沖縄防衛局は12月12日、沖縄県名護市安和(あわ)の琉球セメントの民間桟橋から運搬船で同市辺野古に運んだ米軍新基地建設のための埋め立て土砂を、台船に移し替える作業を始めました。抗議船やカヌーから「違法工事はやめて」の声が上がる中、防衛局は作業を強行しました。
同桟橋で土砂を積んだ運搬船4隻は、7日に台船1隻を伴って辺野古沿岸域に現れ、停泊していました。
12日の午前9時半ごろ、土砂を積んだ運搬船1隻が台船の横に停泊。10時前から正午まで運搬船から台船に土砂を移し替える作業が続きました。
移し終わった運搬船は辺野古から去り、2隻目も台船の横に停泊し、午後1時前から2時間ほどで土砂を移し替える作業を終え、辺野古を離れました。残る2隻の運搬船と台船は、午後4時40分時点で停泊。このうち少なくとも運搬船1隻が積む土砂は、県赤土等流出防止条例で定められた届け出をしないまま積み込んだもので、県から条例違反を指摘されています。
台船は今後、K9護岸に接岸しダンプトラックで土砂を陸揚げします。政府は14日にも埋め立て予定地に土砂を投入する方針です。
120人座り込み
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の埋め立て土砂の投入が目前に迫った12日、辺野古のキャンプ・シュワブの工事用ゲート前には約120人が座り込み、「基地はいらない」「違法工事を許さない」と抗議の声を上げました。
午前の集会では「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の稲嶺進共同代表(前名護市長)が「あらゆる違法状態の下で土砂投入が行われようとしている。“何としても14日に一粒の土砂でもいいから投入するぞ”という政府の思惑も感じる。私たちは非暴力で必ず止めよう」と呼びかけ、大きな拍手が起こりました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は「琉球セメント桟橋から運んだものは赤土を含んだ土砂であり、桟橋設置工事の完了届が出される前に違法に積み出された土砂も含まれている。これを埋め立てに使うのは違法に違法を重ねる行為だ。絶対に許してはならない」と力を込めました。
那覇市から参加した真栄田静子さん(82)は「政府によって民主主義も地方自治も無視されている。私たちの世代は、戦後の貧しい時代に海の恵みで育ってきた。豊かな海を埋め立てて基地を造ることは絶対に許せない」と語りました。(しんぶん赤旗 2018年12月13日)