国会質問

質問日:2019年 11月 5日  第200国会  安全保障委員会

嘉手納降下訓練 日米議事録が存在 赤嶺氏質問に防衛相 近く公表

 

 

 河野太郎防衛相は5日、米軍によるパラシュート降下訓練を「例外的な場合」に米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)で実施すると確認した日米合同委員会の議事録があることを明らかにし、「(公表に向けた)プロセスの中にある」との認識を示しました。衆院安全保障委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員と社民党の照屋寛徳議員に明らかにしました。

 また、防衛省の中村吉利地方協力局長は、同議事録には「例外的に行われるとのみ書かれている」と述べ、日本政府が主張してきた(1)非定期で小規模(2)悪天候(3)緊急性などの要件は明記されていないことがわかりました。

 米軍のパラシュート降下訓練は、1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告で同県の米海兵隊伊江島補助飛行場(伊江村)で実施することを確認。日本政府は2007年1月の日米合同委員会で「例外的な場合」での嘉手納での実施を容認しましたが、合意の形式や内容の詳細は分かっていませんでした。

 赤嶺氏は、米軍が日本政府の中止要請を無視して嘉手納基地で同訓練を繰り返していることを指摘し、「例外」を認めた合意の撤回を求めました。

 

「有志連合」参加と同じ

自衛隊中東派兵 赤嶺氏が批判

 日本共産党の赤嶺政賢議員は5日の衆院安全保障委員会で、政府が検討している中東への自衛隊派兵について、「実質的には米国が求めている『有志連合』への参加と変わらず、多国籍軍への軍事協力そのものだ」と指摘し、派兵をやめるよう強く求めました。

 政府は、イランへの軍事的包囲網を築く「海洋安全保障イニシアティブ」(米提案の有志連合構想)には参加しないとしながら、情報収集態勢の強化を目的とした自衛隊派兵の検討をすすめています。

 赤嶺氏は、現在の中東情勢緊迫化の契機は米国のイラン核合意からの離脱だと指摘。「一番大事なことは米政府に核合意への復帰を求めることだ。政府はそれをやっていないのではないか」とただしました。

 鈴木馨祐外務副大臣は質問にまともに答えず、「首脳会談で率直な話をした」などと述べるだけでした。

 菅義偉官房長官は、自衛隊が収集した情報を米国と共有するかどうかを問われて「緊密に連携していきたい」と述べています。(10月18日の記者会見)

 赤嶺氏は、不審な船舶や航空機の情報を有志連合の司令部に報告して米軍艦船と共有することになり「有志連合に参加した場合の活動と変わらないのではないか」と追及。「政府がやるべきことは、核合意の維持をアメリカ、イラン双方に働きかけることだ」と主張しました。

 河野太郎防衛相は米国との連携について「今、具体的に検討している」と述べ、具体的な答弁を避けました。(しんぶん赤旗 2019年11月6日)

質問の映像へのリンク

米軍パラシュート降下訓練、中東への自衛隊派遣を追及(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案については賛成であります。
 先ほどのパラシュート降下訓練についてお伺いをいたします。
 十月二十九日、米軍が嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行いたしました。ことしに入り、過去最多の四回目です。伊江島補助飛行場でも同日行って、翌日とあわせて、二日連続で提供区域外への降下を繰り返すという異常事態であります。
 防衛大臣に伺いますが、在日米軍司令部は、嘉手納での訓練について、米国と日本政府の二国間協定に従って行われたとしています。
 米軍のパラシュート降下訓練は、一九九六年のSACO最終報告で伊江島で実施することになっていますが、政府は二〇〇七年一月の日米合同委員会で、例外的な場合に嘉手納で実施することを容認いたしました。先ほどの照屋議員への答弁では、この合意は、合同委員会の議事録として日米間で確認したものだという御説明でした。
 米軍のパラシュート降下訓練を伊江島で実施することとしたSACO合意の内容を変更するものであるにもかかわらず、正式な合意文書の形ではなく、議事録での確認としたのはなぜですか。

○河野国務大臣 議事録も正式な文書でございます。

○赤嶺委員 これはSACO合意を変更するという認識はありますよね。

○河野国務大臣 SACO合意が原則であるということに変わりはございません。

○赤嶺委員 原則が変更されているわけです。
 大臣は、何が例外的な場合に当たるかについて、定期的に行われるものではなくて小規模なものであること、悪天候などの制約により伊江島補助飛行場で訓練を行えないこと、訓練を行う喫緊の必要があることなどの基準を示しております。
 議事録にはそのことが明記されているのですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 議事録上は、累々申し上げておりますとおり、例外的に行われるとのみ書かれておりまして、先ほど委員御指摘の要件につきましては、我々の認識を御答弁申し上げたというものでございます。

○赤嶺委員 日米間で大臣が認識していることを共有しているわけではない、合意議事録には例外の場合もある、このように書いているという、そういうことですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 合意議事録にはそういった要件は書かれておりませんが、日本側がそのような認識であるということは米側も承知をしているところでございます。

○赤嶺委員 合意議事録に書かれていないじゃないですか。日本側が例外措置とする大臣の答弁について、合意議事録も立派な文書だと言うけれども、そこに例外の定義も何もない。だから一方的にやられるわけですよ。それでこういうことが繰り返されているわけです。私は、危険な訓練の拡大という点でも、そのやり方においても、非常に問題のある合意だと思います。
 米軍が日本政府の中止要請を無視して嘉手納での訓練を強行したのは、今回が初めてではありません。稲田大臣、小野寺大臣のときにも、例外的な場合には当たらないと中止を要請したにもかかわらず、米軍は訓練を強行いたしました。こんなことをいつまで許しておくのかという問題です。
 二〇〇七年の日米合同委員会合意までは、日本政府は嘉手納での訓練を認めていなかったんです。例外を認めてしまったことが今の事態を招いているのではありませんか。
 二〇〇七年の合同委員会での確認は、その後の経過も踏まえて撤回することを真剣に検討すべきだと思いますが、大臣いかがですか。

○河野国務大臣 昨今の東アジアにおける厳しい安全保障環境を考えれば、米軍の即応性の維持というのは日本の安全にとって極めて重要だと思っております。
 今回の例外は、そうした米軍の即応性を維持するために真に必要な場合にのみ嘉手納飛行場で行われる、そういう合意でございまして、これを撤回する必要があるとは考えておりません。

○赤嶺委員 大臣がどんなに言葉を強めてそう言っても、アメリカはそのような認識はしていないわけですから、例外について。例外についての共有がないまま合同委員会の合意にある、結局そこを見直さない限り、撤回しない限り、これからも嘉手納では訓練が続いていくということになると思います。
 地元自治体議会は、合同委員会で確認した例外的措置の撤廃、これを繰り返し求めています。この声に応えることを強く求めたいと思います。
 重大なことは、伊江島でも基地負担が増大していることです。
 そもそも、伊江村長が訓練を受け入れたとき、安全性の確保が条件でありました。ところが、提供区域外への人員、物資の落下は繰り返されています。その上、LHDデッキという強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯が建設され、米軍のF35やオスプレイによる訓練が激化をしています。
 SACO合意の目的は、沖縄の基地負担の軽減にあるはずです。一部の地域に負担が集中し、従来以上の負担に苦しめられているのでは、SACO合意の趣旨に反します。
 大臣は、伊江島で基地負担が増大していることについてどのように認識しておりますか。

○河野国務大臣 伊江島補助飛行場においては、SACO合意の最終報告に基づき米軍のパラシュート降下訓練が行われておりますが、その中で、パラシュート降下訓練中の隊員が提供施設・区域外に誤って降下する事案などが発生をしております。こうした事案の発生は、周辺住民の方々に不安を与えるものであり、あってはならないものと認識をしております。
 米軍の運用に当たっては安全の確保が大前提であり、防衛省といたしましては、引き続き、米側に対し、安全管理に万全を期すよう求めてまいります。

○赤嶺委員 結局、パラシュート降下訓練が提供施設外に落ちてくる、畑が踏み荒らされるだけではないですよ。LHDデッキでのF35の訓練なんか、伊江島は負担が増す一方なんです。結局、読谷の補助飛行場で行われていたパラシュート降下訓練を伊江島に移したら解決ということではなくて、基地のたらい回しにすぎないわけです。やはり、たらい回しでは沖縄の基地問題は解決することはできないというのが、今回の嘉手納や伊江島での出来事が示しているのではないかと思います。
 もうパラシュート降下訓練を沖縄でやってくれるな、こういう世論ですよ。海兵隊の撤退、米軍基地の抜本的な縮小、撤去を進めるべきだということを、このことも強く申し上げておきたいと思います。
 中東への自衛隊派遣について質問をします。
 官房長官は十月十八日の記者会見で、情報収集態勢の強化を目的とした艦船の新規派遣又は海賊対処部隊の活用を検討する方針を明らかにいたしました。
 現在の中東情勢の緊迫化の契機となったのは、アメリカのトランプ大統領によるイラン核合意からの離脱であります。
 外務副大臣に確認しますが、これまで日本政府は核合意を高く評価し、支持する立場を表明してきました。この立場、今も変わりありませんよね。

○鈴木副大臣 お答え申し上げます。
 日本といたしましては、アメリカそしてイラン、双方とこれまで良好な関係を長年維持をしているところでありまして、日本としてしっかりと果たしていける役割をしっかりと模索をしていきたいというふうに考えております。

○赤嶺委員 何を答弁しているんですか。核合意の評価については変わりませんよね、このように聞いているわけですよ。

○鈴木副大臣 今申し上げましたように、日本としてしっかりと果たしていける役割を果たしていくということであります。

○赤嶺委員 日本の役割を聞いているんじゃないんです。核合意の評価について、今まで日本政府が繰り返してきたこと、これは変わりませんよねということを聞いているんですよ。ちゃんと質問の意味をわかっていますか。

○鈴木副大臣 日本といたしまして、国際不拡散体制の強化と中東の安定に資する核合意については支持をしております。

○赤嶺委員 こういうのを最初から答弁すればいいんですよ。時間の無駄ですよ、本当に。とんでもないことですよ。日本政府としてずっと言い続けてきたことを、何かそらそう、そらそうとするようなやり方、これは許せないですよ、答弁のあり方としても。
 端的に伺いますけれども、これまで、日本政府としてアメリカ政府に核合意への復帰を求めたことはありますか。

○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど鈴木副大臣が答弁しましたように、我が国は国際不拡散体制の強化と中東の安定に資する核合意を支持しており、アメリカによる核合意の離脱は残念だという立場でございます。
 こうした核合意に関する我が国の立場については、これまで米国を含む関係国にも伝えており、米国との間でも、こうした立場を踏まえて意見交換を行ってきているところでございます。
 以上です。

○赤嶺委員 日本の立場を伝えたかどうかということではなくて、私が聞いたのは、アメリカ政府に核合意への復帰を具体的に求めてきたのかどうかです。求めているのかいないのか、どちらですか。

○長岡政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の立場について、先ほど答弁をしたとおりでございますが、こうした立場を踏まえて、アメリカとはさまざまな意見交換を行ってきております。
 しかしながら、外交上のやりとりでございますので、具体的な中身についての詳細は差し控えたいと思います。

○赤嶺委員 ことし九月の首脳会談の内容を見てみました。イランのロウハニ大統領に対しては、「安倍総理から、イランによる一連の核合意の履行停止措置について懸念を伝え、核合意を損なう措置を控えるよう強く求めました。」このようにしています。具体的であります。ところが、アメリカのトランプ大統領に対しては、「中東に平和と安定をもたらすため、米国と緊密に連携して対応したい旨述べました。」これだけであります。核合意のカの字も出てきません。
 イランに自制を求めることは、これは当然でありますが、一番大事なことは、核合意から一方的に離脱し、情勢悪化の原因をつくったアメリカ政府に合意への復帰を求めることであります。政府はそれをやっていないのではありませんか、副大臣。

○鈴木副大臣 先ほどからの御答弁の繰り返しになりますけれども、日本としては、先ほどから申し上げておりますように、核合意に対する立場というものは明確に申し上げたところでございますけれども、アメリカとの関係ということで申し上げれば、外相会談あるいは首脳会談においても、中東情勢とその緊張緩和に向けて率直な話合いをいたしましたというところでございまして、それ以上の詳細なやりとりについては控えさせていただきたいと思います。

○赤嶺委員 防衛大臣に伺いますが、今回、政府は、アメリカが提案する海洋安全保障イニシアチブには参加しないとしながら、その一方で、米国とは緊密に連携していく、このようにしています。官房長官は、自衛隊が収集した情報を米国と共有するかを問われて、緊密に連携していきたいと認めています。
 自衛隊は、海賊対処行動の一環として、CTF151というアメリカ主導の多国籍軍に参加していますが、ここで行っているのは、収集した情報を米軍と共有することです。これと何が違うんですか。

○河野国務大臣 米国のイニシアチブに今のところ参加する予定はございません。
 米国とどのような連携をしていくのか、今防衛省で検討しているところでございます。

○赤嶺委員 情報の共有というのは具体的にどういう活動なのか。不審な船舶や航空機の情報を有志連合の司令部に報告し、周辺海域に展開する米軍の艦船と共有する、さらにはデータリンクを用いて艦船同士でリアルタイムで共有する、そういうことであります。
 自衛隊が実際にやることは、参加した場合の活動と変わらないではありませんか。情報共有だから有志連合に参加していないんだ、そういうことにならないんじゃないんですか、参加しなくてもやることは同じですから。いかがですか。

○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、どのような行動をとるか、どのように連携をするのか、今具体的に検討しているところでございます。

○赤嶺委員 重要なことは、こうした政府の方針をイラン政府がどのように受けとめているかです。
 外務副大臣に伺いますが、政府が自衛隊派遣の検討をイラン政府に説明したのはいつですか。どのような反応がありましたか。

○鈴木副大臣 当然、外交当局間で平素より緊密に連携、意思疎通を行っているところでありますけれども、具体的な内容ということについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○赤嶺委員 アメリカ主導の有志連合には参加しないが自衛隊は派遣する、こういう日本政府の方針がイラン政府にどのように受けとめられているのかというのは、政府が当然明らかにすべきことであります。
 防衛大臣は、この間、派遣の検討について、バーレーンやアラブ首長国連邦、オマーンなどに説明をしております。イラン政府にはいつ説明を行い、どのような反応があったんですか。

○河野国務大臣 イラン政府に、イランの防衛大臣と電話会談をし、中東における情勢について意見交換を行いました。
 外交儀礼として、先方がどのような発言をされたかということについて私から申し上げるのは差し控えます。

○赤嶺委員 大変危険な道に進もうとしているときに、政府は全く何も明らかにしていない。
 イラン・イラク戦争のときに、日本の海運業界は労使ともに、米軍からあった護衛の申出を断ったんです、当時。船体に大きな日の丸を描いて、中立性を明確にすることで民間船舶の安全を確保したのであります。どちらか一方の側に軍事的に肩入れすることは絶対にやってはならないと思います。
 政府がやるべきことは、欧州諸国と連携して、核合意の維持をアメリカ、イラン双方に働きかけることであります。政府が検討を進める中東への自衛隊派遣は、実質的に参加と変わらない、多国籍軍への軍事協力そのものだと思います。
 憲法九条に違反し、中東地域の緊張を高める自衛隊派遣はやめるよう強く求め、質問を終わります。

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