国会質問

質問日:2025年 4月 3日  第217国会  憲法審査会

改憲でなく政治転換 衆院憲法審で赤嶺氏主張

 

 衆院憲法審査会は3日、改憲手続きを定めた国民投票法について自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、国民は改憲を求めておらず、改憲の手続きを整備すべきだという声はないと述べ、同法の整備を急ぐ必要はどこにもないと指摘。「いま必要なのは憲法の原則から乖離(かいり)した現実の政治をただし、国民の基本的人権を守るための議論だ」と主張しました。

 国民投票法は、第1次安倍晋三政権の2007年に安倍首相が改憲に意欲を示すもとでつくられました。法案審議の段階から、多くの参考人が不備を指摘していたにもかかわらず、自民党が改憲を推し進めようと衆院での採決を強行しました。

 赤嶺氏はその経過から、同法には国民の民意を正確にくみ反映させるという根本において重大な問題があると指摘。最低投票率の規定がなく、公務員や教員の国民投票運動を不当に制限し、資金力の多寡によって広告量が左右されることなどを挙げ、重大な問題を抱えた欠陥法だとして、「根本的な欠陥を持つ改憲手続き法をつくり、改憲の議論を進めてきた自民党のやり方は断じて許されない」と批判しました。

 自民党や日本維新の会は、国民投票の際に改憲案の広報を行う広報協議会の具体化を進めるべきだと主張。赤嶺氏は、同協議会は委員の大多数が改憲賛成会派から割り当てられるなど、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっているとして、「具体化していく規程づくりは認められない」と批判しました。(しんぶん赤旗 2025年4月4日)

質問の映像へのリンク

改憲でなく政治転換(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 赤嶺政賢です。
 私たちは、国民が改憲を求めていない中で改憲のための国民投票法は整備する必要はないという立場です。今、憲法改正は差し迫った政治上の課題とはなっておらず、国民の中から改憲の手続を整備すべきだという声は上がっていません。国民投票法の整備を性急に進める必要はどこにもありません。
 現行の国民投票法は、第一次安倍政権の二〇〇七年に、自民党が改憲を推し進めようとする下で作られたものです。
 安倍首相は、憲法改正を政治スケジュールにのせるべくリーダーシップを発揮すると述べ、そのために国民投票法の早期成立を期待すると繰り返しました。この下で、自民党は、期限を区切って国民投票法の審議を推し進めました。当時、特別委員会に出席した多くの参考人からも法案の不備が指摘されていたにもかかわらず、自民党が衆議院で採決を強行し、成立させたものが今の国民投票法です。そのため、現行法には幾つもの重大な問題が残されたままとなっています。
 私たちは、当初から、法案は、国民の民意を酌み尽くし正確に反映させるという根本において重大な問題があると指摘をしてきました。今でも、法律や憲法の専門家からも不備を指摘する声が上がっています。日弁連は、現行法が公平性や正当性に疑義を抱えているとして、有料広告の規制や最低投票率の新設など八項目について繰り返し見直しを求めています。
 この現行法の不備について、私たちは、これまで三つの点を指摘してきました。
 第一に、最低投票率の規定がないことです。
 現行法は、投票率がどんなに低くても国民投票が成立する仕組みになっており、有権者の一割から二割台の賛成でも改憲案が通ってしまいます。これでは、国民の民意を酌み尽くし、その意思を正確に反映しているとは到底言えません。
 第二に、公務員や教員の国民投票運動を不当に制限していることです。
 国民投票の大前提は、国民が幅広い多様な意見に接し、自由闊達に意見を表明し、理解できることです。しかし、現行法は、定義の曖昧な地位利用を理由に、国、地方の公務員や、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで、およそ教育に携わる全ての投票運動を禁止しています。その対象は五百万人以上になると言われており、その影響は極めて甚大です。このような不当な投票運動の制限は、公務員や教員だけにとどまらず、国民全体の意見表明や運動を萎縮させることにつながりかねない重大な問題です。
 第三に、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことです。
 資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまい、憲法がお金で買われるおそれが繰り返し指摘されています。しかし、現行法にはそれに対する実効性のある措置がありません。
 国会につくる広報協議会も、委員の大多数は、改憲に賛成した会派から割り当てられます。広報の内容も、改憲の理由と改憲案の説明、改憲に賛成する意見が大部分を占め、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっています。このような重大な問題を持つ広報協議会を具体化していく規程作りは認められません。
 現行の国民投票法は、その審議の手続においても、その内容においても重大な問題を抱えた欠陥法です。この根本的な欠陥を持つ手続法を作り、改憲の議論を進めてきた自民党のやり方は、断じて許されるものではありません。
 今必要なのは、改憲の議論ではありません。憲法の原則と乖離した現実の政治を正し、国民の基本的人権を守るための議論こそやるべきだと改めて申し上げて、発言とします。

すべて表示

このページをシェアする