日本共産党の赤嶺政賢議員は2月14日の衆院予算委員会で、日米首脳会談の共同声明に「辺野古が唯一の解決策」と明記したことを厳しく批判し、普天間基地(沖縄県宜野湾市)の即時閉鎖、辺野古新基地(同県名護市)の建設断念を求めました。
赤嶺氏は、中東イエメンでも墜落事故(1月29日)を起こしたMV22オスプレイの危険性を指摘し、「これ以上沖縄の空を飛びまわることは許されない」と強調。安倍晋三首相と仲井真弘多前知事が合意した「普天間基地の5年以内の運用停止」(期限=2019年2月)を、日米首脳会談で取り上げたのかと追及しました。
首相は、「トランプ大統領とのやりとりの詳細は差し控える」とした上で、「翁長(雄志)知事は(前知事の辺野古)埋め立て承認を取り消し、移設をめぐる状況は変化している」と、翁長知事に責任をなすりつけました。
赤嶺氏は、「政府はできることは全てやるとしながら、翁長知事の協力がないから運用停止ができないとは理由にならない」と厳しく批判しました。
さらに赤嶺氏は、政府が13~17年度までに「思いやり予算」約56億円を投じて、普天間基地の補修工事を進め、戦前の墓地や古井戸などの集落跡を敷きならして新たに調整池の整備を進めていることを指摘。さらに運用停止期限を超えて米軍の19施設の補修を計画していること(昨年8月公表)を示し、「運用停止の約束は放棄したのか」と迫りました。
防衛省の深山延暁地方協力局長は「普天間の固定化につながるとは考えていない」と述べました。
赤嶺氏は、戦後の日米安保体制下で米軍による事件、事故が繰り返されてきたことをあげ、「沖縄の基地を恒久化する計画は認めるわけにはいかない」と力をこめました。(しんぶん赤旗 2017年2月15日)
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「普天間」即時閉鎖せよ 停止期限超え大規模改修 (衆院予算委)
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
日米首脳会談について質問をいたします。
総理はトランプ新大統領と会談し、日米同盟を一層強化する方針を確認しました。
総理に伺いますが、今回の会談で、昨年十二月に沖縄で米軍のオスプレイが墜落し、県民の不安が高まっている問題については話し合われましたか。
○安倍内閣総理大臣 オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であります。
トランプ大統領とのやりとりを明らかにすることは控えますが、私からは、沖縄の負担の軽減の重要性について私の考えをじっくりと説明したところであり、また沖縄の人々の経てきた歴史等についても説明をいたしました。
その中において、米軍再編を進めていく中において沖縄の基地負担の軽減を進めていくべきだ、全体面積の〇・六%の面積の中で七割以上の米軍基地が集中をしているという話もしたところでございまして、沖縄の負担の軽減のためにも日米でともに協力をしていきたい、こういうことについてははっきりと申し上げたところでございます。
○赤嶺委員 総理は、沖縄について語られるときに負担の軽減、米軍再編、そういう言葉は繰り返しますが、起こったばかりの生々しいオスプレイの事故についてどう語ったのか、全く明らかでありません。
私は、先月二十七日の予算委員会でこの問題を取り上げました。ところが、その後、今度は中東のイエメンで米軍のオスプレイが墜落をいたしました。関連の報道記事と米軍のプレスリリースを配付させていただいております。
一月二十九日の未明に、トランプ政権発足後初めての対テロ奇襲作戦が行われました。アルカイダとの銃撃戦になり、一人の米軍兵士が死亡、三人が負傷し、子供たちを含む民間人が巻き添えになりました。今、このことは、アメリカの国内やイエメンで大きな問題になっております。
このとき、地上の米軍兵士からの救助要請を受け現場に向かったオスプレイ二機のうち一機が、出力を喪失し、激しく地面にたたきつけられました。二人の搭乗員が負傷したとされています。オスプレイは飛行不能となり、米軍のミサイルで意図的に破壊をされました。米軍は、今回の墜落をハードランディング、このように言っておりますが、二〇一五年にハワイで墜落事故を起こしたときにも同じ言葉を使っておりました。
総理に伺います。
危険きわまりないオスプレイがこれ以上沖縄の空を飛び回ることは、絶対に許されません。ましてや、市街地のど真ん中にある普天間基地はオスプレイの拠点基地であるわけですが、直ちに閉鎖を求めるのは当然であります。
政府はこれまで、普天間基地は五年以内に運用を停止する、このように言ってまいりました。今回の会談でそのことは取り上げたんですか。
〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 トランプ大統領とのやりとりの詳細についてはお答えすることは差し控えさせていただきますが、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については、先ほどもお話をさせていただいたとおりであります。
そして、仲井真前知事から御要望のあった普天間の五年以内の運用停止については、政府としても、辺野古に移設されるまでの間の普天間の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真知事と共有したものであります。このため、仲井真前知事からいただいた埋立承認に基づき辺野古への移設を進める中、米国という相手があることではありますが、できることは全て行うとの姿勢で取り組んできたところであります。
他方、翁長知事はこの埋立承認を取り消し、普天間の移設をめぐる状況は当時と変化しているところでありますが、政府としては、五年以内の運用停止の実現のためには、辺野古移設について地元の御協力が得られることが前提であると考えています。
いずれにせよ、抑止力を維持し、負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまでどおり進めていく考えでありまして、普天間飛行場の危険性についてはトランプ大統領にも説明をいたしました。その中で、事故があってはならないという中において我々は普天間の移設を必ずやり遂げなければならないという中において、辺野古が唯一の解決策であるということにおいては日米で一致したところでございます。
普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針のもと、約二十年越しの懸案であるこの普天間飛行場の全面返還を実現するために、引き続き全力で取り組んでいく考えであります。
○赤嶺委員 五年以内の運用停止というのは、前の仲井真知事と安倍首相とのいわば中間的な合意なんですね。その合意をするときに、辺野古の新基地建設に協力するとか、そんな条件は一切ついていないですよ。
仲井真知事は、とにかく辺野古を承認いたしましたが、辺野古に新基地がつくられる以前でも、五年以内に運用を停止すべき危険な基地と。そして総理も、できることは全てやると言ったじゃないですか。全てやると言ったのに、ここに来て翁長知事を持ち出して、翁長知事の協力がないからと言うのは、これは理由が通りません。
今度の訪米に当たって、宜野湾市長が総理官邸を訪ねております。新しいトランプ政権に五年以内の運用停止を要請してくれ、このように宜野湾市長は申し入れております。一切の条件はついていません。ちゃんと話し合ったんですか。
○安倍内閣総理大臣 今、翁長現知事と仲井真知事の違いについて説明をさせていただきました。
仲井真知事は、いわば普天間飛行場の辺野古への移設について基本的には協力をしていただく中においてさまざまな協力をし、それを進めていくために私たちと一緒になって考えるということで、彼の条件を私たちも進めていくということになったわけでありますが、残念ながら現知事は、根本のところで全く御協力をいただけないわけでございます。つまり、一緒に考えることができなくなっている中において、この五年ということは難しい状況になっております。
しかし、その中においても、私たちは、オスプレイの整備については千葉県の木更津において行う、あるいは訓練については沖縄以外の地域で行うということ等についても、負担の軽減を進めていきたい、こう思っているわけでございますし、事実、空中給油機については、十五機、山口県の岩国に全機移転されたわけであります。これは長年できなかったわけでございますが、地元の理解を得てなし得たわけでございます。
こういうふうに、私たちは、できることは今全てやるというつもりで全力を尽くしているところでございます。
○赤嶺委員 約束したことをやらないで、しかも、運用停止は大事だ、辺野古新基地建設以前に大事だということを、仲井真知事にそのときも総理自身がおっしゃったんですよ。そのときに何の条件もつけていないですよ。やれることは全てやると言った。ところが、五年以内の運用停止ができなくなったから、今度は翁長知事の責任だと言い出す。余りにも無責任じゃないですか、それは。
自分たちができなかったことを民意に従って勇気を持って県民の立場で主張している翁長知事を批判する立場には総理はないということを、強く申し上げたいと思います。
それで、普天間基地の五年以内の運用停止ができなくなったら何をやっているか。今政府が実際にやっているのは、普天間基地を使い続けるための大規模改修であります。
政府は、二〇一三年度から来年度までの五年間で、思いやり予算約五十六億円を投じてさまざまな改修工事を行っています。その一つに、雨水排水施設の整備があります。
防衛大臣、具体的にどういう事業か説明していただけますか。
○稲田国務大臣 現在実施しております普天間飛行場における補修事業については、平成二十四年四月二十七日の2プラス2共同発表を受け、普天間飛行場代替施設が完全に運用可能となるまでの安全な任務能力の保持、環境保全等の目的のために、日本側において、必要最小限かつ緊急性が高いものなど五つの補修事業を実施することとしたものです。
このうち、御指摘の雨水排水施設の改修については、同飛行場内の既存の雨水排水路の許容量を超える雨水の流入により特に格納庫付近で冠水被害が発生している状況であることから、このような状況を防止または軽減するため、近年の降水量や同飛行場内の既存の排水溝の排水能力を踏まえ、平成二十五年度から調査を実施し、平成二十九年度にかけて、格納庫地区に約五万トンの容量の調整池を整備するものでございます。
○赤嶺委員 政府が今、雨水排水施設を設置している場所の問題があります。ここは、戦前、神山という集落があったところです。防衛省の提出資料も配付しておりますが、資料の中で格納庫側と書かれているところです。
沖縄戦の後、収容所から戻ってきた集落の人たちは、ふるさとを米軍基地にとられ、周辺の狭隘な土地に居を構えざるを得ませんでした。それでも、基地の中には当時の生活をしのばせるウタキ、信仰の場ですね、あるいは墓地、古井戸などが残っていました。屋敷跡もありました。ところが、政府は、今度の雨水排水施設の工事の中で、それらを全部敷きならして新たな施設整備を進めているわけです。
戦後七十年余り、この地域で雨水排水施設の整備など全く行われてきませんでした。これから返還しようというときに、五年以内の運用停止が言われているときに、なぜ、ふるさとへの思いがこもった集落跡を壊して新たな事業をやるんですか。直ちに中止すべきではありませんか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
工事につきまして大臣から概要を申し上げましたが、先生の御指摘にありました予定地は、神山古集落跡地という文化財が残されている地区であると承知しております。
このため、宜野湾市教育委員会と調整の上、平成二十七年三月から二十八年三月の間、文化財の試掘調査を実施いたしました。今後、発掘調査を行う予定としております。
今後、発掘調査を実施した結果、重要な遺構等が発見された場合には、その保存等について、別途、関係自治体と協議してまいる所存でございます。
○赤嶺委員 文化財の調査の問題じゃないんですよ。目の前に自分たちが住んでいた集落がある。集落の人たちは、お年寄りから聞き取りをしながら、いろいろ、ここにどんなサーターヤー、砂糖の製糖、小さなものがあったとか、馬小屋があったとか、あるいは村の人が集まる村屋があったとか、それぞれ、文化財以前に、自分のふるさとが目の前にある、もうすぐ返ってくるかもしれない、返ってきたら、自分たちがもといた場所に住める、そこを全部ひっくり返してやっているわけですね、目の前で自分たちのふるさとが壊されていく、こんなのを見て我慢できますか。
しかも、報道によりますと、防衛省は、二、三年かけて新事業を実施する見通しを示しています。運用停止の期限が二〇一九年二月、この工事はそれを超えるんですよ。もともと、運用停止を五年以内にできなかったのは翁長知事の責任だといいながら、あなた方は、運用停止期限を超える、そういう改修、補修工事、大規模ですよ、やっているじゃないですか。全くやる気がなかったというようなことのあらわれじゃないですか。五年以内に運用停止の約束は放棄したということですね、総理。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
本工事も含めまして、追加的な補修事業については二年から三年程度で完成することを基本といたしまして、現有機能維持を目的とした補修とすることを念頭にいたしておるところでございまして、今御指摘のように普天間飛行場の固定化につながるものとは考えておりません。
防衛省としても、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えております。引き続き、同飛行場の移設に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 あきれた答弁ですよ。五年以内の運用停止の期限である二〇一九年二月を超える工事をやっておきながら、固定化につながるとは考えていませんと言う。こんなでたらめな答弁が許されるはずないんですよ。
総理も、勢いよく翁長知事を批判するぐらいなら、答弁に立ったらどうですか。答弁に立ちもしないで、批判するようなことは許されないですよ。
今回の共同声明には、辺野古が唯一の解決策ということが明記をされました。首脳レベルの共同声明に明記されたのは、今回が初めてであります。その目的は、長期的で持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものとするため、このように書かれております。
総理は、戦後の日米安保体制のもとで、米軍に関係する事件、事故が一体どれだけ発生しているか御存じですか。
○安倍内閣総理大臣 突然の御質問でございますから、お答えできません。
○稲田国務大臣 防衛省が日米地位協定第十八条に基づく損害賠償等業務を実施する上で知り得た米軍による事件、事故の発生件数は、旧安保条約が発効した昭和二十七年度以降平成二十八年十一月末までに全国で約二十一万件であり、うち公務上が約五万件、公務外が約十六万件でございます。
○赤嶺委員 戦後、二十一万件以上の事件、事故が発生し、千人以上の人が犠牲になっているわけです。
ところが、今防衛大臣の答弁で挙げられた数字には、沖縄が本土に復帰する前に発生した事件、事故は含まれておりません。本土から切り離され、米軍の統治下に置かれていたからです。
私も、総理とトランプ大統領の深夜の記者会見をテレビで見ておりました。トランプ大統領が記者会見で、日本国民が米軍駐留を受け入れてくれていることに感謝する、このように述べたときに、私は本当に胸がどきりといたしました。どこかで聞いたせりふ。私はこの言葉を聞いて、占領下の、米軍将校が私たちの学校にやってきて、皆さんのとうとい犠牲があるから極東の平和と安全が守られる、感謝する、このように繰り返しておりました。
長期的で持続可能な米軍のプレゼンスといいますが、政府は、一体いつまで沖縄に基地を置き続けるつもりですか。
〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍内閣総理大臣 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しているのは事実でございます。かかる状況に鑑みまして、安保条約と日米地位協定に基づく在日米軍の存在が重要であり、日米同盟を不断に強化していく必要があります。今回の首脳会談で、トランプ大統領との間でこれらを確認しました。
現在我が国を取り巻く厳しい安全保障環境が残念ながら改善される見通しはなく、長期的がいつまでかということについて、具体的な期間を申し上げられる状況にはありません。揺るぎない日米同盟のきずなをさらに強化していく必要があると考えております。
○赤嶺委員 先日来日したマティス米国防長官は、日米同盟は恒久的なもの、このように述べました。戦後七十年以上を経て、耐用年数二百年の新たな基地を建設し、沖縄の基地を恒久化する計画は絶対に認めるわけにはいきません。
日米同盟を一層強化すると言いますが、軍事対軍事の悪循環に陥ってはならないと思います。大事なことは、周辺諸国との間にある意見の違いやもめごとを一つ一つ話し合いで解決し、東アジアに平和的な環境をつくることであります。危険な普天間基地は直ちに閉鎖し、辺野古新基地はきっぱり断念することを強く求め、質問を終わります。