衆院憲法審査会は2日、憲法改正国民投票とインターネット情報の関わりについて参考人質疑を行いました。
NPO団体「ファクトチェック・イニシアティブ」の楊井(やない)人文事務局長は、インターネット上のフェイクニュースへの法規制は表現の自由を侵害する恐れや権力による乱用の可能性があると述べた上で、コロナ禍で政府や自治体から正しい情報が発信されていたのかと疑問を呈し、「政府も偽情報から無縁ではない」「誤った情報によって国民の自由や権利が制約されることはあってはならない」と警鐘を鳴らしました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は、政府による公文書改ざんや基幹的データのねつ造、コロナ対策での情報発信の不十分さをあげ、政策決定の過程を国会に明らかにしない姿勢について「民主主義の根幹の問題ではないか」と質問しました。楊井氏は「ファクトチェックは公開された信頼できる情報を基に成り立っている」として、コロナ対策について「政府が発信する情報に多々問題があったことが判明している」「国会でも検証してもらいたい」と述べました。
一般社団法人「セーファーインターネット協会」の吉田奨専務理事は「世界的に民主主義の脅威となるようなフェイクニュースの横行が報告されている」と指摘し、政府など関係機関が連携を強化するよう述べました。(しんぶん赤旗 2022年6月3日)
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議事録
○赤嶺委員 ありがとうございます。
あと一点、ファクトチェックをする上で、政府が出す統計やデータ、記録や文書などは重要な根拠資料になるのではないかと思います。国民が事実に基づく議論を行うためにも、政府が必要な情報をきちんと出すことが重要であります。
この点に関わって、二点お伺いいたします。
一つは、政府による行政文書などの改ざんについてです。
森友問題では、政府が国有地の売却に関して文書を改ざん、隠蔽していたことが大問題となり、財務省の職員が命を絶つという事態にまでなりました。国交省では、基幹的な統計データが長期にわたって不正に算定されていたことが明らかになりました。政府による資料や文書の改ざんや不正は、民主主義の根幹を揺るがすものです。
もう一点は、政府の情報公開の在り方についてであります。
コロナ対策について、政府の情報公開の不十分さが指摘されてきましたが、例えば、政府はコロナ対策専門家会議の議事録を公開しておらず、政策の意思決定プロセスについて検証することが難しくなっています。
また、政府は今、敵基地攻撃能力の保有についての検討を進めていますが、一切検討状況を明らかにしていません。従来は、安全保障政策についての議論を行う際は有識者会議を開いて、不十分ではあっても議事要旨や資料を公開してきましたが、ところが、今回は、そうした議事要旨や資料さえ公表せず、検討状況も国会で聞かれても明らかにせず、全てを参議院後に回そうとしております。とても事実に基づく議論を促すという姿勢ではありません。
この二点について、いわゆる民主主義の根幹の問題だと思いますが、両参考人のお考えをお聞かせいただければと思います。
○吉田参考人 私の研究範囲から少し外れますので、一言だけ申し上げておきますと、一般論として、正確なデータですとか事実が公表される方が望ましいというふうには考えます。
以上です。
○楊井参考人 私も、端的にお答えいたしたいと思います。
ファクトチェックにおいては、公開された信頼できる情報というものをベースに成り立つものでございます。ですので、そこに信頼できない情報、あるいはそもそもデータが欠けているということがありますと、ファクトチェックをしようにもできなくなるということもございます。
ですので、そういった政府の情報発信というのはしっかりしていただきたいと思うわけですが、現実には、先ほど私も少し申し上げたように、政府、厚生労働省、自治体が発信する情報にも多々問題があったということは判明しておりますので、そういったことのないように、今後きちんと国会等での検証もしていただきたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 終わります。