国会質問

質問日:2010年 5月 10日  第174国会  沖縄北方特別委員会

2010年5月10日 第174国会 衆議院沖縄北方特別委員会

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、最初に、沖縄県における戦没者遺骨収集について質問をいたします。

 戦後六十五年たった今でも、県内各地から戦没者遺骨が発見されます。厚労省の資料によりますと、沖縄戦の戦没者概数は十八万六千五百人と推計されているわけですが、遺骨の送還概数は十八万六千三百九十五柱となっております。差し引くと、残りの戦没者の遺骨は約百柱ということになりますが、厚労省、沖縄県における遺骨収集は終わりに近づいているという認識ですか。

 

○森岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 沖縄におきます遺骨収集につきましては、NPO法人等から御遺骨の情報が沖縄県等に寄せられていると聞いているところでございます。

 今後とも、沖縄県等とも連携しまして、収集可能なごう等について積極的に収集を実施していくこととしているところでございます。

 

○赤嶺委員

 百柱を超えるような遺骨がどんどん出てきているわけですね。戦没者の数を超える遺骨の数が出てきている。この数字はどんな認識ですか。

 

○森岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきまして推計しております沖縄におきます戦没者数は、委員御指摘のとおり、十八万六千五百人でございます。また、収集いたしました遺骨につきましても、二十二年三月までに十八万六千三百九十五柱でございます。

 いずれにいたしましても、沖縄県におきます遺骨収集につきましては、いまだNPO法人等から御遺骨の情報が寄せられているところでございますので、こういった御遺骨につきまして、今後とも沖縄県等とも連携しまして積極的な収集を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 沖縄戦の戦没者の遺骨収集の第一義的責任はNPOじゃないですよ。政府ですよ。NPOから何か情報の提供があればやる、こんな姿勢ではなくて、やはりあれだけの戦没者が出ていた島で国の責任を果たしていただきたいと思うんです。

 それで、最近発見されている戦没者の遺骨の現場では、遺品も一緒に見つかります。しかしながら、本人を特定するためにはDNA鑑定しかありません。厚労省は、沖縄の戦没者遺骨については、DNA鑑定要件を満たして、希望する遺族についてはすべて鑑定を行うということにしていますか。そして、そのための体制、市町村の窓口の対応もきちんととっておられますか。

 

○森岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 沖縄県におきます御遺骨のDNAデータでございますが、沖縄県におきます御遺骨でございましても、保存状態が良好であればDNAデータが得られる場合もあるところでございます。

 こういったことから、身元特定に至ります手がかりがありまして、かつ御遺骨からDNAデータが得られる場合につきましては、関係の御遺族等に対しまして、DNA鑑定の申請を行うよう働きかけているところでございます。また、関係行政機関に対しても、こういったことについて十分周知を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 最近、浦添市経塚という地域で区画整理が始まりまして、かねて亡くなったお父さんから聞かされていた、あなたのお姉さんの亡くなった場所はここだよ、開発があったときには必ず遺骨を拾いに行きなさいという、その場所で区画整理が始まりまして、六十年間待ち続けたその場所で遺骨が発見されたというニュースが流れて、本人はいても立ってもおれずに現場に行って、自分の姉ではないか、こうやっているんですね。

 見つかった遺骨は五体で、それも提供された情報どおりであったわけですが、どれが姉の遺骨か、それもDNA鑑定してみないとわからない。DNA鑑定の手続を今とっておりますが、遺骨が出てくる現場では、この事例以外にもみんなそうなんです。自分の肉親じゃないか、身内じゃないかということなんですね。

 そこで、遺族の方々から出ている要望は、今まで沖縄で亡くなった遺骨の九九%は身元がわからないということで、戦没者の方に合葬されているわけですね。みんな一緒にされているわけです。遺族に返っていないわけですよ。せめてこれから見つかってくる遺骨については、まず遺骨をDNA鑑定して厚労省で記録を保存してくれ、そして、もしかしたら自分の父じゃないか、母じゃないか、こういう思いでいる人たちが自分のDNAの検体を提出した場合には、その厚労省の記録と照合すれば自分の身内の遺骨が見つかる、こういう仕組みをつくっていただきたい、これはかなり強い要望なんですが、いかがですか。

 

○森岡政府参考人

 お答え申し上げます。

 沖縄県を含みます南方地域におきまして発見されました御遺骨につきましては、高温と多湿ということもございましてDNAが破壊されているというケースも多く、身元の特定のためのDNAがなかなか得にくい状況にあるところでございます。

 しかしながら、こういった南方地域の御遺骨でありましても、先ほど申し上げましたように、保存状態が良好であればDNAデータが得られる場合もあるところでございますので、こういった身元特定に至る手がかりがあって、かつ、遺骨からDNAデータが得られるといった場合につきましては、関係の御遺族等に対しまして、DNA鑑定の申請を積極的に行っていただくよう働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 前原大臣、厚労省は趣旨を理解していないんですよ。しかも、高温多湿で遺骨の保存状態が悪いからというようなことで、沖縄戦で亡くなった人の九九%は国立の沖縄戦没者の墓苑に納められているわけですよ。

 でも、やはり、父親からあの場所であなたのお姉さんが亡くなったんだよと聞かされていて、その場所から遺骨が出てきたら駆けつけるのが普通ですよね。駆けつけても、特定される手がかりがない場合が多いんです。その場合にあきらめて帰らざるを得ない。

 しかし、その遺骨についてDNA鑑定の記録が厚労省に保存されてあれば、いつか、もしかして自分の身内が保存されているのではないかということで、自分のDNAと記録を照合する新しい仕組みですよ、こういう仕組みをつくってほしい、このように思っているんですが、それはそういう理解で答弁していらっしゃるんですか、厚労省は。

    〔委員長退席、松木委員長代理着席〕

 

○森岡政府参考人

 繰り返しになりまして申しわけございませんが、お答え申し上げます。

 戦没者の御遺骨のDNAデータにつきましては、特定できる資料、また、こういった埋葬地の状況のわかる確たる証拠等がございます場合におきましては、かつ、こういった遺骨からDNAデータが得られるという場合におきましては、関係の御遺族方に対しまして、DNA鑑定の申請を積極的に行っていただくよう働きかけていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 繰り返しの答弁は無意味ですよ。あれだけの戦没者に対して、遺族のもとに返したいという気持ちが全く感じられない政府の答弁でありました。前原大臣、こういう問題も沖縄にはあるんだということで取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、前原大臣にもう一つなんですが、今、遺骨は、大体、厚労省はああいう数字の認識ですから、もう出てこないだろうぐらいに思っているんですが、激戦地で公共事業を始めると、遺骨がどんどん出てくるんです。しかし、一体たりともブルドーザーで砕くようなことがあってはいけないと思うんですよね。やはり遺骨の保存をきちんとしないといけない。本人特定につながるようなこともしないといけない。その場合に、一たん事業がとまるんですね。公共事業がとまるんですね。とまった場合に、業者としてはやはり大変な負担になるわけです。そういう遺骨の収集にかかわるような、しかも今、公共事業に関連して出てくる場合が多いですから、そういうものも念頭に置いた支援策が必要であるだろう。

 特に、これから、激戦地、与那原町運玉森での国道工事が始まります。ここではどれだけの遺骨が見つかるか、想像もつきません。そういうところに対しては、公共事業の事業者に対して、遺骨収集に対しても丁寧にやっていくような、負担を感じないような支援策、そういう仕組みを検討していただきたいんですが、いかがですか。

 

○前原国務大臣

 赤嶺委員にお答えをいたします。

 いまだに発見されていない御遺骨が存在をするということで、その場合のDNA鑑定については、先ほど厚生労働省から答弁がありましたように、積極的にDNA鑑定というものを申し入れてもらう、こういうことでございますので、これは赤嶺委員がおっしゃったことが、私は、一〇〇%満足していただけないかもしれませんが、方向性としてはそこはしっかりとやっていくということだと思います。我々としても、その辺は厚生労働省としっかり話をして、特に御遺族の方にできるだけ御満足いただけるように、今お話のありましたことに取り組ませていただきたい、このように思っております。

 この公共事業についてでございますけれども、もし公共事業を行っているところでそういった御遺骨が出てきた場合においては、迅速な対応が図られるように関係機関と連携を図ってまいりたい。

 補償ということでありますけれども、今の段階でそういったものをということについては、なかなか難しい部分もございます。

 

○赤嶺委員

 引き続き、この問題を議論していきたいと思います。

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