国会質問

質問日:2018年 11月 2日  第197国会  予算委員会

辺野古工事再開やめよ 決定撤回し県と協議を 赤嶺氏 安倍首相に迫る 衆院予算委

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は2日の衆院予算委員会で、翁長雄志前知事の遺志を継ぎ辺野古新基地建設反対と普天間基地の閉鎖・撤去を訴えた「オール沖縄」の玉城デニー氏が過去最多得票を獲得して当選した沖縄県知事選などで民意は明確に示されたとして、「(沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回に対し、石井啓一国土交通相が行った)執行停止決定を撤回し、玉城知事と率直な話し合いを行うべきだ」と強調しました。

 赤嶺氏は、政府が玉城知事の求めた話し合いに応じず、行政不服審査制度を使って、県の埋め立て承認撤回の効力を停止し、工事を再開したことを厳しく批判。「『県民の気持ちに寄り添う』と言いながら、県民の民意を一顧だにしない安倍政権の強権姿勢は断じて容認できない」と指摘し、辺野古の問題について国と県の話し合いの場を設けるよう要求しました。

 また、赤嶺氏は、沖縄防衛局が国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を使って執行停止を申し立て、国土交通省がこれを認める決定を下したことについて、「法治主義の観点からも極めて問題だ」と指摘しました。安倍晋三首相は「関係法令にのっとり、執行停止の決定が行われた」というだけで、まともに答えられませんでした。

 赤嶺氏は、国の機関である沖縄防衛局が、米軍基地建設という国の事業で行政不服審査制度を使うことに、専門家からも厳しい批判の声が上がっていることを指摘。さらに、辺野古の新基地建設を進める閣議決定に拘束された国交相に中立公正な審査はできないとして、「執行停止決定はただちに撤回すべきだ」と主張しました。

 

首相「普天間停止難しい」 「2019年2月が期限」約束ほご

 安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、自ら約束した米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「5年以内の運用停止」について、沖縄県の埋め立て承認撤回を理由に「実現することは難しい状況になっている」と述べました。日本共産党の赤嶺政賢議員への答弁です。

 安倍首相は2013年、沖縄県の仲井真弘多知事(当時)に普天間基地の5年以内の運用停止を確約。政府は、運用停止期限を「2019年2月」と説明してきており、目前に迫っていました。

 安倍首相は「沖縄県が埋め立て承認を取り消し、さらには埋め立て承認を撤回するなど、根本的な部分で仲井真元知事と認識を共有した当時と大きく変化している」などとして、県に責任を転嫁しました。

 赤嶺氏は、安倍首相自身、普天間基地の危険性除去は「一刻の猶予もない」と述べていたことをあげ、政治の責任で直ちに運用停止すべきだと追及しました。

 

論戦ハイライト

安倍政権に民主主義と沖縄の自治を否定する権利はない 衆院予算委 赤嶺議員が追及

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対の意思を示した県民と、国との対話を求めた玉城デニー知事の思いを安倍政権は拒み、県の辺野古埋め立て承認撤回の効力停止を決定し、工事を再開しました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は2日の衆院予算委員会で、「総理には、憲法に保障された民主主義と地方自治を否定する権利はない」と糾弾しました。

 

辺野古新基地

法のねじ曲げと批判 「国家権力が国民の権利を押しつぶす」

 沖縄防衛局が「国民の権利利益の救済」を目的とする行政不服審査法を使い、県の埋め立て承認撤回の効力停止を申し立て、石井啓一国交相が認めたことについて、安倍首相は「法治国家として法律に基づき必要な手続きが行われた」と正当化しています。

 

 

 赤嶺 安倍政権は「県民の気持ちに寄り添う」といいながら民意を無視し、法解釈をねじ曲げ、基地建設を強行した。玉城知事との話し合いに応じるべきだ。

 首相 政府と沖縄県との間では協議の枠組みがある。基地負担軽減の政府の取り組みについて地元に丁寧に説明していく。

 赤嶺 工事を再開しながら話し合うというのは、話し合いではない。執行停止決定の撤回を強く求める。

 赤嶺氏は、行政法研究者110人が政府の対応について「行政不服審査制度を濫用するもので、法治国家に悖(もと)るものと言わざるを得ない」と却下を求めた声明を紹介し、首相に認識を問いました。

 首相 意見は学術界での議論でありコメントはしない。

 赤嶺 極めて不誠実な姿勢だ。国民の権利を守る制度を国家権力が国民の権利を押しつぶすために使うのは絶対に許されない。

 赤嶺氏は、国交相が効力停止を決めた背景に「普天間飛行場(基地)のキャンプ・シュワブへの移設」を明記した2006年の閣議決定があると強調。「内閣には対外的な一体性・統一性が求められ同決定に拘束される立場にある」と指摘したのに対し、石井国交相は「内閣の方針には従うが、双方(県と沖縄防衛局)の意見を聞いて判断した」と強弁しました。

 赤嶺 辺野古の基地建設を進める閣議決定に拘束される国交相が、沖縄防衛局の申し立てを認めるのは最初から分かりきったことだ。

 首相 国交相は関係法令にのっとって判断した。

 同じ答弁を繰り返す首相に対し、赤嶺氏は、石井国交相が執行停止決定の理由に、普天間の危険性除去と日米同盟への悪影響をあげていることを指摘。「政府の方針に沿って、同じ政府機関同士で、形だけの審査を装っただけだ。どうして中立公正と言えるのか」とただしました。

 玉城デニー知事は今回の政府措置について「内閣の内部における、自作自演の極めて不当な決定。審査庁として公平性・中立性を欠く判断がなされたことに強い怒りを禁じえない」と述べています。赤嶺氏は「この指摘を重く受け止め、執行停止は直ちに撤回すべきだ」と強く求めました。

 

普天間運用停止

一刻の猶予もならない 築城や新田原整備基地強化誇る首相

 日本政府は、米軍普天間基地の返還時期を新基地完成後の「2022年又はその後」とし、沖縄県に対しては仲井真弘多元知事に「19年2月」までに運用を停止すると約束していました。安倍首相は、新基地完成前でも普天間基地を運用停止する方針だったのです。

 赤嶺氏は「普天間基地の運用停止は一刻の猶予もならない問題だ」と強調。同基地所属のオスプレイやヘリの墜落事故、所属機の保育園・小学校への部品や窓の落下事故をあげ、「こうした現状をいつまで放置するのか。約束通り19年2月までに普天間基地を運用停止すべきだ」と迫りました。

 これに対して安倍首相は、辺野古の埋め立て承認を撤回するなど知事の態度が変わったことを理由にあげ、「5年以内の運用停止を実現することは難しい」と述べました。

 ただ、普天間基地の危険性と住民の苦しみは、日本政府自身が埋め立て承認撤回の執行停止申立書で強調していることです。

 赤嶺氏は、住民の命が危険にさらされるなかで、県知事の立場の変化を理由に「19年2月までの運用停止」に取り組まないことは許されないと批判。「いま必要なことは、政府が住民の安全を最優先にする立場に立つことだ」と強調しました。

 赤嶺 辺野古の問題とは切り離し、普天間基地の運用をただちに停止することを決断すべきだ。

 首相 一日も早く辺野古移設を行いたい。

 あくまで辺野古に固執する安倍首相。KC130空中給油機の岩国基地への移転につづき、緊急時の米軍機の受け入れ機能を「福岡県・築城基地や宮崎県・新田原基地に移すことを決定した」として、滑走路延長や弾薬庫設置などの整備を日米間で合意したことを誇りました。

 赤嶺氏は、普天間基地にはそもそも弾薬庫がないことを指摘し、「普天間にないものを築城や新田原につくろうとしている。米軍基地の強化だ」と批判しました。

 赤嶺氏は、翁長雄志前知事の県民葬で菅義偉官房長官が安倍首相の追悼の辞を代読した際、「県民の皆さんの気持ちに寄り添う」とのくだりに会場から批判や抗議の声が上がったことを紹介。「やっていることと言うことがあまりにも違いすぎる。県民の心を逆なでする言葉だ」と批判し、一方的に土地を奪われて基地を建設された基地問題の「原点」を学ぶべきだと訴えました。(しんぶん赤旗 2018年11月3日)

 

質問の映像へのリンク

民意無視の辺野古新基地建設強行は許されない(衆院予算委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 米軍普天間基地問題について質問をいたします。
 九月三十日、沖縄県知事選挙が行われました。翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、辺野古新基地建設反対と普天間基地の閉鎖、撤去を訴えたオール沖縄の玉城デニーさんが、過去最多得票を獲得し、八万票の大差で当選を果たしました。続く豊見城市長選挙、那覇市長選挙でも、オール沖縄の山川仁さん、城間幹子さんがそれぞれ当選をいたしました。県民の民意は明確に示されたわけであります。
 玉城知事は、十月十二日、安倍総理と会談し、今回の選挙で辺野古新基地建設を認められないという民意が改めて示された、新基地建設に反対する、このように伝え、早急に話合いの場を設けることを求めました。総理は、県民の気持ちに寄り添うと述べました。
 ところが、その五日後、政府は、沖縄県の埋立承認撤回の効力を停止するための法的措置に踏み切りました。事業者である沖縄防衛局長が、同じ政府内の国土交通大臣に対して、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申立てを行いました。国土交通大臣は三十日、執行停止を決定し、昨日、海上での作業が再開をされております。県民の気持ちに寄り添うと言いながら、県民の民意を一顧だにしない安倍政権の強権姿勢は断じて容認できません。
 総理に伺いますが、知事が求めた話合いになぜ応じなかったんですか。

○安倍内閣総理大臣 沖縄県の玉城知事とは、先日、十月の十二日にお目にかかり、就任のお祝いを申し上げるとともに、懇談をさせていただきました。
 また、政府と沖縄県との間では、普天間飛行場負担軽減推進会議や政府・沖縄県協議会という協議の枠組みがあります。政府としては、このような協議の枠組みを活用し、これからも、基地負担軽減のための政府の取組について、粘り強く丁寧に説明していきたいと考えています。
 他方、沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知をしております。これは、法治国家として、法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、尊重すべきものと考えています。
 今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでいく考えでございます。

○赤嶺委員 今の答弁、沖縄県と政府との間で話合いの枠組みがある、その枠組みとは普天間飛行場負担軽減推進会議だ、このような答弁でありました。私は、総理のこの無頓着さに怒りを覚えます。
 この普天間飛行場負担軽減推進会議というのは、現在の普天間基地の負担軽減を話し合う場であって、辺野古の問題を話し合う場ではありません。全部議事録を読みました。問われているのは、選挙結果を受けて、辺野古の問題を話し合う場を設けるかどうかであります。
 県民は、二〇一三年、当時の仲井真知事が県外移設の公約を裏切って辺野古の埋立申請を承認して以降、新基地建設反対の民意を何度も示してきました。安倍政権は、言葉では選挙結果を真摯に受けとめる、県民の気持ちに寄り添うと言いながら、民意を無視し、法解釈までねじ曲げ、新基地建設を強行してきました。沖縄振興予算までじりじり減らし、新基地建設の受入れを陰に陽に迫ってきました。
 こういう国のやり方にはっきりノーの審判を突きつけたのが、今回の選挙結果であります。そこには、こんな国のやり方には絶対に負けられない、そして、翁長知事の命がけの闘いを私たちが引き継ぐ、こういう県民一人一人の強い思いが込められた選挙結果であります。
 これほど明確な民意が示された以上、玉城知事との話合いに応じて辺野古にかわる新たな解決策を検討するのが当然ではありませんか。憲法に保障された民主主義と地方自治を否定する権利は総理にはありません。
 総理、今回の執行停止決定、これは再開の意味を持つものですが、再開につながる執行停止決定は直ちに撤回し、玉城知事との話合いのテーブルに着くべきだと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、普天間飛行場負担軽減推進会議だけではなくて、政府・沖縄県協議会という協議の枠組みもございますから、政府としては、このような協議の枠組みを活用して、これからも基地負担軽減のための政府の取組について粘り強く丁寧に説明していきたいと考えています。
 同時に、先ほども申し上げましたように、審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知をしております。これは、法治国家として、法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識をしており、尊重すべきものと考えております。

○赤嶺委員 辺野古の工事を再開しながら、話し合うなどというのは、これは話合いではないですよ、こんなのは。まず、工事の再開の執行停止、この執行停止決定を政府の側が撤回して、その上で辺野古の問題をどうするか、知事と率直な話合いを行うべきであります。そのことを強く求めたいと思います。玉城デニー知事は、沖縄でそのことを毎回毎回申し上げているところであります。
 法治国家というお話がありました。
 今回、行政不服審査制度を使って沖縄防衛局という国の機関が執行停止を申し立て、国土交通省がこれを認める決定を下したことは、これは法治主義の観点からも極めて重大な問題であります。
 総務大臣に伺いますが、行政不服審査制度とはそもそもどのような制度か、説明していただけますか。

○石田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 行政不服審査法は、行政庁の違法、不当な処分を受けた者の侵害された権利利益の救済を図るための制度を定めたものであります。第一条第一項では、こういった趣旨を簡潔に、「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」と規定をしております。
 具体的には、同法第二条におきまして、処分に不服のある者は、審査請求をすることができるとしており、国民に限らず法人や外国人、さらには国の機関等であっても、これらと同様の立場で、処分を受けた場合は広く審査請求が可能とされております。
 審査請求を受けた行政機関、この場合、今の場合は国土交通省は審査請求を行った者……(赤嶺委員「いい。ここは聞いていない」と呼ぶ)よろしいですか。それでは、以上でございます。

○赤嶺委員 今、総務大臣、極めて、従来の立場から踏み込んで、第一条の行政不服審査法の立法目的、これは国民の権利侵害を迅速簡易に救済する制度、これが法の目的ですよ。国でもできる、このように踏み込んでおっしゃいました。
 七条六項には何て書いてありますか、改正されて、そのまま読んでください。

○堀江政府参考人 七条何項でございましょうか。(発言する者あり)七条二項かと思いますので、七条二項を読み上げさせていただきます。
 「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。」
 以上でございます。

○赤嶺委員 国の機関はできないということを書いてあるわけですよ。それを総務大臣は、政府の立場に寄り添って、要らぬことまで、二条まで、二条というのは国土交通省の解釈ですからね。
 行政不服審査制度というのは、国や地方公共団体による違法、不当な処分によって国民の権利利益が侵害されたときに簡易迅速に救済を図ることを目的とした制度であります。弱い立場にある国民が不当に課税されたり、飲食店の営業許可を取り消されたり、あるいは公害病の認定を受けられない、保育園に入れないなどさまざまな不当、不利益を受けた場合に、お金や時間のかかる裁判に訴えなくても、国や地方公共団体に不服を申し立てることで迅速な救済を図るためのものであります。
 国の機関である沖縄防衛局が米軍基地建設という国の事業でこの制度を使うことに対して、これは専門家からも厳しい批判の声が上がっています。
 配付した資料をごらんいただきたいと思いますが、十月二十六日には、行政法の研究者百十名が声明を発表いたしました。
 そこでは、今回の政府の対応について、「国民のための権利救済制度である行政不服審査制度を濫用するものであり、法治国家に悖るものといわざるを得ない。」このように厳しく批判しております。執行停止申立てと審査請求を却下するよう強く求めております。
 三年前、翁長知事が埋立承認を取り消したときにも、政府は同じやり方で工事を再開しました。そのときにも研究者の方々は声明を出して、政府の対応を批判しました。今回はそのときよりも更に賛同者が広がっております。
 沖縄県内の大学教員の方々も、三十日、政府の対応を批判する声明を出しました。
 総理に伺います。
 総理は本会議の答弁で、法治国家として、法律に基づき必要な手続が行われた、尊重すべきものだ、このように述べられましたが、行政法の専門家などからこうした厳しい批判の声が上がっていること、この点はどのように受けとめておられますか。

○安倍内閣総理大臣 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知をしております。これは、法治国家として、法律に基づき必要な法的手続が行われたものと認識をしております。
 行政法学者の意見に関する御質問については、これは学術界での議論であり、コメントすることは差し控えたいと思います。

○赤嶺委員 もう、行政法の専門家からの批判を全く受けとめようとしない、聞く耳も持たない、極めてこれは不誠実な態度であります。
 国民の権利を守るための制度を国家権力が国民の権利を押し潰すために使うなどというのは、制度の趣旨を百八十度たがえるもので、絶対にこれは許されません。
 しかも、そもそも行政不服審査制度の大前提は、審査庁によって中立公正な審査が行われることであります。ところが、今回の審査庁である国土交通大臣は、沖縄防衛局長と同じ政府の一員であります。辺野古が唯一の解決策という政府の統一した方針を共有している立場であります。その国土交通大臣に中立公正な審査などできるはずがないではありませんか。
 総理、そう思われませんか。

○安倍内閣総理大臣 沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣たる国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知をしております。

○赤嶺委員 中立公正だという説明は総理でさえもできないようであります。法律に基づくものだと繰り返しておりますが、ちょっとパネルを見ていただきたいと思います。
 これは、辺野古にV字形の滑走路を建設する現在の計画を政府として決めたのは、二〇〇六年五月の閣議決定であります。これはそのときの閣議書の写しであります。なじみのない文面でありますが、閣議決定を行う場合は、毎回こうした閣議書を作成し、各大臣が花押と呼ばれる署名をしております。ここには、当時の小泉総理大臣を始め、当時内閣官房長官だった安倍総理、額賀防衛庁長官、そして北側国土交通大臣の署名もあります。
 国土交通大臣に伺いますが、辺野古の基地建設はこの閣議決定を基本に進められてきた事業です。当然、石井大臣もこの閣議決定に拘束される立場にあると思いますが、その点は確認できますね。

○石井国務大臣 私は、内閣の一員として、内閣の方針には従う立場であります。
 ただし、行政不服審査法につきましては、あくまで審査庁という立場から、処分を行った者、それに対して審査請求を行った者、双方の意見を聞いて、法律に基づいて、あくまでも審査庁として判断をするということであります。

○赤嶺委員 国土交通大臣は、当然、閣議決定の立場に立っている、しかし、審査庁たる国土交通省は公正な審議を行ったかのような発言でありましたが、まず一度、大臣の皆さん、国土交通省の決定した文書を読んでくださいよ。どこにも中立公正なんてものはないですよ。閣議決定の孫引きですよ。防衛省のコピペですよ。そんなのが、こういうものに縛られずに審査したという言い分が通るわけはないですよ。
 防衛大臣に伺います。防衛省として、今回の法的措置をとることを決めたときに、国土交通大臣が二〇〇六年の閣議決定に拘束される立場にあることは当然御存じでしたね。

○岩屋国務大臣 その閣議決定の存在を承知していたかという御質問ですか。(赤嶺委員「いやいや、国土交通大臣はその存在を知っていたかということを防衛大臣も知っていたんですねということです」と呼ぶ)いや、そういうことではなくて、私ども沖縄防衛局がこの場合事業者になるわけでございますが、先ほど総務大臣から御説明もあったように、行政不服審査法というのは、国や地方公共団体の機関であっても審査請求ができる、こういう判断のもとに、審査請求並びに執行停止の申立てをさせていただいたということでございます。

○赤嶺委員 その判断というのは、行政法学者の意見からいっても、もう破綻している、政府だけしか使っていない判断なんですよ。そこを聞いているんじゃないんです。
 今聞いたのは、防衛省として、今回の法的措置をとることを決めたとき、国土交通大臣が二〇〇六年の閣議決定に拘束される立場にあるということは、当然それは知っておりましたよね。

○岩屋国務大臣 先ほど国交大臣から御答弁もありましたように、今般は、国交大臣はまさに審査庁の立場として、私どもの審査請求、執行停止申立てに、法令にのっとって御判断をいただいたということだと思います。

○赤嶺委員 審査庁であることぐらい、私も知っていますよ。そんなことを聞いているんじゃないですよ。
 私は、改めて総理に伺いますが、辺野古の基地建設を進めるという閣議決定に拘束される国土交通大臣が沖縄防衛局長の執行停止申立てを認めることは、初めからこれは客観的に見てわかり切ったことですよ。中立公正な審査などできるはずがないことは明らかではありませんか。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 国土交通大臣においては、関係法令にのっとり判断をされたものと思います。

○赤嶺委員 私、さっき、国土交通大臣の決定の中身、一度全大臣読んでくださいということを申し上げましたけれども、石井大臣が執行停止の理由に挙げているのは、普天間の危険性除去や日米同盟への悪影響であります。こんなの、どうやって国土交通大臣が判断するんですか。これは政府の方針そのものではありませんか。政府の方針に沿って、同じ政府機関同士で形だけの審査を装っただけではありませんか。これでどうして中立公正、法治国家ということが言えるんですか、総理。

○石井国務大臣 まず、地方自治法上、法定受託事務に係る都道府県知事の処分であります埋立承認の撤回についての審査請求は、そもそも公有水面埋立法を所管する国土交通大臣に対して、これは、一般私人であれ、行政機関であれ、行うこととされております。
 先ほど固有の資格について指摘がございましたけれども、これは、行政不服審査法第二条において、審査請求をすることができる者については、「行政庁の処分に不服がある者」と規定をされております。すなわち、沖縄防衛局のような国の機関でありましても、ここで言う処分を受けた者と言える場合には、一般私人と同様の立場で処分を受けた者であって、固有の資格、すなわち一般私人が立ち得ないような立場で撤回を受けたものではないと認められることから、審査請求をすることができると解釈をされました。
 この点、平成二十八年の最高裁の判決におきましては、これは埋立承認の取消しについてですが、これが処分であることを踏まえた判断を行っておりまして、今回の埋立承認の撤回も、埋立てをなし得る法的地位を失わせる点で承認の取消しと何ら変わらないことなどから、沖縄防衛局は行政不服審査法第二条の処分を受けた者と言えます。
 したがって、沖縄防衛局は一般私人と同様に今回の承認の撤回について審査請求ができると判断をしたところであります。

○赤嶺委員 一般私人が米軍基地をつくることなんかできますか。一般私人と同様の資格があるものと思えるという、これは安倍内閣の中でしか通用しない話ですよ。
 しかも、それに基づいて国土交通大臣が、沖縄県が間違っていることを何を根拠にやったか。日米同盟が危うくなる、普天間基地の危険性が除去されない。国土交通大臣の所管ですか。こんなことできるんですか。やれる知見ないじゃないですか。ないのに何か意味ありげなことを言っているけれども、全く安倍内閣でしか通用しない話だと思っています。
 玉城デニーさんは私たちと同僚でした。この予算委員会の中で、いつも席を同じくして質問をやっておりました。今度の政府の対応について、玉城知事は、私は、去る十月十七日の会見において、仮に本件において国土交通大臣により執行停止決定がなされれば、内閣の内部における、自作自演の極めて不当な決定と言わざるを得ないと申し上げましたが、まさにそのような状況となり、審査庁として公平性、中立性を欠く判断がなされたことに、強い憤りを禁じ得ません、このように述べております。
 安倍内閣がやった判断、これには、その当事者である沖縄県からは、納得いかない、中立公正とはとても思えない、怒りを禁じ得ない、こういう指摘をやはり重く受けとめるべきですよ。こう言われた瞬間、国土交通大臣は、自分たちは中立な、公正な判断をしただろうかと自省の念を持つべきだと思います。今回の執行停止決定は直ちに撤回するよう強く求めます。
 次に、普天間基地の運用停止の問題であります。
 まず、総理に確認したいと思いますが、普天間基地の五年以内の運用停止は、二〇一三年に仲井真知事が、埋立申請を承認するに際して総理に直接求めたものであります。当時、仲井真知事は、五年以内の運用停止を総理は確約した、このように述べておりました。
 その後、政府は、翌年の二〇一四年二月に、この問題を含めた話合いを行うために、沖縄県知事や宜野湾市長と普天間飛行場負担軽減推進会議を設置いたしました。運用停止の期限を、そのときから五年後、つまり二〇一九年二月、政府としてその実現に向け全力で取り組んでいくと説明をしてきました。あと三カ月余りで期限を迎えます。
 一方、日米両政府は、二〇一三年四月に在沖米軍基地の統合計画というのを合意しておりますが、それによりますと、普天間基地の返還時期は、新しい基地が完成した後の二〇二二年又はその後としてきたわけです。現場海域には軟弱地盤が確認され、返還時期が更に先延ばしになることは必至でありますが、ともかく政府は、普天間基地の返還時期は二〇二二年又はその後、こう言い、運用停止は二〇一九年二月、このようにしてきました。
 つまり、当初は辺野古の基地が完成する前に普天間基地の運用を停止できるよう取り組む方針だったということですね。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 これは何回も答弁をさせていただいているわけでございますが、普天間飛行場の五年以内の運用停止については、政府として、辺野古へ移設されるまでの間においても、普天間飛行場の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真元知事と共有したということであります。
 このため、政府としては、県知事からいただいた埋立承認に基づき、県の協力をいただきながら、辺野古への移設を進める中で、相手のあることではありますが、できることは全て行うという姿勢で、沖縄県側と協議を行いながら取り組んでまいりました。
 具体的には、既に普天間飛行場が有する三つの機能のうち、空中給油機については十五機全機、これは山口県の岩国飛行場へ移駐を実現しました。これはなかなか実現できなかったものでありますが、十五機全機、岩国基地への移駐が実現をしたわけであります。
 また、緊急時における航空機の受入れ機能も、福岡県の築城基地、宮崎県の新田原基地へ移すことを決定しております。本年十月には、滑走路の延長や弾薬庫の設置など、移設に必要となる施設整備の内容について日米間で合意したところであり、今後も整備を進めていきます。
 つまり、三つの機能のうち二つ、一つは実現し、もう一つは着々と実現しつつあるということでございます。
 さらに、辺野古移設までの間、普天間に残るオスプレイについても、飛行訓練の沖縄県外への移設を着実に進めています。
 このように、辺野古への移設を待つことなく、普天間の危険性の除去を進めてきているところであり、引き続き、負担軽減に全力で取り組んでまいります。

○赤嶺委員 今総理がおっしゃったのはロードマップで決まっていたことであって、二〇一九年二月までに運用を停止するということで総理と仲井真知事が合意した以降の取組ではないんですよ。これは前から決まっていた話なんです。
 いわば、期限は来年二月です。もう目の前です。普天間の危険性は一刻の猶予もできないと思います。
 普天間所属のオスプレイは、総理がそう説明する間にも、名護市安部に墜落し、それから、CH53ヘリは東村高江の牧草地で炎上、大破し、昨年十二月には、基地周辺の緑ケ丘保育園と普天間第二小学校に部品や窓を落下させる事故を相次いで引き起こしました。
 普天間第二小の子供たちは、米軍の軍用機が上空付近を飛行するたびに、一日何度も授業を中断して、避難を余儀なくされております。緑ケ丘保育園の園長先生や父母の方々は、状況は何も変わっていない、このように言っています。保育園の上空を飛ばないでほしいと求め続けています。
 総理、状況は何も変わっていない、このように言われる現状をいつまで放置するのかという問題です。政治の責任で、約束したとおり、二〇一九年二月までに普天間基地の運用を停止する、これを直ちにやるべきではないですか。

○安倍内閣総理大臣 普天間飛行場の移設をめぐる状況は、沖縄県が埋立承認を取り消し、さらには埋立承認を撤回するなど、根本的な部分において、仲井真元知事と認識を共有した当時と、残念ながら大きく変化をしております。このような中で、五年以内の運用停止を実現することは難しい状況になっていると認識しております。
 もとより、政府としては、負担軽減に全力で取り組んできておりますが、先ほど申し上げたとおり、辺野古への移設を待つことなく、普天間の危険性の除去を進めてきているところでありまして、引き続き全力を尽くしていく考えであります。

○赤嶺委員 なぜ、知事の立場を理由に取り組まない、そういうことになっていくんですか。住民の命と安全は一刻の猶予もできない、そういうことを政府も言ってきましたでしょう。だけれども、地元からは、現状は全く変わらない、こういうような声が上がっている。普天間基地の危険性と住民の苦しみは、政府自身も、先ほどの執行停止申立て書の中で強調していることであります。
 申立て書は、普天間飛行場が市街地の中心部に位置し、多数の学校や住宅、医療施設などが密集していること、そして、同基地所属機が復帰後、ことし二月末までの間に合計百三十五回の事故を起こしていることに、防衛省の文書に述べられているわけですね。
 その防衛省の文書の中には、住民の切実な声も紹介されております。防衛大臣、その部分、紹介していただけますか。

○岩屋国務大臣 沖縄防衛局長が十月十七日に国交大臣に提出した執行停止申立て書におきまして、宜野湾市のホームページに掲載されている苦情電話の内容を引用し、紹介をしております。そこを読むんですか。
 低空で大きな飛行機が宜野湾市を旋回しています、爆音もひどいし、とても低空なので、いつ事故が起きてもおかしくないと不安で仕方ありません、現に沖国大に落ちたこともあるし、いつ何どきどこに落ちるかわからない、そういう点ではですね、このヘリコプターの住民上空飛行というのは殺人未遂みたいなものですよ、いつ何どき落ちるかわからない、もう不安でたまらないんですね、これは許せないですよ、毎日が地獄です、怒りが頂点に来ています等々でございますが、だからこそ、辺野古への移設を完遂して、やはり、普天間の全面返還を一日も早く達成しなければいけないというふうに思っております。

○赤嶺委員 やはり地獄だ、毎日が地獄だと。
 防衛大臣、読み上げていただいて、ありがとうございました。別にお礼を言うことではないんですけれどもね、防衛省の文書ですから。で、その後にくっつける、だから辺野古を急がなきゃいけないといって、辺野古を待てないんですよ。待てますか。
 辺野古というのは、私たちは絶対に基地はつくらせないということで頑張りますけれども、あと十年あるいはそれ以上かかるような、そういうぐあいに言われている辺野古の基地の完成まで、なぜ普天間基地の危険性を放置できるんですか。今、朝鮮半島をめぐる情勢は大きく変わろうとしています。日中関係も改善の方向に進んでいます。
 総理、今必要なことは、政府が住民の安全を最優先する立場に立つことだろうと思います。辺野古の問題とは切り離して、普天間基地の運用を直ちに停止することを決断すべきだと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 普天間の危険性については、これは認識を共有しているところでございまして、ですから、一日も早く私たちは辺野古への移設を行いたい、こう考えているわけでございます。
 しかし、辺野古への移設を待たずに、できることは全てやるとの姿勢で、ロードマップに記されていることをやっただけではないかという御指摘がございましたが、これは今までずっと議論されてきたことでありますが、空中給油機の移設というのは全然実現してこなかったわけでございますが、それはやはり、山口県そしてまた岩国市の御協力をいただくために私たちも汗を流しつつ、地元の御協力、御理解をいただき、十五機全ての移駐をこれは実行できたわけでございまして、間違いなく、これは除去されたわけでございます。
 さらには、先ほど申し上げましたように、福岡県の築城そして宮崎県の新田原について、緊急時における航空機の受入れ、これも、それぞれ地元の皆様に御理解をいただきました。
 そういう努力も積み重ねてきたわけでございまして、これは、三つの機能のうち二つが移っていくということ、一つは移ったわけでございまして、そして、残るものにつきましても、飛行訓練の沖縄県外への移転も着実に進めていることでございまして、そうした努力も今後とも進めていきたい、このように考えております。

○赤嶺委員 普天間基地の緊急機能を築城や新田原にも移すということで、さっき弾薬庫も移すことになったというお話がありますが、一言申し上げると、普天間飛行場には弾薬庫はありませんからね。ないものを築城や新田につくって、いや、さっき総理の答弁の中で触れておられますよ。日米間で合意した、これは県民の負担軽減につながると。ないものまでつくって、米軍基地を強化しているんですよ。
 ただ、総理がどんなに口を酸っぱくして、私たちは努力している努力している、このように申し上げても、さっき防衛大臣が読み上げた場所にあるとおり、普天間の危険というのは一刻の猶予もできないんですよ。そして、二〇一九年二月までに運用を停止する、これを約束したんですよ。今、知事の立場が変わったからといって、知事の立場が変わったら、じゃ、一刻の猶予もできない危険性というのは除去されたんですか。
 命の危険を毎日毎日感じている、そういう宜野湾市民のためには、普天間の基地の五年以内の運用停止、これを、安倍総理は、あれをやった、これをやったと言う前に、来年二月、運用停止をやったというようなことをぜひやっていただきたい。来年の二月ごろも予算委員会があると思いますから、できたかどうかというのをちゃんと確認したいと思います。
 それで、総理は所信表明演説でも、沖縄の皆さんの心に寄り添う、このように述べられました。総理が寄り添うと言う沖縄の心、これはどういうものですか。

○安倍内閣総理大臣 まさに、米軍基地が沖縄に集中しているという状況を変えてもらいたいという沖縄の皆さんの気持ち、米軍の基地が七割が沖縄に集中をしているという状況は是認できないという考え方が私どもの考え方でもございます。このもとに、更に負担を軽減していきたい、こう思う次第でございます。
 先ほど申し上げました滑走路の延長や、十月には弾薬庫の設置、これはまさに緊急時の航空機の受入れ機能を移すに当たって米側からも言われていたことでございまして、これを進めていく上においては必要なものをやっているということで、これを移すということで言っているわけではございませんで、具体化しているということを申し上げたところでございまして、今後とも、沖縄の皆様のお気持ちに寄り添いながら、基地負担の軽減に力を入れていきたい、こう思っているところでございます。

○赤嶺委員 移すというわけではない、米側が要求したからつくるんだと。普天間基地にない弾薬庫まで築城、新田につくるような、アメリカ言いなりにもあきれた話じゃないですか、こうなったら。それを、沖縄の負担軽減ということを逆手にとって合理化するのは、絶対に築城も新田も納得できないと思いますよ。
 この間、翁長知事が亡くなられたときの県民葬がありました。官房長官が総理の弔辞を代読しておられました。そのときに、沖縄県民に寄り添うというくだりに来たときに、会場にざわめきといろいろな声が上がったんです。これは私も、総理が沖縄の心に寄り添うと言う場合に、やっていることとそして言うことが余りにも違い過ぎる、県民の心を逆なでする言葉だと。いつもその言葉を聞くたびに、私は心の中で、総理はうそつきだ、このように叫んでおります。
 亡くなられた翁長知事は、生前、普天間基地問題の原点は何かということをよく話しておられました。実は、翁長知事と私は、那覇の市会議員に当選した同期であります。当選した直後は保守、革新の立場に分かれて対立もしておりましたが、翁長知事はこう言っていました。これまで政府は、この問題は普天間の危険性の除去が原点だと強調してきたが、それは原点ではない、戦後、住民が収容所に入れられている間に……

○野田委員長 赤嶺さん、質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

○赤嶺委員 一方的に奪われ、基地を建設された、それが原点だということで、沖縄の原点についてもよく学び直していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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参考資料

行政法研究者声明

2006年5月の閣議書写し

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