国会質問

質問日:2024年 5月 16日  第213国会  憲法審査会

沖縄に憲法の原則を 赤嶺氏が人権侵害の実態告発

衆院憲法審

 衆院憲法審査会は16日、自由討議を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は沖縄の本土復帰後も県民の人権が踏みにじられている現状を訴え、「憲法の原則が適用されていない沖縄の実態を変えることこそ政治家の責任だ」と強調しました。

 赤嶺氏は「凄惨(せいさん)な沖縄戦を経験し、戦後の米軍統治下で虫けらのように扱われてきた県民が本土復帰に際して強く望んだのは『基地のない平和な島』だった」が、本土復帰以来52年間、広大な米軍基地がほぼそのまま温存され、米軍機墜落や米軍関係者による殺人、基地からの爆音などにより県民の人権は蹂躙(じゅうりん)され続けてきたと指摘しました。

 そのうえ、辺野古新基地建設や普天間基地へのオスプレイ配備、嘉手納基地での危険なパラシュート降下訓練の強行など民主主義も地方自治も無視した米軍基地の拡大・強化とともに、ミサイル部隊配備など自衛隊の増強も進められているとして「日米一体で沖縄を軍事要塞(ようさい)化しようとしている」と批判しました。

 赤嶺氏は「軍事優先の政治の下で県民の命と暮らしは脅かされ続けている」として、米軍基地の周辺から発がん性のある有機フッ素化合物PFASが検出されたが、米軍は沖縄県の立ち入り調査を拒否し、県は水道水の処理のために料金を改定せざるを得ない状況に追い込まれていると指摘。「政府が県民の願いを踏みにじって基地を強化し、人権を蹂躙し続けている現実を国会で議論すべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗ホームページ)

 

質問の映像へのリンク

沖縄に憲法の原則を(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 沖縄と憲法について意見を述べます。
 沖縄が本土に復帰してから、昨日、五月十五日で五十二年を迎えました。凄惨な沖縄戦を経験し、戦後の米軍統治下で虫けらのように扱われてきた県民が復帰に際して望んだものは何であったか。
 琉球政府の屋良朝苗主席がまとめた建議書は、次のように述べています。
 県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからにほかなりません。復帰に当たっては、やはり従来どおりの基地の島としてではなく、基地のない平和な島としての復帰を強く望んでいます。
 これが県民の強い思いでありました。
 しかし、この五十二年間、県民の願いは踏みにじられてきました。広大な米軍基地は復帰後もほとんどそのまま温存され、政府が打ち出す基地の整理縮小は県内移設が条件とされました。その下で、米軍機の墜落や部品落下、米軍関係者による殺人、レイプや暴行、ひき逃げ、基地からの爆音や異臭、りゅう弾や原野火災などによって県民の人権はじゅうりんされ続けてきたのです。その上、今、民主主義も地方自治も無視して、新たな米軍基地の拡大強化が進められています。
 政府は、沖縄県民の圧倒的多数の民意を一顧だにせず、日米合意ありきで辺野古新基地建設を推し進めています。法律の濫用を繰り返し、代執行によって県知事の権限を奪い、埋立工事を強行しています。
 一方、政府は、世界一危険と言われる普天間基地の固定化は避けなければならないと言いながら、その普天間基地への世界一危険なオスプレイの配備を容認しました。二〇一二年の配備以降、県内外で墜落や不時着、部品落下を繰り返し、そのたびに米軍は原因を明らかにしないまま飛行再開を強行し、学校や保育園、住宅地の上空を我が物顔に飛び回っています。
 米軍は、嘉手納基地でもF22戦闘機や大型無人機の配備を強行しています。伊江島で実施するとしてきたパラシュート降下訓練も毎月のように行われています。SACOの最終報告に対して、基地機能を強化するものです。危険なパラシュート降下訓練はどこにあっても絶対に認められません。玉城デニー知事は嘉手納基地での訓練中止を要請しています。しかし、政府は全く聞く耳を持たず、米軍の傍若無人なやり方を容認しているのです。
 米軍基地だけではありません。安保三文書に基づき、自衛隊の増強も推し進めています。
 今年三月には、石垣島や宮古島に続き、本島のうるま市にもミサイル部隊の配備を強行しました。敵基地攻撃のための長射程ミサイルの配備も狙われています。石垣島や宮古島では米軍の使用の計画はないと説明していたにもかかわらず、基地ができるとすぐに米軍が訓練を強行しました。沿岸監視隊を配備した与那国島でも、当初の説明にはなかったミサイル部隊を配備しようとしています。
 公共インフラの軍事利用も進められています。
 先月、那覇空港や石垣港を自衛隊が優先して利用するための特定利用空港、港湾に指定しました。既に米軍や自衛隊は、沖縄県の自粛要請や県民の反対にもかかわらず、空港や港湾での訓練を強行し、戦闘車などの軍用車両が公道を繰り返し走行しています。基地の縮小どころか、日米一体で沖縄を軍事要塞化しようとしているのであります。
 この軍事優先の政治の下で、県民の命と暮らしは脅かされ続けております。
 嘉手納基地や普天間基地などの周辺から発がん性のある有機フッ素化合物、PFASが検出されている問題で、沖縄県は水道水のPFAS処理に係る莫大な費用のために水道料金を改定せざるを得ない状況に追い込まれています。ところが、当事者である米軍は、県が水道水を処理していることを理由に立入調査を拒み続けています。なぜ基地被害に苦しむ県民が更なる負担を強いられなければならないのか、余りにも理不尽であります。
 政府が県民の願いを踏みにじって基地を強化し、人権をじゅうりんし続けている現実を、国会は正面から議論すべきです。憲法の原則が適用されない沖縄の実態を変えることこそ私たち政治家の責任であることを強調して、発言を終わります。

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