国会質問

質問日:2015年 1月 30日  第189国会  予算委員会

論戦ハイライト 新基地建設に道理なし 「これでも民主主義の国か」 衆院予算委 赤嶺議員が追及

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は1月30日の予算委員会で、辺野古新基地建設に向けた作業を強行する安倍政権に対し、断固反対する「オール沖縄」の民意をぶつけました。

沖縄の民意

赤嶺 “真摯に受け止めている態度ではない”
首相 “辺野古以外に道はない”

 辺野古新基地建設反対。これが選挙のたびに疑いようのない形で、明確に示されてきた「オール沖縄」の民意です。(別項)

 安倍政権は、選挙結果を「真摯(しんし)に受け止める」(首相)といいながら、建設工事への抗議活動を続ける県民を強制排除し、海上作業を再開しています。

 安倍晋三首相 一日も早く「移設」を進めることが普天間基地の危険性の除去につながる。

 赤嶺議員 真摯に受け止めている態度ではない。民意と関係なく、問答無用で基地建設を強行する。それが(首相の)やっていることだ。

 普天間基地の辺野古「移設」で負担が減ると、破綻した見解を再三にわたって説明した安倍首相。赤嶺氏は「そういう政府のごまかしにノーの審判を突きつけたのが昨年の選挙の結果なのだ」と厳しく批判しました。

 安倍首相は「『他に道がない』と説明したが、十分伝わっていなかった」と弁明。伝わっていないと言いながら、首相は翁長雄志(おながたけし)知事からの繰り返しの面談要請を拒絶し続けています。これにも赤嶺氏は鋭く迫りました。

 赤嶺 有権者の負託を受けて当選した知事だ。まずは会って話を聞くべきだ。

 首相
 総選挙等々があったので面会の機会がなかった。今後、連携を深めていくなかで、対話の機会が設けられていく。

 赤嶺 民主主義の国なのか。民意を尊重するのは当たり前だ。直ちに会うのがスジだ。

 翁長知事は26日、前知事の行った辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会の設置を発表し、検証作業中の工事中止を求めました。一方、政府は現在、辺野古の海に長さ300メートル、幅25メートルの「仮設桟橋」を設置しようとしています。ダンプトラック5000台分の石材を投入するとされています。

 「事実上の埋め立て工事だ」。赤嶺氏の追及に対して、中谷元防衛相は「(ボーリング)調査等の工事に必要なものだ」と居直りました。

 作業もずさんです。例えば、昨年10月の台風19号で、フロート(浮具)を海底に係留する重さ160キロのアンカー(錨(いかり))がサンゴを損傷。248個のアンカーのうち、120個が行方不明となっています。

 赤嶺 まず作業を中止し、被害状況や再発防止策を明らかにすべきだ。

 中谷防衛相 アンカーが流れないよう重量を増やす。

 赤嶺 “重いアンカーならサンゴを傷つけない”という素人判断だ。ボーリング調査は中止すべきだ。


海保の妨害

赤嶺 “いつから米軍・防衛省の警備員になったのか”
国交相 “過剰にならないようにと伝えている”

 辺野古では米軍新基地建設に抗議する県民への海上保安庁(海保)による過剰な警備が問題になっています。

 赤嶺氏は、海保が15隻もの巡視船を沖合に出し、高齢者からは「まるで沖縄戦のようだ」との声が上がっていることを紹介。そのうえで海保が米軍基地内を拠点として出動し、住民の抗議活動や報道機関等による取材活動を暴力的に威圧・妨害していることを取り上げました。

 赤嶺
 「(海保は)いつから米軍や防衛省の警備員になったのか」との声が上がっている。何のために海域に出ているのか。

 太田昭宏国交相 
現場海域の安全を最優先に考えている。過剰警備にならないようにと伝えている。

 赤嶺氏は「『安全確保』と言うが、逆に警備活動によってけが人が続出している」と述べ、暴力的な警備活動の事例を紹介しました。

 今月20日に海上保安官が抗議船に乗りこみ、映画監督の影山あさ子さんに馬乗りして押さえつけ、カメラを奪おうとする事態が発生。地元紙はこれを4枚の連続写真で報じました。

 赤嶺氏は、海保は当初「女性をまたいで船体後部へ通り抜けようとしていた」としながら、連続写真が報じられると説明を変えたことを指摘しました。

 赤嶺 足を肩にかけてまさに馬乗り状態だ。明らかに過剰警備だ。

 太田 
写真の見方だと思う。女性の身体を保持するための行為と報告を受けている。

 赤嶺氏は、現場が、政府の設定した立ち入り制限区域外であることにもふれ、「暴力的な警備活動をやめさせるべきだ」と求めました。

ずさんなアセス

赤嶺 “軍艦まで派遣して、ジュゴン追い払った”
防衛相 “丁寧に調査した”

 赤嶺氏は新基地建設に伴う環境アセス(影響評価)のデタラメをただしました。

アセスは方法書、準備書、評価書という段階を踏みながら、それぞれの段階で自治体や住民の意見を反映させて進めるのが本来の手続き方法です。ところが、防
衛省は2007年、アセスの第1段階である方法書提出以前に、海上自衛隊の掃海母艦まで出動させて環境調査を強行。しかも、そのやり方は専門家が「史上最
悪のアセス」と指摘するほど乱暴なものでした。(別掲)

 赤嶺氏は、専門家が“ジュゴンを追い払った後で調査し、付近にジュゴンは生息していないと結論付けたものだ”と指摘していることも示し、「乱暴なやり方で海域をかく乱してしまった」と指摘しました。

 赤嶺 軍艦まで派遣して、ジュゴンを追い払って調査をする。あまりに手続きを踏み外したものだ。

 中谷元防衛相 丁寧にアセス調査をした。

まともに答えられない防衛相。赤嶺氏は、他にも▽方法書は2度にわたって追加・修正資料を提出▽未明に県庁の守衛室に運び込んで評価書を提出▽最後の評価
書段階で配備機種をCH46ヘリから垂直離着陸機オスプレイに変更―など違法・不当なアセス手続きだったことを指摘しました。

 なかでも、オスプレイの配備は、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意の草案に明記されていたことが判明しているとして、次のように迫りました。

 赤嶺 配備機種がオスプレイであることを方法書の段階で示すことが可能だったのに、県民の反発を恐れて隠したのではないか。

 防衛相 オスプレイ(の配備)は平成23年(2011年)6月6日の米国防省の発表後に承知したことだ。

 赤嶺氏は十数年前からオスプレイの配備について国会で指摘し、中谷氏に答弁も求めてきたとして、「そんな言い分は通らない」と批判。「新基地建設は法律上の手続きにも問題があり、ただちに中止すべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2015年1月31日)

 「史上最悪のアセス」
 ・サンゴの産卵状況を調べるための機材がサンゴを破壊
 ・ジュゴンの生息状況を記録するためのビデオカメラがジュゴンの通り道をふさぐ

 

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