国会質問

質問日:2020年 3月 12日  第201国会  その他

自衛隊 PFOS4度使用 「毒性」指定後も 赤嶺氏に答弁書

 

 政府は24日、人体に有害な有機フッ素化合物PFOSの陸海空自衛隊の駐屯地・基地ごとの具体的な保管量を明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問主意書(12日)への答弁。

 答弁書は、昨年9月末時点でPFOSを含む消火薬剤などを国内の92の駐屯地・基地で計39万3710リットル保管していると説明。防衛省は2023年度末までに処分する計画です。答弁書によると、PFOSが化学物質審査規制法上の第1種特定化学物質に指定され、製造・使用が原則禁止された10年4月以降、4度にわたり消火作業・訓練を目的に自衛隊が使用したとしています。

 答弁書は、18年4月に陸自が東富士演習場(静岡県)での消火訓練後に、法令上義務付けられているPFOSを含む泡消火薬剤の回収・保管を行っていなかったと明らかにし、「本事案が発生した原因、当該泡消火薬剤の環境に与える影響や回収の可能性等について調査を進めている」としています。

 赤嶺氏は質問主意書で、在日米軍のPFOS含有消火薬剤などの保有状況や処理計画が明らかにされていないと指摘し、米軍自身が行った調査結果も含め公表するよう米側に強く働きかけるべきだと要求。答弁書は「現時点でお答えすることは差し控えたい」としつつ、「日米間で包括的な検討を行っており、結果を随時説明する」としています。(しんぶん赤旗 2020年3月25日 一部訂正)

議事録

令和二年三月十二日提出
質問第一一三号

防衛省におけるPFOS処理実行計画等に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢

 河野太郎防衛大臣は二〇二〇年二月七日の記者会見で、「防衛省におけるPFOS処理実行計画」(以下「計画」)を策定したことを明らかにした。これによると、有機フッ素化合物(以下「PFAS」)の一つで、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下「化審法」)により、製造・輸入・使用等が原則として禁止されているPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)を含む消火薬剤等を同省において約三十九万四千リットル保有し、施設等は二〇二一年度末、艦船は二〇二三年度末までにこれらの交換・処分を完了させるとしている。防衛省・自衛隊におけるPFOS含有消火薬剤等の保有状況と処理計画が示されたのは初めてのことである。
 また、厚生労働省、環境省においては、これまで定められていなかった水質管理上の目標値の設定に向けた検討が進められている。
 一方で、在日米軍におけるPFOS含有消火薬剤等の保有状況と処理計画は明らかにされておらず、沖縄県が再三求めてきた基地内への立ち入り調査も未だ実現していない。この際、政府は最近の新たな取り組みを契機として、在日米軍におけるPFOSの保有状況と処理計画の公表、沖縄県による立ち入り調査の実現を米側に強く働きかけるべきである。全国知事会が提言しているように、日米地位協定を抜本的に見直し、自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障を明記すべきである。
 以下、質問する。

一 計画公表後の二月二十六日、防衛省より、陸上自衛隊中央特殊武器防護隊の消火訓練において、法令上義務付けられた訓練後のPFOS含有泡消火薬剤の回収・保管を行っていなかった事案が判明したこと、これに伴い、防衛省におけるPFOS含有消火薬剤等の保有量についても訂正が必要である旨の説明を受けた。当該事案の概要と原因、汚染状況の調査と回収、再発防止策を明らかにされたい。また、防衛省・自衛隊が保有するPFOS含有消火薬剤等の総量と内訳(陸海空及び各駐屯地・基地ごと)について把握しているところを具体的に明らかにされたい。PFOS含有消火薬剤等の「等」とは、具体的に何を指すかも併せて示されたい。
二 PFOSを第一種特定化学物質に指定した改正化審法施行令が施行(二〇一〇年四月)される前年の二〇〇九年度以降の防衛省におけるPFOS含有消火薬剤等の総保有量、交換・処分量、交換・処分のために計上した予算額の推移を年度ごとに示されたい。また、PFOS含有消火薬剤等の総保有量の全消火薬剤等に占める割合について把握しているところを年度ごとに示されたい。
三 河野大臣は記者会見でPFOS含有消火薬剤等について「これまでも適切に管理、処理して」きたと述べているが、その具体的な管理・処理方法を示されたい。交換・処分に長期間を要している理由を明らかにされたい。
四 二〇一〇年四月以降の防衛省・自衛隊におけるPFOS含有消火薬剤等の使用履歴(日時、場所、部隊、量、目的・理由等)及び法令に則した回収・保管が行われていたかの事実関係、それに対する政府の認識を明らかにされたい。
五 計画は、これまで使用期限の過ぎたPFOS含有消火薬剤等を逐次交換してきたとしている。代替製品の概要を使用されている具体的なPFASの種類を含めて示した上で、それらが環境に与える影響についての政府の認識を明らかにされたい。今後、計画に基づいて交換に用いる代替製品についても同様に示されたい。
六 計画をふまえ予算化した交換・処分の具体的内容を明らかにされたい(駐屯地・基地、量、予算額等)。計画公表前に既に予算化したものがあれば、それも併せて明らかにされたい。計画の完了に要する総費用をどの程度と見積もっているかを明らかにされたい。
七 厚生労働省は、水道水の暫定目標値として米国の環境保護庁(EPA)等の有害性評価を採用し、PFOS及びPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の合算値で五十ナノグラム/リットルとする方針を公表している(二〇一九年度第二回水質基準逐次改正検討会)。環境省も同様の考え方を示している(第二回有機フッ素化合物の評価等に関する検討会)。同庁は生涯健康勧告値を七十ナノグラム/リットルと設定しているが、同国の保健福祉省毒物疾病登録局(ATSDR)や州単位では、日本政府の示す水道水の暫定目標値五十ナノグラム/リットルよりも厳しい基準を設けている事例がある(カルフォルニア州、ニュージャージー州はいずれもPFOSを十三ナノグラム/リットル、PFOAを十四ナノグラム/リットルと設定)。また、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)をはじめとする他のPFASとの合算値で目標値を設定している国もある。これらの点については、どのような検討を行ったのか。
八 政府の暫定目標値案については、専門家や沖縄県内の市民団体などから、高すぎるとして懸念の声が上がっている。目標値の決定に当たっては、こうした意見について十分な検討を行い、その過程と結果を明らかにすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
九 在日米軍が保有するPFOS含有消火薬剤等の総量と内訳(陸海空海兵隊、及び各基地ごと)及び二〇一〇年四月以降の在日米軍におけるPFOS含有消火薬剤等の使用履歴(日時、場所、部隊、量、目的・理由等)、これまで米軍自身が行った在日米軍基地におけるPFASの調査結果を公表するよう米側に強く働きかけるべきだと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。また、それらについて政府の把握しているところを明らかにされたい。
十 政府は二〇一八年十二月三日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会において、米軍嘉手納飛行場に「PFOSを含む消火システムが稼働している施設が一つ残っている」と答弁しているが、どのような代替製品に置き換え(使用されているPFASの種類を含む)、いつまでに処分・交換を終えるのか。嘉手納飛行場も含めた在日米軍基地におけるPFOSを含む消火システムと消火薬剤等の交換状況(各基地ごと)を公表するよう米側に強く働きかけるべきだと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。また、その交換状況について政府の把握しているところを明らかにされたい。

 右質問する。

 

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参考資料

防衛省におけるPFOS処理実行計画等に関する質問主意書

防衛省におけるPFOS処理実行計画等に関する質問主意書に対する政府答弁書

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