国会質問

質問日:2022年 4月 26日  第208国会  安全保障委員会

米軍基地 調査させよ 沖縄PFAS汚染 赤嶺氏迫る

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は4月26日の衆院安全保障委員会で、沖縄県内の米軍嘉手納基地やキャンプ・ハンセン周辺の水源から高濃度の有機フッ素化合物PFASが検出されている問題で、県などが求める基地内への立ち入り調査の実現を求めました。

 赤嶺氏は、県企業局による汚染実態の公表から6年以上たった今も調査が実現していないと指摘。米国内では国防総省が700カ所の基地を対象に土壌汚染を調査し、基地ごとの進捗(しんちょく)状況を公表しているとして、「ダブルスタンダード(二重基準)そのものだ」と批判しました。

 岸信夫防衛相は「米側と議論する」と答弁。赤嶺氏は「日本の環境法令を米軍に適用し調査を義務付けない限り状況は変えられない」と強調しました。

 赤嶺氏は、2018~21年に嘉手納基地で9件の泡消火剤の漏出事故があったとの報道(23日付沖縄タイムス)を受け、有害物質関連の通報実績を質問。防衛省の岡真臣地方協力局長は、16年以降1件を除き「通報は確認できていない」と答えました。

 赤嶺氏は「日米合同委員会で事件・事故の通報手続きが合意されたが、ほとんど通報されていない」として合意の改定を含む再発防止策を求めました。(しんぶん赤旗 2022年5月6日)

 

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沖縄PFAS汚染 調査させよ(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 米軍の有機フッ素化合物、PFASによる環境汚染の問題について質問をいたします。
 沖縄県国頭郡金武町の水道水から、国の暫定目標値を上回る有機フッ素化合物が検出され、住民の間で不安が広がっております。
 二〇二〇年六月の調査で、有機フッ素化合物の一種であるPFOSとPFOAの合計で一リットル当たり五十ナノグラム以下という暫定目標値の一・四倍に当たる七十ナノグラムが検出をされました。
 町内に九か所ある水源のうち、最も多いときで五か所からの取水を停止し、県企業局の水と混合することで対応してきておりますが、最近、二月の調査では、再び五十九ナノグラムが検出をされております。
 米軍のキャンプ・ハンセンに隣接する水源から最大四百十ナノグラムという高い値が検出され、米軍基地由来の可能性が高いことから、沖縄県と金武町は、基地内への立入調査を申請しております。
 申請は昨年十二月ですが、四か月が経過した今も実現しておりません。なぜ実現しないのですか。米軍は、応じない理由をどのように説明しているんですか。防衛大臣、お答えください。

○岸国務大臣 沖縄県から要請のありましたキャンプ・ハンセンへの立入調査については、米側に対して様々な機会を捉えて伝達しておりますが、その詳細については、相手方との関係があるので、お答えを差し控えさせていただきます。
 引き続き、PFOS等をめぐる問題に対する政府の取組を進める中で、関係自治体及び関係省庁と緊密に連携しながら米側と議論してまいります。

○赤嶺委員 答弁を差し控えるという常套句はできるだけ使わないでほしいと先ほどもありましたけれども、早速の答弁がこれであります。
 米軍は、それでも、昨年十月にプレスリリースを出しているんですよ。予備調査の結果、数値上昇につながるいかなる原因も基地内で特定できなかった、このようにしております。基地との因果関係を否定するものでありますが、調査の内容や根拠は一切示しておりません。
 具体的にどういう調査を行ったと米軍は言っているんですか。プレスリリースについてちゃんと説明していただけますか。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 委員からただいまお話がございました在沖縄米海兵隊のプレスリリースでございますけれども、昨年十月十四日付のものでございまして、この中で、金武町におけるPFOS等の検出に関して、以下、引用させていただきますけれども、予備調査を行ったところ、それらの高い値を説明できるような、考え得るいかなる原因についても米軍施設内において特定できなかった、そういう旨を発表をしているところと承知をいたしております。
 その詳細につきましては、現在、アメリカ側に確認中でございます。

○赤嶺委員 原因は特定できなかったということを一方的に言われて、被害を受けている側は、はい、そうですかといって引き下がるわけにはいかないんですよね。具体的に、彼らが言っている調査というのはどういう調査だったのか、これを示さないで結論だけを押しつけるなどということは許されるはずがありません。
 そもそも、予備調査というのは、アメリカの土壌汚染対策法、いわゆるスーパーファンド法に従って、土地の使用履歴などの情報を集めるものであります。集めた情報を日本側と共有するのは当然です。米軍に予備調査の結果を提出させるべきだと思いますが、防衛大臣、いかがですか。

○岸国務大臣 米側は、金武町におけるPFASの検出に関しまして、予備調査を行ったところ、これらの高い値を説明できるような、考え得るいかなる原因についても米軍施設内において特定ができなかったということを発表しております。
 詳細については米側に今確認中のところでありますが、繰り返しになりますけれども、そういうことでございます。

○赤嶺委員 いや、納得できないですよね。予備調査を行った結果、原因は特定できなかったと。その予備調査の内容を日本側に提出すべきですよね。米軍との関係を特定できなかったと一方的に言われて、はい、そうですかと言うわけにはいかないわけですよ。
 しかも、キャンプ・ハンセンは、ベトナム戦争の時代には戦車を持ち込んで洗浄していたという証言、当時はそういう状況でした。それから、金武町の水源近くに米軍のごみ捨場があったという証言もあります。かつては飛行場として使用されていたこともあります。そうしたことの関係も含めて、予備調査の内容ははっきりさせる必要があります。
 こういうようなままで、米軍基地との原因は特定できなかったと言われて、それで、被害を受けている県民がこんな説明を受けて納得できるはずはありません。
 海兵隊は、昨年の九月に公表したプレスリリースで、沖縄の全ての海兵隊基地で従来のPFOS含有泡消火剤の処分を終えたことも明らかにしています。キャンプ・ハンセンを含めて、具体的にどの基地でどれだけの量を処分したのかも明らかにすべきだと思います。大臣、いかがですか。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 委員から御指摘のございましたアメリカ海兵隊のプレスリリースの関係で申し上げますけれども、これは昨年の九月でございますけれども、具体的には九月九日付でございますけれども、プレスリリースにおきまして、沖縄に所在する全ての海兵隊の基地及び施設において残存していた高濃度のPFOS等を含む泡消火剤の交換作業を完了したこと、そして、当該泡消火剤は焼却処分にするために日本本土へ輸送した旨を発表したと承知をいたしております。
 その上で、アメリカ側は、残存していた泡消火剤の大部分が存在していた普天間飛行場を含むものである旨も併せて発表したというふうに承知をいたしておりますが、処分された泡消火剤についての基地ごとの内訳については承知していないところでございます。

○赤嶺委員 踏み込むと、一体何を調べたのか、中身も分からないような調査であります。自分の都合のいいところだけ、結論だけを主張している。自治体の立入調査を拒否するようなことは許されないと思います。米軍に資料を提出させ、きちんと報告をいただくとともに、自治体の立入調査を実現させるべきだということを強く申し上げたいと思います。
 あの問題ならもう全部なくなったよ、こんなプレスリリース一枚で引き下がるわけにはいかないと思いますよ。立入りして調べさせてくれという自治体の要望の実現をきちんとさせるべきだと思います。
 米軍によるPFAS汚染に関わって、嘉手納基地でも新たな動きがありました。
 四月二十三日の沖縄タイムスの報道で、二〇一八年五月から二一年一月の間に泡消火剤に関する九件の事故があり、計四千七百五十リットルが流出していたことが分かりました。そのうち二件は、基地の外に漏出、飛散し、海に到達した可能性を指摘しております。
 二〇一八年八月十七日のケースは、保管タンクからの漏出に一か月の間気づかず、約二千二百七十リットルが流れ出てしまっていたというものです。三・四キロ離れた海に到達した可能性があると述べております。もう一件は、同じ年の五月四日のケースで、格納庫のスプリンクラーが誤作動し、二千二百七十リットルが放出されたというものです。泡の塊が空中に五十から百メートル上昇し、基地の外に飛散したとしています。
 これら二件の漏出事故について、日本政府に通報はあったんでしょうか。

○岸国務大臣 報道にありました内容の事実関係については、現在、米側に確認をしているところです。
 その上で、二〇一八年五月四日の嘉手納飛行場の件につきましては、通報があったことが確認できています。他方で、同年八月十七日に嘉手納飛行場で発生したと報じられた件につきましては、現時点で通報があったとは確認できておりません。

○赤嶺委員 二〇一六年以降、嘉手納基地で発生した燃料や泡消火剤などの有害物質の漏出事故について、日本政府に通報があったのは何件で、どういう内容でしたか。これについても改めて説明をいただきたいと思います。通告をしておりますから、きちんと答弁できるはずです。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一六年以降の事故に関する通報実績ということでの御質問というふうに承りましたけれども、ただいま大臣からも答弁申し上げましたとおり、先ほどの報道の中にありましたうちの、二〇一八年五月四日に嘉手納飛行場において泡消火剤が噴射された事案、これに関しましては通報があったことが確認できているところでございます。
 他方で、その他の二〇一六年以降の嘉手納飛行場における燃料あるいは泡消火剤などの有害物質の漏出事故については、現時点で通報があったことは確認できておりません。

○赤嶺委員 私は、二〇一六年に質問主意書を提出をいたしましてこの問題をただしました。ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが情報公開請求で入手した米軍資料では、二〇一〇年から一四年の間に嘉手納基地で二百六件の漏出事故が起きていたのに対して、日本政府に通報があったのは僅か十三件でした。
 一九九七年の日米合同委員会で米軍の事件、事故に関する通報手続が合意されていますが、実際にはほとんどが通報されておりません。米軍基地でも、通報がないか、あるいは、実際には基地の外に流出していたのに、基地の外には流出していないといった逆の内容が通報されていたことも明らかにいたしました。
 外務大臣に伺いますが、なぜこうしたことが繰り返されるのか、これを検証して、しっかりと通報がなされるように、現在の日米合同委員会合意の改定も含めて日米間で話し合うべきではないかと思いますが、いかがですか。

○林国務大臣 今委員から御指摘のありました漏出事故における通報の有無については、防衛省から答弁があったとおり、米側に事実関係を確認中であると承知をしておりますが、今お話のありました九七年の日米合同委員会、ここで合意されました在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続におきましては、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合には、米側から日本側へ通報されるということになっております。
 今年一月の日米2プラス2におきまして、私から有機フッ素化合物であるPFOS等をめぐる課題について協力を要請し、引き続き緊密に連携することを確認したところでございますが、政府としては、事件、事故発生時に、この合意に沿った日米当局間の迅速かつ正確な通報が着実に行われることが不可欠であると考えております。
 引き続き、米側に対してこうした取組を徹底するように求めてまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 外務大臣、2プラス2で大臣が発言しても、実態は、通報が行われていないというようなことが繰り返されているんですよ。事は非常に深刻だと思いますよ。
 別の角度からちょっと質問したいんですが、沖縄県企業局が嘉手納基地由来のPFAS汚染を明らかにし、基地内への立入調査を求めたのは二〇一六年のことであります。六年以上が経過したにもかかわらず、いまだに調査は実現しておりません。
 アメリカの国内では、国防総省は全国七百か所の米軍基地を対象に汚染土壌の調査を進めております。ホームページで基地ごとの進捗状況が公表されております。予備調査や現地調査、具体的な修復に向けた取組もどこまで進んでいるか、基地ごとに一覧で分かるようになっております。
 アメリカ国内ではこうした調査が進んでいると理解しておりますが、間違いありませんね。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカ国内における調査の関係でございますけれども、ただいま委員からホームページの話もされましたけれども、昨年十月には、米国政府がファクトシートという形で公表した文書がございますが、それによりますと、米国防省は、PFASが使用された又は放出された可能性のある米国内における約七百の施設において浄化のための評価を実施しており、二〇二三年度末までに全ての初期評価を完了する予定であるというふうに記載されているものと承知をいたしております。

○赤嶺委員 米国内の米軍基地七百か所では、PFASの処理状況が分かるような形で公開をされているわけです。
 国防総省は、さらに、地域社会との情報共有や意見交換の取組も進めております。昨年七月以降、四半期に一回、PFASの存在によって影響を受けた関係者との意見交換の場を持ち、取組の進捗状況について共有する場を設けております。
 この点も確認できると思いますが、いかがですか。

○岡政府参考人 お答え申し上げます。
 アメリカ国防省は、PFASに関するタスクフォースを設置して様々な活動を行っているというふうに承知をしております。
 ただいま委員から御指摘のございました点につきましては、アメリカの国防省でアウトリーチ活動という言い方で取り組んでいる活動のことであろうかと思いますけれども、二〇二〇年三月に公表されましたこのタスクフォースの中間報告におきまして、地元を含め関係者への活動報告を行う旨が記載され、二〇二一年七月から、環境、エネルギーレジリエンスを担当する国防次官補代理が主催する活動報告を実施していると承知しております。
 ホームページに掲載されているニュース記事によりますと、二〇二一年七月に一回目、そして同年十月に二回目をオンラインの形で実施をしたということで、関係する記事が載っているのを確認をいたしております。

○赤嶺委員 国防総省は、PFASの問題について答弁を差し控えてなんかいないんですよ。ホームページで公開して、進捗状況が全部分かるようになっている。地域住民にも説明しているということでした。
 防衛大臣、米軍は、PFAS汚染に関する調査の必要性を認め、アメリカの国内では調査を行っています。地域社会との情報共有の取組も進めております。ところが、日本国内では調査を認めない、そして、使用履歴などの情報も一切明らかにしない、こういう対応が続いております。これはダブルスタンダードそのものではないかと思います。
 こうした対応の違いについて、大臣はどのように認識しておられるんですか。アメリカ国内の状況も踏まえて、違うじゃないかというような交渉をアメリカ側と、米軍側とちゃんとやっているんですか。いかがですか。

○岸国務大臣 アメリカ側とは、引き続き、PFASをめぐる問題に関する政府の取組を進める中で、関係自治体、関係省庁と緊密に連携を取りながら米側と議論をしてまいります。

○赤嶺委員 最後に外務大臣に伺いますけれども、これまで日本政府は、日米地位協定の改定には踏み込まず、運用改善の範囲内の対応に終始してきました。七三年の日米合同委員会合意に基づく立入調査は過去一件も行われておりません。そうした事態を改めるためとして環境補足協定が締結されましたが、立入調査を認めるかどうかの決定権限は米軍が握ったままです。結局、ナシのつぶてです。
 日本の環境法令を米軍に適用し、環境汚染に関わる調査を義務づけない限り、今の状況は変えられないと思います。外務大臣、いかがですか。

○大塚委員長 時間ですので、簡潔に。

○林国務大臣 政府といたしましては、地元の方々の関心に応えられるようにこうした枠組みが運用されていくことが重要であると考えておりまして、施設・区域内外での環境対策が実効的なものとなりますように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 終わります。

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