活動報告

海埋める軽石 補償早く 漁業、観光に大打撃 赤嶺、田村議員リポート

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大量の軽石が沿岸に漂着し、各地でフェリー欠航や漁取りやめが相次ぐなど日常生活や水産・観光業に深刻な打撃を与えています。軽石は8月に東京・小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」(ふくとくおかのば)が噴火して発生。10月から沖縄県や九州地方などの沿岸に押し寄せ、今月に入って東京・伊豆諸島などでも漂着が確認されています。沖縄県の被害を視察(4日から名護市など)した日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、鹿児島県の与論島(よろんじま)の被害を視察(15、16日)した田村貴昭衆院議員が報告します。

モズクやマグロも大損害 沖縄本島

党沖縄県議団・各市町村議とともに、県内北部の漁港やビーチを視察しました。漁港の海面を覆いつくす軽石の量に驚きました。

 漁業者の皆さんからは、大変悲痛な声が寄せられました。漁船は海水をエンジンの冷却水に使うため、軽石が取水口に詰まるとオーバーヒートしてしまいます。

 話を伺いに行くと、「沖合でエンジンが止まった」「もう何日も漁に出ていない」「遊漁(釣り船)もお客を断っている」「モズク・アオサ漁も大損害」と、次々悲鳴が上がりました。

 

 

養殖も大きな影響を受けています。マグロや琉球スギ(スズキ目の魚)のイケスにも軽石が入り、誤食で死ぬ魚が出ています。

 県北部の漁協の組合長は「コロナが収束し、やっとみんな頑張れるぞって言った矢先に、この大ダメージ。除去作業などへの補助制度をつくってほしい」と話していました。

 

大きな問題は、漁港や海岸で必死に除去しても、沖にはまだ大量に軽石が漂流しており、いつまた漂着してしまうか分からないことです。漁港内への侵入を防ぐオイルフェンスなどの財政支援や、詳細な漂流予測の提供、除去に向けた継続的な支援が必要です。

 また、現地の漁協関係者から、「軽石が漂着した港の漁業者は現在収入が絶たれており、補償が必要だ」との声がありました。

 漁業は私たちの食料を供給するという、大変重要な役割を担っている産業です。減収に対する補償が絶対必要です。

ソデイカ漁最盛期なのに 与論島

 

鹿児島県最南端の島、与論島にも軽石が押し寄せ、漁業や観光業に被害を与えています。

 島内の大金久(おおがねく)海岸・百合ケ浜は、真っ白な砂浜が大変美しいビーチですが、黒々とした軽石が帯状に漂着していました。現地のマリンスポーツのインストラクターは、「初心者には危険な状態」と話しておられました。

 与論島の漁業は、本来なら今がソデイカ漁の最盛期。夜に出漁し、胴体1メートル、20キロにもなるソデイカを釣りあげる漁で、年間水揚げ金額の半分を稼ぎだすはずでした。

 しかし、エンジントラブルが怖くて出漁できない方が続出しています。

 

このような被害の補償制度は「漁業共済」しかありません。ところが、掛け金の負担が重く、小規模で零細な漁業者ほど加入できていません。与論島でも加入者は一部で、何も補償がない方が多数いらっしゃいました。既存の枠組みにとらわれない支援が必要です。

 船が壊れたら保険金が出る漁船保険も、軽石を防ぐフィルター交換や、沖でのエンジン故障に備えた無線機の導入などには支援がありません。これにも対策が必要です。

 与論島では、発電用の重油のタンカーが軽石で一時接岸できない事態が生じました。これは離島の島民にとっては死活問題で、他の島でも起きる可能性があります。何らかの備えが必要です。

 

山元宗(やま・もとむね)与論町長は「除去した軽石が山積みになっており、島内で処分ができない。細かく砕けて砂のようになった軽石が風で飛ばされ、陸上にも被害が出かねない」と訴えておられました。県や各省庁が連携し、早急に処分方法、あるいは利活用の方法を検討しなければなりません。(しんぶん赤旗日曜版 2021年11月28日号)

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