エッセイ

水曜随想  八方ふさがり鳩山政権

 

 鳩山政権は普天間基地の返還をめぐって八方ふさがりの状態に陥っている。

 「沖縄県内」に、普天間基地の代替基地は建設しないという選挙の公約を公然と裏切って、沖縄県内に移転を押しつけようとしているからだ。

 県民をごまかすために、本土各地に訓練の一部を移転して、「沖縄だけに負担を押しつけているわけではない。」と弁解する道も用意しているようだ。「米軍岩国基地」まで移転候補地に入っているという報道もある。愕然とさせられる発想だ。

 沖縄県民は民主党政権の公約違反を絶対にうけいれない。沖縄県議会は、自民党から日本共産党まで、超党派のよびかけで、「県内移設断念」を掲げた10万人規模の県民大会開催を呼びかけた。民主党沖縄県連は、このまま推移すると「誰もいなくなって崩壊する」(民主党県議)と悲鳴をあげている。鳩山政権は、沖縄県民の総意を敵にまわした。

 そもそも、基地の返還を求めたら、「代わりの基地をよこせ」と米国に要求されて、政権与党が全国各地を駆け巡り、移転先探しをしなければいけないのか。情けない属国政治だ。

 米軍は「オキナワ」を「沖縄戦で血を流して獲得した戦利品」という認識でいる。米国の施政下のときも復帰後も変わらず基地の島だ。いざとなれば、米軍の核戦争の戦場にもなる。沖縄県民は戦後65年、軍事優先の社会で消し去ることのできない屈辱を経験し、人としての尊厳を傷つけられてきた。米軍基地は沖縄の諸悪の根源だ。

 琉球新報紙は、今年の元旦に「軍の論理よりも民の尊厳を。犠牲の上にたつ同盟なし」と題する社説を掲げた。私は、安保改定50年の今年、この立場で、軍事同盟の是非を国民に訴え、民主党政権に迫っている。
 
 普天間基地は、国民の怒りに包囲された。政権は交代したが、対米属国の現状を変える力も気力もない民主党政権。安保廃棄をかかげる唯一の党、日本共産党の躍進が、普天間基地問題解決のカギをにぎっている。(しんぶん赤旗 西日本のページ 2010年3月24日)

 

 

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