北朝鮮船舶への貨物検査活動に自衛隊の参加を可能にする貨物検査特措法案の質疑が7月10日、衆院テロ特別委員会で始まりました。与党は14日の衆院通過を狙っています。
質問に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、政府が同法案の目的を、北朝鮮の核実験などを強く非難した国連安保理決議1874(6月採択)の「実効性の確保」としていることを取り上げました。
赤嶺氏は、「政府は貨物検査ばかりを強調しているが、安保理決議で義務付けているのは、すべての武器輸出入の禁止、禁止物品を輸送する疑いのある船舶への燃料供給等の禁止だ」と強調。日本はすでに北朝鮮船舶の入港を禁止し、武器だけでなく輸出入の全面禁止の措置をとるなど、「完全に決議を実施しているのではないか」と指摘しました。
外務省の別所浩郎総合外交政策局長は、「ご指摘の日本の輸出入についてはその通り」と認めました。一方で「(第三国への)武器輸出入も規制するために貨物検査が必要だ」と述べました。
それに対し赤嶺氏が「北朝鮮が第三国に行くために日本の領海や港湾施設に入ってくることはほとんどないのではないか」と追及すると、別所局長は「把握していない」と答えました。
赤嶺氏は、公海上の貨物検査についても、武器類を運搬している疑いがあるとされた北朝鮮の貨物船「カンナム」号が、各国の連携でミャンマーに行けずに北朝鮮に戻ったことを指摘。ミャンマー外務省が北朝鮮側に「カンナム号が国連の禁止した物資を積んでいるなら、ミャンマーのどの港にも入れないようにする」と通告したことを紹介し、「わざわざ公海上で検査しなくても、各国が連携すれば武器禁輸は実行できる。新法は必要ない」と主張しました。(2009年7月11日(土)「しんぶん赤旗」)