エッセイ

水曜随想  民主主義をうむ戦い

 

 8月20日のNHKスペシャルで、沖縄の米軍基地形成過程が「空白の1年」と題する番組で放映された。国際法に違反して形成された沖縄米軍基地の歴史を、私は国会質問で繰り返し追及してきたので、番組の構成に注目して視聴した。

 

 番組の冒頭「当時の沖縄に民主主義は全くなかった」と語る男性は、日本共産党員の真栄田義晃さんだ。瀬長亀次郎さんとともに、戦後沖縄の民主主義獲得のため米軍の弾圧と闘ってきた、私たちのほこるべき先輩だ。辺野古、高江の新基地建設をめぐって、情勢が激化していることもあり、改めて当時のことがよみがえった。

 

 東村と国頭村にまたがる北部訓練場にオスプレイの着陸帯を建設するため、政府は全国から機動隊500人を動員し、県警300人とあわせて約800人の警備体制をとった。生活道路である県道70号を封鎖して、そのうえ、工事車両1台1台を機動隊に警護させて、工事用資材や砂利を運搬している。

 

 抗議の声をあげようにも、機動隊員にとりかこまれ、身動きができない。工事車両が現場にどんどん入り込んでいくのを目の当たりにすると、世界自然遺産条約の登録予定地を上回るやんばるの豊かな自然が破壊されつくされるのではと、不安でならない。

 

 工事は、参議院選挙の投開票日の翌早朝始まった。伊波洋一さんが、安倍内閣の現職大臣に10万票差をつけて圧勝した数時間後だ。安倍首相は、民意よりも日米同盟なのだ。

 

 政府は、抗議の声をあげている人々を「工事の妨害者」とレッテルを貼る。衆議院決算委員会の沖縄視察団にたいして、このように説明した沖縄防衛局の幹部を、わたくしは「米軍基地あるが故の被害の大きさ、基本的人権躁欄(じゅうりん)の責任を全く感じていない」と厳しく叱責した。

 

 高江は厳しい闘いを余儀なくされている。でも、みんな悲観はしていない。闘い続けなければ、沖縄に民主主義はうまれないことを学んでいるからだ。長い夏も過ぎようとしている。もうすぐ臨時国会だ。新しい闘いの舞台が待っている。(しんぶん赤旗 2016年8月31日)

 

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