国会質問

質問日:2015年 1月 30日  第189国会  予算委員会

2015年1月30日 第189国会 衆議院予算委員会

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20150130予算委 普天間基地問題について質問

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、米軍普天間基地問題について質問をいたします。

 安倍内閣は、二〇一二年政権発足以降、沖縄県民の意思を踏みにじって、名護市辺野古への新基地建設を推し進めてきました。

 二年前の二〇一三年一月、沖縄県内の全四十一市町村、議会、県議会、経済社会団体の代表が上京し、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設断念を求める建白書を政府に提出いたしました。

 ところが、政府は、同年三月、新基地建設に向けた埋立申請書を沖縄県に提出いたしました。その後、政府、自民党本部による圧力のもとで、十一月には、県選出の自民党国会議員五人が石破幹事長とともに記者会見を行い、県外移設の公約を覆し、辺野古移設容認へと立場を変えました。

 年末には、沖縄県の仲井真知事が、県民を裏切り、沖縄振興予算と引きかえに埋め立てを承認いたしました。これでいい正月が迎えられるという仲井真知事の発言に、県民の激しい怒りの声が巻き起こりました。

 こうした公約違反、裏切りに対する県民の意思が、昨年一年間の選挙を通じて明確に示されました。

 一月の名護市長選挙で、辺野古の海にも陸にも基地はつくらせないという立場を貫く稲嶺市長が再選されました。九月の名護市議選でも、稲嶺市長を支える与党が過半数を占めました。十一月の県知事選挙では、新基地建設の是非が正面から問われる選挙となり、翁長候補が十万票の大差で当選をいたしました。同じ日に行われた県議補選でも、名護と那覇で新基地建設反対を掲げるオール沖縄の候補者が当選をいたしました。そして、先月行われた総選挙で、沖縄一区から四区までの全ての小選挙区で、私を含めて、オール沖縄の候補者が当選をいたしました。

 総理に伺いますが、新基地建設反対、普天間基地の閉鎖、撤去を求める県民の意思は疑いようのない形で明確に示されたと思いますが、総理はどう認識しておられますか。

 

○安倍内閣総理大臣

 選挙結果につきましては、いずれも真摯に受けとめたい、このように思います。

 しかし、この機会に申し上げれば、最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということでありまして、これが大前提であり、かつ、政府と地元の皆様との共通認識であると考えています。

 辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたときに、唯一の解決策であり、この考え方には変わりはございません。

 これは現在の普天間を単純に辺野古へと移す計画ではないわけでございまして、今まで御説明をしているとおり、現在の普天間飛行場は三つの機能を有しているわけでありますが、第一にオスプレイの運用機能、第二に空中給油機の運用機能、第三に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる機能でありますが、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみでございまして、空中給油機については、これは十八年越しの課題であったのでございますが、昨年八月に、十五機全機、山口県の岩国基地への移駐が完了したところでございまして、オスプレイの県外訓練等も着実に進めているところでございます。

 また、面積について見てみましても、辺野古に埋め立てる面積は全返還面積の三分の一になるわけでありまして、大幅に減少するわけでございます。

 騒音についても大幅に軽減されるわけでありまして、現在は住宅防音が必要となる地域に一万以上の方々が居住をしているわけでございますが、移設後はこのような世帯はゼロになるわけでございまして、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすことになるわけであります。

 これに加えまして、万一航空機に不測の事態が生じた場合は海上へと回避することで地上の安全性が確保されるわけでございますので、こうした観点から、我々としては、辺野古への移設は沖縄の負担軽減に十分資するものである、こう考えております。

 

○赤嶺委員

 今の答弁は総理の決まり切ったこれまでの説明の繰り返しであります。県知事選挙前も同じような答弁をされておりました。

 空中給油機は岩国に移駐したと言いますが、今でも普天間基地に飛来して訓練を継続しております。防音工事の対象世帯がゼロになると言いますが、今もオスプレイは、キャンプ・シュワブ近くの国立高専や、あるいは集落の上空を飛行しています。そういう政府の決まり切った答弁、政府のごまかしの答弁にノーを突きつけたのが、この間の県知事選挙であったわけであります。もう総理の答弁というのは破綻しているんですよ。

 総理は、選挙結果を真摯に受けとめると言いましたが、総選挙翌日の記者会見でも同じことを言いました。真摯に受けとめて、この一カ月半、総理は具体的に何をしたんですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 ただいま申し上げたのは、事実を申し上げているわけでございます。

 事実、空中給油機については、岩国に全機移駐したわけでございます。確かに沖縄にも飛行しているわけでありますが、今までとは全然これは飛行回数は違うわけでありまして、この実績を見れば一目瞭然であろう、こう思うところでございます。

 そういう意味におきましては、まさに、普天間基地の辺野古への移転というのは、危険性除去にもかなうものでございますし、騒音につきましては、先ほど申し上げましたように、一万世帯が防音の設備をしなければならないという状況がゼロになるわけでございますし、また、緊急回避する場合に海に出ればいいということになれば、これは相当危険性の除去につながっていくわけでございますから、そういう意味においては、一日も早く移設を進めていくことが、いわば普天間の危険性の除去につながっていく。

 そういう観点から、これから地元の皆様にしっかりと丁寧に説明をしていきたい、こう考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 総理は今、岩国に移転した、しかし沖縄で訓練はしているということをお認めになりました。訓練の回数は減っているじゃないかというお話でしたけれども、米軍再編ロードマップでは、岩国に移転したら沖縄では訓練することになっていなかったんですよ。なっていなかったのに今訓練し始めている、これ自身が重大であります。

 場周経路についても、米軍自身がこれを守るとは限らない、運用の都合上外れることはあるというのを、政府が沖縄県に出した埋立申請書の中に書かれているんですよ。それを総理は読んでいないんですか。

 総理は同じような答弁を繰り返しながら、結局総理がやってきたのは基地建設の再開でありました。

 一月の十五日に政府は、抗議活動を続ける県民を強制的に排除して、ボーリング調査に向けた海上での作業を再開いたしました。これは、真摯に受けとめているという態度ではありません。民意と関係なく問答無用で基地建設を強行する、それが総理のやっていることではありませんか。

 

○安倍内閣総理大臣

 先ほど申し上げた、KC130の岩国への移駐によって、周囲に住宅や学校等が密接している普天間飛行場には、少数の連絡機を除いて固定翼の航空機はいなくなったわけでございますし、軍人軍属及び家族合わせて約八百七十名が沖縄県外に転出することになりました。

 また、KC130の普天間飛行場における月平均の発着陸回数は、移駐前の平成二十五年度は百五十四回でございましたが、移駐後の平成二十六年の九月から同年十二月までは三十四回となっておりまして、百五十四回から三十四回、顕著な減少が見られることは明確であろう、このように思うわけでありまして、KC130の普天間から岩国への移駐は確実に沖縄の負担軽減に資するものである、このように思います。

 同時に、今回、この米軍再編に伴いまして、日米間で七年越しの課題でございました嘉手納以南の返還計画についても、日米首脳会談でオバマ大統領に直接問題を提起しまして、日米合意をすることができたのでありますが、これによって、沖縄県の人口の大半が集中する沖縄本島中南部の人口密集地域に所在する米軍基地については、面積にして約七割が返還されることになります。実際に、本年三月には西普天間住宅地区が返還予定でございますので、しっかりとこれを実現していきたい、このように思います。

 また、昨年の十月には、負担軽減に関して日米両国で共同発表を行ったところでございますが、その中で、日米地位協定の環境補足協定の実質合意を達成することができました。

 地位協定については、これは赤嶺議員も御承知のとおりでありますが、なかなかこれは指一本触れられなかったのでございますが、今回、まさに初めて、地位協定にかかわることとしては初めて合意ができたわけでございまして、従来の運用改善とは異なりまして、国際約束の形で得たこの成果は日米地位協定の締結から五十四年を経て初めてのものでもあるわけでありまして、このように、安倍政権としては、言葉ではなくて結果として、しっかりと実績として出していきたい、こう考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 総理は質問されていないことにまでわたっていろいろな答弁をしておりますが、丁寧にたっぷりとといっても、時間には限度がありますから、だから、私の聞いたことに答えていただきたい。

 いわゆる辺野古の新基地建設にはノーという審判を選挙で出した。総理は、真摯に受けとめると言った。真摯に受けとめると言いながら、工事を再開している。これは、真摯に受けとめていないということではありませんか。言葉よりも実態が示しているのではありませんか。

 

○安倍内閣総理大臣

 先ほど、なぜ私どもが普天間から普天間基地を辺野古へ移設させるか、その必要性について、そして他に道がないということについて御説明をさせていただいたところでございます。

 同時に、選挙の結果を真摯に受けとめ、こうした私どもの説明が十分に県民の皆様に伝わっていないのは事実でございますので、丁寧に、これから地元におきましても御了解をいただくべく努力を誠実に重ねていきたい、このように思っております。

 

○赤嶺委員

 総理は、選挙の結果の意味がまだ十分に御理解できていないようであります。

 住宅地に囲まれた普天間基地を一刻も早く閉鎖、返還すべき、これは当然のことですよ。普天間の返還がいつまでたっても実現しないのは、政府が移設条件つきにしがみついているからにほかなりません。

 戦後七十年間米軍基地に苦しめられてきた沖縄で、なぜ新たな基地をつくらなければならないのでしょうか。辺野古の新しい基地は二百年先まで使えるようにすべきだというのが、アメリカ側の方針です。一体、いつまで沖縄は基地と隣り合わせの生活を続けなければならないのか。普天間は、辺野古に移すのではなく、なくしてほしい、子や孫の代まで基地の苦しみを残したくない、それが選挙で示された県民の思いであります。

 今回の県知事選挙では、普天間基地のある宜野湾市で、翁長候補が仲井真候補を三千票近く上回りました。総選挙では、照屋寛徳さんが六千票以上の差をつけて当選いたしました。宜野湾市民だって、普天間基地の閉鎖、撤去を願っているけれども、辺野古に移してほしい、そういう意見ではないということが、知事選や総選挙の結果でも見事に示されているわけです。

 普天間は閉鎖してほしい、だからといって、その危険を辺野古に移すようなことは沖縄県民は望んでいない、こういうような意味を、総理は重く受けとめるべきであります。

 しかも、総理はこの間、翁長知事に会ってもいません。繰り返し面談を求められても、会おうともしない。菅官房長官は、仲井真知事のときは大事な政治判断が必要だった、必要があればお会いするが、現時点では副長官でお願いしていると述べております。
 新基地建設反対の民意が示されたにもかかわらず、基地建設を再開する、これは大事な政治判断ではありませんか。立場は違ったとしても、有権者の負託を受けて当選した県知事であります。まずは会って話を聞くのが当たり前の対応ではありませんか。総理はなぜ会わないんですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 まず、普天間飛行場の移設についての経緯でございますが、これは御承知のように、普天間飛行場については、平成八年四月に、沖縄の皆様の強い要請、要望を踏まえて、当時の橋本龍太郎総理がモンデール駐日米国大使と会談を行い、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に全面返還することで合意をしたわけでございます。これが日米の合意であります。

 そうして、その中において、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、在沖米海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることはできないこと、また、東アジアの各地域に対し距離的に近いといった沖縄の地理的優位性、また陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊等を統合した組織構造を有し、すぐれた機動性、即応性を備える米海兵隊の特性を損なうことはできないこと、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去する必要性などを総合的に満たし得るのは辺野古しかないとの結論に至ったわけでございます。

 そういう意味で先ほど私は辺野古しかないということを申し上げさせていただいたところでもございますし、平成八年に日米合意がなされていて、この合意のもとに米国は普天間の全面返還に応じたという経緯があるということは申し上げさせていただきたい、こう思うところでございます。

 また、翁長知事との面会についてでございますが、総選挙、組閣等々がございましたので、今まで私自身またあるいは官房長官も面会する機会はなかったのでございますが、しかし、政府としてはしっかりと対応してきているところでございます。

 今後また政府としてさまざまな取り組みについて連携を深めていく中において、政府として対話の機会が設けられていくもの、このように考えております。

 いずれにせよ、今後とも、さまざまなレベルで対話を行い、理解を求めていく努力をしていきたい、こう考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 沖縄の人たちが去年一年間、必死に自分たちの民意を示してきた。しかも、疑いようのない、民意を示す選挙戦で全部勝利をした。その県民の民意よりも、日米間の合意があるからといって辺野古を押しつけようとする。一体、アメリカや日本というのは民主主義の国なんですか。民主主義であれば民意を尊重するというのは当たり前じゃないですか。そして、その民意によって選ばれた知事と、大きな転換が起こっているわけですから、直ちに会うというのが、これも筋道じゃありませんか。今の対応で足りているということには納得できません。

 翁長知事は、今月の二十六日、前の仲井真知事が行った埋立承認は違法性が疑われている、瑕疵があるということで、これを検証するために第三者委員会の設置を発表しました。政府に対し、検証作業中の工事の中止を要請いたしました。ところが、総理は本会議で、詳細を承知していない、このように述べております。コメントは差し控えたいと答弁なさいました。

 詳細を承知していないと言うのであれば、直接会って説明を聞けばいいのではないですか。面談に応じるべきではありませんか。

 

○安倍内閣総理大臣

 防衛省に対しては、第三者委員会で検証を行う旨の連絡があったと報告を受けているところでございまして、その具体的な内容は政府としては承知をしていない、ですからそのように申し上げたわけでございまして、いずれにせよ、これは県内内部の取り組みであることから、詳細については承知をしていない、このように申し上げたところでございます。

 

○赤嶺委員

 第三者委員会というのは、四月にも検証結果をまとめる見通しであります。瑕疵があるとの結論になれば、埋立承認の取り消しになります。瑕疵がない場合でも、辺野古の基地はつくらせないという私の政策は変わらないと翁長知事は発言をしております。そうなれば、承認の撤回ということになります。いずれにしても、工事はとまるんです。

 ところが、今、辺野古では、長さ三百メートル、幅二十五メートルとも言われる仮設桟橋まで建設しようとしています。そのために、二万立米以上、ダンプトラックにして五千台分の石材を投入する計画と言われています。沖縄防衛局は、ボーリング調査が終われば撤去すると説明していますが、なぜ調査のためにそのような巨大な構造物が必要なのか、事実上の埋立工事ではないかという声が上がっています。

 防衛大臣に伺いますが、そのような工事を計画しているのではありませんか。

 

○中谷国務大臣

 その前に、第三者委員会について、先日二十六日に安慶田副知事が防衛施設局を訪れまして、この間の見合わせの配慮を求めたということでございますが、この埋立申請につきましては、公有水面埋立法に基づく審査を経て沖縄知事から承認をされておりまして、これらの手続は既に関係法令によって適正に行われたものだと考えております。

 また、仮桟橋の建設におきましては、この調査等の工事に必要なものであるということで、それに基づいて実施をいたしているところでございます。

 

○赤嶺委員

 ボーリング調査のために巨大な構造物をつくる、これはボーリング調査に名をかりた実際の埋め立ての開始ではないか。

 そして一方では、検証をすれば前の仲井真知事の埋立承認の瑕疵が見つかる、あるいは瑕疵がなくてもあの工事はあらゆる手段を使ってとめたい。いずれ工事はとまるんですよ。いずれ工事はとまるという状況の中で仮設桟橋、巨大な構造物、これをつくるのは絶対におかしいと思いますけれども、いかがですか、防衛大臣。

 

○中谷国務大臣

 当該桟橋等は、調査が完了すれば撤去する予定としておりまして、本体工事に使用する計画は有していないことから、当該桟橋の着工をもって埋め立てに当たる、あるいは変更の埋立承認が必要という御指摘は当たりません。

 

○赤嶺委員

 御指摘が当たらないということでしたが、余りにも乱暴ですよ、今の巨大な構造物をつくるのは。

 まだ乱暴なことがあるんです。

 きのうの地元紙、きょうの地元紙にも報道をされておりますが、防衛省はボーリング調査を始めました。そのボーリング調査による環境破壊が発生していたことが明らかになりました。

 現場海域ではフロートが設置されておりますが、そのフロートを海底につなぎとめておくための重さ百六十キロのアンカーがサンゴを損傷する被害を出していました。昨年十月の台風十九号のときです。二百四十八個あったアンカーのうち、百二十個はどこにあるかもわかりません。

 ところが、政府は、被害の状況も再発防止策も、何も明らかにしておりません。海上での作業は継続したままです。沖縄防衛局には環境監視等検討委員会が設置され、こういう事態が起きたときにこのような問題も話し合うことになっていますが、そこでどういう議論が行われているかも明らかにされておりません。

 まずは、作業を中止して、被害状況や委員会での議論、再発防止策を明らかにするのが当然ではありませんか。

 

○中谷国務大臣

 昨年、台風十九号が参りまして、沖縄県に大変な被害をもたらしたわけでございます。この地域におきましても、調査をした結果、ブイ、フロートのアンカー二百四十八個のうち百二十個の箇所の存在が確認できなくなってしまいました。また、同アンカーのものと思われる三十六本の痕跡が確認をされておりますが、やはり、こういった被災状況を踏まえまして、アンカーが流れないような、その重量をふやすという措置など、今後の台風の接近に備えて、こういった対応、また、事前にブイを上げるなどの措置を行ってまいりたいと思っているわけでございます。

 また、第三回の環境監視委員会でお諮りをしたところでございますが、この内容等につきましては、議事等をまとめている段階でございますので、しかるべき時期に公表はいたしますけれども、現時点においてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 

○赤嶺委員

 台風十九号の直後に、アンカーがサンゴを傷つけている写真を持って、私は市民団体と一緒に沖縄防衛局長に会いました。沖縄防衛局長は、これがアンカーによる傷であるかどうかはまだわからない、調査の上で、環境監視検討委員会の専門家の意見を聞いて公表するというのが、まだ公表されていないんですよ。

 あなた方は、いや、あのときのアンカーよりも、より大きく重いアンカーを設置すれば今度は大丈夫だと言う。素人考えじゃないですか。こういう判断について、環境監視検討委員会の意見をちゃんと聞きましたか。専門家の意見を得てそういう判断をしたんですか。この間より重いのをつくればサンゴを傷つけないというのは、こんな素人判断でやるのはおかしいじゃないですか。

 だから、今、重たい、大きなアンカーを海底におろしてボーリング調査をするのは中止して、専門家の意見を聞くべきだと言っているんです。どうですか。

 

○中谷国務大臣

 台風の結果につきましては、本年の一月六日に開催をしました環境監視委員会で議論をいたしております。

 現在、沖縄防衛局において討議内容の確認を行っている段階でございますので、その指摘に対して調査を行いまして、必要な作業が終わり次第、この調査結果もあわせて公表してまいりたいと思います。

 

○赤嶺委員

 ですから、調査結果がまだ出ていないうちに、次は大きなトンブロックをアンカーにすれば大丈夫だというような考え方は安易であります。

 何のために環境監視検討委員会を置いたか。そういう工事の際にも環境の保全をきちんとやっていくんだ、専門家の意見を聞きながらやっていくから大丈夫だとおっしゃっていたじゃないですか。何で今、そういう検討委員会の意見も聞かないで、ああいう大きな、トンブロックのようなアンカーをどんどん海底に投げ込んでいるんですか。

 工事を中止すべきではありませんか、専門家の意見を聞くという手続をとるべきではありませんか、防衛大臣。

 

○中谷国務大臣

 一月六日に環境検討委員会でこの点の御指摘がありました。これにつきましては調査をしてまとめているわけでございますが、現時点におきまして、環境等の問題につきましては、定められた基準の範囲内で実施をしているところでございます。

 

○赤嶺委員

 強く中止を求めていきたいと思いますが、海の中には、そういう専門家の意見も無視した工事の強行、そして、去年一年間、民意が示されたにもかかわらず、辺野古が唯一の解決策だと言って聞かない総理の態度、これに対して抗議の声が起こるのは当然であります。県民は、絶対に屈しないという立場で新基地建設反対の抗議闘争に立ち上がっています。

 そこで、国土交通大臣に伺いますが、今、海上でも、キャンプ・シュワブのゲート前でも、民意を無視した基地建設の強行に反対して、何百人もの県民が駆けつけ、抗議行動を続けています。バスに乗って普通の市民が駆けつけ、座り込みに参加したり、時にはカチャーシーを踊ったり、粘り強く抗議活動や説得活動を続けております。私のような、ほかの国会議員や、あるいは全県の地方議員も何度も足を運んでおります。

 ところが、今、現地で問題になっていることがあります。海上保安庁による警備のあり方です。

 時には、十五隻もの巡視船が沖合に停泊をしています。なぜこれほどの警備体制が必要なのか。まるで、水平線に巡視船が並んで見張っている、沖縄戦のようだ、こういう感想を漏らすお年寄りも少なくありません。米軍基地の中に海上保安庁は拠点を設けて、米軍基地の中から出てきて抗議活動に圧をかけるというやり方を繰り返しております。海上保安庁はいつから米軍や防衛省の警備員になったのかという声が、現地からも上がっております。

 海上保安庁は何のためにあの海域に出ているのですか。

 

○太田国務大臣

 工事が、船あるいは工事のものが入るということの中での、いわゆる現場海域における安全ということを最優先に考えるというのが私たちの姿勢でございます。

 普天間飛行場代替施設関連事業に関して、そうした事故にならないように、これは陸上でもそうですが、工事があったところで事故等が起きやすいということがありますから、それらについて法令の遵守の観点から適切に対応していくという姿勢をとっている。

 そして、私も、過剰警備ということのないようにということで、海上保安庁に対しては平素からしっかりと伝えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 安全確保と法令の励行が目的だ、こういうことですが、逆に、海上保安庁による警備活動によってけが人が続出しております。

 きょう、資料を一枚配付いたしました。これを見ていただきたいと思いますが、二十三日付の地元紙の新聞記事のコピーです。

 今月の二十日、映画監督の影山あさ子さんが抗議船に乗船し、海上作業の様子を撮影していました。そこに海上保安官が乗り込んできて、影山さんに馬乗りになって、左足で押さえつけて、影山さんのカメラに手を伸ばして執拗に奪おうとしています。海上保安庁は、海中転落のおそれがあり危なかったからだと説明をしていますが、この写真を見て、大臣、どのように思われますか。

 

○太田国務大臣

 どう思ったかというよりは、今、女性に馬乗りになって、海上保安官の対応によって市民との衝突が多発してけが人が出ているというような報道があったりいたします。

 海上保安庁におきましては、現場海域の安全確保と法令の遵守の観点から適切に対応しておりまして、そのような事実は確認をされていないという報告を受けています。

 この写真にある件に対しまして、これは、動揺する小型船のへりにいた女性の身体を保持するための行為である、このような報告をいただいております。それは、現実にそういうことのようでございます。

 

○赤嶺委員

 国交大臣、この問題では、海上保安庁が認識の過ちを認めて私に謝罪したことなんですよ。

 法令遵守だとかそういうことで間違いなくやっていると言いますが、この写真、最初は一枚だったんです。最初は一枚だったから、いろいろなことを言いました。今の大臣の答弁とは違う答弁をしていたんですよ。つまり、ここでは、女性をまたいで船体後部へ通り抜けようとしただけだと説明をしました。つまりは、船長のところに行こうとしてこういう場面ができていた、一瞬のことだと言いました。

 そうしたら、メディアは連続写真を発表したんです。連続写真を発表したら、女性の前を通って後方部に行こうとしているどころか、女性の後ろから左足を肩にかけて、まさに馬乗り状態で、手はカメラを取り上げようとしているんですね。そして、顔がちょっと横を向いているのは、船長が激しく抗議しているから横を向いているだけの話であって、これは、明らかに馬乗りになって、そして映画監督のカメラを取り上げようとして、やった。

 大体、船に乗り込んでいる人が危ない場合に、第一義的に、これは危ないからやめなさいと言うのは船長の役割であり、海上保安官がやるとしたら、その船長の役割を無視して、船に飛び乗って襲いかかっていくのが海上保安官の役割ですか。これは明らかに乱暴な過剰警備、乱暴な行為じゃないですか。どうですか。

 

○太田国務大臣

 当然、そうした危ない行為はしないようにということについても忠告はしながらのそうした現実が起きたということでありますが、写真の見方であろうと私は思います。

 あくまで、動揺する小型船のへりにいた女性の身体を保持するということがこの写真の行為であるという報告を受けております。

 

○赤嶺委員

 大臣、船に乗っている人が危ないことをしたときに注意をする役割は、船長が第一義的に持ちますよね。そして、あなたが乗っている船であの人が危ない行為をしているからとめなさいというのも、船長に対して言うべきですよね。これは、突然女性に襲いかかっているんですよ。どうですか。手順が間違っているんじゃないですか。

 

○太田国務大臣

 現場のことでありますので、どういう状況で、どういう形でなったかということについては十分承知はしておりませんが、遠くにそうした方たちがいるときでも、入ると危険であるということについて常に警告をしているというのは、まず前段階で当然なされていることだと承知しています。

 

○赤嶺委員

 これは、立入禁止区域の中で起こっている行動じゃないんです。立入禁止区域の外で抗議活動をしている人たちに対して、海上保安官がこのような形で襲いかかっているというものであります。大臣に、海上保安官による過剰で暴力的な警備活動をやめさせるよう強く求めたいと思います。

 そもそも、海上保安庁が海難事故での救命活動や離島の急患輸送など大事な役割を果たしていることは、県民の間でもよく知られています。ところが、今回の件で、海上保安庁に対する信頼が失われています。極めて残念だという声も、現場の抗議闘争をしている人たちの間からも上がっております。

 このような乱暴な、しかも抗議運動を抑えるような乱暴なやり方は、警察でも海上保安庁でも絶対にやってはいけない、こういう行為で決して県民は抗議行動を諦めることはないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、環境アセスの問題について聞いていきたいと思います。

 防衛大臣も、先ほどは、法令に従って埋立許可をもらったんだという答弁がありました。本当に法令に従ったやり方であったかどうか、これは検証の必要があります。

 総理にまず伺いますが、政府は、前知事から埋立承認を得たのだから法令に基づいて粛々と進めると繰り返し発言をしておりますが、総理は、辺野古の新基地に関して行われた環境アセスは適切なものだったという認識ですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 政府としては、法令に基づいて、プロセスを踏んで作業を進めていく、これは当然のことであろうと思います。

 

○赤嶺委員

 環境アセスの手続というのは、方法書や準備書や評価書という段階を踏みながら、それぞれの段階で自治体や住民の意見を反映させながら進められていきます。

 防衛大臣に伺いますが、そもそもなぜこのような手続を踏むことになっているのか、どういう認識をお持ちですか。

 

○中谷国務大臣

 辺野古の方の埋め立てを決定したのは平成十四年でありまして、もう十年近くなってまいりますが、この間、防衛省としましては、時間をかけて丁寧に沖縄県側と接触をし、交渉してまいりました。

 そういった手順の中で、環境影響評価でありますが、平成二十三年の十二月に公有水面の埋め立て、平成二十四年の一月に飛行場及びその施設の設置の環境影響評価書の送付、そして同十二月に補正後の環境影響評価書を送りまして、平成二十五年の三月に公有水面埋立承認願書、認めてもらう書を提出いたしまして、法律に基づいて手続を進めているところでございます。

 

○赤嶺委員

 環境アセスが方法書や準備書や評価書という段階を踏んで慎重な手続をとっていく、これは科学的で客観的な調査を行い、適切な環境保全措置をとるために、それぞれの調査の段階で自治体や住民や専門家の意見を聞く制度になっているわけです。

 ところが、辺野古の環境アセスは、この制度の趣旨を無視した大変乱暴なものでした。方法書で調査方法を示して、住民や専門家の意見を受けて調査方法を確定すべきところを、辺野古の場合は、方法書の提出の前に、政府が事前調査と称してアセス手続とは別の環境調査を行いました。

 防衛大臣、その事実は確認できますね。

 

○中谷国務大臣

 この問題は、那覇の防衛施設局が沖縄県と随時話し合いをしながら進めておりまして、まず、平成十九年の八月から二十四年の十二月までの環境影響評価に係る手続の中で、県知事から六回の意見をいただきました。適切に評価の内容に反映をしていると考えております。

 そして、二十五年の三月にこの承認願書を知事に送付して十二月に承認を受けるまで、防衛施設局へ四回質問がありましたが、これも適切に、誠実に回答を行ったわけでありまして、十分に時間をかけて沖縄県からの御意見を聴取する手続を踏んでまいりました。

 

○赤嶺委員

 中谷大臣、今のお答えは私の聞いたことではないんです。

 私のさっきの質問は、方法書の手続に入る、これは環境アセスの手続の最初の段階です、その最初の段階に入る以前に防衛省は手続を無視して事前の環境調査に入っていた、これは間違いないですねということであります。

 

○中谷国務大臣

 もしそうであれば、沖縄県から認めはいただけなかったと思います。きちんとそういった面も含めまして説明をし、手順を踏んで沖縄県から認めていただいたというふうに認識しております。

 

○赤嶺委員

 そういう乱暴なやり方があったにもかかわらず埋め立てを承認したということで、仲井真知事はあの知事選挙で県民から不信任を受けたわけであります。

 その事前調査というものについて、防衛省はどういう態度をとったか。これは、海上自衛隊の掃海母艦まで出動させて強行した環境調査でありました。

 専門家が当時厳しく指摘したのは、調査方法がでたらめだということでした。サンゴの産卵状況を調べるための機材が設置されましたが、その機材がサンゴを破壊していたのが発見をされました。ジュゴンの生息状況を記録するためのビデオカメラは、ジュゴンの通り道を塞ぐようにして百十二箇所も設置をされました。ジュゴンを追い払った後でアセス調査を行い、付近にジュゴンは生息していないと結論づけるものでありました。これに対しても厳しい専門家の指摘がありました。乱暴な方法で海域を攪乱してしまったわけです。アセス法違反、史上最悪のアセスという厳しい批判が相次ぎました。

 防衛大臣、重ねて聞きますが、環境アセスの手続を踏まないで事前調査をやり、軍艦まで辺野古の海に派遣してサンゴの調査だとかあるいはジュゴンの調査だとかをやった、追い払った後にジュゴンがいないということをやった、そういうのは余りにも環境アセスの手続を踏み外したものであり、その後の環境保全策にも影響を与えたということになるのではないかと思いますが、いかがですか。

 

○中谷国務大臣

 お言葉でございますが、十分丁寧に環境アセス調査を実施いたしました。平成十九年の八月に方法書をまず送付して公告縦覧、そして二十年に現地調査、そして認めてもらうのが、平成二十四年なんですね、公告縦覧、これを承認いただく。十分これは時間をかけました。その間、こういった手続に瑕疵とか不備がありましたら当然沖縄県の方から御指摘があるわけでございますが、そういった審査を経過して認められたというふうに認識しております。

 

○赤嶺委員

 方法書以前のことを質問したら方法書から話を始めて、これはもう瑕疵があったことをみずから認めるような答弁のやり方ですよ。私が聞いているのは、方法書以前の話を聞いているわけです。

 中身もひどいんですよね。中身は、二〇〇七年に、言われた方法書が提出されました。沖縄県からは、余りにも不備だということで、二度にわたって追加・修正資料を提出せざるを得ませんでした。評価書の提出は二〇一一年の年末でありましたが、沖縄防衛局の局長と職員が未明に県庁の守衛室にこっそり運び込んでいたというものでありました。

 その中で、配備される機種について、方法書の段階から示さなければならないのに、最初は辺野古に配備される機種はCH46ヘリで行われて、最後の評価書の段階になってオスプレイに変更になりました。住民や専門家から意見を聞く手続は終わった後でありました。
 防衛大臣、後になってオスプレイを示した、その点は間違いないですね。

 

○中谷国務大臣

 オスプレイの配備につきましては、平成二十三年の六月のアメリカの国防省による発表に至るまでは、米側から一貫して、沖縄への同機の配備は、可能性としてはあるものの、具体的に決まっていない旨連絡を受けたところでございまして、まず承知をしていなかったということです。

 それから、CHとオスプレイの話が出ましたが、オスプレイの方が騒音は低いです。静かです。したがって、CHとオスプレイの騒音の比較においては、オスプレイの方がその被害は私は低いものだと認識をいたしております。

 それから、この手続につきましては、御指摘のように何度も沖縄県から御指摘がありまして、手続を踏んでやったものでありますので、私どもにおきましては、埋立承認に至るプロセス、そういった法的な問題、瑕疵があったというふうに考えてはおりません。

 

○赤嶺委員

 オスプレイが配備されるのを知らされたのはつい最近のことであって、ヘリよりもオスプレイの騒音は静かだという個人的見解を述べられましたが、アメリカのデータなんですね。だって、CHのヘリの場合には、実際に飛ばして見せたんですよ、辺野古の海を。オスプレイはやりましたか。何の実証も検証もやっていない。やっていないのに、私はあれは静かだと思いますと。そんな、検証なしに、それが、騒音被害がどうなるかという意見を封じるのは、これ自身が瑕疵ですよ。

 しかも、オスプレイが知らされたのは最近になってだと言いますが、アメリカは平成八年からオスプレイの配備については日本政府に示しておりますよね。日本政府が、事故ばかり起こしているオスプレイの配備を、今辺野古に配備すると持ち出したら、これは反対運動がさらに大きくなるからそれはやめてくれと言って、SACO合意の草案にはオスプレイの配備とはっきり書かれていたわけですよ。それがSACO合意の発表の平成八年ですよ。ずっと以前のことですよ。それが、オスプレイが消えてなくなった。

 しかし、アメリカの資料によると、もう既に、これは一九九七年の資料ですが、SACO合意の翌年に発表されたアメリカの資料ですが、オスプレイがちゃんと配備されている写真も並んでいるわけですよ。

 環境アセスを徹底して、県民の意見も反映してやるというのであれば、配備される機種についても、きちんとオスプレイであるということを方法書の段階から示すことは可能でありました。これを県民に隠したのではありませんか。

 

○中谷国務大臣

 とんでもございません。オスプレイにおきましては、平成二十三年の六月六日の米国防省の発表後に我が国としては承知をしたわけでございまして、オスプレイの我が国における飛行運用に関しまして、地元に十分な配慮がされて最大限の安全対策をとることについては、平成二十四年九月に日米合同委員会で合意をいたしているわけでございまして、その後、政府としては国民に丁寧な説明を行ったということでございます。

 

○赤嶺委員

 平成八年のころから既に日米間でオスプレイが話題になって、隠し続けて、いや、わかったのは最近のことだ、隠していたなんてとんでもない、そういう言い分が通りますか。

 私は、中谷さんとずっと安保委員会でやってまいりました。もう十数年前からオスプレイの配備について、時には中谷大臣に答弁を要求し、時には一緒の委員席でやってまいりました。

 もう十年も前からオスプレイの配備についてはアメリカでは決まっていた。決まっていたにもかかわらず、環境アセスは最後の段階になって持ち出してきた。そして、県民が意見を言う機会もなくなった。

 こういうような、一事が万事、乱暴なアセスは法にかなったものではない、辺野古の新基地建設は法律上の手続の面でも大いに問題があり、直ちにやめるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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