エッセイ

水曜随想  反動的暴走が呼ぶ抵抗

 
 10月25日から11月26日までの約1カ月間、衆議院での「国家安全保障会議」(日本版NSC)設置法案、「秘密保護法案」の二つの悪法の審議を担った。
 
 秘密保護法実は衆院国家安全保障特別委員会での強行採決を経て、参議院に送られ、12月6日には参院国家安全保障特別委員会でも強行採決が繰り返された。自民党、公明党の議員らに悪びれる様子は全くない。達成感、高揚感が与党の中を支配している。安倍首相が少しばかりの反省を口にしたが、あれは二枚舌だ。これからも彼らは強権的国会運常に徹するだろう。
 
 「第三者機関は首相」という「修正」案をまとめた「みんなの党」は世論の指弾を浴びてついに分裂した。「日本維新の会」も「修正」協議で合意しながら、採決は退場。自席を逃げるようにして立ち去っていく姿は哀れさを漂わせた。新聞は「『翼賛野党』の情けなさ」と社説でたたいた。
 
 野党第1党の民主党は、参院本会議での反対討論を放棄しいったん退場したものの、「反対の意思表示をしたい」という議員らの声に押されてすごすごと再入場した。
 
 議場では自民党の賛成討論が終わり、仁比聡平議員の堂々たる反対討論の真っ最中。「自共対決」の構図を象徴する場面だった。
 
 秘密保護法成立に、国民の危機感が広がっている。世論と運動は明らかに広がった。安倍内閣の支持率は、どのメディアの調査でも急落し、秘密保護法への批判はますます拡大している。この希代の悪法は、絶対に発動させず、廃止を求めよう。
 
 60年安保の直前、米軍の直接統治下にあった沖縄で、米軍支配に反対する運動を極刑で圧殺する弾圧立法「新集成刑法」阻止のたたかいがあった。当時の「アカハタ」がいち早く警鐘を乱打し、沖縄人民党は「戦時刑法=死刑法」撤廃と位置づけたたかった。そして、この法律(布令)は一度も発動されることなく施行は無期延期となった。反動的暴走は必ず人民の抵抗を生む。抵抗はたたかいを呼ぶ。歴史がそれを教えている。(しんぶん赤旗 2013年12月11日)

 

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