衆院安保委
日本共産党の赤嶺政賢議員は18日の衆院安全保障委員会で、陸上自衛隊第15旅団(沖縄県那覇市)がホームページに再掲載した旧日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句を削除するよう要求しました。
句の掲載は昨年6月、沖縄の地元紙が報道。「旧軍の精神を受け継ぐものだ」などの批判が相次ぎ、同団は10月末にいったん削除しましたが、今年1月1日に再掲載しました。
赤嶺氏は「なぜ再掲載したのか。事前に報告はあったのか」と質問。防衛省の萬浪学官房長は「リニューアルの予定については、事前に陸上幕僚長や大臣官房長に報告されていた」と認めました。
赤嶺氏は、牛島氏が沖縄戦で、自決の直前に最後までたたかい続けるよう命じ、鉄血勤皇隊や看護学徒隊に動員された少年少女たちが次々と命を落としていったと指摘。句の趣旨は「戦場に散っていったとしても皇国でよみがえる。だから最後までたたかえというものだ」として、「削除を指示すべきだ」と迫りました。
中谷元・防衛相は「牛島司令官の評価はさまざまな意見がある。私は平和を願っている印象が強い」などと開き直りました。赤嶺氏は「評価は定まっている。死んで皇国につくせというものだ」と批判し、重ねて削除を要求しました。(しんぶん赤旗ホームページ)
防衛省設置法等改定案 日米軍事一体化進める
赤嶺氏批判
衆院安保委で可決
安保3文書に基づき日米軍事一体化と自衛隊の抜本的な体制強化を進める防衛省設置法等改定案が18日の衆院安全保障委員会で、自民、立民、維新、国民民主、公明の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は討論で「憲法9条を踏みにじり地域の緊張と対立を拡大する」と批判。イージス・システム搭載艦の導入や統合作戦司令部の体制強化は、米国が進めるIAMD(統合防空ミサイル防衛)を具体化し「自衛隊を米軍指揮下に一層深く組み込む」とし、陸上自衛隊補給本部などの新編で、南西諸島の軍事態勢や台湾海峡などへの介入体制が強化されると指摘しました。
赤嶺氏は質疑で、同本部は全国の補給処を一元的に指揮し、人員や物資を「前線」に集中させることを可能にすると追及。「具体的な事例は言えない」と述べた防衛省の青柳肇整備計画局長に対し「住民の命と安全に関わる問題を秘密裏に進めるなど到底許されない」と批判しました。
個々の締約国ごとに整備してきた物品役務相互提供協定(ACSA)の国内実施法を共通規定化し、新たな協定締結に伴う法案提出を原則不要としているのは「国会審議を形骸化させ審議権・立法権を侵害する」と指摘し、自衛官の「処遇改善」は軍事力強化のためだと批判。中途退職の理由に「処遇」を挙げた自衛官は全体の2%にすぎないとして、「募集難の背景はロシアのウクライナ侵略で武力行使が現実感を増していることや自衛隊内でパワハラ・セクハラがまん延していることだ。こうした根本問題にこそ目を向けるべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2025年4月19日)
主張
中谷防衛相の暴言
牛島司令官の句 美化を許すな
1945年の沖縄戦を指揮した日本軍第32軍の牛島満司令官の「辞世の句」について、中谷元・防衛相が国会答弁で「平和を願う歌」だと美化したことに沖縄県内外から怒りの声が上がっています。
中谷氏は22日の記者会見で、自身の国会答弁は歌の解釈ではなく、「防衛大臣として、わが国の平和への願いを述べた」などと正当化しました。しかし、そうした詭弁(きべん)は通用しません。
■「あまりに身勝手」
中谷氏の答弁は、日本共産党の赤嶺政賢議員が、陸上自衛隊第15旅団(那覇市)がホームページに載せている牛島司令官の辞世の句を削除するよう求めたのに対するものです(18日の衆院安全保障委員会)。
同ホームページ掲載の牛島司令官の辞世の句は「秋を待たで 枯れゆく島の青草は 御国(みくに)の春に よみがえらなん」というものです。米軍に包囲され、沖縄本島南部にある摩文仁(まぶに)の丘で自決するのを前に詠みました。
「御国」は、絶対的な天皇が統治する国(皇国)を意味します。「戦場に散っていったとしても、皇国でよみがえる。だから最後まで戦え」(赤嶺氏)という歌です。
中谷氏はこの歌の解釈として「先の大戦において犠牲になった方々に心からの哀悼の意を表し、その教訓を生かして、これからの平和をしっかりと願う歌と受け取っている」と述べました。これは「あまりにも身勝手な解釈」(赤嶺氏)です。
沖縄戦は、「国体護持」を至上命令にし、本土決戦を遅らせるための捨て石作戦でした。司令部のあった首里陥落を前に、牛島司令官は、住民が避難している本島南部に撤退して持久戦を続けることを決めました。その結果、南部一帯は軍民混在の戦場となり、米軍の無差別攻撃だけでなく、日本兵による壕(ごう)追い出しや殺害などにより、多数の住民が犠牲となりました。
牛島司令官は自決に先立ち、生き残った兵士らに「最後迄(まで)敢闘し悠久の大義に生くべし」と徹底抗戦を命じ、犠牲はさらに拡大しました。
■防衛相の資格なし
第15旅団が牛島司令官の辞世の句をホームページに載せていたことが発覚したのは昨年6月でした。批判を受けて10月に削除したものの、ホームページのリニューアルに伴い、沖縄戦80年を迎えた今年1月に再び掲載しました。
中谷氏は、リニューアルについて「地元のみなさまに第15旅団を身近な存在と感じていただくため」などと述べました。凄惨(せいさん)な沖縄戦を体験した県民の気持ちとあまりにもかけ離れた認識です。赤嶺氏が、沖縄戦の犠牲者らを追悼する6月23日の式典に参加する資格はないと批判したのは当然です。
中谷氏は、沖縄県の米軍普天間基地の返還条件とする辺野古新基地建設に関し「沖縄県が努力していれば、もっと早く普天間の移設も進んだ」などと述べています(10日の参院外交防衛委員会)。沖縄の辺野古新基地反対の民意をまったく無視するものです。
沖縄戦や米軍基地への県民感情を理解できない中谷氏に防衛相の資格はありません。(しんぶん赤旗 2025年4月24日)