エッセイ

水曜随想  夏のたたかい 道半ば

 

 「戦争法」が衆議院で強行採決された。今国会成立が確実になったとの報道もあるが、世論は廃案にすることを諦めていない。各メディアの世論調査では、7割以上が今国会成立に反対している。内閣支持率は激減するばかりで、逆に不支持率は上昇しつづけている。

 

 これにあわてたのが自民党の高村正彦副総裁。「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきたのがわが党の誇るべき歴史だ」と強弁している。権力者のおごりだ。

 

 自民党の防衛族といわれてきたグループは、安倍首相の暴走に不安をもち、意見表明をおさえこまれた独裁体制にもんもんとしている。ある防衛大臣経験者は、「いまの自民党は私がリベラルに位置しているようなもので、首相とりまきの若い議員のタカ派的な言動は情けない」と自嘲気味に語る。

 

 野党共闘で共にたたかった民主党の議員からは「強行採決は政府が追い詰められた結果だ」とあちこちで頑張ろうの握手をもとめられる。安保条約や憲法についての考え方の違いはあっても、違憲立法は許さないという一点共闘は国会内でもゆるぎなかった。

 

 自民党の勉強会での百田発言と沖縄メディア偏向発言をとりあげ、首相を追及した直後、取材で知り合った政府系メディアの若い記者から、「沖縄の基地の形成過程、沖縄メディアの歴史、勉強になりました。私はなにも知らなかった」と話しかけられた。彼は、強行採決の前日の晩、「安倍内閣は怖い。ここまでくると共産党がたより。明日は頑張ってください」とメールをくれた。熱い反応がつたわってくる衆議院のたたかいだった。

 

 国会にいると、違憲立法許さないという国民的な世論はもう後戻りはしない、広がっていくばかりだという実感を強くする。

 

 いよいよ舞台は参議院にうつる。時を同じくして、沖縄の翁長知事は、辺野古埋め立て承認取り消し・撤回の決断を安倍内閣につきつける準備を進めている。安倍内閣を徹底しておいつめ、両案とも白紙撤回をめざす夏のたたかいはまだ道半ばだ。(しんぶん赤旗 2015年7月22日)

 

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