国会質問

質問日:2022年 10月 27日  第210国会  安全保障委員会

基地内捜査 仕組みを 安保委 米軍流れ弾で赤嶺氏

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は27日の衆院安全保障委員会で、7月に米軍キャンプ・ハンセンに隣接する沖縄県金武町伊芸区の民家が被弾した事件をとりあげ、警察による米軍基地内の速やかな捜査を可能とする仕組みづくりなど抜本的な対策を求めました。

 7月6日に同区の民家のガラスが割れ、付近から重機関銃の弾芯(銃弾の中心にある金属部分)が発見されました。米軍は関与を否定しています。

 赤嶺氏は、同区が2013年にまとめた資料をもとに1956年以降、区内で少なくとも35件の被弾が確認されていると指摘。「地元の人は肌感覚で米軍の銃弾だと分かるが、日米地位協定の壁で客観的な捜査ができない。異常ではないか」と迫りました。浜田靖一防衛相は「地元の不安払しょくのため日米で協力したい。指摘は重く受け止めたい」と述べました。

 赤嶺氏が今回の事件について米軍との捜査協力の状況をただすと、警察庁の親家和仁審議官は、9月中旬に県警が米軍に弾芯の確認をしたが、現時点で回答がないと明らかにしました。赤嶺氏は、2008年に同区で発生した被弾事件で県警による基地内への立ち入り捜査に1年近くかかったと指摘。「これではうやむやにされかねない。県警が必要と判断すれば速やかに立ち入り捜査できる仕組みを検討すべきだ」と強調しました。林芳正外相は「新たな仕組みが必要な捜査の支障は生じていない」と否定的な見解を示しました。(しんぶん赤旗 2022年10月28日)

 

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基地内捜査 仕組みを(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 浜田防衛大臣とは、大変久しぶりの議員と大臣との論戦の場になりました。どうぞよろしくお願いします。
 今日は、金武町伊芸区で発生した被弾事件について質問をいたします。
 七月七日、米軍キャンプ・ハンセンに隣接する金武町伊芸区で、民家の窓ガラスが割れ、付近から銃弾のようなものが発見されました。家主の方は、前日の六日午後、ガラスが割れるような音を聞いておりました。その後の警察の鑑定で発見されたものは、主に重機関銃で使用される銃弾の弾芯だったことが判明いたしました。米軍は関与を否定しております。
 まず、防衛省の対応について伺いますが、沖縄防衛局は、銃弾が発見された七日、プレスリリースを出しました。そこでは、米側に確認した結果として、当日、現場近傍のレンジでは実弾射撃訓練は行われていなかったことを強調しています。しかし、家主がガラスが割れるような音を聞いたのは前の日の六日でした。沖縄防衛局は、慌てて翌日にもプレスリリースを出して、六日も現場近傍のレンジで訓練は行われていなかったことを明らかにいたしました。米軍の関与を否定しようと非常に慌てふためいていたかのような対応でありますが、大事なことは、しっかりと事実を究明し、再発を防止することであります。まずは、どのレンジが使われ、あるいは使われていなかったのか、全体像を明らかにすべきです。
 防衛省に確認をいたしますが、家主の方がガラスが割れるような音を聞いた六日午後に実弾射撃訓練が行われていたのはどのレンジだったんですか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、米側から、七月四日から十日にかけて、レンジの1、2、3、5、7など十六か所のレンジにおいて実弾射撃訓練を行うとの通知があったということ、また、七月六日、現場から最も近いレンジ51において実弾射撃訓練は行っていないことといった事実関係を承知をいたしているところでございます。その他実弾射撃訓練の詳細につきましては、米軍の運用に関する事項でございまして、防衛省としては承知をいたしておらないところでございます。
○赤嶺委員 近傍のレンジでは訓練は行われていなかったということをるる強調しておりますが、演習通報は、丸々一週間、零時から二十四時までの二十四時間使用する可能性のあるレンジを通報するだけのものです。事案が発生した時間帯に実際にどのレンジを使用していたかは分かりません。
 事件から三か月以上になりますが、実際にどのレンジを使用していたのか、その点は米軍から説明を受けていないということですか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、防衛省といたしましては、米側から、七月四日から十日にかけて、十六か所のレンジにおいて実弾射撃訓練を行うとの通知があったということと、七月六日、現場から最も近いレンジ51において実弾射撃訓練は行っていないといった事実関係を承知いたしておりますけれども、その他の実弾射撃訓練の詳細につきましては、米軍の運用に関する事項であり、防衛省としては承知をいたしておりません。
○赤嶺委員 つまり、十六あるレンジは、六日の日に使われていたかという話じゃなくて、丸々一週間、零時から二十四時まで使いますという通知があるだけで、そして、防衛省の答えというのは、いやいや、それでも近傍のレンジは使われていませんという、結局、都合のいい情報が米軍から出されている、それをそのまま流しているだけですよ。
 聞いているのは、六日の日に使っていたレンジはどこかということを聞いているわけですよ。それに対する答えは、近傍は使っていませんでしたと。近傍を使っていたかどうかを聞いているわけじゃないんです。明らかにしなければならないのは現場近傍のレンジの使用状況だけではありません。恩納岳を挟んで、伊芸区とは反対側の恩納村にあるレンジから飛んでくる可能性もあるからです。
 警察庁に伺いますが、二〇〇八年に、伊芸区の民家で停車中の車のナンバープレートに銃弾が突き刺さるという事件がありました。あのとき沖縄県警は、米軍から一年近く待たされて、待たされた上ではありましたが、キャンプ・ハンセン内に立入調査を行いました。立入調査を行ったのは恩納村側のレンジ7だったのではないかと思いますが、当時どのような調査を行ったのか、明らかにしていただけますか。
○親家政府参考人 お尋ねの事案に関しては、沖縄県警察におきまして、平成二十一年十一月、米軍の協力を得て、基地内のレンジ7に立ち入り、施設の状況等について確認を行ったと報告を受けております。
○赤嶺委員 つまり、その当時伊芸区に飛んできた流弾を調査するのに、レンジ7というのは近傍ではないんですよ。伊芸区の近傍ではないんです。しかし、そこを県警は、事件が起きて一年もたった後に立入調査を認めて、今のようなあっさりした答弁なんですね。要するに、恩納村側のレンジから銃弾が飛んでくることはあり得るということです、近傍にとどまらず。
 私、先日、伊芸区を訪問し、お話を伺ってきました。今回も恩納村側のレンジから発射されたものではないかという疑念を持っておられました。伊芸区が沖縄防衛局に提出した要請書でもそのことを指摘し、早期の原因究明を求めています。
 大臣に伺いますが、沖縄防衛局は、恩納村側のレンジから発射された可能性があるにもかかわらず、米軍の断片的な情報に基づいて現場近傍のレンジの使用状況だけ公表しました。しかも、警察による捜査はこれからという段階であるにもかかわらず、銃弾にはさびが見て取れるなどと、捜査を予断するような内容まで明らかにしております。
 これは浜田大臣が大臣に就任される前のことではありますけれども、今回の沖縄防衛局は、警察の鑑定も終わらないのに、弾はこういうものだとか、それから、過去にも山の向こう側の恩納村から飛んできた事例があるのに、いやいや、近傍ではやっていなかったとか、アメリカをかばうような態度。これは非常に不適切だったんじゃないか、全体を、事実を確認していくという姿勢とは全く別個だったんじゃないか。私は大変不適切だったと思いますが、大臣はどのように認識されますか。
○浜田国務大臣 本事案につきましては、様々な可能性も視野に、予断を持たず、警察当局において捜査を継続しているものと承知をしております。
 防衛省としては、捜査の結果を踏まえ、引き続き適切に対応していく考えであります。御指摘の点についても、我々、配慮してやっていきたいというふうに思っております。
○赤嶺委員 様々な可能性を、予断を持たずにと言うけれども、もう最初から沖縄防衛局は、いや、これは米軍がやったものではないんですよというものをずっと流し続けたんですよね。私は、この態度、本当に、許されていいものではないと思いますよ。
 警察庁に伺いますが、沖縄県警は七月二十九日に鑑定結果を公表しました。銃弾の弾芯だったことは公表しましたが、米軍との関係は明らかにしておりません。報道によると、県警が米軍に弾芯の確認を申し出ているにもかかわらず、米軍から正式な回答がないと報じられております。これは事実ですか。
○親家政府参考人 沖縄県警察におきましては、予断を持たずに、様々な可能性を視野に入れて捜査を行う中で、米軍側に対し、捜査に必要な事項について照会を行っているところであります。
 現時点でこの照会に対する正式な回答は得られていないとのことですが、沖縄県警察におきましては、米軍側との必要な調整を継続して実施しているものと承知しております。
 引き続き、沖縄県警察において、米軍の協力を求めつつ、必要な捜査が進められるものと承知しております。
○赤嶺委員 事故が起きたのは七月六日ですよ。米側には、警察はいつ協力を求めたんですか。
○親家政府参考人 米軍に要請したのは九月中旬と報告を受けております。
○赤嶺委員 九月中旬で、今まだなお回答は来ていないということですか。
○親家政府参考人 沖縄県警察からは、現時点、回答は得られていないというふうに報告を受けております。
○赤嶺委員 二〇〇八年のとき、米軍に資料の提供、提出を求めて、そのときは米軍の通常弾と特定をいたしました。ところが、今回はそれもできていないんですね。
 米軍基地内への立入り、これは求めているんですか。
○親家政府参考人 沖縄県警察におきまして、米軍に対し、米軍基地内への立入りの実施について協力を要請したと報告を受けております。
○赤嶺委員 米軍は、七月八日に出したプレスリリースで、警察の協力には応じないで、古く腐食した銃弾はどの火器からも発射されたはずがないと、関与を否定しているわけです。この事件に関する詳細については、米軍じゃなくて沖縄県警に照会いただきたいと。我々に聞くなという態度なんですね。知らぬ存ぜぬということです。
 外務大臣に伺いますが、日米地位協定は、犯罪の捜査や証拠の収集、提出について、日米が相互に援助しなければならないと規定をしております。しかし、米軍の木で鼻をくくったような対応はこの規定と違うと思いますが、いかがですか。
 米軍基地に立ち入るには、米軍の同意が必要になります。二〇〇八年のときには、県警が基地内に入ったのは事件から一年近くがたってからであります。その後、被疑者不明のまま書類を送検し、最終的に不起訴になりました。こんな状況では、今回もまたうやむやにされかねません。
 まずは米軍に捜査への協力を求めるべきであります。同時に、県警が求めている速やかな立入り、この仕組みを検討する必要があると思いますが、いかがですか。
○林国務大臣 外務省としては、捜査当局が必要な捜査を円滑に行うことが重要だと認識をしておりまして、個々の事案に応じて、米側の協力、連携を求めてきております。
 米軍が関係する事案につきまして、今御指摘のありました新たな仕組みが必要となるような捜査における支障が生じたことはないとは承知しておりますが、いずれにいたしましても、外務省としては、個々の事案に応じて、捜査当局が必要な捜査を円滑にできるよう、米側の協力、連携を求めていく考えでございます。
○赤嶺委員 新たな仕組みをつくる、そんな支障は起きていないと言いますけれども、二〇〇八年だって一年後ですよ、立入りを要求して。それで何が分かりますか。
 今回も、七月六日に起こった事故ですよ。警察は既に基地への立入りを求めている。それに対して米軍は、いやいや、俺たちはやっていない、俺たちに聞くんじゃなくて沖縄県警に聞けという態度ですよ。やっていない、やっていないという態度ですよ。
 客観的に事実を調査する仕組みそのものが、今、日米間にないわけですよ、外務大臣。だから、今度の事案についても、ちゃんと警察の立入りを認めるよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。
○林国務大臣 個別の捜査につきまして述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど御答弁させていただきましたように、外務省としては、個々の事案に応じて、捜査当局が必要な捜査、これを円滑にできるように、米側の協力、連携を求めていく考えでございます。
○赤嶺委員 個々の事案に応じて、円滑な捜査が、今行き詰まっているんです、外務大臣。やはり、今回の事案も直ちに外務省が動くべきだということを強く申し上げて、防衛大臣に伺います。
 地元紙の報道記事を今日配付させていただきました。伊芸区が二〇一三年にまとめた記録集を基に、過去に被弾した場所を地図に落としています。今回銃弾が見つかった民家の半径五十メートル以内では、一九五六年以降、住宅などへの被弾が七件、そこから東側の別の場所でも半径百メートル以内で七件が確認されています。このほかにも区内全域で発生しております。少なくとも三十五件の被弾が確認されています。記録集をまとめた後も、被弾や照明弾の事故が発生しています。
 地元の人は、これが米軍のものでないということを誰が言っているんだ、肌感覚でこれは米軍のものだと分かると。じゃ、客観的な事実の調査はやっているかといえば、それはさっきの地位協定上の壁でできていない。でも、どんどん被弾しているわけですよ。
 こういう地域がある、これが繰り返されている、これは異常だと思いませんか。
○浜田国務大臣 今回の事案を除いて、沖縄県における米軍の射撃訓練に関わる事故として、米軍によるものと特定されたものは十二件と承知をしております。
 いずれにせよ、防衛省といたしましては、米軍の運用に際しては安全確保が大前提との認識の下、必要に応じ米側に対し安全対策に関する説明を求めるなど、地元の皆様の不安を払拭すべく、引き続き日米で協力してまいりたい、このように考えております。
 先生からの御指摘、重く受け止めたいと思います。
○赤嶺委員 終わります。

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参考資料

委員会配布資料

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