しかも、今回、この訓練が終わった後に、合意を守っていたという具合に言っているわけですが、それは具体的な中身を伴った話ですか、それとも、米軍が、いやいや、合意の中身は守ったよと言ったわけですか、いずれですか。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどお答えしたことの繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、今回の飛行訓練が、日米間の合意に基づき、沖縄を除く日本国内の住宅地等を避けた区域で実施されたことを防衛省として確認してございます。
 他方、これ以上の詳細につきましては、米軍の運用に関わることでございまして、防衛省がお答えできないことを御理解いただければと思います。
○赤嶺委員 素直に考えて、米軍が住宅地を避けて訓練したと言って、どこだろう、それはどこだろうと思いますよね。それはどこだということを聞いたら、それは米軍の運用に関わることだから言えないと言う。余りにも、本当に守ったかどうかというのは、根拠を持って説明されているとは思えないですよ。
 今回の合意の中で、緊急の際に地上や水上の人や物に危険を与えることなく不時着陸できる高度を保つ、このように言っております。不時着できる場所がなければ不時着はできません。飛行に当たって、不時着に使用できる場所を米側から事前に報告させたんですか。それを政府が確認する仕組みはあるんですか。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のありました、緊急の際に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着陸できる高度といいますものは、飛行時の周囲の状況などから総合的に判断されるものであるため、一概にお示しすることはできないことを御理解いただきたいと思います。
 なお、こうした考え方は、我が国の航空法令の適用を受ける航空機が法令の規定に基づき飛行する場合も同様でございます。具体的には、国土交通省航空局長が出されました、最低安全高度以下の高度の飛行に関する許可の事務処理基準の中で詳細が書かれております。
 そして、米側は、実際、今回も飛ぶときには、先ほども御説明いたしましたけれども、シミュレーター等による事前の慣熟を行うということで、米側は、本訓練実施前に周囲の状況を十分把握した上で訓練を実施したということで、先ほど申しました緊急時の対応なども考えながら、事前に慣熟を行いながら、訓練を実施したということでございます。
○赤嶺委員 日本の航空法の中にも最低安全高度以下で飛ぶ場合がちゃんとあるんだと言うけれども、日本の航空法では、不時着する場所も、それから低空飛行する場合にどこを通るかも、詳細な事前の報告書がありますよね。それでいいかという問題はあるんですけれども、あるんですよ、航空法は。しかし、米軍の場合は航空法適用除外ですよ。だから、何の申請も要らない、何の承認も要らない。
 本当に、外国の軍隊が野放しで日本の空を飛び回る、こういうことが許されていいのか、そういうことを許可した日本政府がこの合意を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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