日本共産党の赤嶺政賢議員は4月10日の衆院安保委員会で、自衛隊のイラク派遣部隊の日報が陸自の研究本部(現教育訓練研究本部)で発見されたことについて「『研究本部にあるはずだ』と繰り返し指摘されてきたにもかかわらず、事実を偽る説明を続けた防衛省・自衛隊の責任は極めて重大だ」と厳しく批判しました。
陸海空自衛隊と統幕で現地部隊の活動から教訓をまとめる部署について、統合幕僚監部の鈴木敦夫総括官は「陸上自衛隊は教育訓練研究本部。海上自衛隊は自衛艦隊司令部幕僚長と護衛艦隊司令官、各学校長等で、海幕長が教訓活動を統括。航空自衛隊は航空自衛隊幹部学校。統幕は各自衛隊が作成した教訓が共有されている」ことを明らかにしました。
赤嶺氏は「日報は自衛隊という軍事組織にとって極めて重要な文書。全てが研究本部などに保管されていて当然だ」と強調。小野寺五典防衛相に対し「部隊からの報告を待つのではなく、研究本部などに調査に入るべきだ」と求めました。小野寺氏は「教訓センター(研究本部)を含めた自衛隊の全組織に文書の調査と統幕への一元管理を指示している」と述べるにとどめました。
小野寺氏は11日の予算委員会で、同省に設置した内部調査チームの大野敬太郎政務官を同日、研究本部に派遣したことを明らかにしました。(しんぶん赤旗 2018年4月13日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
防衛省がこれまで残っていないとしてきた自衛隊のイラク派遣部隊の日報が、実際には残されていたことが明らかになりました。
昨年、南スーダンPKO派遣部隊の日報をめぐって、防衛省・自衛隊の隠蔽体質が厳しく問われました。その防衛省が、自衛隊のイラク派遣をめぐっても国会と国民を欺いて、日報の存在を隠し続けていたことは極めて重大であります。
本委員会は、この問題の所管委員会として、事実を徹底的に究明する特別の責任があります。そのために、十分な質疑時間、何度でも委員会を開いてやっていくということをまず委員長に強く求めたいと思います。
○寺田委員長 理事会において協議をさせていただきます。
○赤嶺委員 初めに防衛大臣に伺いますが、先日、大臣は防衛省の講堂に幹部職員を集めて訓示をされました。そこで大臣は、民主主義の根幹は、国民が正確な情報に接し、主権を行使することにある、政府が保有する行政文書は最も重要な資料で、適切に管理し公開することは、国の重要な責務だ、このように述べております。
公文書の性格、取扱いに関する非常に大事な認識を述べたと思います。ぜひ、この立場で事実を徹底究明し、国会と国民への説明責任を果たしていただく必要があると思います。まず、その点についての大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。
○小野寺国務大臣 御指摘ありましたが、まず初めに、イラクの日報をめぐって不適切な対応があったことに関しては、防衛大臣としておわびを申し上げます。
公文書管理法に定められたとおり、公文書は国民共有の知的資源であり、行政文書等の適正な管理を通じて国民への説明責任を全うすることは国の重要な責務であることから、この問題は行政全体への信頼を損なうものであり、極めて重く受けとめております。
私どもとしては、今後とも、国民からの、あるいは国会からのさまざまな御指摘に対して、誠心誠意応えていきたいと思っております。
○赤嶺委員 そこで、今回見つかった陸上自衛隊の日報でありますが、今月半ばをめどに提出するとしております。
具体的にいつ提出するのか。既に十年以上前に終了した活動であります。黒塗り作業などせずに、直ちに提出すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
確認されましたイラクの日報につきましては、今御指摘ございましたように、四月の半ばをめどに公表させていただくということでございまして、必要な開示、不開示の作業を経た上でということになりますが。
ただ、申し上げますれば、一万四千ページにも及ぶ大部でございまして、当然その中には個人情報等も含まれてございます。そうしたものもきちっと把握した上で、開示、不開示の作業を終え、公表させていただきたいというふうに考えてございます。
○赤嶺委員 黒塗り作業で大変時間がかかることはやむを得ませんという説明を防衛省からるる受けております。今も開示、不開示についての作業と言いますが、やはり、終わった任務の活動であります。いわば歴史的検証文書であります。黒塗りの必要はないと思いますので、作業で時間がかかることが、かかったという言いわけがないように、直ちに提出していただきたいと思います。
今回、イラクの日報が陸上自衛隊、航空自衛隊で作成、保管されていたことが明らかになりましたが、海上自衛隊はどうなのか。陸海空自衛隊全てで日報は作成、保管されていたのか。また、具体的に誰が誰に対してどういう日報を作成、報告し、それがどこでどのように保管、閲覧、活用されていたのか。その点、どこまで確認できていますか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる日報とは、行動命令に基づきまして活動をする部隊が作成した上級部隊への定時報告でございます。それで、防衛大臣又は上級部隊の判断に資するものということで、その様式ですとか記載内容、根拠等は、任務の内容や部隊の種類によってさまざまでございます。
陸自の日報には、派遣部隊の活動状況や人員、装備の状況、現地の治安状況等が書かれていることが多うございます。空自の日報には、運航状況ですとか人員、装備の状況といった情報が記載され、上級部隊に報告されております。
なお、海上自衛隊が同様の日報を保管していることは、現時点では確認されておりません。
○赤嶺委員 日報の保管を確認しているかどうかではなくて、海上自衛隊は日報をつくっているんですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、日報とは、それぞれその必要性に応じていろいろと異なるところでございますので、その活動に必ず日報が伴うかどうか、日報が伴う場合もあれば、日報を伴わない場合もあるかもしれません。
いずれにせよ、現時点におきまして、保管が確認されているというものはございません。
○赤嶺委員 だから、保管は確認されていなくても、日報を伴う活動が海上自衛隊であったかなかったかを聞いているんです。
○鈴木政府参考人 基本的に日報を伴う活動があることはあるというふうに承知しております。
○赤嶺委員 今回、陸幕衛生部で発見された日報、これはどこからどういう目的で、いつ入手したものですか。十年以上前のイラクの日報をなぜ陸幕衛生部が入手できたのか。入手元での保存期間がどうなっていたのか、その点はわかったんでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
陸上幕僚監部衛生部が、この確認されましたイラクの日報を行政文書登録したのは二〇一五年度でございますが、既にイラクの日報が作成されてから十年程度経過しているため、この日報をどのように入手したかは、今ではちょっと申し上げることは困難でございます。
ただ、他方、イラクの復興支援活動における自衛隊の主な活動の一つが医療支援であったことから、この衛生部は、衛生業務、これをやっておりますので、この衛生業務の資とするため、イラクの日報を取得したのではないかというふうに考えられます。
なお、陸幕の衛生部が保有するこのイラクの日報につきましては、紙媒体で保存しておりまして、執務室内の共有の書棚で二〇二一年三月末日まで保管される予定でございます。
○赤嶺委員 私たちが今まで受けていた説明は、日報は現地部隊が上級に報告をすれば、これで用が終わったこととなり、一年後廃棄というぐあいになっているんですが、今度のここの部隊は、衛生部の部隊は、十年もたってから入手しているわけですよね。それで、保管期間はもっと長い。
今まで私たちが一年後廃棄と受けていた説明とちょっと違うんですが、これはどういうことでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
これまでは確かに、御指摘のように、日報等につきましては、保存期間が一年未満とされていることで、いわゆる俗称用済み後破棄という形でのものでございました。
ただ、もちろん、文書管理上は一年以上保存するように変更する場合には、保存期間を延長した上で行政文書ファイル管理簿に登録するという手続を経ることになります。
申し上げれば、このPKO等の日報につきましては、昨年九月の部内規則の改正、それから本年四月の防衛省行政文書管理規則の改正によりまして、日報等につきまして、PKO等の日報でございますが、保存期間を十年間といたしまして、保存期間満了後は国立公文書館に移管するということに定められてございます。
○赤嶺委員 私が聞いたのは、PKOでなくてイラクのことを聞いたわけですよね。衛生部が入手した経過。
今の答弁を聞いても曖昧であります。もっとしっかりした説明を求めていきたいと思います。
今回、陸上自衛隊の研究本部で日報が確認されたということは極めて重大です。南スーダンPKOの日報をめぐって、研究本部にあるはずだ、こういうことは繰り返し指摘をされてきました。にもかかわらず、防衛省は、ない、このように説明をし続けてきたわけですね。その研究本部にあったわけです。事実を偽る説明を続けてきた防衛省・自衛隊の責任は極めて重大だと思います。
そこで、確認をいたしますが、そもそも、陸海空自衛隊あるいは統幕で、現地部隊の活動などから教訓をまとめる部署があると思いますが、それはどういうところか、明らかにしていただけますか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
教訓とは、例えば、陸上自衛隊におきましては、「主として部隊運用及び教育訓練を通じて得られた運用、防衛力整備、研究開発及び教育訓練等に資する知識」と定義されておりまして、教訓を作成することで任務遂行の資とするものです。陸上自衛隊におきましては、教育訓練研究本部、かつての研究本部でございますが、これが教訓業務を行うものとされております。
海上自衛隊におきましては、自衛艦隊司令部幕僚長、護衛艦隊司令官等、各学校長等が教訓活動を推進するものとされておりまして、海幕長が教訓活動を統括するとされております。
航空自衛隊におきましては、主に航空自衛隊幹部学校が、部隊の運用及び教育訓練から得られる教訓の収集などを行っておるということでございます。
統合幕僚監部におきましては、各自衛隊が作成した教訓が共有されているという状況でございます。
○赤嶺委員 それぞれ教訓をまとめる部署があるわけですね。
日報というのは、自衛隊という軍事組織にとって極めて重要な文書ですよ。一年後、用済み廃棄というわけではない、延長もできるということでしたが、延長して現に保管しているところもあったわけですね。一部が発見されたとか、そんなことではないと思いますよ。全ての日報が研究本部などには保管されていて当然だ、このように思います。その全容を明らかにするために、今、部隊からの報告を待っているわけですね。
私は、防衛大臣、この間の南スーダンの隠蔽の問題のときも、先頭に立って与党の筆頭をしておられましたからよくおわかりだと思いますが、小野寺防衛大臣自身が、研究本部で見つかった、その事実を重く受けとめて、まず調査に入るべきではないかと思いますが、いかがですか。
○小野寺国務大臣 それは、私が研究本部に直接行って文書の探索をせよということでしょうか。
○赤嶺委員 研究本部には教訓がまとめられているわけですよ。軍事組織が教訓をまとめるということは、これは大事な、皆さんにとっては大事なことなんですよね。だから、一部分どこかのファイルから見つかりましたということじゃなくて、そういう教訓が全体としてまとまってあるはずだ、あるはずだから捜せということを我々は去年から言ってきたわけですよ、研究本部に。ない、ないと言いながら、あったわけですよ。
そうであるならば、その教訓をまとめる部署、先ほど本多議員も質問しておりましたが、そういう部署には率先して出かける。そして、研究本部にない、ないと言ってきたこれまでの説明がどうだったのかということをみずから確かめるためにも、防衛大臣が、研究本部でまとめている教訓の中に日報がどういう扱いをされているか、これを調査する。何も探索せよとは言っていないわけですよ。そういう調査をみずから行ってすべきではないかということを申し上げているわけです。
○小野寺国務大臣 委員御指摘の教訓センターのみならず、これは同じような、今回、日報にかかわる文書というのが、しっかり公表しなければいけないものがありましたらそれに対応する必要があると思っております。
そのために、教訓センターを含めた自衛隊の全組織について、私が、大臣の指示という形で今、しっかり、このような文書についての調査、そしてまた、統幕に一元管理をするような指示を出させていただいております。
○赤嶺委員 指示を出して、去年も、私たちが研究本部にあるはずだと言ってきたけれども、ないと言ってきて、あった。そういう同じ轍を踏まないためにも、大臣みずからが今度は徹底して調査するんだぞという姿勢を見せるべきだと思います。指示を出しているから、それの答えを待っておるということで本当にできるのかどうか。
軍事組織が教訓として日報を全体保管していないのは絶対おかしいということを強く申し上げておきたいと思います。
日報から各自衛隊、統幕が作成した教訓文書のリスト、これはつくれますよね、リストはつくれます、それを文書で説明して提出していただきたいと思います。文書の提出を受けて、次回以降の委員会でただしていきたいと思います。
私は、情報公開のリストも求めてまいりました。その点、資料提出、いかがですか。
○鈴木政府参考人 イラクの人道復興支援活動について陸上自衛隊が作成した教訓のリストでございますとか、航空自衛隊が作成した教訓でございますけれども、例えば、陸であれば、イラク人道復興支援活動の概要、それから陸上自衛隊のイラク人道復興支援活動における教訓、また、イラク復興支援活動などがございます。
空につきましては、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法に基づく対応措置記録、それから、イラク人道復興支援活動に係る教訓等について、そして、イラク復興支援派遣輸送航空隊史などがございます。
なお、統幕、海上自衛隊については、これまでのところ、イラク人道復興支援活動に関する教訓の作成は確認されておらないという状況でございます。
○寺田委員長 資料の扱いについては、理事会にて協議をさせていただきます。
○赤嶺委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。時間がなくなりましたけれども。
先月の外務委員会で、我が党の穀田議員が取り上げた、二〇一二年七月、統合幕僚監部防衛計画部作成の「日米の「動的防衛協力」について」という文書の問題について質問をします。
文書の中身に入る前に、事実関係を幾つか確認させていただきたいと思います。
四月三日の防衛省の青柳報道官の記者会見で、民主党政権のときに始まった日米の動的防衛協力に関する検討が、安倍政権に引き継がれているかどうかについてのやりとりが行われております。この動的防衛協力の枠組みのもとで、日米の共同作業部会が設置され、自衛隊による在沖米軍基地の共同使用に関する検討が進められております。
第二次安倍政権発足後の二〇一三年二月、第五回の防衛力の在り方検討のための委員会で配付された、防衛政策局調査課と日米防衛協力課作成の「米国の安全保障政策/日米同盟」という文書がありますが、その記者会見の席上で、この文書について、記者が、文書そのものを紹介しながら、これは公表されている文書でありますが、質問したのに対して、報道官は、作業部会での議論は継続しているとの認識を示しております。
ここに同じ文書を持ってきております。きのう提出していただきました。その十二ページに、日米防衛協力の現状というところでは、沖縄における在日米軍施設・区域、グアム、北マリアナ諸島連邦の訓練施設における共同使用について、共同作業部会やグアム移転に関する協議の場において議論を継続、このように書いてあるわけですね。
さらに、二十二ページには、日本の能力強化という今後の方向性を示したところでは、今後十年から十五年後の安全保障環境を見据えてガイドラインを見直すことや、日米の動的防衛協力の方向性を引き続き推進、拡大することによって日米の防衛協力の実効性を飛躍的に強化、向上させると書いております。
防衛大臣に伺いますが、民主党政権時代の日米の動的防衛協力に関する検討を引き継ぎ、更に推進、拡大するというのが安倍政権の立場ということでよろしいですか。
○小野寺国務大臣 施設の共同使用に関しては、民主党政権下の平成二十二年五月の2プラス2の共同発表において、共同使用を拡大する機会の検討について言及されたことなどを踏まえ、同年十二月に設置されました日米共同使用作業部会などの場において実務的な検討を行っているものと理解をしております。
その上で、平成二十五年の2プラス2の共同発表では、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎」しているところであります。
この日米共同使用作業部会などの場では、共同使用に関し、地元との関係も踏まえた上で防衛協力を拡大していくとの観点から、引き続き、実務者レベルで幅広く検討が行われていると承知をしております。
○赤嶺委員 動的防衛協力、民主党政権時代につくられたものであるとはいえ、共同使用作業部会を使って継続していると。
きょうは質問が、もう時間が来ましたのでここまでにとどめまして、次回はもっとたくさんの時間が私たちにももらえるように切にお願いして、質問を終わります。