日本共産党の赤嶺政賢議員は10日の衆院外務委員会で、2月に米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のCH53大型輸送ヘリコプターが吊(つ)り下げ輸送中の金属製の訓練用標的を海上に落下させた問題を取り上げ、「住民の生活圏で危険な活動を許してはならない」と指摘し、吊り下げ輸送・訓練の中止を米側に働きかけるように求めました。
同標的が落下した地域は、米軍トリイ通信施設(読谷村)の西側約1・3㌔の海上で、漁業者が日常的に操業し、多くの観光客も訪れる場所です。
赤嶺氏は、1972年5月15日の日米合同委員会の合意(5・15メモ)では、トリイ通信施設の使用目的は「通信所」で、使用条件にも「『吊り下げ輸送』とは書かれていない」と指摘。「住民の命を考えるなら、5・15メモの使用協定を守れと言うべきだ」と迫りました。外務省の鈴木量博北米局長は「使用の主目的に反しない限り、他の目的に使用することは排除されていない」と吊り下げを容認する姿勢を示しました。
赤嶺氏は「外務省がアメリカ寄りでは、くらしや生業(なりわい)は守れない」と強調。読谷村議会が意見書で、過去の米軍パラシュート投下訓練での少女圧殺事故にふれて「断固抗議」を表明し、吊り下げ訓練の即時中止を求めていることを示し、「政府はこの声を正面から受け止めるべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2020年4月16日 一部加筆・訂正)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
きょうは、外務委員会での質問の機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、投資協定について質問をいたします。
政府が昨年六月に閣議決定した成長戦略フォローアップは、現在交渉中の投資関連協定の早期妥結に加えて、二〇二〇年までに百の国・地域を対象に署名、発効するとして、産業界の要望などを踏まえながら新規交渉国を選定し、早期交渉開始を目指す、このようにしています。
外務大臣に伺いますが、今回の五つの投資協定の締結に当たっては、産業界からどのような要望が出されているんですか。
○茂木国務大臣 我が国の産業界、これまで、アラブ首長国連邦やモロッコを含めた中東、さらにはコートジボワールを含めたアフリカの国々との協定の締結について要望が出されておりまして、今回の協定はその要望に沿ったものとなっております。
例えばモロッコ、これは、いわゆる北アフリカの中のマグレブと言われる、これはアラビア語で日が沈むところという意味でありますけれども、この一番西側に属しまして、ちょうどアフリカとヨーロッパを結ぶ、こういう拠点にもなってくる。さらには、コートジボワール、まさにかつては象牙の積出地の拠点でありまして、西アフリカ全体に進出する拠点にもなっている。こういった地域に進出している企業も多い。こういったことから、そういった経済界の要望もあるんだと思っております。
また、日本とASEAN、この投資関係について申し上げますと、日本は、ASEAN域外からASEANに投資を行う国、地域の中で第二位です。そして、日本からの対外直接投資の投資先で見ましても、ASEANは第三位となっておりまして、日系企業も多く進出をしております。こういった形で、日本とASEANの投資関係の強化について経済界も要望していると考えております。
では、どういった内容を盛り込んでほしいかということでありますけれども、投資関連協定に盛り込むべき規律内容としては、内国民待遇、ローカルコンテンツ要求の禁止、さらには、資金移転の自由、公正な待遇義務、ISDS条項等が要望されてきているところであります。
政府としては、今後も、経済界の具体的なニーズであったりとか相手国の事情等に応じながら、グローバル化の中で投資をより促進するような投資関連協定の締結に向けてしっかりと交渉を進めてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 今説明をいただいたんですが、政府は、成長戦略のもと、経済界の強い要望を受けて、対日直接投資とともに、日本の多国籍企業の海外展開を促進するため、諸外国との投資関連協定を加速させております。今回の五つの投資協定も、まさにその一環であるということを指摘しておきたいと思います。
それでは、次に、米軍機事故の問題について質問をいたします。
二月二十五日、沖縄県の読谷村にある米軍トリイ通信施設の西約一・三キロの海上で、米軍普天間基地所属のCH53Eヘリから、つり下げていた金属製の訓練用標的を投下するという事故が起こりました。米軍は、機体が不安定になったため、乗員の安全を確保するために落下したと説明し、事故原因が明らかになるまでつり下げ輸送を停止する考えを明らかにしています。
ところが、その二日後、今度はフォークリフトをつり下げて飛行する様子が確認をされました。訓練用標的ではないから停止の対象にはならないというのが米軍の説明であります。
現場周辺は定置網やジンベイザメの生けすがあり、漁業者が日常的に操業し、多くの観光客が訪れる場所であります。読谷村の石嶺村長は、現場の海域は恒常的に漁民の漁業活動があり、年間二万人以上の観光客が訪れる、訓練は中止してほしい、このように述べております。
読谷村漁業協同組合の金城組合長は、万が一、乗客がいる船に落ちていたら大惨事になる、二度と起こらぬようヘリのつり下げ運用はしてほしくない、このように訴えております。
外務大臣は、今回の事故が住民の生活圏で起こったという認識、これはありますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
本年二月二十五日、米側より沖縄県トリイ通信所から物資をつり下げて輸送中であったCH53Eヘリが、乗組員の安全を確保するため、同通信所から西約一・三キロメートル付近の海上に当該物資を投下したとの情報がございました。
御指摘のトリイ通信施設の沖合の当該海域の状況につきまして、委員から御指摘をいただきましたが、米側からは、物資を投下させる際には、船舶が周囲にいないことを確認するなど安全面に最大限配慮しており、また、投下した物資には有害物質等は含まれていないとの説明を受けてございます。
本件事案で被害が発生したとの情報はないと承知しておりますが、航空機からの物資投下は重大な事故につながりかねないことから、本件事案の発生時に、外務省から米側に対し遺憾の意を表明するとともに、原因究明、再発防止、さらなる情報提供を申し入れてございます。
○赤嶺委員 生活圏の真っただ中に落下させておきながら、落下させる前に安全は確保していた、こんな発言そのものがまず許されないことであります。
再発防止を求めている、このように言っても、つり下げ輸送に伴う事故は、今回が初めてではありません。二〇〇六年十二月には、トリイ通信施設の沖合約二百メートルの海上で、CH53Eヘリがつり下げ輸送中の米軍車両を落下させました。落下させたのは、漁船が頻繁に通る航路でした。
外務大臣、大惨事になってからでは遅いと思います。住民の生活圏でこうした危険な活動を許してはならないと思います。つり下げ輸送の中止を米軍に働きかける、そのことを真剣に検討すべきだと思いますが、いかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、航空機からの物資の投下は重大な事故につながりかねないことから、本件事案の発生時に、外務省から米側に対し遺憾の意を表明するとともに、原因究明、再発防止、さらなる情報提供を申し入れてございます。
米軍機の飛行の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であると考えております。政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えており、これまでも累次にわたって申し入れているところでございまして、先般、茂木外務大臣からも、シュナイダー在日米軍司令官に対し申入れを行ったところでございます。引き続き米側に強く申し入れていきたいと考えております。
○赤嶺委員 沖縄の米軍基地には、使用条件などを定めた五・一五メモというものがあります。在沖米軍基地の使用目的と使用条件を定めておりますが、その五・一五メモ、そこにはトリイ通信施設の使用目的、条件について何と書いてありますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
トリイ通信施設につきましては、その提供に関する昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会合意におきまして、使用の主目的、主たる目的といたしまして、通信所と記載されております。
○赤嶺委員 つり下げ輸送ができると書いてありますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
トリイ通信施設の使用目的に関しましては、その使用の主目的として通信所と記載されております。これはトリイ通信施設の使用の主たる目的を定めたものでございまして、使用の主たる目的が通信所であることに反するのでない限り、今般のような訓練の実施を排除しているとは考えてございません。
○赤嶺委員 つり下げ輸送ができると書いてあるかどうかを聞いているんです。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
トリイ通信施設の使用目的は、その主たる目的として通信所というふうに書いてございます。施設の使用の主目的について、個々の施設・区域の使用の主たる目的、これは合同委合意で定められたとおりでございますけれども、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その活動の使用主目的としての形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないというふうに認識しております。
○赤嶺委員 トリイ通信基地の主目的は通信所でありますが、使用条件も五・一五メモに書かれております。使用条件は、陸上施設の保安、汚水処理のための水域の常時使用など、条件が定められているわけですよ。
条件が定められているにもかかわらず、つり下げ訓練というのは全く書かれていないにもかかわらず、いや、トリイ通信所の主目的に反しない限り何でもできるといったら、本当に、何のための五・一五メモですか。使用目的と使用条件がはっきりしている、そこを無視したら、米軍は、米軍の運用に全く制限がきかない、ブレーキがきかない、どんな訓練でもできることになってしまいます。基地ごとに使用条件を定める意味がなくなってしまうではありませんか。
五・一五メモというのは、沖縄が復帰をするときに、沖縄の米軍基地がどのような使い方をされているか誰もさっぱりわからない、そういう中で、九五年の少女暴行事件の後に公開されたものであります。住民の、県民の安全を守るために、安全性に配慮するためにつくられたと称しているのが五・一五メモであります。
そこにつり下げ訓練なんか、どこにも書いていない。書いていないのに、外務省は、いやいや、使用目的に反しない限り、それは何をやってもいいんだと。何でもできることになるんじゃないですか。一体何のために使用協定を締結したんですか。住民生活への影響を最小限に抑えるため、それが目的の五・一五メモではないですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
米軍は、我が国にある施設・区域において、当該施設・区域に関する合意に従って必要な活動ができることとされておりますが、その際、委員もよく御存じのとおり、日米地位協定第三条三項に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払ってそのような活動を行う、こういうことに合意しておるわけでございまして、その合意についてはしっかりと遵守していると考えてございます。
繰り返しになりますけれども、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その活動の主目的としての形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないというふうに認識している次第でございます。
○赤嶺委員 県民の生活のなりわいがある場所で、こういう危険な活動は絶対に認めるべきではないと思います。使用協定に、五・一五メモの中につり下げ輸送とは書いていないんですから、使用協定を守れと言うべきじゃないですか。なぜそれが言えないんですか。外務省が住民の命と安全を少しでも考えるなら、使用協定を守れ、このように言うべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになって大変恐縮でございますが、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その使用の主目的の形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないということでございます。
○赤嶺委員 全く使用条件の意味を失ってしまうような、地位協定三条があったにしても、住民の命と暮らしに配慮する、それがいわゆる使用協定だといって皆さん説明してきたんじゃないですか。それを今ごろになって、使用協定に書かれていないことでもできるんだ、こういう、誰が県民の命を守るんですか。日本の外務省がアメリカ寄りになって、そんなことで暮らしやなりわいは守れないと思います。
そこで、別の角度から伺いますが、米軍が普天間基地へのオスプレイ配備に当たって実施した環境レビューでは、トリイ通信施設には三つの着陸帯があり、いずれも管理着陸帯だと書かれております。
管理着陸帯とはどのような着陸帯のことですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
MV22オスプレイの普天間飛行場への配備に当たって、米側は平成二十四年に環境レビューを作成いたしました。この中で、沖縄においてオスプレイの使用に適切であると評価された着陸帯は戦術着陸帯と管理着陸帯の二つから成り立ち、トリイ通信施設内の三カ所の着陸帯は管理着陸帯に分類されていると承知しております。
お尋ねの管理着陸帯では、給油、人員輸送、VIP移動及び緊急医療活動が行われると記載されていると承知しております。
○赤嶺委員 管理着陸帯の役割はVIPの輸送、医療避難等ということでありますが、米軍は、そのトリイ通信基地で、標的となる車両や物体を射爆撃場に輸送してつり下げ落下事故を起こしているだけではありません。トリイ通信施設で兵員をつり下げた戦術訓練を何度も行っています。
米軍が環境影響評価のために実施した環境レビューでトリイ通信施設の着陸帯は管理着陸帯だと言っているにもかかわらず、なぜ兵員のつり下げ訓練という戦術訓練、これができるんですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
この環境レビューは、米国大統領令、米国防省指令等に基づきまして、米国外での活動による環境への影響を分析するためのものであります。
着陸帯の使用目的がレビューに書かれたもののみに限定されるものではないというふうに考えております。
○赤嶺委員 環境レビューは何のために行ったか。オスプレイを日本に配備するために、安全に配慮しますといって個々の着陸帯について環境レビューの中で評価をしているわけです。そして、トリイ通信施設の着陸帯は、そういう訓練なんか、戦術訓練なんか行えない、そういう着陸帯として位置づけられています。
オスプレイは配備するときにはレビューがあるから安全だ安全だ、このように説明しておいて、一旦配備したら、いやいや、レビューに書かれている範囲を超えて訓練してもいいんだと、こんなことを認めてしまう。一体、五・一五メモやレビューというのは何のためにやったんですか。まさに、これでは県民を欺くために、日本国民を欺くためにやったも同様ではありませんか。
読谷村議会の意見書は、今回の事故についてこのように述べています。「本村においては過去にパラシュート投下訓練によるトレーラー少女圧殺事故があり、あの悲惨な事故は村民の記憶に根強く残り、決して消えることはない。」「村民大会を開催し、議会においても訓練の中止を幾度となく求めてきたにもかかわらず訓練がくり返されていることは、読谷村民の人権を蹂躙し、人命を軽視するものであり、断固抗議するものである。」このように述べて、つり下げ訓練と戦術訓練の即時中止を求めています。
過去の歴史で、一九六五年、小学校五年生の棚原隆子ちゃん、上空から落下させられたトレーラーによって圧死した、あの事件が今でも読谷村民の心の中に深く傷として残っている。だから、落下訓練やつり下げ訓練、そういうものに対して非常に敏感に厳しく反応していくわけです。
外務大臣、日本政府としてこの声を正面から受けとめるべきだと思いますが、読谷村民の声、どのように受けとめますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
米軍機の飛行の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であると強く考えている次第でございます。
政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えておりまして、これまでも累次にわたり申し入れているところでございます。
○赤嶺委員 こんな答弁で、幾多の米軍機の事件、事故が起きてきた、そういう日本政府の態度が事故の拡大にも結びつく、この点も厳しく指摘しておきたいと思います。
この問題にかかわって、幾つかの事実関係を確認しておきたいと思います。
三日付の地元紙は、今回の事故を引き起こしたヘリ部隊の司令官が責任を問われる形で解任されていたと報じました。外務省には、このことについて米側から説明はあったんですか。あったなら、いつ、どのような内容だったんですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
本件につきましては、四月三日、防衛省から事実関係を確認したところ、米側からは、内部における部隊を率いる能力の信頼と信用を失墜したことを理由として当該ヘリコプター飛行隊司令官を解任したことは事実である、これ以上の詳細については差し控えるとの説明を受けております。
また、二月二十五日に発生した米軍ヘリによる金属製標的の投下事案については、発生当時、米側から、原因を特定するため、徹底した検証を実施する旨の説明を受けており、現在、調査が継続していると認識しております。
防衛省といたしましては、同様の事案の再発防止が徹底されるよう、引き続き米側に強く求めてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、このような事案は地域の皆様に不安を与えるものであり、引き続き米側に対し米軍機の運用における安全確保に万全を期するよう求めるとともに、地域の皆様への迅速な情報提供ができるよう、日米で連携して対応してまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 今回の場合、報道によりますと、事故をめぐる初期調査で、運用における手順の誤りが事故につながったという認識を示しているようでありますけれども、初期調査の内容は説明を受けているんですか。報告書は提出されておりますか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
本件事案に関する初期調査が米側によってなされたとの報道があることは承知しております。現在、米側に対して、本件に係る原因や再発防止策等について情報提供を求めているところでございます。
他方、本件は引き続き米側において調査が継続していると認識しておりまして、現時点において事故調査報告書が作成されているとは承知しておりません。
○赤嶺委員 事故原因について一定の調査結果が出たから司令官を解任したのではありませんか。
なぜ、その内容について報道ベースで知ってはいるけれども、外務省に説明がないんですか。その点、いかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
米軍は、一定規模以上の事故について事故調査報告書を作成するものと承知しております。
○赤嶺委員 そうすると、今回の場合、事故調査報告書、例えば、二〇〇六年の事故も指摘しましたが、当時、米軍は、乱気流に遭い、乗員の安全確保のために投下したと説明しています。現場では、ヘリと車両をつなぐワイヤが切れていた、そういう経緯があります。
米軍は、そのときの事故原因をどのように結論づけたんですか、ワイヤが切れていたとの関係はどのように指摘されているんですか。この事故についてどのように認識しておりますか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
本件につきまして、米側からは、事故発生当時、CH53Eヘリが車両をつり下げ輸送中、乱気流を受け、機体と乗員の安全性を確保するため車両を切り離した、当該車両は輸送前にオイル及びガソリンを抜き取っていた、飛行経路は、住宅地区を避け、海上を飛行するよう計画されていたとの説明を受けております。
○赤嶺委員 事故報告書は出ていないんですよね。事前に外務省、防衛省に事故報告書の提出を求めたら、持っていない、このように回答しておりました。
米軍は事故報告書の調査報告を作成していないんですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
現時点において、事故調査報告書が作成されているとは承知しておりません。
○赤嶺委員 これでよく、再発防止だの、事故原因の究明だの、こんなことを日本政府が言えるんですか。事故報告書が作成されているかどうかもわからない。
こういう事故が相次いだので、実は日米間には合意があります。それは、一九九六年の日米合同委員会合意は、日本政府が要請したときには、アメリカ政府が米軍航空機の事故調査報告書を提出する、このような合意をしております。
米軍のつり下げ輸送に伴う事故は、人命にかかわる重大な事故であります。合意の対象になると思いますが、なるのか、ならないのか、どちらですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の日米合同委員会合意におきましては、日本国政府が合同委員会を通じて要請を行うときは、合衆国政府は、米軍航空機の事故調査報告書の公表可能な写しを提供することに同意するといった旨が記載されております。
いかなる航空機事故が同合意の対象となるかについては、事案ごと個別具体的に判断されるものでございまして、一概にお答えすることは困難でございますが、同合意の対象になるか否かにかかわらず、政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えておりまして、米軍航空機に係る事故が発生した場合には原因究明、再発防止策がとられるよう強く求めてきているところでございます。
○赤嶺委員 二〇〇二年三月の国会答弁があります。当時の外務大臣は川口さんでした。川口外務大臣は、墜落、火災といった航空機事故が発生した場合に事故調査報告書の提出を求める、このように述べておりました。対象が大きな墜落事故に限定されるものではないということを、当時、国会の答弁でも明らかにいたしました。
つり下げ輸送に伴う事故は合意の対象とすべきだと思います。アメリカとの間でそういう交渉を続けるべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。
○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
今般、二月二十五日に起こった事故につきましては、繰り返しになりますけれども、米側からは、安全性に最大限配慮し、投下した物資には有害物質は含まれていないといった、安全性についての確保を行ったというような説明を受けてきております。
この事故調査報告書、これは私どもの方でも一定規模以上のものというふうに申し上げた次第でございますが、これは米側があくまでも判断するところでございますけれども、また事例によって異なるとは考えますけれども、例えば米軍機の墜落とか人身の事故等、こういったものであれば事故調査報告書が出されるものと考えてございます。
○茂木国務大臣 米軍機の飛行の安全確保、米軍が我が国に駐留する上での大前提と考えております。
事案ごとに適切に対応してまいりたいと思います。
○赤嶺委員 これだけの事故を放置して、事故報告書も求めない。日米同盟の存立を危うくするような人権じゅうりん、これを放置して、外務大臣は、その事案の一つ一つの質問に答えないで、最後に一言言っただけ。こういうやり方では、県民の怒りはおさまらない、読谷村民の怒りはおさまらない。
事故報告書提出を強く求めるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。