日本共産党の赤嶺政賢議員は23日の衆院憲法審査会で、日米安保体制のもとで日本の主権が奪われ、国民の基本的人権が蹂躙(じゅうりん)されており、憲法と矛盾する日米安保条約・日米地位協定を根本から問い直すべきだと強調しました。
赤嶺氏は、エマニュエル駐日米大使が17日、米軍のターナー四軍調整官と与那国、石垣両島を訪問したが、米国大使が在沖米軍トップを引き連れて自治体首長と直接会談したのは「極めて異例だ」と指摘。20日の台湾新総統就任式を前に中国をけん制したと報じられており、「政治的・軍事的狙いを持つことは明らかだ」と批判。戦争に巻き込まれるとの県民の不安の中で、米軍の展開強化に意欲を示し、軍事的緊張をあおる大使の言動に「沖縄は軍事植民地ではないと批判の声が上がっている」と強調しました。
赤嶺氏は、米軍が事故原因の調査中にもかかわらずオスプレイの飛行を再開させたが、沖縄や米国のメディアは、米軍が運用に制限をかけていると報じていると指摘。「自治体や住民には何の説明もないまま、欠陥機を飛ばし続けている」「住民の安全を全く顧みない姿勢は占領軍の振る舞いそのものだ」と強く批判しました。
さらに、日本政府は米軍と普天間基地や嘉手納基地の深夜・早朝の運用を制限する「騒音防止協定」を結んでいるが、米軍は深夜・早朝の運用を常態化させていると指摘。米軍の無法なやり方が繰り返されるのは「日米地位協定があるからだ」と強調し、「国会は地位協定の改定にこそ正面から取り組むべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2024年5月25日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
前回に続いて、沖縄と憲法について意見を述べます。
前回、私は、復帰から五十二年が経過した今なお、米軍、自衛隊基地の強化が進められ、憲法の原則が適用されない沖縄の実態を変えるべきだと指摘しました。日本国憲法と矛盾する日米安保体制の下で日本の主権が脅かされ、県民の人権が踏みにじられていることに私たちは目を向けるべきであります。
先週十七日には、エマニュエル駐日米国大使が米軍のターナー四軍調整官とともに与那国島や石垣島を訪問しました。米国大使が在沖米軍トップを引き連れて自治体の首長と直接会談するなど、極めて異例のことです。日本最西端の碑の前では日米の連携強化をアピールし、陸自駐屯地も訪問し、米軍の展開強化に意欲を示す発言まで行っています。単なる親善などではなく、政治的、軍事的な狙いを持った訪問だったことは明らかであります。地元紙は、二十日の台湾の新総統の就任式を前に中国を牽制したものだと報じています。
緊張の最前線に立たされ、戦争に巻き込まれることへの不安が広がる島々で、更に緊張をあおる言動は絶対に認められるものではありません。平和的な対話と外交による問題解決を進める県や県民の努力を全くむげにする、余りにも横暴な振る舞いであります。
その上、沖縄県が軍用機の空港使用を自粛するよう求めたにもかかわらず、海兵隊の輸送機による与那国空港や石垣空港の使用を強行しています。米軍基地の整理縮小や運用の改善を求める県民の願いを無視し、更なる米軍の展開強化を公言してはばからない態度に、沖縄は軍事植民地ではないと批判の声が上がっています。このような横暴な振る舞いをなぜ日本政府は認めているのか。極めて従属的だと言わなければなりません。
三月十四日には、米軍は、昨年十一月の墜落事故を契機に停止していたオスプレイの飛行を再開させました。事故原因は調査中であるにもかかわらず、日本政府は、安全が確認されたと容認しました。
ところが、米軍が飛行再開に当たって運用に制限をかけていることが、アメリカや沖縄のメディアで報じられました。緊急着陸などの対応が可能な飛行場から三十分以内の範囲に制限するというものです。米軍も議会で証言しています。
しかし、これまで米軍から運用制限に関する説明は一切ありません。自治体や住民には何も明らかにしないまま、まさに欠陥機であるオスプレイを飛ばし続けているのです。住民の安全など全く顧みない姿勢は、まさに占領軍の振る舞いそのものです。一体、日本政府はオスプレイの運用制限を知っていて飛行再開を認めたのか。その責任も問われます。
日本政府と米軍は、普天間基地や嘉手納基地での午後十時から午前六時までの運用を制限する騒音防止協定を結んでいます。昼夜を問わない米軍機の爆音に苦しめられている自治体、住民が少しでも平穏を取り戻したいと政府に強く働きかけ、九六年に合意したものです。
これまで日本政府は、曲がりなりにも、協定を米軍に守らせる立場に立っていました。
ところが、今では、そんな合意などなかったかのように、深夜、早朝の運用を常態化させています。嘉手納基地では、昨年十月に無人機MQ9が配備されましたが、当初から、深夜、早朝の飛行が前提でした。実際、全体の離着陸の半分近くが深夜、早朝になっています。米軍が今月二十日に新たに配備した無人機MQ4も、深夜、早朝の運用が前提になっています。
さらに、日米両政府は、米軍インディア・インディア訓練区域の使用時間を十一時から二十三時までに変更することを合意しています。深夜の基地への飛来を当然視するものです。日本政府は、米軍の意向だなどと開き直り、協定を守らせる責任さえ放棄しているのです。
こうした米軍の傍若無人なやり方が繰り返されるのは、日米地位協定があるからにほかなりません。地位協定は、基地の自由使用を保障し、国内法の適用を免除しています。日本政府は、米軍が事件、事故を起こしても、基地内に立ち入って調査することも、機体を捜索、検証することもできないのです。
国会は、日米地位協定の改定にこそ正面から取り組むべきであります。憲法と矛盾する日米安保体制を根本から問い直すべきことを指摘して、発言を終わります。