衆院沖北特委 赤嶺議員が要求
日本共産党の赤嶺政賢議員は5月29日の衆院沖縄北方特別委員会で、世界自然遺産のやんばる地域(沖縄本島北部)で海岸浸食が進んでいるとして、辺野古米軍新基地建設のための海砂採取を中止するよう要求しました。
赤嶺氏は現地調査した国頭、大宜味両村の沿海部の国道護岸数カ所で浸食による崩壊が起きていると指摘。3種のウミガメが産卵に訪れる国頭村の謝敷海岸の消滅の危機が村議会で議論されているとして、政府の対応をただしました。国土交通省の佐々木俊一道路局次長は「大型土のうの設置など応急対策を実施し、今年度から対策工事に着手する」と述べました。
赤嶺氏は、同省が2017年の有識者会議に提出した資料で、同海岸浸食の原因に「沖での砂利採取」を挙げていると指摘。一方、防衛省が新基地の地盤改良工事で、県内での年間採取量の2倍に相当する約390万立方メートルの海砂を調達する計画だと指摘し、「県民が反対する新基地建設に海砂を採取するのはやめるべきだ」と迫りました。
本田太郎防衛副大臣は「環境保全にも配慮しながら工事を着実に進める」と強弁。赤嶺氏は「沖縄の海岸は全部壊れてしまう。自然を守るためにも採取はやめるべきだ」と重ねて求めました。(しんぶん赤旗ホームページ)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
今日は、世界自然遺産にも登録されている山原地域に近接する海岸で浸食が起こっている問題について質問をいたします。
まず、伊東大臣にお聞きします。
沖縄が人々の心を引きつけているのは、青い空、青い海、白い砂浜と言われていますが、この自然景観を保護することは、生態系の維持や住民の豊かな暮らしにつながるのはもちろん、観光を始め経済振興にも寄与すると思いますが、この点、大臣はどのようにお考えですか。
○伊東国務大臣 赤嶺先生の御質問にお答えしてまいります。
答えというより、おっしゃられていること、本当にごもっともなお話でありまして、私も議員をやる前から何回も何回も沖縄に来て、本当にここでゆっくり住んで暮らしていければいいなと思ったことも何回もあるところであります。
それは、まさしく今お話しのとおり、自然景観がすばらしい、そしてまた、今おっしゃられた海も空も砂浜も含めて、魅了するものであり、日本の宝である、このように私も考えているところであります。
○赤嶺委員 それで、沖縄県北部に位置する国頭村は、八割を亜熱帯の木々に囲まれ、ヤンバルクイナやノグチゲラなど固有種、希少種が生息する自然豊かな村であります。また、ウミガメの産卵地としても有名な西海岸の謝敷海岸には、アカウミガメ、アオウミガメ、そしてタイマイという絶滅危惧種のウミガメ三種が産卵に訪れます。
その謝敷海岸で海岸の浸食が深刻な問題となっております。国頭村議会では、浸食による謝敷海岸の消滅の危機という具合に議論が行われております。私は、先週、この委員会室におられる屋良議員や新垣議員も御一緒してその現場を見てきました。海岸沿いには国道五十八号線が通っていますが、護岸が浸食により崩壊している箇所が幾つもありました。こうした現象が西海岸沿いに数キロにわたって何か所も起きています。
国交省にお聞きします。こうした現状、どのように認識し、対応しておられますか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました国頭村の謝敷地区の海沿いを通る国道五十八号の石積み、この護岸につきましては変状を起こしていることは承知をしております。変状の要因といたしましては、護岸下が波浪により洗掘を受けたこと、これによりまして護岸背面の裏側の土が吸い出され、変状したものと考えております。
この箇所につきましては、令和五年度に護岸の変状を確認いたしております。更なる洗掘を防ぐため、大型土のうを設置するなどの応急対策を実施しております。あわせて、本復旧対策について検討を進め、今年度より対策工事を着手する予定としております。
○赤嶺委員 五十八号線沿いの砂浜が持っていかれて歩道の場所が沈下しているという、立入禁止のマークもついておりました。
ところで、国交省は、二〇一七年に砂浜保全に関する懇談会、これは全国の砂浜の保全に関する懇談会ですが、そこに提出した資料では、かつてあった砂浜が失われたままとなっている事例として、申し上げました謝敷海岸を挙げています。そこには、「謝敷海岸は本島の西側海岸で一番のウミガメ産卵場所であるが、沖での砂利採取や台風の影響により侵食が進行。」このように書かれております。
沖での海砂採取が海岸浸食の要因の一つに挙げられているわけですが、沖縄県の琉球諸島沿岸海岸保全基本計画では、人工リーフ等による保全施設の整備を図るとしています。この計画は今どうなっていますか。
○逢坂委員長 答弁。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○逢坂委員長 じゃ、速記を起こしてください。
○赤嶺委員 ちょっと調整がうまくいっていないようですが、県に確認して報告するようにと通告では伝えてあるんですが、伝わっていないですか、国交省。
○逢坂委員長 ちょっと速記を止めてください。
〔速記中止〕
○逢坂委員長 それでは、速記を起こしてください。
○井崎政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘をいただきました謝敷海岸の浸食の状況につきまして、沖縄県に確認をするようにという御指示をいただきましたので、今回、沖縄県に改めて確認をいたしました。
沖縄県からは、謝敷海岸の浸食については、台風の影響や気候変動による平均海面水位の上昇等、幾つかの要因が考えられるということを伺っております。
○赤嶺委員 台風の影響、もちろんあります。沖合で砂を取っているために、台風で砂が流された場合には、その砂の採取場所に入り込んでいって、海岸の砂が少なくなっていくという関係なんですね。それで、人工リーフも、限られた予算の中で、優先的に設置される、措置されるということにはなっていない。
ただ、地元住民は、目の前で砂浜の減少や海岸の浸食が進み、原因究明と対策を求める要請書を北部国道事務所長宛てに提出しています。十分な予算があればこうした浸食による護岸の崩壊にも対応できるということを指摘しておきたいと思います。
海岸の浸食が今でも激しいわけですが、砂浜もどんどんどんどん小さくなっていっているわけですが、沖縄の砂浜、こうした状況があるにもかかわらず、今、防衛省は、辺野古新基地建設に関わって軟弱地盤の改良工事に必要となる大量の海砂を県内から調達するとしております。その量は、全体で約三百九十万立米、県内の年間採取量の約二倍に相当いたします。
防衛省に聞きますが、これまでにどれだけの量の海砂採取を契約してきているのか、それはどこから採取する計画なのか、説明していただけますか。
○奥田政府参考人 お答えいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業において使用する海砂については、委員御指摘のとおり、約三百九十万立方メートルを予定していると承知しております。また、現在、沖縄防衛局が契約している海砂を使用する六件の工事については、入札公告において予定している海砂の使用量を示しておりまして、その合計は約二百三十万立方メートルであると承知しております。
本事業に使用する海砂の採取場所については、工事の安全かつ円滑な実施等の観点からお答えできないことを御理解ください。
以上です。
○赤嶺委員 採取場所については答えられないということですが、この海域で海砂を採取していることについては、採取業者が地元の区に対して説明をしています。地元の方々も、辺野古のために海砂を採取していることはよく知っておられます。
ただでさえ、今まででさえこれだけの浸食被害が起こっている下で、沖縄県民が反対する辺野古新基地建設に海砂を更に採取し、使用するという計画はやめるべきだと思いますが、いかがですか。
○本田副大臣 お答えいたします。
普天間飛行場代替施設につきましては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づきまして着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
この普天間飛行場代替施設については、海砂を用いた地盤改良工事などによりまして飛行場として問題なく建設できるものであり、現在、様々な工事が着実に進捗しているところであります。
防衛省といたしましては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図るため、引き続き、環境保全にも配慮しながら、辺野古への移設工事を着実に進めてまいります。
○赤嶺委員 辺野古の基地が完成する頃は、沖縄の海岸の砂は、今の一年間の量の二倍の量の砂を取っていきますから、全部壊れてしまいますよ。先ほど伊東大臣が言った沖縄の魅力、これも全部失われますよ。それでよく、自然環境に気をつけながら辺野古の基地を造りますと。
辺野古の基地を造るための海砂の採取が更に自然を壊していくと、ウミガメが海岸からいなくなるんですよ。ウミガメというのは、やはり子亀が、産卵するときは分かるそうですね、子亀は一度に百匹ぐらい海に戻っていく、この行進を、アリの行列のようなものを見ていたらとても感動的だということを聞かされましたけれども。やはり、伊東大臣も先ほど沖縄賛歌がありました、そういう自然を守るためにも、海砂の採取は即刻やめるべきだと強く申し上げておきたいと思います。
次に、外務大臣に伺います。
四月十八日に、嘉手納基地周辺のゲート通りなどで日米合同パトロールが行われました。これは元々、米軍占領下の沖縄で行われたもので、本土復帰後に県警が中止を求めていたんですね。一九七四年以降、共同パトロールというのは実施されていなかったものであります。
沖縄県の警察がその中止を求めたのは、米軍の憲兵隊と県警が犯罪の現場に居合わせた場合には、米軍が逮捕し、身柄を拘束するという日米間の取決めがあるからであります。外国軍隊の警察権の拡大は認められないということであります。私は、沖縄県警が取ってきた態度は、誇りある立派な、当然の対応だと思います。
その後、事件が起こるたびに、米軍が合同パトロールの復活を求め、県警は拒否するということが繰り返されました。ところが、今回、一昨年十二月の少女に対する性的暴行事件の発覚を受け、米軍が昨年七月に再び持ち出し、沖縄市が主催する防犯パトロールに相乗りする形で実現されたというのが経過であります。
これまで、政府が導入検討を打ち出したときに、日米間でパトロール時の警察権限の行使について必要な調整を行うと政府は言ってきたわけですね、日米間で共同パトロールを行う場合は必要な調整を行うと。
ところが、今回、その点の整理がなされないまま実施されたと報じられています。これは、外務大臣、事実でしょうか。これでは米軍の警察権の拡大を容認したことになるのではありませんか。
○岩屋国務大臣 四月十八日、沖縄市において、犯罪、事故の防止や地域の防犯意識の向上を目的として、市民、行政、米軍関係者が協力して地域の安全と安心を確保するために、日米合同地域安全パトロールが実施されたと承知しています。
これまでの経過については委員も御指摘ありましたが、これまでも地元自治会や防犯協会が防犯パトロールを実施してきており、この活動に沖縄県警や米軍関係者が加わる形で日米合同地域安全パトロールが実施されましたが、これは日米地位協定とも整合的に実施されたものと承知をしております。
もとより、米軍人等による事件、事故はあってはならないことでありますけれども、昨年七月に米側が発表した一連の再発防止策には沖縄県における県警と米軍による共同パトロールも含まれておりまして、日米合同地域安全パトロールが実施されたことは、在日米軍の綱紀粛正と再発防止にも資していくものであって、政府としてはこれを前向きに評価しているところでございます。
○赤嶺委員 外務大臣、合同パトロールについての政府の考え方はそうでしょうけれども、ただ、合同パトロールを行う場合には警察権について必要な整理、必要な調整を行うとしてきたわけですよ。
この必要な調整、これはやりましたか。
○岩屋国務大臣 言うまでもないことですが、日米合同地域安全パトロールでございますから、これは、犯罪、事故の防止や地域の防犯意識の向上を目的とする、言ってみれば啓発活動でございます。しかも、先ほど申し上げたように、日米地位協定とも整合的に実施されたものと承知をしております。
地位協定十七条の10の(b)で……(赤嶺委員「いいです、いや、もうそこまでで。もう一問ありますから」と呼ぶ)いいですか、はい。
○赤嶺委員 外務大臣、今、途中で答弁を止めて失礼ですけれども、ただ、合同パトロールが行われるようになったら、米軍が一方的に身柄を拘束するケースが増加することになるんですよ。私は何度も国会でその問題を取り上げてきました。佐世保、北谷、那覇などでそうした問題が繰り返されております。
しかも、米軍は、先ほど行われたフォーラムで、那覇市を含む沖縄のほかの地域への拡大も提案、議論したという具合になっています。まるで占領下に戻るようなものです。やはり……
○逢坂委員長 赤嶺君、申合せの時間が過ぎております。
○赤嶺委員 はい。
外国の軍隊の、米軍の軍隊の警察権が拡大するようなやり方を容認している、それを改めるように求めて、質問を終わります。