国会質問

質問日:2025年 6月 12日  第217国会  憲法審査会

沖縄の憲法違反の実態変える議論を 衆院憲法審 赤嶺氏

 

 衆院憲法審査会は12日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、国民の多くが改憲を求めていないもとで、憲法審は改憲議論をすべきではないと述べ、「憲法に反する現実を変える議論が、国会には求められている」と主張しました。

 赤嶺氏は、自民党などの9条改憲の主張に対し、「いま問われているのは、自民党政権が大軍拡を押し進め憲法を破壊していることだ」と批判。2014年に安倍晋三政権が一片の閣議決定によって集団的自衛権を容認し、さらに政府が「安保3文書」に基づく敵基地攻撃能力保有の具体化を強行し、公共インフラや学術研究まで軍事動員しようとしており、「たび重なる憲法蹂躙(じゅうりん)を押し進め、そのうえ改憲を主張するなど断じて許されない」と強調しました。

 さらに、3月に在沖米海兵隊員が基地内で日本人の女性従業員に性的暴行を加えるなど、日米安保条約のもとで米軍人や関係者による事件・事故が繰り返され、沖縄県民の人権が侵害されている実態に言及。「日本国憲法に反する沖縄の実態を変えることが政治家の責務だ。日米安保条約を根本から見直し、地位協定を抜本的に変えるための議論を大いにやるべきだ」と強く主張しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

 

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沖縄の憲法違反の実態変える議論を(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私は、これまで、憲法審査会で改憲のための議論はやるべきではないと主張してきました。それは、何よりも、国民の多くが改憲を求めていないからです。今日も、国会議員の任期を延長する改憲が必要という主張がありますが、そのような声は国民の中から全く沸き上がっていません。
 そもそも、議員任期延長の改憲は、国民の選挙権を停止し、恣意的な権力の延命につながるものです。国民が改憲を求めていないにもかかわらず、憲法を尊重し擁護する義務を負う国会議員が改憲を喧伝し、国民に押しつけることは、本末転倒であり、許されません。
 さらに、前回の審査会では、憲法九条を変えて自衛隊を明記すべきだとか国防規定を入れるべきだという意見がありました。しかし、今問われているのは、自民党政権が大軍拡を推し進め、憲法を破壊していることであり、九条を変えることではありません。
 安倍政権は、二〇一四年に、それまで歴代の自民党政権も憲法九条の下で認められないとしてきた集団的自衛権の行使を一片の閣議決定で容認しました。この審査会でも、参考人として出席した三人の憲法学者が憲法違反だと断じたものです。
 さらに、岸田政権は、二〇二二年に策定した安保三文書で、二七年度までの軍事費を四十三兆円とし、敵基地攻撃能力の保有を明記しました。今年度にも長射程ミサイルを配備する計画です。軍事予算は八兆円を超え、国民生活に不可欠な予算を圧迫しています。
 その上、政府は、空港や港湾など公共インフラや学術研究まで軍事に動員しようとしています。ありとあらゆるものを動員して侵略戦争に突き進んだ過去の過ちを繰り返し、日本国憲法の精神を根底から踏みにじるものです。度重なる憲法じゅうりんを推し進め、その上、改憲を主張するなど、断じて許されません。
 今、国会がやるべきは、改憲の議論ではなく、憲法を現実の政治に生かすための議論です。今国会も、選択的夫婦別姓や同性婚、教育の無償化など、憲法に関わる多くの政治課題が浮き彫りになりました。同時に、憲法の原理原則に反する現実を変える議論が国会に求められています。
 その中で、私は、憲法の上に日米安保条約地位協定がある下で、沖縄県民の人権がじゅうりんされ続けている問題を繰り返し取り上げてきました。この沖縄の実態は変わらないどころか、いよいよ深刻になっています。
 今年三月には、海兵隊員が米軍基地内で基地従業員の日本人女性に性的暴行をし、助けに入った女性にまでけがを負わせる事件が起きました。一月にも、海兵隊員が日本人女性に性的暴行をしていたことが明らかになっています。相次ぐ性的暴行事件に対し、日本政府は、米軍に実効性のある再発防止策を取らせることができないばかりか、米軍人の身柄を拘束することさえできません。
 性犯罪だけではありません。昨年一年間の沖縄での米軍関係者による刑法犯の検挙数は七十三件、八十人と、過去二十年で最悪となっています。先月も、米軍によるひき逃げや不法侵入、飲酒運転が立て続けに起こりました。
 事故も頻発しています。一月には、パラシュート降下訓練中のオスプレイが重さ四百キログラムの貨物を提供区域外に落下させました。先月は、米軍ヘリが発火物の入った八キロのバッグを落下させています。
 戦後八十年たった今なお、米軍が最優先され、県民の命や暮らしが脅かされ続けています。米軍占領下と何も変わっていません。日本国憲法に反する沖縄の現実を変えることこそ、私たち政治家が果たすべき責務です。日米安保条約を根本から見直し、地位協定を抜本的に改定することが求められています。そのための議論を大いにやるべきだと申し上げて、発言を終わります。

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