赤嶺氏が中止を要求
衆院予算委
日本共産党の赤嶺政賢議員は5日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、政府の費用想定が工事の実態とかけ離れ、実際の費用が膨らみ続けている現状を明らかにし、工事中止を求めました。
政府は新基地建設に要する経費を当初約3500億円としていましたが、2019年に軟弱地盤の改良工事に伴い、約9300億円に引き上げました。
赤嶺氏は、「新基地総事業費1・2兆円に」(沖縄タイムス)、「25年度までに政府試算の約81%を支出」(琉球新報)との報道を示して工事の進捗(しんちょく)状況をただしました。
中谷元防衛相は、25年度末までに投入される埋め立て土砂量について辺野古側で318万立方メートル、大浦湾側で約36万立方メートル(計354万立方メートル)となる見込みだと答弁しました。
赤嶺氏は、354万立方メートルは政府が計画する総量2020万立方メートルの17・5%にすぎず、24年12月末の16・1%から約1年間で進むのは1%程度だと指摘。「来年度末の時点で8割以上の埋め立てが残るにもかかわらず、予算は8割を使ってしまう。政府の見積もりを超過するのは明らかだ。工事の実態を踏まえた見積もりを出し直すべきだ」と迫りました。
中谷氏は、「今後、検討等によっては(費用想定の)変更があり得る」と超過の可能性を認めましたが、現段階で見積もりを出す考えは示しませんでした。
赤嶺氏は、新基地建設経費のうち米軍キャンプ・シュワブの再編成工事の経費はすでに政府想定の750億円を超過していると追及。防衛省の青柳肇整備計画局長は23年度末までに898億円を執行し、24~25年度予算に計222億円を計上していることを明らかにしました。赤嶺氏は想定の1・5倍に上るとして「こんないいかげんなやり方は許されない」と批判しました。
さらに赤嶺氏が、今後、米側との合意で新たに整備する施設はあるのかと質問したのに対し、中谷氏は「(整備を)行うべき施設については、米側と協議して行っていく」と答弁。赤嶺氏は、米軍に言われた施設を次々追加していくやり方だと指摘し、「米軍基地建設なら、どれだけ予算を使っても構わないという姿勢は絶対に許されない」と厳しく批判しました。(しんぶん赤旗 2025年2月6日)
根本原因は軍隊の本質
米兵犯罪続発 赤嶺氏 「基地縮小を」
衆院予算委
日本共産党の赤嶺政賢議員は5日の衆院予算委員会で、沖縄で米軍関係者による凶悪事件が繰り返し発生するのは、人を殺傷する訓練を行う米軍の本質が根本原因だと指摘し、米軍基地問題の解決には「軍隊の整理・縮小しかない」と強調しました。
赤嶺氏は、1996年4月に当時の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が米軍普天間基地(宜野湾市)の「全面返還」で合意してから29年になるが、いまだに実現していないと指摘しました。
そのうえで、この問題の原点は95年の米兵による少女暴行事件であり、8万5000人が結集した県民総決起大会で日米地位協定の早急な見直しと基地の整理・縮小を日本政府に求めたことに言及。ところがその後も事態は何ら変わらず、少女と女性の尊厳を踏みにじる事件が繰り返されているとして、その根本原因は何かとただしました。
中谷元防衛相は、在日米軍の安定的な駐留は重要だとし、「米側に再発防止の申し入れを行っている」と答弁。赤嶺氏は、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」が1945~2021年までに発生した在沖米軍関係者による女性への性犯罪をまとめた資料を提示し、「政府がたびたび再発防止を申し入れても、事件は繰り返されている」と強調しました。
赤嶺氏はこの背景に軍隊の本質があると指摘。「殺傷する訓練によって人権意識を失った兵士が日常生活に入り込み性的暴行などに及ぶ、ここに大きな本質がある」として、「どんなに再発防止や綱紀粛正を米側に求めても止められない。軍隊を整理・縮小する以外にない」と突きつけました。(しんぶん赤旗 2025年2月6日)
質問の映像へのリンク
辺野古新基地建設費 想定超過の可能性も 防衛相答弁(衆院予算委)
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
辺野古の新基地建設について質問をします。
資料をお配りしておりますが、政府は新基地建設に要する経費について、当初は三千五百億円としておりましたが、二〇一九年、軟弱地盤の改良工事に伴い、九千三百億円に引き上げました。
ところが、これが実態とかけ離れているのではないかということが繰り返し指摘されております。沖縄タイムスは、独自の試算を基に総事業費は一・二兆円に上ると報じております。琉球新報は、来年度までに総事業費の八一%を支出し、政府の試算を超える可能性が濃厚と報じております。
一方、政府がこれまでに投入した埋立土砂は、昨年十二月末時点で辺野古側が三百十八万立米、そして昨年十一月に着手した大浦湾側が八万立米、合計で三百二十六万立米であります。計画する二千二十万立米の一六・一%にすぎないわけですね。
防衛大臣に伺いますが、来年度までにどれだけの土砂を投入する計画ですか。
○中谷国務大臣 埋立工事に係る経費につきましては、大浦湾側の埋立区域の土砂の投入のほか、今後埋立てに必要となる土砂の仮置き、そして大浦湾側の埋立区域の地盤改良に要する経費が含まれているところでございます。
その上で、埋立区域の土砂の投入量について申し上げれば、令和七年度末までに辺野古側で三百十八万立方メートル、そして大浦湾側では約三十六万立方メートルとなる見込みでございます。
この経費の概略につきましては、令和元年十二月に沖縄防衛局が公表したというものでございますが、今後の検討等によっては変更があり得るということで、工事の進捗を踏まえつつ検討する必要があることから、現時点で具体的に見直す段階にはなくて、今後、大浦湾側の工事の進捗を踏まえて検討してまいります。
○赤嶺委員 防衛大臣、私が今伺ったのは、来年度までにどれだけの土砂を投入する計画かということを伺ったんです。
○中谷国務大臣 先ほどお答えをさせていただきましたけれども、令和七年度末までに辺野古側で約三百十八万立方メートル、大浦湾側で約三十六万立方メートルとなる見込みでございます。
○赤嶺委員 来年度までに大浦湾側で三十六万立方メートルということですね。
そうすると、今の大臣の答弁にありましたように、計画どおり進んだとしても、来年度末までに埋め立てられるのは、二つの埋立区域の合計で、大臣が答弁された大浦湾側の三十六万立米、辺野古側と合わせた全体で三百五十四万立米、全体の一七・五%です。年間で進むのは一%程度なんですね。要するに、来年度末の時点で八割以上の埋立てが残るにもかかわらず、予算は八割を使ってしまうということです。
大臣、どう考えても政府の見積りを超過するのは、これは明らかですね。工事の実態を踏まえて、新たな見積り、これを出し直すべきではありませんか。
○中谷国務大臣 現在、普天間飛行場の一日も早い全面返還と、そして地元の負担の軽減につきまして全力を挙げておりますけれども、それにつきまして、令和元年十二月に沖縄防衛局が公表した当時も説明をいたしておりますが、この時点での検討を踏まえたものでありまして、今後、検討等によっては変更があり得るというふうに既に申し上げております。
現在、大浦湾側の工事の実施をいたしておりまして、防衛省としましては、現状、工事の進捗等を踏まえて対応したいと思いますが、一日も早く大浦湾の埋立て、これを完了したいということを目標に進めております。
○赤嶺委員 一日も早い普天間基地の移設のための辺野古の基地建設というのは、もう夢物語になっているんですね。一日も早いというのは、二、三年後とかそういうものですね、もう二十何年たっていますからね。それで、予算の九千三百億円をはるかに超えることは明らかです。だけれども、今数字は発表できないと言う。こんな予算の在り方が許されるかと思いますよ。
別の面から聞いていきますけれども、工事の進捗を踏まえてという点でいっても、キャンプ・シュワブ内で既存の施設を配置する再編成工事があるんですよね、いわば海ではなくて陸上の部分で。既にこれは当初の見積りを超過しております。政府の計画では七百五十億円でした、この再編工事は。来年度までにどれだけの予算を投じることになりますか。
○青柳政府参考人 御指摘のキャンプ・シュワブ再編工事に要します経費につきましては、令和五年度末までに支出済額、これの総額は八百九十八億円ということになってございます。そして、令和六年度当初予算は歳出ベースで約七十一億円、令和六年度補正予算は歳出ベースで約四十五億円、令和七年度予算案は歳出ベースで約百六億円を計上しているところでございます。
キャンプ・シュワブの再編工事に要します経費につきましては、予算に計上したものの様々な事情により執行されなかったものも多く含まれているということのため、これまでも支出済額により経費の状況を説明しているという状況でございます。
○赤嶺委員 今の答弁だと、合計で千百二十一億円になるわけですよね。合計千百二十一億円、間違いないですね。
○青柳政府参考人 キャンプ・シュワブ再編工事に係ります予算につきましては、沖縄県との協議の状況等により執行されなかったものも多く含まれていると先ほど申し上げたところでございますけれども、このため、経費の状況につきましては、やはり予算額の合計額を用いて御説明することは実態を表しておらず適当ではないと考えてございます。これまでどおり支出済額で御説明いたしてまいりたいと考えてございます。
○赤嶺委員 支出済額、それと来年度までの予算、合わせて千百二十一億円。当初は七百五十億円と説明していたわけですよ。来年度までにその一・五倍を投じることになります。こんないいかげんなやり方が許されるはずはありません。
これまでにどういう施設を何棟整備し、今後はどれだけ整備するのか、そして来年度までに全て終わるのか、答えていただけますか。
○中谷国務大臣 せんだって辺野古を視察をしまして、大浦湾の埋立状況、これについては視察をさせていただきました。
着実に工事は進んでおりますが、これまで計五十施設の整備については日米間で合意しておりますが、倉庫、管理棟、火薬庫など約三十一施設については工事に着手又は工事を完了しておりまして、残り、消防舎、運動施設など十九施設については今後工事をする、実施予定でございます。
これらの工事の施設の完成時期につきましては、現時点で契約手続を行っていないものもあることから、現在お答えできないということで御理解をいただきたいと思います。
○赤嶺委員 来年度以降も引き続き整備を継続するわけですね。
○青柳政府参考人 陸上再編工事の際につきましては、引き続き日米で合意が取れたものを逐次整備をしてまいりたいと考えてございます。
○赤嶺委員 この整備の中に火薬庫というのがあります。火薬庫というのは辺野古弾薬庫で行っている工事です。キャンプ・シュワブの再編成といいながら、火薬庫、弾薬庫は別です、基地は。なぜ別の基地の整備まで日本政府が請け負っているんですか。
○中谷国務大臣 これは、キャンプ・シュワブの陸上部及びそれに隣接する辺野古の弾薬庫の陸上部においては既存の施設を再配置をする工事を実施しておりまして、この該当工事をキャンプ・シュワブ再編工事としてこれまでも御説明をしているところでございます。辺野古弾薬庫における火薬庫の整備につきましても、当該工事の一環として実施するものでございます。
○赤嶺委員 再編工事といいながら、別の基地まで手がけているわけですね。別の基地の弾薬庫までやっているわけですね。
米軍の特権を保障した日米地位協定、この中でも、米軍の維持費は米側が負担するというのが原則です。にもかかわらず、アメリカから言われるがまま、直接関係のない施設整備まで請け負っています。到底許されるものではないと思います。
今後実施する再編工事は、今答弁した施設で全てですか。それ以外にも日米間で協議している施設はありますか。
○中谷国務大臣 キャンプ・シュワブの再編工事につきましては、個々の施設ごとに日米間で必要な調整、確認を行いまして、合意をした上で工事を進めているところでございます。
日米間で合意した施設の整備の計画につきましては引き続き適切に公表してまいりますが、こういう前提で工事を進めてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 つまり、これからも新たに協議の上で合意していく施設があるということですね。
○中谷国務大臣 もう既に公表しておりまして、これから行うべき施設につきましては、計画に従って、また米側と協議をして行ってまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 もう予算を超過しているのに、これからも施設整備をやっていくと。アメリカから言われたら次々と追加していくものになっています。
そもそも、最初の七百五十億円という数字は、一体どういう根拠に基づいたものだったんですか。
○中谷国務大臣 日米間で合意した施設整備の計画につきましては、引き続き適切に公表してまいります。
経費につきましては、二〇〇九年、平成二十一年当時、大まかな見積りといたしまして、キャンプ・シュワブに関するところにつきましては約六百億円とお示しをしたところでございますが、その上で、二〇一九年、令和元年十二月に経費の概略としてお示しをいたしましたキャンプ・シュワブ再編工事に要する経費の約七百五十億円につきましては、二〇〇九年、平成二十一年から令和元年、二〇一九年までの人件費また資材の物価上昇分を反映して見積もったところでございます。
○赤嶺委員 資材の高騰分だけじゃないですよ。これからも施設を造っていくというわけですから。
説明を聞いていて、何をどこまで整備するのか、そして、当初の合意の七百五十億円、これも非常に無責任な説明だったなということで思います。
既に見積りを超過し、埋立工事も見積りを超過するのは時間の問題です。辺野古でも工事の進捗を踏まえるというなら、今明らかにすべきだと思いますよ、予算の審議をしているわけですから。本委員会に、工事の実態を踏まえた新たな経費の見積りを提出すべきだと思います。
委員長、米軍の建設ならどれだけ予算を使っても構わないという姿勢は絶対に避けるべきで、本予算委員会の任務としても、これを明らかにしていく必要があると思います。工事の実態を踏まえて、新たな経費の見積り、これの提出を求めていきます。
委員長、取り計らい、よろしくお願いします。
○安住委員長 理事会で計らいます。
○赤嶺委員 中谷大臣は、当初からこの問題に関わってきました。一九九六年の橋本・モンデール会談から、この四月で二十九年です。あなた方が一日も早い普天間基地の返還といって、辺野古に手がけて二十九年です。これは、一日も早いという概念から遠く離れております。破綻しているんですよ。いまだに普天間基地の返還は実現していません。
総理は施政方針演説で、軟弱地盤の改良工事に着手したことを、大きな前進、このように強調していました。思わず噴き出してしまいました。実際には、前例のない難工事となり、長期化が指摘されています。一体いつになれば普天間は返ってくるのか、みんな疑問に思っています。
この問題の原点は、一九九五年の少女暴行事件です。あのとき県民が願ったのは、少女の尊厳を守れないような社会はもう変えなくてはならないということでありました。八万五千人の県民が結集した県民総決起大会で、日米地位協定の早急な見直し、そして基地の整理縮小、これを日本政府に求めました。
ところが、事態は何も変わっていません。少女や女性の尊厳を踏みにじる事件は、その後も何度も何度も繰り返されています。
そもそも、米軍による凶悪事件が繰り返されるのは、防衛大臣、その根本的な原因はどこにあると認識していますか。
○中谷国務大臣 その前に、普天間基地の移設につきましては、二十九年ですね、私、二〇〇一年のとき防衛庁長官でありまして、当時は、名護市、国、県とも合意をしまして、協議会もつくっておりました。その後、話合いを続けながら現時点に至っているわけでございますが、大切なのは、やはり、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現をするということでございますので、このために、引き続き工事を適切に執行してまいりたいと考えております。
そして、お尋ねの米軍の問題でございますが、性犯罪というのは本当に被害者の尊厳を著しく損害して、その心身に長年にわたって苦痛を与えるものでありまして、決して許されるものではないという認識の下に、私もこういった事件があるたびに、累次、米側に再発防止、また二度とこういったことが起こらないように申入れを行っております。
せんだっても、ヘグセス米国防長官の間で、在日米軍の安定的な駐留というのは同盟の抑止力のために重要でありまして、これには事件、事故の防止も含めて地元の理解が不可欠であるということを認識をしておりまして、また、ターナー調整官にも強く申入れをいたしております。
このことが実行されるように、更にそういった米側に申入れ、そして更なる努力を続けてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 今日、私は一つの資料を持ってきました。基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、これが、「沖縄・米兵による女性への性犯罪」、一九四五年四月から二〇二一年十二月までですよ、政府が度々再発防止を申し入れても繰り返されているんです。なぜか。それは、軍隊の本質なんです。
基地の中で海兵隊も米軍も人殺しの訓練をしている。もう既に人権意識を失って、そして基地の外に出てくる。女性を見て、そしてレイプに走る。あるいは、お酒を飲んでタクシー強盗を行う。要するに、米軍の存在がこういう女性の度重なるレイプ事件、これにつながっているのであって、あなた方が言うように、再発防止だとか綱紀粛正というのは、何の意味もないんじゃないですか。
やはり、軍隊に、基地の中で人殺しの訓練をしている。彼らはどうやって訓練しているか。殺せ、殺せ、殺せといって訓練しているんですよ。母親を殺せるか、そういうような訓練まで海兵隊はやっているんですよ。そういう暴力を伴った軍隊が日常生活に入り込んできて女性の暴行に及ぶ、そこに大きな本質があって、だから、沖縄県民は、基地の整理縮小、これを求めてきたはずです。
海兵隊がグアムに百人移ったということを防衛大臣はおっしゃりたいかもしれませんけれども、たった百人ですよ。何年前にグアム移転を決めたんですか、その後、いつになるか分からないような。
やはり、女性暴行事件の本質は、あなた方が再発防止や綱紀粛正をアメリカのどんな高官に求めてもこれは止められない、軍隊を整理縮小する以外にないと思いますが、いかがですか。
○安住委員長 もう質疑時間が終了しているんです。
じゃ、一言だけ、特別。
○中谷国務大臣 軍隊にとって一番大切なものは規律の維持でありまして、自衛隊もそうですけれども、事故を起こさないということは大前提でございます。
そういう意味では、米側にも要望して、米側の努力、これは隊員の教育とか綱紀粛正とか再発防止の徹底について実施をしておりますので、このような事故が起こらないように更に申入れをし、また、努力をしていきたいと思っております。
○赤嶺委員 終わります。