エッセイ

水曜随想  沖縄を見くびる鳩山政権

 

 5月23日、沖縄を再訪問した鳩山首相は、「代替地は県内。具体的には名護市辺野古の付近にお願いしなければならないという結論に至った」と表明した。

 その日、私は、鹿児島県で参院選挙区の山口はるき候補の事務所開き、肝炎シンポのパネリスト、熊本県水俣市での演説会弁士と、南九州を飛び回りながら、伝わってくるニュースに注目していた。

 肝炎シンポでは、顔見知りの民主党議員と同席したので、「鳩山さん、ついに辺野古に建設と発言した」と話しかけたら、彼は「なんのための政権交代だったのかわからなくなった」とむっとしていたが、それ以上は、会話にならなかった。

 夜の水俣市での演説会は、大雨の中、会場が満杯だった。「沖縄の基地問題を話します」と、前もっての支部のハンドマイク宣伝、全戸配布の効果と「普天間基地問題」の関心の高さを示していた。
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 翌日、口蹄(こうてい)疫被害が集中している宮崎県川南町に調査に入り、内野宮町長にお見舞いの言葉をのべた。町長は、口蹄疫問題での生産農家の苦悩を説明した後、政府のこの問題での対応を批判、「普天間も同じ場所にもどった」とやり玉にあげた。

 鳩山民主党政権の、アメリカに対する卑屈な態度には開いた口がふさがらない。その中で、沖縄の経済団体の対応のニュースに接して胸がすくような勇気をもらった。

 鳩山首相は、経済団体の代表を集めて、沖縄の経済状況報告を求めたらしい。ところが、経済団体の代表らは、「基地受け入れの引き換えとも受け取れる振興策を提示されるのではないか」と懸念し、当初の報告を拒否した。

 逆に、首相に公約違反の結果となった基地問題の説明を求めた。懇談会のあと建設業界の代表は「県民の危険や苦労を売り渡すような野卑な団体には成り下がりたくない」と発言している。

 県民の怒りは極限に達している。日米合意は、この14年間、何回も変更され、露骨なアメとムチ政策を押し付けられてきた。一度も県民は屈していない。その深い歴史的背景を見くびっている鳩山政権、沖縄のことを何も知らない。(しんぶん赤旗 2010年5月26日)

 

 

 

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