国会質問

質問日:2019年 11月 7日  第200国会  憲法審査会

憲法違反の現実見よ 衆院憲法審査会 赤嶺氏が主張

 

 衆院憲法審査会が7日開かれ、9月の欧州4カ国視察団の報告を受けました。視察団長の自民党の森英介議員は団長所見として、ドイツの「基本法」改正について、「63回という改正回数に目を奪われがちだが、表面的な数字のみにとらわれることなく、その国の憲法をめぐる政治文化や背景も考慮しなければならないことに気づかされた」と述べました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、森氏の団長所見について「示唆的だ」と感想を述べ、日本国憲法が第2次世界大戦への痛切な反省から、徹底した恒久平和主義を採用した背景に言及し、9条を生かす政治がいま求められてと強調。「国民の多数が憲法改正を望んでいないもとで、改憲原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではない」と述べました。

 また、赤嶺氏は、改憲議論ではなく、沖縄への米軍基地押しつけなど「憲法原則に反する現実を議論すべきだ」として、「その議論の場は憲法審査会ではなく、予算委員会をはじめとする常任委員会でやるべきだ」と述べました。

 同日の幹事会では、今後の運営について自民党の新藤義孝議員は、来週、自民・公明両党提出の国民投票法改定案の質疑・採択を主張。立憲民主党の山花郁夫議員は「海外視察報告について、もう一度議論する必要がある」として、引き続き協議することになりました。(しんぶん赤旗 2019年11月8日)

 

質問の映像へのリンク

憲法違反の現実見よ(衆院憲法審査会)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 海外視察の御報告、ありがとうございます。
 まず、報告を伺った私の感想を述べたいと思います。
 森団長が、ドイツでの調査を通じて、六十三回という改正回数に目を奪われがちだが、表面的な数字のみにとらわれることなく、その国の憲法をめぐる政治文化や背景も考慮しなければならないことに気づかされたと述べられたことは、本当に示唆的でありました。
 日本国憲法は、日本が起こした侵略戦争により、アジア諸国民二千万人以上、日本国民三百万人を超える犠牲者を出したことへの痛苦の反省から、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、つくられたものであります。憲法九条の平和主義を生かす政治こそ今求められているのであり、国民の多数は憲法改正を望んでいません。
 そもそも、今日の改憲議論の端緒は、安倍首相が二〇一七年五月三日の憲法記念日に期限を区切って九条改憲に言及したことにあります。そのもとで、自民党は、九条を含む改憲四項目をまとめ、審査会に提示し、改憲へと突き進もうとしているのです。まさに安倍改憲にほかなりません。
 しかし、ことし七月の参議院選挙では、安倍九条改憲反対を共通の公約に掲げる野党勢力が参議院の三分の一を超える議席を占めました。一方、早期憲法改正を目指すと公約に掲げた自民党は、単独過半数を維持することができませんでした。
 安倍首相は、この結果を受けて、少なくとも議論は行うべきであるというのが国民の審判だと強弁をしましたが、これに対して、与党の中からも、何の民意が得られたのかわからない、憲法議論をすべきだと受け取るのは少し強引だという声が出たのは当然であります。
 参議院選挙で、国民はこの三年間の安倍首相主導の改憲推進ストップを選択したことは明らかです。国民の多数が憲法改正を望んでいないもとで、改憲原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではないということを改めて指摘いたします。
 次に、国会での憲法議論のあり方について述べます。
 私たちは、憲法原則に反する現実を議論すべきだと述べてきました。その最たるものが沖縄です。
 そもそも、沖縄の米軍基地は、国際法に違反し、住民の土地を強権的に奪ってつくられたものです。一九七二年の本土復帰に際し、県民は、即時無条件全面返還を求めました。日本政府がこの要求を無視し、憲法をじゅうりんするやり方で米軍基地を存続させたことが問題なのです。
 にもかかわらず、今また安倍政権は、たび重なる選挙や県民投票によって示された民意を一顧だにせず、辺野古新基地建設を強行しています。この沖縄の実態は、憲法に照らして、絶対に許されるものではありません。
 最近では、表現の自由への政府の介入や、教育の機会均等をないがしろにする文科大臣の発言など、看過することのできない事態も起きています。こうした基本的人権をじゅうりんしている実態こそ議論すべきです。
 憲法を変えるのでなく、憲法原則に反する現実を変えることこそ今求められていると思います。その議論の場は、憲法審査会ではなく、予算委員会を始めとする各常任委員会で大いにやるべきだということを述べて、発言を終わります。

すべて表示

このページをシェアする