国会質問

質問日:2025年 6月 13日  第217国会  沖縄北方特別委員会

沖縄戦わい曲、軍拡の動きと連動 参考人「繰り返すことになりかねない」

衆院沖縄北方特委 赤嶺氏質問

 衆院沖縄北方特別委員会は13日、参考人質疑を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は「ひめゆりの塔」の展示内容を「歴史の書き換え」などとする自民党の西田昌司参院議員の暴言や、陸上自衛隊第15旅団が、沖縄戦で多大な住民犠牲をもたらした旧日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句をホームページに掲載するなど、沖縄戦の歴史をわい曲する動きが続いていることへの認識を質問しました。

 東京科学大学の古波藏(こはぐら)契准教授は、沖縄戦の記憶などへのこうした批判は、憲法への緊急事態条項の明記などを進め軍事的緊張をあおる動きと連動していると指摘。沖縄戦では敵のスパイを疑い住民同士が相互に監視し合い制御がきかない状態に陥ったとして、軍事強化に「熱心な人ほど、沖縄戦を勉強したほうがいい」と強調。過去を美化して軍事強化を正当化することは「一番避けなければならないことを繰り返すことになりかねない」と警告しました。

 赤嶺氏は、米軍が周辺国の脅威から日本を守るとして統治を正当化していた状況と、台湾有事の脅威をあおり政府が南西諸島の軍事要塞(ようさい)化を進めている今日とが重なると指摘。古波藏氏は、敵国の脅威があおられた際、それに反抗すればスパイと疑われる空気が社会に蔓延(まんえん)し、慎重論が出ずに戦争へのブレーキがきかなかったのが日本の失敗だったと指摘。「(現状は)過去の戦争の時の空気と似ている」と強調しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

 

質問の映像へのリンク

沖縄戦わい曲、軍拡の動きと連動(衆院沖縄北方特別委)

議事録

○赤嶺委員 どうも。日本共産党の赤嶺政賢です。
 今日は、四人の参考人の貴重なお話、大変ありがとうございました。やはり、沖縄北方特別委員会、今回、委員長のイニシアで参考人質疑が実現しましたが、当事者がいらっしゃる委員会だけに、とても大事だなと思いました。これからもよろしくお願いしたいと思います。
 それで、最初に本永参考人にお伺いしたいんですが、GW二〇五〇の協議会、この構成メンバー、屋良議員も質問しておられたんですが、実は沖縄県や地権者が入っていないわけですね。跡地利用計画というのは、現行法では当然、軍用地の跡地利用は、沖縄県や当該自治体、そして地権者ですよね。これがお互いに意見を出し合って合意形成を図りながら作り上げていくものだと思います。
 那覇の市会議員時代に、おもろまちの、本当に国の支援が何もない中で、あそこの軍用地跡地利用の町づくり、けんけんがくがくでした。小禄の金城もそうでした。揺れ動く地権者の気持ちも私は見てまいりました。
 関係者がお互いに納得できる計画にしていくためにも、早い段階から意思疎通を図っていく必要があるのではないかと思います。結局、コンサルは、外資系のコンサルが絵を描いて、経済界がという形になるわけですよね。私はそれはちょっと違うんじゃないかなということを思っているんですが、ちょっと本永参考人に御説明をお願いしたいと思います。

○本永参考人 御質問ありがとうございました。
 まず、町づくりの観点で、地権者、関係者、いろいろ含めた形で進めるべきではないかという御質問があったかと思います。もちろん、それぞれの自治体において跡地利用計画というのがございます。そこで地権者の意見を聞きながら、それぞれの自治体が計画を進めています。
 宜野湾市、浦添市、那覇市、それぞれの市がこのゲートウェープロジェクトには関わっておりますけれども、ゲートウェープロジェクトの今考えているお話を、それぞれの市の方が、こういうことですということで地権者ともすり合わせをしながら今進めているというふうに私どもも聞いております。ですので、もちろんこういうのは地権者をないがしろにする形で進められるわけでもありませんし、これもしっかり地権者の同意を得ながら早期に進めていく必要があると考えておりますので。委員御指摘のように、しっかりとみんなで共感を持ちながら進めていきたいというふうに考えています。
 もう一点は、外資系のコンサルというお話がございましたけれども、このGW二〇五〇PROJECTSの事務局については、沖縄の経済界を中心に、エネルギー、金融、建設、通信、こういったところから、七社の企業から出向者をしっかりと派遣していただいて、この事務局が中心になって、外資系のコンサルと、やはり沖縄らしさという観点からは外資系のコンサル以外にも地元のシンクタンクも四社入っていただいて、そういったところと事務局がしっかりと意見を交わしながら積み上げてきた計画が今の計画になっております。
 ですから、やはり、グローバルな視点をこの計画の中に入れていくという意味からは、外資系コンサルの持っているいわゆる世界の産業潮流、メガトレンドみたいなところはしっかりと示唆をいただきながら、その中でも沖縄らしさをどうつくっていくかというところは、地元のシンクタンクにしっかり関わっていただき、さらに、経済界から出てきている若手の事務局の皆さんがしっかりと意見を交わしながらこの計画を積み上げてきた状況でございます。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 やはり、地権者から見れば、基地に奪われたふるさとに戻りたいということが第一ですよね。西普天間の開発のときもいろいろありました。普天間基地も地図まで作っているんですね。戦前、どこに誰のうちがあったと、屋号まで作っている、そういうのを持っていますから。首長と民間経済界は意思の疎通があっても、その先の地権者は、後で、グランドデザインができたらそのとおりにいきましょうといったら、これはやるせないものが出てくると思うんですよね。
 それで、本永参考人にもう一問お伺いしたいんですが、グローバルな観点ということをおっしゃいました。
 このGW二〇五〇のグランドデザインを見ると、沖縄の国際拠点化、そして、そういう項目があり、国際会議や公的機関を誘致すると書かれております。
 報道では、MICE施設も提案と報じられています。沖縄県は、既に沖縄県自身が東海岸にMICEを整備する計画を進めているわけですね。競合する懸念は出てこないのか。
 そして、県は、東海岸に造るMICEについては、これは仲井真県政時代に出た構想で、そのときにカジノがあったんですね。そのカジノの問題をめぐって大分議論が起こりました。沖縄県は東海岸のMICEにはカジノを入れないと明言しておりますが、GW二〇五〇ではいかがでしょうか。

○本永参考人 どうもありがとうございます。
 確かにMICEの言葉が報道には載ったというふうに私も理解しておりますけれども、少し報道関係者の誤解もあったかなというふうに思っています。
 我々は、このGW二〇五〇PROJECTSの中では、いわゆる、今県が進めているような箱物のMICEの議論はしたことがございません。ただ、グローバル産業誘致に向けて、国際拠点ですとか沖縄の国際競争力につながる機能については議論を深めております。ですから、そこをちょっとMICEというふうに取り違えて報道されたのかなというふうに考えております。
 ですので、県が進めている東海岸のMICEについては、我々が今進めているGW二〇五〇PROJECTSとはバッティングするものではない。むしろ、我々としては、先ほど申し上げましたように、持続的な成長を図るための沖縄としてあるべき姿、産業としてあるべき姿を議論をさせていただいております。
 ですので、カジノについても、先ほどのグランドデザインも見たら分かると思いますけれども、そういうカジノについての検討は一切なされておりませんので、御理解いただきたいというふうに考えております。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 ちょっと時間がなくなりましたので、古波藏参考人に、本当は西田発言の受け止めも聞きたかったんですが、西田発言とは別に、この間、那覇基地の第一五旅団のホームページに、沖縄戦のときの牛島満司令の辞世の句という句が掲げられております。私は、一五旅団に対して、旧軍と新しい憲法の下での自衛隊と両立するのかということを国会でもいろいろ伺ったことがあります。
 昨日、安保委員会で私は中谷防衛大臣と沖縄戦のお話をしていたら、中谷防衛大臣が私の言葉を取って、いや、沖縄戦が捨て石作戦だったということは聞いたことがない、自分も自衛官の時代に教育を受けたけれどもそれは全然認識にないという答弁をされて、私もどきっとしたんですけれども、西田発言から、一五旅団の辞世の句のホームページへの掲載や、あるいは、沖縄戦に対する、それが捨て石作戦だったという、その辺りの認識を私は持っているんですが、古波藏参考人はいかがお考えでしょうか。

○古波藏参考人 先ほどの西田議員の発言とほぼ同じ回答になるかなと思いますが、この間の沖縄戦の記憶に関わる批判みたいなものというのが、ある種、現状の軍事的な緊張にあおられる形で出てきているという構図があると思うんですけれども、それに備えて、先ほど言ったような緊急事態条項的な、ある種、有事に備えた法の整備を進めましょうという動きが連動して動いているということで、僕が先ほど言ったのは、そういう動きを進めなければならないと思って動いている人たちほど、沖縄戦のことを誰よりも詳しくなった方がいいということを言っています。
 というのは、いざ緊急事態条項的なものとか、ある種、有事というものがリアリティーを持って社会の中に雰囲気として蔓延したときに起きてくるというのは、発動した人間も恐らく制御が利かないような状態ということがやはりあり得るんです。沖縄戦のときもそうですけれども、住民同士の相互監視の中でスパイ狩りというようなことが行われたり、ある種、制御が利かないような状態にもなり得るというのがあるので、ある種、過去を美化して今からやろうとしていることを正当化するというのは、一番避けないといけないことを繰り返す前兆になってしまうので、熱心な方ほど沖縄戦の勉強をした方がいいかなというふうに考えています。

○赤嶺委員 ありがとうございました。
 私、古波藏参考人のような研究者がいらっしゃることを屋良議員から紹介されて初めて知って、それで、沖縄の戦後史をずっと研究されていると。
 その中で、沖縄の米軍統治下で、プロパガンダとして、「守礼の光」とか「今日の琉球」とか、これは私の小学時代に米軍から配付されていたんですよ、学校に。私なんかは、この本を一生懸命読んでいた、読んで育って、今日、共産党になっているんですけれども。そういうプロパガンダで周辺国の脅威をあおり、その脅威から日本を守るといって沖縄の統治を正当化していたことを述べておられます。
 こうした史実は、先ほどの答弁と重なると思うんですが、今、台湾有事は日本有事といって脅威をあおっている今日と重なることになるんじゃないか。
 先ほどの与那国の話でいっても、国民保護といいながら、九州、沖縄に全島民避難ですから。離島の振興といいながら、石垣、宮古、与那国は無人島になるわけですから、これはやはり、沖縄県の振興で離島を一番大事にしている中でも、政府の考え方とずれがあるんじゃないか。余りにも脅威をあおり過ぎている。米軍統治下の「守礼の光」の話じゃないけれども、同様なものを感じるんですが、いかがでしょうか。

○古波藏参考人 そうですね、メカニズムはとてもよく似ていると思います。
 何か同じ話を繰り返しているようにも思いますが、敵国の脅威をあおるときにやはり気をつけないといけないのは、内部で慎重な意見を言うだけで、いや、おまえはスパイなのか、おまえは内部の敵なのかというふうに、空気が割と社会に蔓延しますので、始めた人が驚くぐらい、出ないといけないはずの慎重論が出ない。そして、みんな、誰か言ってくれたらいいのになで、踏まないといけないブレーキが踏めないというのがさきの大戦の失敗ですから、メカニズムとしては、「守礼の光」の話とも似ているし、過去の戦争のときの慎重論を抑え込んだ空気とも似ているものがあるのかなとは思っています。

○赤嶺委員 どうもありがとうございました。
 今日はちょっと時間がなくなってしまいましたけれども、本当に、根室、北海道の皆さんには私も長いことお世話になってきて、先ほどの、教科書を教えるんじゃない、教科書でというのも、私も現場の出身なものですから大変共鳴いたしました。
 これからも、北方領土、我が党は全千島返還という立場ですから、頑張っていきたいと思います。
 今日はありがとうございました。

すべて表示

このページをシェアする