国会質問

質問日:2020年 4月 7日  第201国会  安全保障委員会

基地建設 一時止めよ 赤嶺氏「感染拡大防ぐため」

 

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は7日の衆院安全保障委員会で、新型コロナウイルスが感染拡大する中で「辺野古の新基地建設だけは感染防止対策とは無関係という態度は許されない」と述べ、工事の一時中止を求めました。

 国土交通省は、感染拡大防止のため、受注者の意向をふまえ工事・業務の一時中止や工期延長の措置を取っています。

 赤嶺氏が防衛省の対応をただしたのに対し、河野太郎防衛相は「国土交通省と同様の措置を講じている」と答弁。同省の鈴木敦夫整備計画局長は、これまでに工事8件、業務20件の中止措置をとっていることを明らかにしました。

 赤嶺氏が辺野古についても受注者から一時中止や工期延長の要望があれば応じるのかとただすと、鈴木局長は「受注者の意向を確認したが、一時中止の意向は示されていない。引き続き工事を進めていく」と答弁しました。

 赤嶺氏は、米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、警備員がマスクもせずスクラムを組んで警備に当たり、抗議する住民との濃厚接触も懸念されると指摘。「感染拡大を防止するためにも、工事をいったん止める判断をすべきだ」と求めました。河野防衛相は「国土交通省の措置にそって、しっかりと進めていきたい」と述べるにとどめました。(しんぶん赤旗 2020年4月9日 一部修正・加筆)

 

宇宙は平和利用こそ

赤嶺氏、「作戦隊」創設反対

 衆院安全保障委員会は7日、米軍と一体に対衛星兵器や宇宙ゴミの監視を行う「宇宙作戦隊」の創設などを盛り込んだ防衛省設置法改定案を自民党と公明党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は討論で、軍事的優位の維持強化をねらう米国の軍事戦略に日本をいっそう深く組み込むものだと批判しました。

 採決に先立つ質疑で赤嶺氏は、「政府は人工衛星を危険にさらす破壊実験を全面的に禁止する立場に立っているか」とただしました。河野太郎防衛相は、全面禁止の立場を明言しませんでした。

 赤嶺氏は「宇宙条約の平和利用の精神にそって、軍事利用の制限・縮小をしていくことが重要だ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2020年4月16日)

質問の映像へのリンク

新型コロナ/基地建設 一時止めよ(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案について質問をいたします。
 今回の法案にかかわって、宇宙ごみの増加を理由に、宇宙状況を監視するための専門部隊を新たに創設するとしております。
 宇宙ごみ増加の理由として近年指摘されているのが、衛星破壊実験です。ミサイルやロケットによる衛星破壊実験は、大量の宇宙ごみをまき散らし、他の人工衛星を危険にさらすもので、国際的にも大きな問題となっています。
 防衛省に伺いますが、これまでに衛星破壊実験を行ったことのある国はどこなのか、何回行っているのか、この点をどのように把握しておられますか。

○槌道政府参考人 各国のミサイル、ロケットによる衛星破壊実験の累計回数についてのお尋ねでございますけれども、それを網羅的にお答えするというのは防衛省の立場としてなかなか難しいわけでございますが、その上で申し上げますと、衛星の物理的な破壊を伴う実験であると指摘される最近の事例といたしまして、二〇〇七年一月、中国は、高度約八百六十五キロメートルで、自国の老朽化した気象衛星、風雲一号をミサイルで破壊した、また、二〇一九年三月、インドは、高度三百キロメートルの低軌道を周回していた自国の人工衛星をミサイルで破壊したといったものがあると承知をしているところでございます。

○赤嶺委員 衛星破壊兵器の開発競争は、米ソ対決の時代から行われてきているものであります。
 ソ連は、一九六八年から一九八二年にかけて実験を繰り返していたと言われています。アメリカも、一九八五年に、戦闘機から発射したミサイルで自国の衛星を破壊する実験を行いました。二〇〇八年にも、退役衛星を撃ち落とす実験をしています。
 防衛省は、これらについて把握していないんですか。

○槌道政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、全てを網羅的に把握するというのはなかなか困難な立場でございます。物理的な破壊を伴う実験ということで指摘されているものとして我々が把握しているものは、先ほどの二例と申し上げたところでございます。

○赤嶺委員 網羅的に把握していないということで、アメリカが何をやったのか、そういうことは認識にないということなのか。それにしては、今回の法案にかかわって、いかがなものかということを強く感じます。
 大臣に伺いますが、現在、人工衛星の多くは民生用で、放送や通信、気象観測など、私たちの生活や経済活動になくてはならないものとなっています。そうした中で人工衛星を危険にさらす衛星破壊兵器の開発や実験を行うことは、決して許されるものではありません。私たちは、いかなる宇宙の軍事利用にも反対の立場を表明してまいりました。
 日本政府として、どの国によるものであっても、また、宇宙の軍事利用についての賛否の違い、そういう立場は仮にあったとしても、衛星破壊兵器の開発や実験は認めない、全面的な禁止を求める、こういう立場に立つべきだと思いますが、日本政府はそうした立場に立っているんですか。

○河野国務大臣 我が国としては、宇宙空間の安定的利用を確保することが重要であると考えており、衛星破壊実験によってデブリが発生し、宇宙空間の安定的利用が妨げられるような事態は避けるべきです。
 我が国としては、安全保障及び宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、同盟国や友好国と戦略的に連携しつつ実効的なルールづくりを主導していくとともに、各国に宇宙空間における責任ある行動を求めていくことが重要であると考えております。

○赤嶺委員 私、大臣に伺いましたのは、衛星破壊兵器の開発や実験は認めない、全面的な禁止を求める立場に立つべきではないか、こういうことを問うたわけですが、いかがですか。

○河野国務大臣 我が国としては、安全保障及び宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、同盟国や友好国と戦略的に連携しつつ実効的なルールづくりを主導していくとともに、各国に宇宙空間における責任ある行動を求めていくことが重要であると考えております。

○赤嶺委員 求めていた全面禁止を求めるということについては、繰り返し答弁を聞いても明言いたしませんでした。
 日本政府は、中国やインドが行った実験に対しても、懸念は表明しても明確に反対の立場は表明していません。これでは一番大事なことが抜け落ちていると言わなければならないと思います。
 それだけではありません。政府が二〇一八年に閣議決定した防衛大綱は、宇宙領域において相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力の強化ということを打ち出しました。今年度予算には、そのための調査研究費が盛り込まれております。
 指揮統制、情報通信を妨げる能力とは、これは一体どういうものですか。他国の衛星の破壊や妨害なども行うということですか。

○河野国務大臣 お尋ねの、いわゆる妨げる能力の詳細を明らかにすれば我が方の手のうちが明らかになるため、お答えを差し控えますが、一部の国では、例えば妨害電波によって通信や測位信号の円滑な送受信を妨げて、相手方部隊がその能力を最大限発揮することを妨げる兵器などを保有していると考えているところでございます。

○赤嶺委員 手のうちを明かすことになるということでのいつもの答弁で、具体的な説明はありませんが、防衛省は妨害衛星の研究に着手していると報じられています。
 宇宙の軍拡競争に加担すべきではありません。宇宙は平和目的のために利用するというのが宇宙条約の精神であります。私は、この精神に沿って軍事利用を制限、縮小していくことこそ重要だ、そうした取組こそ日本政府は行うべきだということを、まず強くしておきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルスにかかわる、防衛省の発注の工事、業務の対応について伺います。
 国土交通省においては、感染拡大防止のため、同省発注の公共事業について、受注者に工事業務の一時停止や工期の延長の意向を確認し、申出がある場合には、一時中止や設計図書の変更などの措置をとっております。
 防衛省発注の工事、業務についてはどのような対応をとっておりますか。

○河野国務大臣 防衛省発注の直轄工事や業務につきましては、国土交通省の措置と同様に、受注者の意向を踏まえ、事情を個別に確認した上で、必要と認められるときは、受注者の責めに帰すことができないものとして、契約書に基づき、工事又は業務の一時中止や設計図書等の変更を行うこととしております。
 引き続き、防衛省といたしましては、工事関係者の感染拡大防止と健康管理に留意して工事を進めてまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 そうしますと、これまでに一時中止やあるいは工期の延長などの措置をとった事例はどの程度ありますか。主な事例としてどのようなものがありますか。

○鈴木政府参考人 工事及び業務の中止措置につきましては、最大で工事八件、業務に関しては二十件の中止措置をとっておりまして、現在でも続いておるのが、工事で六件、業務につきましては十二件について中止措置を継続しているところでございます。
 なお、新型コロナウイルス感染症をめぐる現下の状況に鑑みまして一時中止措置をとった事例といたしましては、自衛隊関係の工事業務におきましては、受注者による在宅勤務の実施や機器等の納期遅延などにより業務及び工事の期限までの実施が困難になった事例ですとか、また、米軍関係の工事業務におきましては、同ウイルスの感染拡大防止を徹底し、公衆衛生上必要な措置の実施を確保する観点から、当初予定していた業務及び工事の実施を一時中止している、こうした事例がございます。

○赤嶺委員 辺野古の工事についても、受注者から一時中止やあるいは工期延長などの要望があれば応じる、そういうことですね。

○鈴木政府参考人 先ほど大臣からお話ございましたように、防衛省としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて、直轄工事や業務において、受注者の意向を踏まえまして、一時中止や工期の延長等の措置を講じることとしているところでございます。
 これは辺野古の工事も同様でございますけれども、この辺野古移設に向けた工事につきまして、一時中止の要否を判断するための一助として同工事の受注者の意向を確認いたしましたけれども、一時中止の意向は示されておりません。
 引き続き、防衛省といたしましては、工事関係者の感染拡大防止と健康管理に留意して工事を進めてまいりたいと考えてございます。

○赤嶺委員 キャンプ・シュワブのゲート前では、基地建設に反対する住民の抗議活動が行われ、警備員がゲートを守って立っております。この警備員について、私、沖縄防衛局にも申し入れたんですが、まず、スクラムを組むような状態で警備が何十人も立っているんですね、あれを濃密接触と言うのかなという。しかも、一日じゅうですからね。マスクもやっていないんですよ。
 私、工事をやめろとかやめるなとかという前に、私はやめろという立場ではありますが、それ以前に、マスクもしないで体を寄せ合って抗議活動に対処している、これはコロナ対策として本当にどうなのかなという、見ていて心配ですよ。だって、買物だって二メートル離れなさいと言っているじゃないですか。人と人との距離を離れなさいと言っている。もう本当に一寸のすき間もないぐらいの体勢で立っている。これは濃厚接触の面からいっても非常に懸念が持たれます。住民にも、警備員のそういう濃厚接触で感染が拡大していくんじゃないかという不安を持ちます。
 これを防止するためにも、政府として一旦工事をとめる判断をすべきだと思います。大臣、検討いただけますか。

○河野国務大臣 一日も早い普天間の危険性の除去と日米の抑止力の維持のためにこの工事を行っているところでございますので、国土交通省の措置に沿って、しっかりと進めていきたいと思います。

○赤嶺委員 いや、一日も早い普天間基地の返還にもうならないですよね、十二年かかりますから。しかも、その十二年というのも、皆さんが設計変更申請を出して、玉城デニー知事がそれを審査して、玉城デニー知事は辺野古に反対の立場を貫いていますから、その取扱いというのは防衛省にとっては大変困難だと思います。仮に、防衛省の思惑どおり辺野古の設計変更申請がとれたとしても、それは何年先かわかりませんよ。それから十二年ですからね。
 普天間の一刻も早い返還の代替地としての辺野古はもう破綻しているんですよ。これはもう、破綻しているのはみんなわかっているんですよ。政府だけが普天間の一刻も早い、そういうことを言っているだけで、笑い物ですよ、こうなったら。ただ、その議論はきょうはやりません。
 私が心配しているのは、新型コロナウイルスのクラスターになりはしないか。ああいう濃密接触をした体勢でいて、マスクもやっていないんですよ。これは普天間の一刻も早い返還とは関係ないと思います。一旦工事をとめて、新コロナウイルスの拡大防止のために政府はこういう措置をとっていると、やるべきではありませんか。大臣、もう一度お願いします。

○河野国務大臣 先ほど答弁したとおりです。

○赤嶺委員 先ほどのは答弁になっていません。
 これだけの人たちを、本当に日本が、世界が、コロナの感染防止のために必死に努力し、自覚し、協力している中で、辺野古の基地建設だけはコロナの感染防止対策とは全く無関係、こういう態度が許されるものではないと思います。
 辺野古の問題にかかわって一点確認しておきますが、二月の末に、B―27地点で実施したコーン貫入試験に基づく非排水剪断強さをどのように求めたものか、具体的なコーン係数も含めて明らかにするよう求めました。受注業者に確認するというのが防衛省の説明でありました。既に一カ月以上がたっていますが、回答がありません。受注業者に確認した結果はどうだったんですか。

○河野国務大臣 今回、コーン貫入試験を実施した地点のデータの取得については、土の強度の測定ではなく、地層構成の把握を行うことを目的としております。
 その上で、報告書本編に記載されている日本企業がコーン貫入試験の結果から推定した非剪断強さについては、受注者を通じて確認したところ、当該企業が地層構成の判別の際の参考として使用したもの、また、三軸圧縮試験等の信頼できる方法により別途実測した非排水剪断強さとの比較を行うことなく、一定の係数を仮定した上で仮に推定した換算値であり、その絶対値に意味はないとのことでした。
 具体的なコーン係数を求められておりますが、現在、受注者を通じて確認中であり、現時点においてお答えすることは困難です。

○西銘委員長 赤嶺政賢君、時間です。

○赤嶺委員 終わりますけれども、防衛省の主張ばかり聞かされても、こっちはたまらないんですよ。業者が使った、コーン貫入試験における設定した係数……

○西銘委員長 時間です。

○赤嶺委員 これによっていろんなことがはっきりしてまいります。
 速やかに提出するよう強く求めて、質問を終わります。

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