国会質問

質問日:2019年 11月 28日  第200国会  憲法審査会

安保体系 憲法と矛盾 衆院憲法審 赤嶺氏実態を指摘

 

 衆院憲法審査会は28日、前回(14日)と前々回(7日)に続き欧州視察報告を受けた討論を行いました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は「日本国憲法の体系と矛盾する日米安保条約とその法体系について目を向ける必要がある」と発言し、日米安保条約の下で沖縄はじめ全国で米軍による事件・事故によって基本的人権が蹂躙(じゅうりん)されている実態を指摘しました。

 赤嶺氏は相次ぐ米軍機の墜落や炎上に対し、日本側が機体の調査・検証もできず、「原因究明も再発防止策もできないまま訓練が再開されている」と指摘。岩国基地所属の空中給油機の墜落事故調査報告書で国内法で禁止されている飲酒や薬物を服用しての操縦が明らかになったことについて「日米安保の下で、航空法をはじめ憲法に基づく国内法はことごとく米軍への適用を除外されている」と批判しました。

 赤嶺氏はさらに「重大なのは、米軍の配備、訓練、運用の実態が国民に隠されていることだ」と述べ、日米地位協定の解釈や米軍の運用を協議する日米合同委員会の合意や議事録が公表されず、国民の知る権利を踏みにじっていると批判。そのもとで米軍訓練空域の拡大や危険な飛行訓練が行われていると指摘し、日米安保に関する密約を全て明らかにし、「憲法の上に安保体系がある現実を根本からただすべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2019年11月29日)

 

質問の映像へのリンク

安保体系 憲法と矛盾(衆院憲法審査会)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 視察報告では、憲法の体系を崩さないよう十分注意をすべきだとの発言があり、前回の審査会でも議論になりました。私は、日本国憲法の体系と矛盾する日米安保条約とその法体系について、改めて目を向ける必要があると思います。
 まず指摘したいのは、米軍が引き起こす事件、事故によって基本的人権が脅かされていることです。
 沖縄県では、米兵による婦女暴行事件や強盗殺人、実弾射撃訓練による原野火災など、基地あるがゆえの苦しみが続いています。米軍機は毎年のように墜落や炎上、部品落下を繰り返していますが、日本の警察は機体の調査、検証もできず、事故現場への早急な立入りさえできません。原因究明も再発防止策も明らかにされないまま、訓練が再開されています。米軍は、土壌や水質汚染も何度も引き起こしてきました。今も基地由来の有害物質が河川から検出されていますが、沖縄県は基地内に立ち入って調査することもできないのです。
 沖縄だけではありません。青森県三沢では、民間の牧草地に米軍機が模擬爆弾を落下させました。横田基地に配備されたオスプレイは、銃口を住民に向けたまま低空飛行訓練を行っています。
 岩国基地の空中給油機は、全国各地で接触事故や墜落事故を繰り返しています。その事故調査報告書で、米軍パイロットの飲酒や薬物を服用しての操縦や、操縦中の読書や自撮りといった実態が明らかになりました。国内法では明らかな違反であり、操縦する資格などあるはずがありません。ところが、日米安保のもとで、航空法を始め憲法に基づく国内法は、ことごとく米軍への適用を除外されています。まさに主権は侵害され、基本的人権もじゅうりんされているのが実態です。
 重大なのは、米軍の配備、訓練、運用の実態が国民に隠されていることです。日米安保体制は、一九五一年九月八日、サンフランシスコ講和条約を締結した裏側で、事前に国民に知らされることなく秘密裏に調印されました。日本側は、吉田茂首席全権のみでした。米軍の駐留のあり方について定めた日米行政協定は国会で一切審議されることなく取り決められ、日米地位協定もその内容をそのまま引き継いでいます。そのもとで、全土基地方式、基地の自由使用、日本側の裁判権の放棄など、米軍の特権が維持されてきたのです。
 日米地位協定の解釈や米軍の運用について協議する日米合同委員会は、全くの密室の中で行われます。合同委員会での合意事項は数千によると言われていますが、外務省がホームページで公表しているのはわずか六十余りにすぎません。その議事録は一切明らかにされず、国民は、何が議論されているのかさえわかりません。
 その合同委員会によって横田ラプコンの設定や米軍訓練空域の拡大などが決められ、米軍は、危険な低空飛行や戦闘飛行訓練、パラシュート降下訓練を行っているのです。住民は、いつどのような訓練を行うのかも知らされず、米軍が重大な事故を起こしても、地方自治体や住民には十分な通報さえないのであります。
 米軍の運用に係る取決めを隠し続けることは、国民の知る権利を踏みにじることにほかなりません。政府は、日米安保にかかわる密約を全て明らかにすべきです。憲法の上に安保条約がある現実を根本から正すべきだということを申し上げて、発言を終わります。

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