国会質問

質問日:2025年 4月 18日  第217国会  安全保障委員会

沖縄戦美化の句 削除させよ 赤嶺氏が防衛相に要求

衆院安保委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は18日の衆院安全保障委員会で、陸上自衛隊第15旅団(沖縄県那覇市)がホームページに再掲載した旧日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句を削除するよう要求しました。

 句の掲載は昨年6月、沖縄の地元紙が報道。「旧軍の精神を受け継ぐものだ」などの批判が相次ぎ、同団は10月末にいったん削除しましたが、今年1月1日に再掲載しました。

 赤嶺氏は「なぜ再掲載したのか。事前に報告はあったのか」と質問。防衛省の萬浪学官房長は「リニューアルの予定については、事前に陸上幕僚長や大臣官房長に報告されていた」と認めました。

 赤嶺氏は、牛島氏が沖縄戦で、自決の直前に最後までたたかい続けるよう命じ、鉄血勤皇隊や看護学徒隊に動員された少年少女たちが次々と命を落としていったと指摘。句の趣旨は「戦場に散っていったとしても皇国でよみがえる。だから最後までたたかえというものだ」として、「削除を指示すべきだ」と迫りました。

 中谷元・防衛相は「牛島司令官の評価はさまざまな意見がある。私は平和を願っている印象が強い」などと開き直りました。赤嶺氏は「評価は定まっている。死んで皇国につくせというものだ」と批判し、重ねて削除を要求しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

 

防衛省設置法等改定案 日米軍事一体化進める

赤嶺氏批判

衆院安保委で可決

 安保3文書に基づき日米軍事一体化と自衛隊の抜本的な体制強化を進める防衛省設置法等改定案が18日の衆院安全保障委員会で、自民、立民、維新、国民民主、公明の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は討論で「憲法9条を踏みにじり地域の緊張と対立を拡大する」と批判。イージス・システム搭載艦の導入や統合作戦司令部の体制強化は、米国が進めるIAMD(統合防空ミサイル防衛)を具体化し「自衛隊を米軍指揮下に一層深く組み込む」とし、陸上自衛隊補給本部などの新編で、南西諸島の軍事態勢や台湾海峡などへの介入体制が強化されると指摘しました。

 赤嶺氏は質疑で、同本部は全国の補給処を一元的に指揮し、人員や物資を「前線」に集中させることを可能にすると追及。「具体的な事例は言えない」と述べた防衛省の青柳肇整備計画局長に対し「住民の命と安全に関わる問題を秘密裏に進めるなど到底許されない」と批判しました。

 個々の締約国ごとに整備してきた物品役務相互提供協定(ACSA)の国内実施法を共通規定化し、新たな協定締結に伴う法案提出を原則不要としているのは「国会審議を形骸化させ審議権・立法権を侵害する」と指摘し、自衛官の「処遇改善」は軍事力強化のためだと批判。中途退職の理由に「処遇」を挙げた自衛官は全体の2%にすぎないとして、「募集難の背景はロシアのウクライナ侵略で武力行使が現実感を増していることや自衛隊内でパワハラ・セクハラがまん延していることだ。こうした根本問題にこそ目を向けるべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2025年4月19日)

 

 

主張

中谷防衛相の暴言

牛島司令官の句 美化を許すな

 1945年の沖縄戦を指揮した日本軍第32軍の牛島満司令官の「辞世の句」について、中谷元・防衛相が国会答弁で「平和を願う歌」だと美化したことに沖縄県内外から怒りの声が上がっています。

 中谷氏は22日の記者会見で、自身の国会答弁は歌の解釈ではなく、「防衛大臣として、わが国の平和への願いを述べた」などと正当化しました。しかし、そうした詭弁(きべん)は通用しません。

■「あまりに身勝手」

 中谷氏の答弁は、日本共産党の赤嶺政賢議員が、陸上自衛隊第15旅団(那覇市)がホームページに載せている牛島司令官の辞世の句を削除するよう求めたのに対するものです(18日の衆院安全保障委員会)。

 同ホームページ掲載の牛島司令官の辞世の句は「秋を待たで 枯れゆく島の青草は 御国(みくに)の春に よみがえらなん」というものです。米軍に包囲され、沖縄本島南部にある摩文仁(まぶに)の丘で自決するのを前に詠みました。

 「御国」は、絶対的な天皇が統治する国(皇国)を意味します。「戦場に散っていったとしても、皇国でよみがえる。だから最後まで戦え」(赤嶺氏)という歌です。

 中谷氏はこの歌の解釈として「先の大戦において犠牲になった方々に心からの哀悼の意を表し、その教訓を生かして、これからの平和をしっかりと願う歌と受け取っている」と述べました。これは「あまりにも身勝手な解釈」(赤嶺氏)です。

 沖縄戦は、「国体護持」を至上命令にし、本土決戦を遅らせるための捨て石作戦でした。司令部のあった首里陥落を前に、牛島司令官は、住民が避難している本島南部に撤退して持久戦を続けることを決めました。その結果、南部一帯は軍民混在の戦場となり、米軍の無差別攻撃だけでなく、日本兵による壕(ごう)追い出しや殺害などにより、多数の住民が犠牲となりました。

 牛島司令官は自決に先立ち、生き残った兵士らに「最後迄(まで)敢闘し悠久の大義に生くべし」と徹底抗戦を命じ、犠牲はさらに拡大しました。

■防衛相の資格なし

 第15旅団が牛島司令官の辞世の句をホームページに載せていたことが発覚したのは昨年6月でした。批判を受けて10月に削除したものの、ホームページのリニューアルに伴い、沖縄戦80年を迎えた今年1月に再び掲載しました。

 中谷氏は、リニューアルについて「地元のみなさまに第15旅団を身近な存在と感じていただくため」などと述べました。凄惨(せいさん)な沖縄戦を体験した県民の気持ちとあまりにもかけ離れた認識です。赤嶺氏が、沖縄戦の犠牲者らを追悼する6月23日の式典に参加する資格はないと批判したのは当然です。

 中谷氏は、沖縄県の米軍普天間基地の返還条件とする辺野古新基地建設に関し「沖縄県が努力していれば、もっと早く普天間の移設も進んだ」などと述べています(10日の参院外交防衛委員会)。沖縄の辺野古新基地反対の民意をまったく無視するものです。

 沖縄戦や米軍基地への県民感情を理解できない中谷氏に防衛相の資格はありません。(しんぶん赤旗 2025年4月24日)

質問の映像へのリンク

沖縄戦美化の句 削除させよ(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 まず、法案について質問をいたします。
 今回の法案には、陸上自衛隊補給統制本部の補給本部への改編が盛り込まれております。新設する補給本部長が全国の補給処長を一元的に指揮監督する体制をつくるものです。
 防衛大臣に伺いますが、今回の改編によって具体的にどういうことが可能になるのでしょうか。前線に近い補給処に、人員や物資を集中させることも可能になるということですか。

○中谷国務大臣 補給に関しましては、これまで、方面隊の警備区域ごとに一定程度完結をして後方支援を行うということを前提に、各補給処についても、各警備区域における作戦の主宰者たる各方面総監が直接指揮監督を行いまして、補給統制本部が全国的な在庫量の適正管理という観点から統制を行うという体制といたしておりました。
 しかし、状況が大きく変わりましたので、各種事態に応じて柔軟かつ機動的に対応できる体制を構築する観点から、防衛力整備計画において、第一五旅団を除く各師旅団は、所属する方面隊の警備区域内のみで活動することを前提とせずに、機動運用を基本とすることとされております。
 これを受けまして、後方支援に係る体制につきましても、機動運用される部隊に適切に後方支援を行うために、補給処が所在する方面の警備区域、これをまたいで、より円滑な補給の実施、装備品等の整備を行うことが可能な体制を構築することといたしました。
 今般、補給統制本部を補給本部に改編しまして、補給本部長が全国の各補給処を一元的に指揮監督できる体制を構築することといたしました。
 この改編によりまして、補給本部長が、各部隊の需要、そして各補給処の在庫状況を一元的に把握して、陸上自衛隊全体として最適な後方支援を企画することが可能となるほか、補給処で業務に当たる隊員の練度を全国的に管理して、事態に応じて補給処に補給要員、また整備要員の運用、配置を柔軟に行うことが可能となるなど、自衛隊の後方支援体制を強化されるように変えていきたいと考えております。

○赤嶺委員 そうしますと、今、防衛省は、沖縄市にある陸上自衛隊の訓練場に新たな補給処支処を新設する計画も進めています。既に、与那国、宮古、石垣島には、自衛隊の駐屯地が開設され、弾薬庫や倉庫なども設置されています。
 こうしたところに、事前に、あるいは事態発生時に、全国の補給処から人員や燃料、弾薬、食料などの物資を集中させることも可能になる、そういうことですか。

○青柳政府参考人 お答えいたします。
 今まさに大臣からお答えいただいたように、今回、後方支援に係る体制の強化ということで、まさに機動運用される部隊に適切に後方支援を行うということですので、その機動運用される部隊が必要とするものを必要なときにしっかりと届けられるような体制にするということでございます。

○赤嶺委員 ですから、宮古や石垣や与那国などにも、事態発生前に補給処へ集めるということもできるわけですよね。

○青柳政府参考人 お答え申し上げます。
 個々具体的な事例は、まさに様々な状況に応じますので、ここでは申し上げられませんけれども、まさに機動運用される部隊に適時適切に後方支援をするということで、その機動運用される部隊の必要に応じ適切に物品を届ける、装備を届けるということでございます。

○赤嶺委員 否定されないわけですが、台湾有事に備えた戦争準備を進めることは、私たちは絶対に認めることはできません。ましてや、住民の命と安全に関わる問題を秘密裏に進めるということなど到底許されないと思います。
 一方で、こうした前線への戦争準備を進めながら、この戦争準備との関係で見過ごすことができないのは、陸上自衛隊の第一五旅団、これが、沖縄戦当時の旧日本軍第三二軍の牛島司令官の辞世の句をホームページに再掲載した問題であります。昨年六月に地元紙が報道し、旧軍の精神を受け継いでいるのではないかという批判の声が上がりました。一五旅団は、十月に一旦削除しましたが、戦後八十年を迎えた年明けの一月一日に再び掲載をしました。
 防衛省に伺いますが、県民から批判の声が上がっていたにもかかわらず、なぜ再掲載することになったのか。事前に、陸上幕僚監部や防衛省本省に相談はあったんですか。

○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのホームページにつきましては、陸上自衛隊第一五旅団が作成しているものでございまして、昨年の十月から検討しておりまして、本年一月にリニューアルされたもの、先生御言及のとおりでございます。これにつきましては、同旅団の前身として沖縄県の本土復帰直後に沖縄に配備された臨時第一混成群を含め、これまでの部隊の歩みを正確かつ丁寧に説明することが、地元の皆様に第一五旅団を身近な存在と感じていただくためには不可欠と考えまして、かかる観点から、各部隊の新編などの節目ごとにおける部隊長の訓示等をホームページに掲載することとしたと承知してございます。
 その中で、昭和四十七年の臨時第一混成群長による沖縄県本土復帰に伴う訓示もこのホームページに掲載しておりまして、この訓示には、当時作成されました部隊史、臨時第一混成群史によりますと、御指摘の牛島司令官の辞世の句が訓示に含まれているということになってございます。このため、当時のものをそのまま紹介するという趣旨で、御指摘の句も含まれた同部隊史の当該ページをそのまま直接引用して掲載しているところでございます。
 なお、当該リニューアルの予定につきましては、事前に、陸上幕僚監部、陸上幕僚長及び当時の大臣官房長に報告されてございました。
 以上です。

○赤嶺委員 事前に報告があったということです。
 それに対して、本省としてどういう対応をしたんですか。そのまま認めたということですか。

○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
 重なりますが、第一五旅団のホームページを作成しているのは一五旅団そのものでございますけれども、そちらの方で、地元の皆様に身近な存在だと感じていただくという趣旨でこういうようなリニューアルを行ったというふうに聞いてございます。
 その上で、こうしたホームページの記載内容を含めまして、部隊の情報発信の在り方につきましては、日頃から地元の方々と身近に接して地域の実情に通じておる各部隊において、しかるべく判断し、対応すべきものというふうに考えておるところでございます。

○赤嶺委員 先ほどの答弁でも、本省のお墨つきの下で掲載されたということであります。
 防衛大臣に伺いますが、当時の日本軍は、軍官民共生共死一体化、軍も官も民も、共に生き、共に死ぬ、一体化するという方針の下に、住民を戦争に動員し、捕虜になることを許さず、最後は自決することを強要しました。
 牛島司令官は、摩文仁の丘で、米軍に包囲され、万策尽きた六月十八日、最後の命令を下しました。司令官自身が自決に追い込まれる状況にあっても、投降を許さず、最後まで戦い続けるよう指示するものでありました。鉄血勤皇隊に動員された少年たちは、斬り込み攻撃や北部の国頭に脱出して再起を図るよう迫られました。看護学徒隊に動員された少女たちも、戦場に放り出され、次々と命を落としていきました。
 こうした下で、翌十九日、上級部隊への決別文に記したのが、辞世の句です。辞世の句の中身は、秋が来るのを待たずして戦場に散っていったとしても、皇国でよみがえる、だから最後まで戦えという辞世の句であります。
 防衛大臣は、今月十日の安保委員会で、私の質問に、沖縄戦は、軍隊が住民を盾にし、共に移動することで住民の被害が大きくなったが、今回は、武力攻撃に先立って住民に安全なところに避難してもらうと強調しておりました。
 自衛隊が旧軍とは違うというのであれば、この辞世の句を再掲載するようなことを認めてはならないと思います。大臣の責任で削除を指示すべきだと思いますが、いかがですか。

○中谷国務大臣 沖縄戦におきましては、私も防衛大臣として県民の追悼式に参列をさせていただいておりますけれども、やはり、さきの大戦の末期、県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われて、軍民合わせて二十万人という貴い命が失われた。特に、本島の南部の地域においては、多くの住民の方々が犠牲になったものだと認識をいたしております。まさに沖縄の方々の筆舌に尽くし難い困難と、癒えることのない悲しみ、苦しみ、これは私自身も胸に刻みながらでありますが、日本全体の国民においても、こういったことをしっかり受け止めて、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないというふうに考えております。
 この牛島司令官の評価、旧軍の評価につきましては様々な御意見があるということは承知いたしておりますけれども、そういうことを含めまして、このホームページにおきましては、地元の部隊の司令官が地元の皆様に非常に身近な部隊であるということを感じていただくために、これまでの過去の歴史や経緯を伝えるという意味において、訓示を含めて、ホームページに掲載することとしたものと承知いたしております。
 いろいろとこれに対してお考え等もありますけれども、私は、この掲示によりまして、やはり、もう二度とあのようなことが起こらないように平和を願っているという意味の印象が強いのではないかなというふうに思っておりますので、こういった、日頃から地元の方々に、実情をしっかり通じて部隊のあるべき姿を問うているというふうに思います。
 もう一点、それから、住民の避難と武力攻撃に対応するということをどう考えるかということにつきましては、これはまさに委員が在籍中に武力攻撃事態の法案を作成したときに、当初は武力攻撃事態に対応するという内容の法案でしかなかったんですね。ところが、そこを更に与野党で検討いたしまして、それに国民保護法という内容の法律も加えて、両方が有事法制ということにいたしておりますので、これは、そういった事態が起こったときに、両方のことを両立させてやっていくということを可能にしておりますので、両方対応することが大切ではないかなというふうに思っております。

○赤嶺委員 牛島司令官の沖縄戦における役割の評価は定まっていますよ。定まっていないと思っていますか。結局、三二軍の司令官として、沖縄県民を戦場に巻き込んで、そして、この辞世の句は平和を願っている歌と言いましたが、誰が読んでも、とにかく最後の一人まで戦え、自分の命が長らえることは考えるな、死んで皇国に尽くせという歌ですよ、これは。平和の歌じゃないですよ。しかも、評価は決まっていますよ。住民を犠牲にした、こんな戦争なんてないじゃないですか。
 大臣もそのことをよく分かっておられる。それでも、この辞世の句は掲載をやめない、大臣、そうおっしゃるんですか。

○中谷国務大臣 一つの歴史の事実として、さきの大戦において、司令官も含めて戦ったわけでありますが、私が注目するのはこの最後の句で、御国の春によみがえらなんという句でありまして、そういうことを踏まえて、これから平和を願ってやっていかなければならない、そういうふうに受け取っております。

○赤嶺委員 それは違いますよ。今死んでも、必ず将来はこの皇国がよみがえることになるから、皇国のために死ねということですよ、これは。自分が長生きするんじゃなくて、皇国に尽くせということを司令官は言っているんですよ。何を言っているんですか、そんなの。それは、六月二十三日の慰霊祭に参加する資格さえないですよ、そんなことを大臣が答弁するのであれば。これは絶対に許されないと思います。
 今大臣、いろいろ弁解もしました。大臣と何度もおつき合いしてきましたし、本音のところではそうではないんじゃないかと思っていますけれども、しかし、委員会で公然と、これは平和を願う歌。そして、住民は戦争に志願して行ったんじゃないですよ、巻き込まれたんですよ。日本兵によってスパイ扱いされ、ごうを追い出され、犠牲になっていった。こういう歴史の事実から照らしても、大臣の弁解は絶対に許せないと思います。
 結局、いろいろ言いますけれども、防衛省自身が旧日本軍の精神を受け継いでいると言われても仕方がないと思います。そうではないと大臣がおっしゃるのであれば、指揮監督権は防衛大臣にあるわけですから、しかるべき対応を取るべきだということを強くこの場で申し上げておきたいと思います。
 先ほど紹介した答弁で、防衛大臣は、武力攻撃に先立って、今回は、国民保護の法律もあるんだから、住民を避難させるということを言いました。しかし、相手の行動を全て予測し尽くすことはできないと思います。住民の避難が終わらないうちに実際に攻撃が始まった場合、どうするのか。島に住民が取り残される中にあっても、米軍や自衛隊は戦闘を開始することになっていきます。そうならないという保証はありますか。

○中谷国務大臣 一言、先ほどの牛島中将の歌碑についての感想でありますが、私は、やはり、さきの大戦において犠牲になった方々に心からの哀悼の意を表して、その教訓を生かして、これからの平和をしっかりと願うという歌に受け取っております。
 そして、先ほどの御質問につきましては、やはり、有事に際しては、住民の生命財産をしっかり確保するために、我が国に対する武力攻撃に十分先立って、住民の迅速な避難を実現することが何よりも重要であるという政府の考え方でありまして、住民避難が完了する前に武力攻撃が発生したとしても、事態対処法の下で、国の対策本部が中心となって、住民避難を含めて必要な措置を的確に実施していくということになります。
 この際、防衛省・自衛隊は、武力攻撃の早期排除、これが国民の生命財産を守ることにつながると考えて、武力攻撃を排除し、国民の被害を局限化をするという主たる任務を遂行するとともに、支障のない範囲で可能な限りの国民保護の措置を行うということにいたしております。

○赤嶺委員 さっきの牛島中将の理解は、余りにも身勝手、そして、県民が受けた犠牲について何の反省もない。再び戦争を起こさないということじゃないんですよ。もう牛島中将自身が自決せざるを得ないときに、私は自決するけれども、それでもみんなはこの皇国をよみがえらすために最後まで戦えと言っているんですよ、これは。そういう歌ですよ。軍官民共生共死の一体化と言っているんですよ。余りにも身勝手な歌の解釈だと思います。
 国民保護についてもうちょっと述べたいんですが、防衛大臣は、三月十八日の会見で、自衛隊の地対艦ミサイルについて、移動しながら運用する装備だと述べています。なぜ移動する必要があるんですか。

○中谷国務大臣 陸上自衛隊の使命といたしましては、各種事態において、その態様に応じて、航空機、船舶、車両等、必要な場所に機動展開をして対処を行う。
 ミサイル向上型を運用する部隊についても、事態の態様に応じて必要な場所に機動展開をし、我が国への侵攻を洋上で阻止、排除する任務に当たるということといたしております。

○赤嶺委員 結局、石垣島や宮古島や与那国島、多良間を含めて、島を移動しながら攻撃を続けるということになったら、島中が相手の攻撃にもさらされることになります。住民も巻き添えになるのではありませんか。いかがですか。

○中谷国務大臣 この一二式の地対艦誘導弾の能力向上型を運用する部隊の展開場所を含む詳細又は場所等につきましては、状況に応じてこれを判断する必要がありますので、事態の態様は千差万別でございます。
 一概にお答えすることは困難でありますが、いずれにしても、あらゆる事態にしっかり対応できるように、事態の態様に応じて、適切な場所に機動展開をしてまいります。

○赤嶺委員 ですから、いろいろな事態が起こり得るわけですよ。いろいろな事態が起こり得るから、島中を移動して、一二式ミサイルで相手に撃ち込むわけですね。相手も反撃する。つまり、ミサイル部隊が動くところに反撃されるわけですから、島中が戦場になるわけですよね。そういう具合になったら、島が攻撃されるような事態になったら、補給路が断たれ、たちまち食料の調達もままならなくなっていきます。
 部隊の食料が尽きたとき、極限状態に置かれた自衛隊員はどうするのか。結局、沖縄戦と同じように、住民に食料を差し出すように迫ることになるのではありませんか。

○中谷国務大臣 そのようなことにならないために、自衛隊というのは、日頃装備を、訓練し、あらゆる場所に展開するということを可能にしております。
 これはなぜかというと、やはりそうすることによって、相手に撃たせない、又は抑止する、こういうことをもって現状を維持するという目的もございますので、その辺も是非御理解をいただきたいと思います。

○赤嶺委員 安保三文書には、抑止が破れる場合もあると書いてありますよね。抑止で一方的に抑え込むというんじゃなくて、相手の反撃によっては抑止が破られる場合もあると。
 島が戦場になれば、住宅も、農地も、家畜も、商店も攻撃を受ける可能性があります。被害を受けた個人の財産は補償されるんですか。

○門前政府参考人 お答えいたします。
 国民の被害に係る補償につきましては、法律上、明確な規定はありませんけれども、武力攻撃による国民の被害には様々な場合があり、個別具体的な判断が必要であることから、武力攻撃が終了した後、復興施策の在り方の一環として検討すべきものであり、その状況下で可能な検討がされることとなると認識しております。

○赤嶺委員 そんなばかげた答弁は通用しませんよ。沖縄戦で財産を失って、補償していますか。全く補償されていませんよ。沖縄戦でさえ、あるいは、あのアジア太平洋戦争でさえ、東京大空襲でさえ補償もしていないのに、今度来る有事の事態では補償することを、今は考えていませんけれども、これから考えますと言っても、誰も信用できるものではありません。
 戦争は国民を犠牲にするものです。こういう体制はやめるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。
 本法案は、安保三文書に基づき、日米軍事一体化と自衛隊の抜本的な態勢強化を進めるものであります。憲法九条を踏みにじり、地域の緊張と対立を拡大するものであり、断じて容認できません。
 自衛官定数の変更は、イージスシステム搭載艦の導入や航空自衛隊宇宙作戦団の新編、自衛隊サイバー防衛隊と統合作戦司令部の体制強化などによるものです。アメリカが同盟国と一体で構築を進める統合防空ミサイル防衛、IAMDを具体化し、自衛隊を米軍指揮下に一層深く組み込むものです。
 陸上自衛隊補給本部や海上自衛隊水上艦隊の新編は、南西諸島における島嶼防衛体制や艦隊の即応体制を強化し、台湾海峡や南シナ海、朝鮮半島などへの介入体制を強化するものです。
 ACSAの関連法整備は、これまで個々の締約国ごとに整備してきた自衛隊法、国連PKO法の実施規定を共通規定化し、新たな協定締結に伴う法案提出を原則不要とするものです。国会審議を形骸化させ、国会の審議権、立法権を侵害するものであります。
 最後に、自衛官の処遇改善は、安保三文書に基づく態勢強化を進めるためのものです。
 政府は募集環境の厳しさを強調しますが、中途退職者で処遇を理由に挙げているのは全体の二%にすぎません。募集難の背景として指摘されているのは、ロシアのウクライナ侵略で武力行使が現実感を増していることや、自衛隊内でパワハラ、セクハラが蔓延していることです。こうした根本問題にこそ目を向けるべきです。
 以上を指摘し、討論を終わります。

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