国会質問

質問日:2019年 11月 27日  第200国会  沖縄北方特別委員会

沖縄の思い最優先 赤嶺氏 首里城再建で求める

 

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は11月27日の衆院沖縄北方特別委員会で、10月に火災で焼失した首里城の再建について、県民の思いを最優先にして取り組むことなどを求めました。

 赤嶺氏は、首里城が唯一無二の建築的な価値を持ち、琉球文化の象徴として「沖縄の人の心のよりどころになってきた」と指摘。沖縄戦で焼失した首里城の復元(1992年)は「戦争で灰燼(かいじん)に帰した沖縄の発展を願うシンボルだった」などの県民の声を紹介しました。

 赤嶺氏は「再建事業は、歴史的意味や県民の気持ちに政府が敬意を払い、県民の思いを最優先にして取り組むべきだ」と主張。衛藤晟一沖縄北方担当相は「県や地元の人々の意見をうかがいながら、全力で取り組む」と応じました。

 赤嶺氏はさらに「92年の復元以降に分かった新しい知見を踏まえた再建計画にすべきだ」と主張しました。衛藤氏は、有識者から同様の意見を受けたと述べ「指摘の重みをしっかり受け止め検討する」と答えました。

 再建にあわせて中城御殿や円覚寺、御茶屋御殿など周辺の史跡整備を求める声が上がっていることについて、衛藤氏は「県や市から要望があれば、できるだけのことをしたい」と答弁しました。(しんぶん赤旗 2019年12月3日)

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首里城の再建、沖縄振興予算について質問(衆院沖縄北方特別委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 最初に、首里城の問題について伺っていきます。
 十月三十一日の未明、首里城が炎に包まれ、正殿、南殿、北殿を始めとする七棟の建物が全焼し、さらに、その中にあった琉球王国にまつわる文化財の多くを焼失するという惨事が起こりました。
 首里城の再建にどのように向き合うべきか。私は、琉球王朝の歴史に詳しい専門家のお話も伺ってきました。そういうことも踏まえて、きょう、幾つかの提案も含めて質問を行いたいと思います。
 首里城は、日本的な建築と中国の建築が融合し、沖縄的な要素が加わっている、木造建築物としては世界で唯一無二のお城だ、このように専門家は評価しております。地元紙にも載っておりました。建物だけでなくて、それに加えて、今日に伝わる踊りや衣装、料理、工芸品などは、その多くが首里城から生み出され、琉球文化の象徴となっており、沖縄の人の心のよりどころになってきました。かけがえのない大切な遺産を失った喪失感は県民に共通であります。
 首里城の正殿や城郭は、去った沖縄戦で米軍の砲火を浴び、焼失いたしました。首里城の地下に日本軍の司令部ごうがつくられており、これが米軍の標的になったのであります。
 沖縄戦から四十七年ごろ、一九九二年に首里城は復元をされました。沖縄戦を体験した県民は、首里城の復元は、戦争で灰じんに帰した沖縄の発展を願うシンボルだった。首里城が傷つくのをこれほどに県民が悲しむのは、沖縄の苦難を背負ってきた存在と感じているかもしれない。こう、戦争の体験者の方々は異口同音に語るわけです。
 これから取り組む首里城の再建事業は、この歴史的な意味や県民の気持ちに政府が敬意を払い、県民の思いを最優先して取り組むべきだと考えますが、大臣はどのように認識しておられますか。

○衛藤国務大臣 首里城は沖縄にとって極めて重要なシンボルでありまして、今お話しございましたように、まさに、琉球王朝が始まってから、首里に人が置かれ、そしてその中で頑張ってきた。その間に三度ほど焼失しましたが、そのたびごとに再建をしながら来たところでございまして、そういう意味では、まさに沖縄の文化、歴史、伝統を凝集したものだというぐあいに思っています。
 それだけに私どもも、その心のよりどころでもあるというぐあいに認識いたしておりますので、再建に向けて頑張ってまいりたいというように思っております。
 私も十一月の四日に首里城に行かせていただきました。そして、そのときに首里城周辺のいろいろなものもまた見せていただくということをやりまして、改めまして私自身も、沖縄のいわゆる石器時代ぐらいからの歴史とか、それから、琉球王朝が始まったころとか、また、第二次大戦にかかわるところとか、あるいは返還にかかわるところですとか、いろいろな形でちょっと今勉強して、いろいろな方々に教えていただいているところでございます。
 そういう中で、私も一刻も早くこの再建に対して取り組むということを申し上げましたが、総理はもっと明確な形で、関係閣僚会議で総理から、一日も早く復元できるよう、沖縄県や地元の方々の御意見を伺いながら、政府として責任を持って全力で取り組みたいと考えておりますということをおっしゃいました。
 私どももその方向で懸命に努力させていただきたいというように思っております。

○赤嶺委員 県民のそういうたどってきた、まあ琉球王朝文化もありますが、戦後復興のシンボルという歴史的な思い、そういう感情を政府が敬意を払うということが、この再建事業に当たって極めて大事だと思います。
 それで、再建に当たってなんですが、九二年の復元時の実績に基づいて取り組むから、八〇年代復元に取り組んだときよりは早くできるだろうといういろいろな意見が出ているわけです。
 確かに資料も残っておりますが、復元以降、復元時の後の発掘調査や専門家の研究によってわかった新しい事実も出てきているわけです。これらの新しい知見も踏まえた再建計画にすべきだと私は考えますけれども、大臣はいかがでしょうか。

○衛藤国務大臣 一昨日二十五日に開催されました関係閣僚会議の幹事会、まずは関係閣僚が集まりまして、関係閣僚会議を受けてこの幹事会を催したところでございます。
 前回の復元に携わられました有識者、例えば高良倉吉琉球大学名誉教授とか、いろいろな方々からもお話をお聞かせいただき、前回の復元以降に確認された資料の新たな知見も反映していくことが重要であるとの御指摘もいただいているところでございまして、その委員の発言の重みをしっかり受けとめて、御意見をお聞かせいただきながら検討してまいりたいというように思っております。

○赤嶺委員 私も高良倉吉先生の研究実績もよく知っておりますが、先生に限らず、専門家やいろいろな研究者は同じようなことをおっしゃいますので、前の資料に基づいてやればいいということにとどまらず、新しい知見も取り入れた再建計画をつくっていく。
 再建に当たってもう一つ大事なことがあると思うんですが、正殿や南殿や北殿の整備にとどまらず、首里城周辺の関連施設の整備もあわせて行って、沖縄の歴史や文化の薫り豊かな整備が必要だと考えます。
 首里城の周辺には、第二尚氏王統の菩提寺である円覚寺、それから、国王の世継ぎの屋敷である中城御殿や琉球王府の迎賓館に当たる御茶屋御殿など、これも未整備のままであり、これらの史跡も整備すべきという、専門家や地元住民は強い要求を出してまいりました。その要求を出している人々が首里城の再建を支えていく人々でもあります。
 お隣に宮腰元沖縄担当大臣がいらっしゃいますが、御茶屋御殿の話も円覚寺の話も中城御殿の話もよく御存じだと思います。
 これらの史跡再建事業の中で、周辺の関連施設の整備も展望した大きな計画、これも取り入れた計画を展望すべきだと思いますが、いかがですか。

○衛藤国務大臣 委員御指摘の首里城周辺の施設、中城御殿や円覚寺、あるいは御茶屋御殿等を始めとする関連の施設につきまして、先日、地元の那覇の市議会からも大変強い要望をいただいたところでございます。
 これらの再建に向けて、当然、これらのところはほとんどが、今は国有地になっている国営公園以外の県有地になっているところが非常に多くございまして、中城御殿の方は県の都市公園として事業化を今しておるところでございますが、現在、文化財の発掘調査を行っているところでございます。
 また、円覚寺につきましても、これは県営の首里城公園の一角にありまして、県の所有になっているところでございまして、沖縄県で、戦災で焼失した三門の再建等について検討中というぐあいにお聞きをいたしております。
 また、御茶屋御殿につきましては、現在、これは民地になっていまして、カトリック教会、幼稚園となっておりまして、これはやはり、県、市、それから沖縄総合事務局と一緒に検討していかなきゃいけないと思っていまして、沖縄の県や市とか、そういうところからのいろいろな要望があれば、その要望を受けとめて、我々としては、できるだけのことはさせていただけることができればというふうに思っております。

○赤嶺委員 土地が、正殿のように国有地に、まあ、国有地になった経過もあるんですよ、それをいろいろ言うとちょっとまた質問の趣旨から外れていきますけれども。
 それから、県有地であっても、そういう県の計画、県民は、これは県がやるべきことだ、これは国がやるべきことだと言って首里城について何でこんな区別するんだという話になるわけですよ。やはり首里城というのは、一体的に周辺の尚家のいろいろなものも、中城御殿、円覚寺、御茶屋御殿ですね、あわせて整備計画もつくっていく。その際、任務、役割分担をしていけばいいわけですから、それもぜひ県と協力して、県にかかわっている専門家も、正殿にかかわる専門家も大体同じ人たちなんですよ。そういう点でぜひお願いしたい。
 それから、昨年度の首里城公園の入園者数は二百八十一万人でした。ことしも九月までに約百三十万人、去年の数字から比較するとこれからがピークなのかなということを思いますが、モノレール駅もあり、首里城周辺というのは観光客で大変にぎわっています。米軍の占領統治下の時代は琉球大学の学生の町でしたが、今や本当に全国から観光客や修学旅行生が来る町になっておりますが、重要な観光資源を失って、地域の商店街、観光関連施設への影響も懸念をされています。これらの影響を最小限に抑えるための緊急対策を急がなければいけないと思います。
 また、多数の学芸員を擁して実際上首里城公園を支えてきた美ら島財団の雇用の維持も重要だと考えますが、この点についても大臣の受けとめを聞かせてください。

○衛藤国務大臣 観光資源の問題につきましては、先ほどとかしき先生にお答えしましたとおり、できるだけやはり、周りの業者さんもありますので、減らないように、何としてでも、いろいろな意味での、あの首里城の観光資源をもう一回発掘してでも、あるいはそのプロセスを見てもらうとか、いろいろな形でやっても減らないような形で今検討をしているところでございまして、これは県とも十分に議論を進めながらさせていただきたいと思っています。
 それから、美ら島財団の件につきましては、先般、県議会において財団から、被災された場所で働いていたのは八十数名でした、そして、県営エリア内に配置転換して雇用の継続をしていく旨の発言がなされたというぐあいに承知をいたしております。
 この雇用についても、そういう形で県の財団である美ら島財団は雇用継続をやりたいということが発言されておりますので、それを我々は見守ってまいりたいというふうに思っております。
 観光につきましては今申し上げたところでございます。

○赤嶺委員 次に、沖縄振興予算について伺います。
 先ほど、屋良議員のお話にもありました。私の出した資料と屋良議員の出された資料は、大体同じ性質の資料であります。期せずして、同じ問題意識、同じテーマをお持ちだったということを、先ほどの質問を聞きながら感じました。事ほどさように、今、政府の沖縄政策がゆがんでいる方向に行きつつあるんじゃないかという懸念と危惧を私は持っております。
 まず、沖縄北方大臣に、沖縄振興に関する基本認識、これについて確認をさせていただきます。
 現在の沖縄振興特別措置法、これを策定するときは、私もその国会の議論に加わりました。そのときの一番大きな変化は、法律の目的に沖縄の自主性の尊重を掲げたことであります。沖縄振興計画の策定主体を国から県に移しました。そのもとで、沖縄振興に資する事業、これは、県が自主的な選択に基づいて実施できる一括交付金制度を導入をいたしました。
 沖縄の自主性を最大限尊重するところに現行法の最大の眼目があると思いますが、大臣はどのように認識しておられますか。

○衛藤国務大臣 一括交付金につきましては、沖縄振興に資する事業を地元が自主的な選択に基づいて実施できることに加え、それが高率補助であることから、他の県にはない仕組みであるというぐあいに認識をいたしております。
 そういう意味において、沖縄県や市町村において、事業内容を精査し、一括交付金がより的確かつ効率的、効果的に活用されるように努めてまいりたいというぐあいに思っております。
 今先生からいただいたこの資料でございますが、今年度は、そういう意味では三千十億になっています。そのうち、一括交付金が千九十三億。それから、地方向けの更に補助金であるところの投資補助金や経常補助金等百二十八億で、六百二十三億です。そのうち、特別推進費として三十億、ことしはつけたところでございます。
 これも、我々も市町村からのいろいろな御意見をお聞かせいただいていますので、そこのところも尊重してまいりたいというぐあいに思っております。

○赤嶺委員 先ほどから、特別推進費について屋良議員に対する答弁も、言いわけ、弁解、沖縄に対する無理解、大臣に至っては、自分も各地を回って市町村長の意見を聞いてきた、だから特別推進交付金をつくるんだというぐあいに、これは全く沖縄の振興のあり方について、もう私、理性を失っていると思います、今のような答弁が続くのであれば。
 資料に出したものも見ていただきたいんですが、沖縄の自主性を尊重するところに現行法の最大の眼目があるにもかかわらず、実態は、私が伺いたいところは、一括交付金や補助金などの地方向けの予算がどんどん減らされていることです。
 資料でも出ておりますが、二〇一二年度には振興予算全体に占める割合は七一・五%ありました。これは、一括交付金プラス地方への補助金も含めてです。今年度は五七%に激減し、その分、国直轄の予算がふえています。その中には特別推進交付金といった正体のわからないようなものも入っているわけです。
 一括交付金は三年連続で大幅に減額され、今、市町村からは悲鳴の声が上がっています。
 大臣、今度、玉城デニー知事と市長会の会長と町村会の会長が大臣のところにも予算要求でいらしたと思います。そのときに三者がそろって、概算要求の総額を全部獲得していただきたい、同時に一括交付金をふやしていただきたいということを、知事、市長会長、町村会長がそろってやってきたんですよ。つまみ食い的に大臣がどこかの市町村長の意見を聞いたという話とは重みが違いますよ。全然重みが違うんですよ。本当に、一括交付金が減らされて悲鳴が上がっている。
 こうした中で沖縄県は、来年度予算の概算要求に当たって一千八百億円規模の一括交付金を確保することを求めていました。ところが政府は、内閣府はこれに応えないで、千百八十億円の要求にとどめました。その一方で、公共事業関連費は昨年度と同額を要求しています。
 これまで毎年三百三十億円を計上してきた那覇空港の第二滑走路建設事業は今年度で基本的に終了します。来年度はその分を一括交付金に回すこともできたはずであります。なぜそれをやっていないんですか。これでは沖縄の自主性を尊重したことにはならないんじゃないですか。いかがですか。
 大臣ですよ。後ろから何やっているの、あなた。大臣が今立とうとしているのに。

○衛藤国務大臣 私どもは、そういう状況の中で必要な額をぜひ確保したいということで懸命に頑張っております。そういう積み上げた数字、そして、そういう中で必要と思えるものをやる。そしてまた、それが今度は国の機構の中で、要求したものが査定に遭うわけですから、できるだけ私どもは、要求した分について頑張ってまいりたいというぐあいに思っております。

○赤嶺委員 政府が必要だと認識した額、これでは圧倒的に少ないということを、知事や市長会や町村会長がそろって要望に来ているわけです。
 一括交付金はピーク時から八百億円近くも減らされています。だから、さまざまな事業に支障が出て、県はそのために増額を要求、要望したのであります。
 来年度は第二滑走路の予算は必要がなくなるわけです。ですから、その分を一括交付金に回すこともできたはずです。そのことを聞いているんですよ。政府が必要な額を一括交付金に入れたと。これでは足りないと言っている。我々の目から見ても第二滑走路の事業は終わりじゃないか。三百億円、何で公共事業費は今までと同じ額で、そして一括交付金はその減った状態を改善しないの。三百億円を回せるんじゃないですか。いかがですか。

○衛藤国務大臣 令和二年度の沖縄振興予算の概算要求につきましては、現行の沖縄振興計画期間、二十四年から令和三年度中は何とか毎年三千億円台を確保したいという旨の総理の発言が平成二十五年の十二月にございました。そういう中で、我々も何としてもこういう前提は守っていきたいと思っています。
 そして、公共事業に対する考え方もありますので、今まで、沖縄振興に関しまして、とりわけやはり、これは高良先生か誰かが書かれていましたが、沖縄の復帰が本土に比べて二十年おくれました。ちょうどこの期間が、日本のこの本土は高度経済成長の時代でした。そういう中でやはり沖縄の社会基盤整備がおくれてきたということで、今まで、これを取り戻すために懸命に頑張ってきた。そういう意味では、社会基盤整備も入れて頑張ってきた。
 そして、この十年ぐらいの間ですが、それだけじゃなくて、ソフト面にも力を入れながら全体の振興について一緒に考えていかなきゃいけないんじゃないのかというところで頑張ってきたところでございまして、私どもも、改めましてそういう視点に立って、全体について、沖縄について必要な額はとにかく何とか確保したいということで、内閣府を挙げて頑張っているところでございます。

○赤嶺委員 何をおっしゃっているかちょっと意味はわかりませんが、一括交付金を皆さんが八百億円も減らしてきた。これで、例えば八重山農林高校、開邦高校といった学校の校舎、老朽ですよ。三千七百点という、文科省の基準の四千五百点以下は老朽ですから。これも直せないでいる。国道は立派になったけれども、一括交付金が減らされるので、県道や市町村道が狭いままでいる。これでは生活の利便性も高まりませんよ。
 今度の予算の概算要求を出した後とはいえ、一括交付金をふやすための努力をするということをぜひやっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。

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参考資料

沖縄振興予算の推移

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