政府、通報手続き無視
“問題ない”外相開き直り
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員と山添拓参院議員は30日、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会で、昨年12月に沖縄で起きた少女暴行事件をはじめとする米軍関係者による性犯罪の隠蔽(いんぺい)問題について政府の対応を厳しく追及しました。上川陽子外相は、暴行事件を沖縄県に通報しなかったことを「問題があったとは考えていない」などと開き直りました。
昨年以降、沖縄県内で計5件の米軍関係者による性暴力事件が発生し、いずれも県には通報されていませんでした。赤嶺氏は、昨年12月の事件の報告を受けた際、1997年に日米両政府が合意した在日米軍の事件・事故の通報手続きに沿って県に伝えるよう指示しなかったのかと追及しました。
上川外相は「外務省の中で被害者のプライバシー、捜査への影響等を踏まえた」などと県に通報しなかったことを正当化。赤嶺氏がプライバシー保護は大前提だとした上で、プライバシーを理由に通報しなくてよいとする規定が通報手続きにあるのかと迫ると、上川外相は「そうした規定はない」と認めました。
赤嶺氏は、外務省の勝手な判断で通報手続きを守らなかったことで沖縄県は抗議・要請もできず、米軍が綱紀粛正や再発防止策などを取らなかった結果、あってはならない事件が立て続けに発生したと指摘。「外務省の責任は重大だ。被害者と県民に謝罪すべきだ」と厳しく批判し、「事件を秘密にすれば再発防止は決してできない」と強調しました。
山添氏は、28日に都内で行われた日米外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、米兵による性暴力事件について日本政府が「遺憾の意」を伝えたというが、2プラス2共同発表では触れられていないと指摘。共同発表の「同盟の戦力態勢」という項目に情報共有の必要性が書かれているだけだとして「個人の尊厳、女性の尊厳をあまりにも軽んじている」と批判しました。
山添氏は、昨年12月の事件について把握しながら沖縄県に伝えなかったことは適切でなかったとの認識があるのかと追及。上川外相は「日米間で適切にやりとりを行い、関係当局による迅速な対応が確保されていたとの実態を踏まえると、問題があったとは考えていない」などと答えました。山添氏は「ひどい答弁だ。隠蔽に加担してきたというべきだ」と批判しました。
論戦ハイライト
米兵性犯罪 再発防止急げ
赤嶺・山添議員 政府の無反省批判
防衛省・自衛隊の相次ぐ不祥事を受け、30日に行われた衆院安全保障委員会、参院外交防衛委員会の閉会中審査では、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、山添拓参院議員が質問に立ちました。沖縄県民の怒りが爆発する米軍の性暴力事件の事実関係を追及し、被害者救済と実効性ある再発防止策を求めました。
赤嶺 米軍事件非公開、それ以外では公開も
警察庁 事案ごとに判断
昨年12月に16歳に満たない少女が米兵に誘拐されたうえ、性的暴行を受けた事件を巡り、政府が半年もの間、事実を隠し、沖縄県にも伝えていなかったことが明らかになりました。さらに、昨年以降、県内で発生した計5件の性暴力事件の全てが隠蔽(いんぺい)されていたことが発覚しています。
赤嶺氏は、1995年の少女暴行事件を契機に、日米両政府が97年、日米地位協定の運用改善の一環として、在日米軍に係る事件・事故発生時の通報手続きで合意したと指摘。「今回、通報手続きは全く無視され、沖縄県はおろか、防衛省でさえ蚊帳の外に置かれていた。一体なぜ合意は守られなかったのか、政府は事実を明らかにする責任がある」と迫りました。
赤嶺氏は、沖縄県警が昨年以降、米軍関係以外で公表した性犯罪事件はあるかと質問。親家和仁・警察庁長官官房審議官は「検挙時に報道発表を行ったのは10件だ」と答弁しました。
赤嶺氏は「米軍関係はすべて非公表なのに、それ以外では公表している事件がある」と指摘。7月24日には、石垣市で小学校低学年の男児への不同意わいせつ事件が発生し、翌日の地元紙で報道されていると強調し、次のようにただしました。
赤嶺 なぜ、このような違いがあるのか。結局、米軍関係の事件を隠していた。そういうことではないか。
警察庁 個別の事案ごとに判断している。
赤嶺 昨年県内で米軍関係者による不同意わいせつ事件が1件発生している。公表したのか。
警察庁 米軍の海兵隊員を被疑者とするもので、検挙時に報道発表は行っていない。
赤嶺 同じわいせつ事件なのに、なぜ米軍関係は非公表なのか。米軍だけを特別扱いしているとしか言いようがない。
さらに、赤嶺氏は上川陽子外相が「昨年12月の事件の報告を受けたときに、通報手続きにそって県に伝えるよう指示はしなかったのか」とただしました。
外相 被害者のプライバシー、非公開とする捜査当局の判断を踏まえて対応した。
赤嶺 97年の通報手続きには、プライバシー保護を理由に通報しなくてもよいとする規定はあるか。
外相 そうした規定はない。
赤嶺 外務省の勝手な判断で通報手続きを守らなかったということではないか。
赤嶺氏は「米軍の犯罪をかばおうとするものだ」「プライバシーを守るのは当たり前。被害者を守ろうとするのが県民の意思であり、全くの駄弁だ」と批判。外務省の責任は重大であり、米軍と上川外相自身が被害者と県民に謝罪すべきだと主張しました。
山添 被害者に補償説明したのか
防衛省 掌握していない
二度と同じような事件を引き起こさないために、被害者救済と実効性ある再発防止策を講じる必要があります。
山添氏は、犯罪は刑事責任だけでなく民事の賠償責任も生じると指摘し、日米地位協定の下での米兵犯罪における被害者補償の制度と運用をただしました。
山添 補償の制度は防衛省が被害者に説明することとされている。12月の事件ではいつ説明したか。
田中利則・防衛省地方協力局長 防衛省がこの案件を承知したのは(今年の)6月になってからだ。
山添 まだ説明に至っていないという意味か。
防衛省 被害者にどのような説明をしているかは掌握していない。
被害者への説明がなされたかどうかすら把握していない防衛省に対し、山添氏は「少なくとも防衛省が事件を把握したのは報道があった6月25日だとされている。被害者への補償という点で政府の対応が遅れたことは否定できない」と批判しました。
一方、在日米軍司令官は今回の事件を受け、米軍と県、地域住民による新たな協議の枠組み「フォーラム」を創設するなど再発防止策を示しています。
山添氏は、その中で米軍が示している勤務時間外の行動を規制する「リバティー制度」について追及。外出規制と飲酒制限、午前1時から5時の行動制限を行うものだが、「12月の事件が起きたのは午後4時半だ。再発防止策にならないではないか」と批判しました。
その上で、「だいたい米軍が再発防止策を検討したのは、報道で世論が沸騰した後だ。表立って抗議すらしない姿勢が、米側の態度を助長したというべきだ」と批判。「米軍の犯罪は基地あるがゆえの危険であり、本来ゼロにできる被害だ。これほどまで繰り返し、まともに抗議もしないのは極めて無責任だ。被害者に、そして沖縄県と県民に謝罪すべきだ。米側に断固抗議すべきだ」と述べ、実効性ある再発防止策を日本側が積極的に提示することを強く求めました。(しんぶん赤旗 2024年7月31日)
日米間合意 全文を公表
事件・事故通報手続き 赤嶺議員が要求
外務省は12日、1997年に日米間で合意した「事件・事故通報手続」の全文を公表し、同省のホームページに掲載しました。日本共産党の赤嶺政賢議員が7月30日の衆院安全保障委員会の閉会中審査で求めていたもの。
新たに公表されたのは、同手続きを承認した日米合同委員会合意の表紙と「在日米軍に影響を及ぼす事件・事故発生時における通報手続」。これまでは、米軍が事件・事故を引き起こした際の通報手続きのみが公表されていましたが、同時に、日本国民が米軍の人員・財産に傷害や損害を与え、米軍の訓練・運用を阻害する可能性がある事件・事故などの通報手続きにも合意していたことが明らかになりました。
同手続きは、95年の米兵による少女暴行事件に県民の怒りが爆発したのを受けて、日米地位協定の「運用改善」の一環として合意したもの。米側から日本側だけでなく、日本側から米側への通報を定めたことに県民から批判の声が上がるのをおそれ、後者を非公表にしたものと見られます。米軍の事件・事故や基地強化に反対する集会やデモも通報の対象にされる危険があります。
一方、今年に入って相次いで明らかになった米軍関係者による性的暴行事件の隠蔽(いんぺい)で、米軍から日本側への通報手続きは全く機能していなかったことが明らかになっています。(しんぶん赤旗 2024年9月13日)
質問の映像へのリンク
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
屋良議員に続きまして、私も米軍関係者による性暴力事件について質問をいたします。
昨年の十二月、十六歳に満たない少女が、米兵に誘拐の上、性的暴行を受け、しかも、政府が、半年もの間事実を隠し、沖縄県にも伝えていなかったことが明らかになりました。防衛省にも伝えていなかったというのは屋良議員の御指摘のとおりであります。そればかりか、昨年以降、県内で計五件の性暴力事件が発生し、全てが隠蔽されておりました。県内外で衝撃と激しい憤りの声が広がっています。
九五年の少女暴行事件に県民の怒りが爆発し、日米両政府が、九七年、日米地位協定の運用改善の一環として、在日米軍に係る事件、事故発生時の通報手続に合意をいたしました。ところが、今回、通報手続は全く無視され、沖縄県はおろか防衛省でさえ蚊帳の外に置かれておりました。一体なぜ合意は守られなかったのか、政府は事実を明らかにする責任があります。
まず、外務省に伺いますが、今回改めて問題になっている九七年の通報手続は、そもそも全文が公表されていません。公表されているのは概要の仮訳だけであります。なぜ全文を公表しないのですか。非公表部分には何が書かれているんですか。
○有馬政府参考人 御指摘の在日米軍に係る事件、事故発生時の通報手続につきましては、在日米軍による事件、事故の通報手続について定めたものであり、内容に関わる部分は全て公開になっております。なお、要旨を記した表紙一枚が非公表となっております。
○赤嶺委員 いや、なぜ全文を公表しないのかということを聞いているんですよ。
○有馬政府参考人 申し訳ございません、事前に理由につきまして質問をいただいておりませんでしたけれども、三十年近くの前のことであり、なぜ表紙を公表しなかったかにつきましてはちょっと把握しかねております。また御報告申し上げたいと思います。
○赤嶺委員 三十年前のことで事実を掌握していないというのは、外務省の答弁ですか、こんなことが。大事な日米関係を律するものでしょう。そういうことも掌握していない。
通報手続は、米軍関係の事件、事故が発生したときにどのような基準、経路で日米間、地方自治体などとの間で情報を共有するかを定めたものであります。隠すような性格の文書では全くありません。
外務大臣、通報手続は今回の政府の対応を検証する上で大前提となるものです。日米間で調整の上、国会に提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○上川国務大臣 今答弁を申し上げたところでございまして、繰り返しとなりますが、在日米軍に係る事件、事故発生時の通報手続に関しましては、その表紙に当たる部分は非公表としておりますが、内容に係る部分は全て公開をしているところであります。
一般に、日米間の合意について公表するに当たりましては、日米双方の合意が必要となります。
一方、国民の皆様に丁寧に御説明する観点からも、公表できるものは公表するよう努めるということが望ましいと考えております。
○赤嶺委員 公表している部分でさえ全文ではないんですよ。私が求めているのは全文であります。
委員長、この委員会において全文を公表するよう理事会で取り計らいをお願いしたいんですが、いかがですか。
○小泉委員長 理事会で協議いたします。
○赤嶺委員 今回の政府の方針について、まず警察庁に伺います。
沖縄県警は、昨年以降の五件の性的暴行事件について、いずれも公表せず、県にも伝えていませんでした。昨年以降、米軍関係以外で県警が公表した性犯罪事件、これはありますか。同じように非公表にしているのですか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
沖縄県警察からは、令和五年一月から本年六月末までに検挙した米軍関係者以外の者を被疑者とする性犯罪事件は百六件あり、このうち、検挙時に報道発表を行ったものは十件と報告を受けております。
報道発表した事件につきましては、強制わいせつ事件が五件、準強制わいせつ事件が三件、不同意わいせつ事件が二件となっているところでございます。
○赤嶺委員 米軍関係は全て非公表であります。それ以外では公表している事件があるというのが今の警察庁の答弁です。
七月二十四日には、石垣市で小学校低学年の男児への不同意わいせつ事件も発生しました。翌日の地元紙はそれを報道しております。
米軍とそれ以外の広報の仕方で、何でこんな違いがあるんですか。結局、米軍関係の事件は隠していた、そういうことではありませんか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
対外的な事件広報に当たりましては、各都道府県警察において、刑事訴訟法第四十七条の趣旨を踏まえ、個別の事案ごとに、公益上の必要性に加え、関係者の名誉、プライバシーへの影響、将来のものも含めた捜査、公判への影響の有無、程度等を勘案した上で、公表するか否かや、その程度及び方法を慎重に判断しているところでございます。
○赤嶺委員 警察庁の提出した資料によりますと、昨年、米軍関係者による不同意わいせつ事件が沖縄県内で一件発生しています。これはどういう事件ですか。そして、公表したんですか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの事件については、令和五年五月に発生した米軍の海兵隊員を被疑者とするものでありまして、同年六月に強制わいせつ致傷の罪名で那覇地方検察庁に送致したものでございます。
本事件につきましては、沖縄県警察において検挙時に報道発表は行っていないと報告を受けております。
○赤嶺委員 公表していないんですね。同じわいせつ事件なのに、なぜ米軍関係は非公表なのか。これでは、米軍だけを特別扱いしているとしか言いようがありません。そうでないというのであれば、先ほどのような一般的な説明ではなく、具体的な根拠を示すべきであります。そういう点で警察庁の答弁は余りにも一般的過ぎて中身がない、こういうことを言わざるを得ません。具体的な説明はありません。
一九九七年四月、警察庁は、在日米軍人による犯罪への適切な対応についてという通達を出しております。そこでは、米軍人による犯罪やその可能性が高い事件を認知した場合は、警察庁に速報すること、直ちに報告すること、報道機関の取材などは、警察庁と協議の上、対応することを求めております。
警察庁は、五件の暴行事件について、県警が認知した時点で報告を受けていたということではありませんか。それらを公表するか否かについても県警と協議していたということではありませんか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの通達につきましては、これは既に廃止されているものでございますけれども、令和五年以降に発生し、検挙した米軍関係者による不同意性交等事件、これは刑法改正前の強制性交等事件を含むところでありますが、この五件についてはいずれも、警察庁において、適宜、沖縄県警察から必要な報告を受けているところでございます。
また、これらの事件の検挙時に広報するか否かについても、沖縄県警察から必要な報告を受けているところでございます。
○赤嶺委員 警察庁は、公表について意見は述べなかったんですか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
個別の事案についての県警とのやり取りについてはお答えは差し控えたいと思いますが、一般的に、県警の方で、先ほど申し上げたような様々な要素を考慮して、広報するか否かといったものを慎重に判断しているというふうに承知しております。
○赤嶺委員 米軍の性犯罪事件というのは、以前は、身柄を拘束したり、事件が起こったりしたりした場合には、OBの皆さんの発言も沖縄の報道に出ておりますが、県警は全部広報していたんですよ。皆さん、警察庁がこういう通知を出して以降、広報がなくなっているわけです。
委員長、五件の暴行事件について、警察庁はいつ県警から報告を受けたのか。適切に受けたと言いますが、事件の公表をめぐって県警とどのような協議を行ったのか。資料の提出を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
○小泉委員長 理事会で協議します。
○赤嶺委員 外務大臣に伺います。
外務大臣は、昨年十二月の事件について、いつ報告を受けたんですか。適宜適切では駄目ですよ。いつですか。
○上川国務大臣 まず、今般の米兵によります性犯罪が相次いで発生したことにつきまして、極めて深刻に受け止めておりまして、被害に遭われた方を思うと心が痛みます。
外務大臣として、人間の尊厳を守る、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSを推進している中におきましてこのような事案が続いたことは、個人的にも耐え難く感じているところであります。
事務方が捜査当局から情報共有を受けた後、事案の概要について迅速に報告がございました。
具体的な日時につきましては、日米間での捜査協力を含みます捜査機関の活動内容に関わる事項でございまして、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 先ほど、屋良議員、警察庁の見解も聞いておりましたけれども、今の外務大臣の答弁というのは全く意味が分かりません。
県警が事件を認知した段階で、警察庁を通じて報告は受けていなかったということですか。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
捜査当局から情報提供を受けた時期につきましては、日米間での捜査協力を含む捜査機関の活動内容に関わる事項であり、外務省からお答えすることは差し控えたいと思います。
○赤嶺委員 沖縄のいろいろな団体が外務省とこの問題で交渉したときに、外務省の説明に来られた方は、事件が起きた直後、一月の早い時期に警察庁から報告を受けていたということを言っているんですよ。それを国会で言わないというのはおかしいんじゃないですか、委員長。市民団体との懇談の中では言っているんですが。
それで、外務大臣、報告を受けたときに、これは通報手続に沿って県に伝えるよう指示はしていなかったんですか。
○上川国務大臣 この通報制度の枠組みについてでありますが、一九九七年の合同委員会の合意に基づきまして、外務省の中での通報の取扱いにつきましては、日頃より外務省の事務方において対応しているところであります。まさにオペレーションに係ることでございますので、その意味で、その通報の枠組みの中で対応するということでございます。
今般の一連の事案におきましては、そのようなフレームワークの下で、防衛省への通報についての判断も含めまして、外務省の中で、被害者のプライバシー、また捜査への影響等を踏まえて、非公表の事案とする捜査当局の判断を踏まえて対応したものと考えております。
○赤嶺委員 防衛大臣、今の外務大臣の説明、意味は分かりますか。もしも防衛省に外務省から通報が行ったらプライバシーが暴露されるかもしれないという心配の下に、通報手続を取らなかったということを言っているんですよ。そうとしか理解できないですよ。
これは本当に、九七年の通報手続を作ったときに、プライバシー保護を理由にしていますか。あの通報手続の中で、プライバシー保護を理由にして県に通報しなくてもよいとする規定、これはありますか。
つまり、プライバシーを守ることは通報手続を作る際の大前提なんですよ。これは大前提で、別に、通報手続どおりやったらプライバシーが漏れていくという話じゃないんですよ。そういうときには県にも通報しなくていいんですよという規定が九七年の通報手続の中にありますか、外務大臣。いかがですか。
○上川国務大臣 今の通報制度のフレームワークの中にそうした規定はございません。
プライバシーに関してでございますが、平成二十七年、二〇一五年、また、二〇二〇年、二〇二一年改正を含みます、累次の個人情報保護法の改正の動きからも明らかであるように、SNS等の情報発信ツールの発達によりまして、情報が容易かつ不可逆的に拡散されるリスクがより一層高まるなどしており、被害者の協力を得つつ捜査を継続し、公判を維持するためにも、ますます、被害者のプライバシーや心情、二次被害の防止に配慮する要請が増しているところであります。
また、本年には、刑事訴訟法が改正されまして、逮捕や起訴に関しまして、被害者の名前などを被疑者や被告人本人に明らかにしないまま刑事手続が進められるようになったところであると承知をしております。
こうした社会情勢の変化の中で、一つずつの事案に配慮しつつ、被害者のプライバシーに関わるような事案についても、関係者の名誉、プライバシーへの影響、また、将来のものも含めた捜査、公判への影響の有無、程度、こうしたものを考慮して、慎重な対応が求められると承知をしております。
外務省におきましても、そうした理解の下で対応してきているものであります。
○赤嶺委員 今の外務大臣の答弁は駄弁ですよ。心が痛んでいるというような発言をする割には通報手続を、勝手な判断ですよ。
外務省のそういう判断が防衛省にも伝わっていましたか。今日は時間がないから防衛大臣には聞きませんけれども、外務省だけで勝手な判断をして、手続を守らなかった、その理由を聞いたらあれこれ言うけれども、結局、合理的な理由はない。駄弁です。米軍の犯罪をかばおうとするものです。
プライバシーと言いますけれども、この被害者は、勇気を持って被害者自身が一一〇番通報したんですよ。それで日本の警察は知るところとなったんですよ。そういう人たちのプライバシーを守るのは当たり前じゃないですか、こんなのは。プライバシーを探ろうとする人は誰もいないですよ。被害者を守ろうとするのが県民の意思ですよ。全くの駄弁で、通報手続を守らなかった、これは絶対に納得がいかない。だから県は抗議もできなかったわけです、皆さんから知らされないから。
その後、どんどんどんどん事件が起こっていったわけですよ、五件も起こっていった。六月二十三日には外務大臣はその事件を知っていた。沖縄全戦没者慰霊式典にも外務大臣も出席されていた。どんな顔をして沖縄県民に向き合ったんですか。心が痛いと言う割には、ああいう式典にも出ていって、秘密にしている。こんなのが許されますか、絶対許されないですよ。
結局、ああいう事件が立て続けに発生したのは、外務省の責任だと思いますよ、外務大臣の責任だと思いますよ。外務大臣は被害者に向かってちゃんと謝罪すべきじゃないですか。通報手続を守らなかった、勝手な解釈でやったわけですから。いかがですか、謝罪すべきだと思いますが。
○上川国務大臣 今般の事案でございますが、捜査当局におきましては、事案が公になることによって被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ること等を考慮して、非公表とすべきと判断したものと承知をしておりまして、外務省におきましても、そのような捜査当局における判断を踏まえて、関係者に対する情報提供は控えるべきものと理解をし、対応してきたところでございます。
この被害の状況、また、その後の一連の、知事からの御要請等も含めまして、こうしたことが二度と起こらないように対応していくということでございます。しっかりと対応してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 あなた方が秘密にすれば、事件を起こした米軍も何の対策も取りません。綱紀粛正もやらない、再発防止策もやらない、規律は緩んで、事件は次々起こっていく。事件を次々起こしているその最大の責任は外務大臣にもあるということを強く指摘しておきたいと思います。
同時に、首相もその事実を知っておりました。委員長、やはり、首相も含めた予算委員会を開いて、この重大事件について徹底審議すべきだということを申し上げたいと思います。
米軍が再発防止策を発表いたしましたが、今ワーキングチームがあるのに、何で新たな再発防止策が必要なんですか。それを、何で、外務省も防衛省も、防衛大臣もそうですが、手をたたいて、米軍の再発防止が効果が出ることを望んでいるなんてのんきなことを言っているんですか。今までのワーキングチームをきちんと機能させて、これを使うべきではありませんか。いかがですか。
○上川国務大臣 米側からは、この再発防止策として、大きく、米軍の施設出入りの際の飲酒運転検問の強化、またさらに、米憲兵隊によるパトロール強化、また、第三に研修、教育の強化、第四にリバティー制度の見直し、第五に在日米軍、日本政府、沖縄県庁及び地元住民との協力のための新しいフォーラムの創設を含みます、一連の再発防止策を発表しているところであります。
このフォーラムの提案につきましては、再発防止に対する米側の真摯な姿勢の表れだと受け止めております。二十二日に玉城知事からも、在日米軍がこの新しいフォーラムの創設を提案したことは、事件の再発防止に真摯に取り組んでいることの表れとのコメントを発表したものとも承知をしております。
現在、このフォーラムの状況につきましては、この目的に合って、しっかりと対応できるように、人選その他してまいりたいというふうに思っております。
ワーキングチームでありますが、米軍人等による事件、事故の防止を図ることを目的としていたところでありますが、先ほど御指摘があったCWTでありますが、この新しいフォーラムにおきましては、それに限らず、より広く日米双方及び地元の利益にかなう具体的な協力を生み出していけるような場としたく、米側及び地元側と調整を行っているところでございます。
建設的で有意義なフォーラムになるように、日本政府としても全面的に協力してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 ワーキングチームという似たような組織がありながら、あえて看板だけつけ替えるようなフォーラムで、その中身はと聞いたら日本の政府は誰もつかんでいない、だけれども効果が上がるだろうと。こんなことで米軍の性犯罪の再発防止、綱紀粛正は期待できない。
一九四五年四月一日に沖縄本島に米軍が上陸した日から、米兵によるレイプが始まっているんです。ずっと私たちはこの問題を抱えているんです。これをなくすることは社会の公益に資することではありませんか。
そのためには、皆さんがあの通報システムをきちんと守ること、外務省が勝手に解釈してこれを無効にしないこと、そして、皆さんの今の態度では、心が痛いとか胸が痛むとか、そんな言葉では米軍の再発防止は決してできないということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。