全国注視の沖縄県議選告示(6月7日、16日投票)まで1カ月と迫りました。岸田政権が辺野古新基地建設に向けた「代執行」を強行し、他国攻撃のミサイル配備を狙うなど、沖縄を報復攻撃の危険にさらし、戦場にしかねない軍備大増強を進める中で争われます。沖縄を二度と戦場にさせないと訴える玉城デニー県政与党の日本共産党は、現有7議席の絶対確保をめざし、過半数奪取を狙う自民・公明などと対決する大激戦の様相です。
必死の自公維 攻勢強める
衆院3補選の投開票から一夜明けた4月29日以降、自公と日本維新の会の候補ら県政野党陣営の街頭に繰り出す姿が目立ち、選挙が一気にヒートアップしてきています。
自民現職の一人は、同党国会議員の裏金事件の影響について無視できないとしつつ、「(活動量を増やし)どれだけ人に会って支持獲得できるか」だと強調。企業回りなど含めて組織固めに奔走しています。本島中部の選挙区では、30人を朝の手振りに動員するなど、すでに本番並みの態勢で臨んでいる自民候補もいます。
また、自民現職は県庁職員に早期退職者が増えていることをとらえ、デニー県政を批判する論調も。県政攻撃に力を入れることで、裏金事件による自民党政治そのものへの批判をかわそうとする狙いを隠しませんでした。
一方、建設関係の仕事を請け負うある業者は、元請け業者から、自民候補の選挙資金集めのパーティー券購入を依頼されました。1枚5000円で5枚購入せざるを得なかったといいます。「オール沖縄」県政打倒を狙う政府・自民党本部の差し金で本土企業もカネ集め、地元業者の締め上げに乗り出しています。
公明は、新旧交代となる選挙区で4月中旬に1000人規模を動員した集会を開催。九州出身の同党国会議員が何度もテコ入れに訪れているほか、新人候補の事務所には朝から多くの人が集まり、「これまでにない動員がかかっている」との声も出ています。 維新は、本島中部で最も多い宣伝カーを運行するなど、音での浸透をはかり先行しようと必死です。馬場伸幸代表の沖縄入りも予定されています。
“共産党落としのシフト
選挙は、総定数48を前回よりも多い68人が争う見通し。デニー県政を支える与党系32人に対し、野党側は自公維などから33人が立候補を予定しています。
現在の県議会構成は、与党24議席で野党も同数です。しかし野党側が推した議長は採決に加わらないため、24対23でかろうじて与党が多数となり、デニー知事の提案が議会で承認されてきました。
今回、無所属も含め自民系は26人(前回当選18)が出馬する見通しです。公明は2議席増を狙って4人(同2)、維新も3人(同2)を擁立。自公維で過半数を奪い取ろうと総力を傾け、2年後の県知事選での“県政奪還”に向けての足がかりとすることを狙っています。
日本共産党が立候補する選挙区の多くで、野党が“共産党落とし”のシフトをとっており、7人全員勝利をつかむには前回以上の厳しさを伴う大激戦になっています。しかし裏を返せば、共産党7人の全員勝利こそが、与党多数を確保する上でも欠かせない情勢になっていることを意味します。
政治変革への確信広がる
野党側が共産党落としを強めているのも、裏金事件などで岸田自公政権そのものが追い詰められ、危機感を燃やしているからにほかなりません。4月末の衆院3補選で、日本共産党も支援する立憲民主党の3氏がいずれも勝利。自民党が不戦敗を含め全敗した上、維新も惨敗し、自公とその補完勢力に厳しい審判が下されました。
防衛省が強行しようとした、うるま市石川の陸上自衛隊訓練場の整備でも、保守・革新の垣根を超えた地域総ぐるみでの反対の声が島ぐるみの声に発展。他国攻撃のためのミサイル配備などと併せて、沖縄の軍事要塞(ようさい)化を進める一環として計画されたものでしたが、同省は計画断念に追い込まれました。共同の力で軍事要塞化ノーのくさびを打ち込む画期的な勝利となりました。
衆院補選投開票の翌日、県議予定候補とともに街頭に立った日本共産党の、あかみね政賢衆院議員は、市民と野党による共闘の再構築にもつながる補選の完勝を受け、「今度の県議選で沖縄から自民党に審判を下そう」と力を込めました。
沖縄では、オスプレイの配備撤回、辺野古新基地建設反対の保革を超えた共同で自公県政からオール沖縄県政への転換を実現しました。共闘が発展すれば政治は変えられるとの確信がいま改めて広がり、オール沖縄の前進で自公に代わる政権へののろしを上げる県議選の意義もさらに鮮明になっています。
日本共産党沖縄県委員会は、予定候補者を先頭に街頭宣伝を強め、7人全員勝利への突破口を切り開こうと強調。「手紙」を読んだ党員が立ち上がり、3カ月連続増勢で党勢拡大の上げ潮をつくっています。支持拡大の遅れを打開するため、候補者紹介の動画(2分)も完成し拡散中。大規模な「折り入って」作戦の訴えに、「広げているよ」との反応も相次いでおり、担い手を一気に広げようと呼びかけています。(しんぶん赤旗 2024年5月7日)