核共有・敵基地攻撃 戦火に巻き込む
衆院憲法審
衆院憲法審査会が14日に開かれ、日本共産党の赤嶺政賢議員は「日本の平和は憲法9条に基づいた平和外交で実現していく」と述べ、「断固として憲法9条を守り抜く」と強調しました。
審査会では、日本維新の会の馬場伸幸共同代表が、憲法9条について「水戸黄門の印籠よろしく、かざせば敵も斬りかかってこないと思い込んでいる」とおとしめ、さらに日本共産党に対し「自衛隊活用を言いながら、党綱領で自衛隊を段階的に解消するとの規定は、国を守る本分に逆行する」「自衛隊を解消し、日米安保を破棄してこの国を守れるのか」などと攻撃しました。
これに対し赤嶺氏は「私たち沖縄県民は地獄のような戦場を体験した。この日本国民の戦場の体験を抜きにして、憲法9条では平和を守れないとするのは歴史の歪曲(わいきょく)だ」と批判。「憲法9条は戦争を二度と起こしてはいけないという日本国民の強い決意のもとでつくられた不戦の誓いだ」と強調しました。
赤嶺氏は、軍事に軍事で対抗すれば戦火が起こった場合に引き返すことができなくなり、国民が犠性になると指摘。東南アジア諸国が米ソ冷戦の中で武力紛争を起こしていた時代から、現在はASEANを通して平和を維持していることにふれ、「どんな紛争も戦争に結び付けてはならないというのが、私たちの確固とした立場だ」「憲法9条を生かし、北東アジアに平和をつくっていく」と強調しました。
赤嶺氏は「日本共産党は、9条の完全実施にむけて、国民多数の合意で自衛隊を段階的に解消していく方針だ」と述べた上で、自衛隊活用論については「9条のもとでも個別的自衛権は存在する」「万が一、急迫不正の侵略が起きたときに、自衛隊も含めて日本国民が侵略に対処する」という党の立場を述べました。
さらに赤嶺氏は、いま改めるべきは安保法制に基づく海外派兵体制だと指摘。ウクライナ情勢に便乗して核共有や敵基地攻撃能力の保有などが議論されていることをあげ、「こういう議論こそが日本を戦火に巻き込む危険な道だ」と批判しました。(しんぶん赤旗 2022年4月15日)
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議事録
○赤嶺委員 先ほどの質問で意を尽くしていない面がありましたので、若干時間をおかりしまして。
私たちは、綱領で、憲法九条の完全実施に向けて、国民の多数の合意で自衛隊問題を段階的に解決していく方針を明確にしております。今改めるべきは、安保法制に基づく自衛隊の海外派兵体制を早急に直すこと、安保法制を廃止するところにある、このように考えております。
もう一つ申し上げたいのは、私たち沖縄県民は、あの沖縄戦で地獄のような戦場を体験いたしました。この日本国民の戦場の体験を抜きにして憲法九条では平和は守れないとするのは歴史の歪曲であり、まさに憲法九条は、あのような戦争は二度と起こしてはいけないという日本国民の強い決意の下で作られた不戦の誓いであり、絶対に変えてはいけない世界に誇るべき宝だ、このように考えております。
今日は、国民投票法についての議論のテーマが設定をされております。
私たちは、国民が改憲を求めていない中、改憲の手続法である国民投票法を整備する必要はないという立場です。
現行の国民投票法は、第一次安倍政権の二〇〇七年に、安倍首相が改憲への意欲を示す下で、与党の強行採決によって作られたものであります。安倍首相は、国会で法案を審議している最中に、国民投票法を憲法改正の契機にしたいとか、国民投票法の成立を強く期待するなどとあおり、国会の審議に介入をしました。この発言を契機に、自民党は、期限を区切って審議を推し進め、衆議院での強行採決に踏み切ったのです。そのため、現行法は、重大な問題が放置されたままの欠陥法となっています。
私たちは、当初から、投票法が、国民の民意を酌み尽くし、正確に反映させるという根本において重大な問題があると指摘をしてきました。日弁連は、当時、最低投票率の問題や有料広告の問題など八つの問題点を挙げ、今も見直すべき重要な課題だと述べています。
私は、三つの根本的な欠陥があると考えています。
一つ目は、最低投票率の規定がないことです。
現行法は、有効投票数の過半数の賛成により、改憲案について国民の承認があったものとすると規定をしております。投票率が四〇%や五〇%の場合、有権者の二割台の賛成しか得られなくても憲法改正ができることになります。これでは、国民の意思を十分に反映しているとは到底言えません。
最低投票率については、制定時の審議でも、提出者から、低い賛成率で憲法が変えられるのはおかしいと思うという答弁もありました。この間の憲法審査会でも、与党の委員からも、真摯に考えた方がいいという指摘が出た問題です。
次に、国民の自由な意見表明を不当に制限していることです。
国民投票法では、何よりも、国民による自由で広範な意見表明と議論こそ重要です。ところが、現行法は、公務員や教員について、地位を利用した国民投票運動を禁止しており、その定義は極めて曖昧です。にもかかわらず、対象は、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで、およそ教育に携わる者全てに及びます。このような不当な投票運動の制限は、公務員や教員だけにとどまらず、国民全体の意見表明や運動を萎縮させることにつながります。
三つ目に、改憲案に対する広告や賛否の意見表明の仕組みが公平公正なものとなっていないことです。
現行法の下では、資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまうおそれが繰り返し指摘されています。しかし、それに対する実効性のある措置はなく、憲法が金で買われるという事態になりかねません。
改憲案の広報を担う広報協議会も、委員は国会の各会派の所属議員数の比率で割り当てられることになっています。そのため、改憲賛成派が圧倒的多数を占め、広報や無料の広告など、都合よく運営されかねません。これらの根本問題は、法律制定当時、参議院の十八項目に及ぶ附帯決議でも指摘されたものです。
昨年、公選法並びの七項目の改定案が賛成多数で可決をされました。この法律の附則四条には、有料広告の在り方などの問題について、三年をめどに検討を加える、必要な措置を講ずると規定をしています。
私たちは、この規定をもって、欠陥を放置したままにすることは許されないとして反対をしました。参議院では、この附則四条の解釈が大きな議論となり、その中で、この規定について、「国会が、同項に規定する措置が講ぜられるまでの間において、日本国憲法の改正案の原案について審議し、日本国憲法の改正の発議をすることを妨げるものと解してはならない。」とする修正案が提出されました。しかし、与党も含めて、この修正案をわざわざ否決して、衆議院の法案を成立させたのです。
国民投票法を問題にするのであれば、この附則四条に基づき、根本的な欠陥について徹底的に議論するというのが筋ではありませんか。ところが、新藤幹事から、投票環境を整備するためなどとして、新たな公選法並びの改定をまず通し、連休明けには安全保障の議論をしたいという意向も報道されてありますが、これは重大であります。
根本的欠陥を放置したまま、形だけ整えて終わりにし、九条改憲の議論に進もうということなど断じて容認できないと申し上げて、私の発言を終わります。