衆院沖北特委
沖縄県が今年10月からの水道料金値上げを決めた問題で、日本共産党の赤嶺政賢議員は24日の衆院沖縄北方特別委員会で、県の求めに応じず、国の予算を減額してきた政府の責任を追及しました。
赤嶺氏は、施設の老朽化などにより水道料金を値上げする自治体が全国で相次いでいると指摘。小鑓(こやり)隆史国土交通政務官は「2023年4月1日までの1年間に値上げを行ったのは59事業者だ」と答弁しました。
赤嶺氏は、沖縄県が他県と違う点は、値上げの48%が国の一括交付金の減額によるものだと指摘し「政府の責任を認めるべきではないか」と迫りました。
自見英子沖縄担当相は「交付金の水道事業への配分は、県の自主的な選択に基づき判断される」などと答弁。赤嶺氏は「交付金は10年間で1000億円の減額だ。県の努力ではどうしようもない」と批判し、補正予算の編成など抜本的な予算措置を求めました。
赤嶺氏は、値上げの11%はPFAS汚染の対策費だとして、汚染者の米軍に負担させるべきだと要求。上川陽子外相は「因果関係が明らかでない」と否定しました。
赤嶺氏は、水道料金値上げの責任は政府にあるとして、「県民の負担軽減のために努力すべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2024年4月25日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
今日は、水道料金の問題について質問をいたします。
今、全国で水道料金の値上げが問題になっています。ちょうど一昨日のNHKの報道番組でもこの問題を取り上げていました。水道管の老朽化や耐震化による施設の更新に多額の費用がかかり、その上、人口減少が進み、水道料金の値上げに踏み切らざるを得ない自治体が相次いでいるという内容でした。
番組では、この春以降に値上げをする主な自治体として、二十の自治体を一覧で紹介していました。四年ぶりに値上げに踏み切る自治体や、三五・九%という大幅な値上げに踏み切る自治体もありました。その影響は、人口減少の著しい地方だけでなく、都市部にまで及んでいます。
まず、国交省に伺いますが、こうした全国で起こっている水道料金値上げの現状について、どのように把握していますか。国交省としてどのような対策を講じているのか、お答えをお願いします。
○こやり大臣政務官 お答えいたします。
まず、地方公共団体が水道事業を行う場合には、地方公営企業として、水道料金については条例に基づき定めることとなっております。
日本水道協会が毎年発行しております水道料金表によりますと、近年、全国的な平均でいいますと、僅かに上昇傾向に価格としてはあります。また、例えば、令和五年四月一日までの一年間に値上げを行った水道事業者は、全国で約千四百ございますけれども、そのうちの五十九事業者となってございます。
水道事業の経営に要する経費につきましては水道料金により補うことが原則となっておりますけれども、地形あるいは水源等の条件によりまして施設整備費が割高となる水道事業者等に対しましては、施設整備費に要する費用について国交省としても財政支援を行っているところでございます。
国交省としては、引き続き、官民連携あるいは広域連携の推進を進めることも含めまして、水道事業の持続的な経営を確保するための対応について、地方自治体の御意見に耳を傾けながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 今起こっている問題というのは、従来の枠組みでは解決できないレベルに立ち至っていると思います。これまで自治体が値上げに踏み切ることができなかったのは、それが住民の生活に直結するからです。
こうした下で、今、高度成長期に整備した水道管が一斉に更新時期を迎えています。抜本的な対策を進めようにも予算も人員も足りず、人口減少や節水機器の普及によって、料金収入も減少傾向にあります。これでは、負のスパイラルに陥って、更なる値上げに踏み切らざるを得なくなるのは明らかだと思いますが、多くの自治体や議会が国に財政支援の拡充を求めています。こうした要望に応えて、国がこれまでの延長線上ではない抜本的な対策に踏み切る必要があるのではないかと思いますが、国交省、いかがですか。
○こやり大臣政務官 お答えいたします。
水道料金の傾向といたしましては、先ほどお答えをしたとおりでございます。議員御指摘のとおり、老朽化の進展等、水道のストックの老朽化が近年進行しているという問題点を把握をしております。
水道事業につきましては、今年度からまさに厚労省から国交省に移管をいたしまして、例えば、上下水道一体的な整備でありますとか、あるいは官民連携、広域連携、様々な経営の効率化も含めて、これから地方自治体と議論をしながら継続的な事業経営につきまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 この間のNHKの番組を見ても、今早急にこれまでの延長線上ではないような手だてを国が講じなければ、どんどん水道事業が行き詰まってくるということを強く感じました。
それで、沖縄県もこの十月から水道料金の値上げを決めました。ただ、他県と違うのは、国の予算の削減が原因で値上げに踏み切らざるを得なくなっているということです。県が試算した値上げの原因を見ると、値上げ全体の四八%がハード交付金の減額による影響だとしています。
沖縄県は、この間、一括交付金の増額を毎年求めてきました。昨年も、主なものだけでも七月、八月、十一月と繰り返し予算要望を行い、一括交付金の増額を求めています。八月の要請では、この水道の問題についても、減額による影響が具体的にどのように出ているのかの資料も示して増額を求めております。そこでは、水道管の老朽化、耐震化の更新に遅れが出ていることを具体的な事例も挙げて紹介をしています。ところが、内閣府はそれに応えず、抜本的な増額は踏み切りませんでした。
大臣、今回の値上げに至った原因がこうした内閣府の対応にあることは明らかだと思いますが、この責任、どのように認識しておりますか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
水道事業は公営企業でございまして、事業の費用を利用者からの料金収入で賄う独立採算が原則であると承知をしてございます。
その上ででありますが、地理的な事情などにより施設整備費が割高となるなど、経営条件の厳しい水道事業者が行う施設整備事業を対象といたしまして、その整備に要する費用の一部に国庫補助が充てられていると承知してございます。
この点につきまして、沖縄県の場合には、県の水道用水供給事業にハード交付金が、市町村の上水道事業や簡易水道事業に沖縄簡易水道等施設整備費補助金がそれぞれ充てられているところでございます。
そして、県と市町村を合わせました水道施設整備に対する昨年度の国庫補助でございますが、沖縄県を除く全国平均で一県当たり約十五億円であるのに対しまして、沖縄県では約七十億円が措置をされてございます。
委員御指摘の水道料金改定の主な原因、要因につきましては、県の企業局によりますと、今後、老朽化した水道施設の更新等を行うための原資として確保すべき額を新たに計上したこと、また、ポンプなどの水道施設を稼働するための電気料金が上昇したことなどが挙げられ、また、PFAS対策も含まれているというふうに承知をしてございます。ハード交付金の減額の影響について一概に申し上げることは困難であると考えてございます。また、ハード交付金の水道事業への配分につきましては、沖縄県の自主的な選択に基づき判断されるものであると承知してございます。
内閣府といたしましては、引き続き、関係部局とも連携しながら、必要な施策、また必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。
○赤嶺委員 ハード交付金を沖縄県の水道事業に充てるのは、これは全国の例に倣って当然で、しかも、沖縄的な特殊性に応じて充てられてきたわけですね。
それで、沖縄の交付金の優先順序も全部沖縄で決めればいいじゃないかという調子の答弁も先ほどから続いておりますが、ハード交付金はこの十年で約五百億円以上減らしているんですよね、内閣府は。一括交付金は、全体でいえば一千億円の減額であります。こうした下で、今言われたような対応では、焼け石に水であります。
水道は、憲法の生存権を保障するものです。命のインフラとも言われています。今県民は、物価高騰で生活のあらゆる分野で切り詰め、大変な生活を強いられています。そうした中で水道料金の値上げに踏み切らざるを得ない状況に追い込んだ、これは、県の企業努力ではどうにもできないような要因があって、それをハード交付金で補ったり、PFOSであったりするわけですよね。だから、政府の責任が極めて重いと言わなければなりません。
大臣、こうした事態を招いた政府の責任、認めるべきだと思いますが、いかがですか。
○自見国務大臣 お答えを申し上げます。
繰り返しで、一部、恐縮でございますが、水道事業は公営事業でございますので、独立採算が原則であると承知しております。
その上ででありますが、大変厳しい条件の水道事業者が行う場合、地理的条件などによりまして、その費用に国庫の補助が充てられているということでございます。
沖縄県の場合は、そうした県と市町村を合わせまして、沖縄県以外の全国平均で約十五億円であることに対しまして、沖縄県では約七十億円ということが措置をされてございます。
そういったことも踏まえながら、一方で、委員おっしゃるように、様々な御不安、そしてまた県民の皆様の安心、安全ということも水道事業には直結をするわけでございます。
内閣府といたしましては、引き続き、関係部局と連携し、必要な施策、また必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。
○赤嶺委員 大臣、ハード交付金を充てるのは何も特別なことじゃないですよね、全国も国からの交付金が出ていますから。それが必要以上に多く充てられているのではない。今の水道管の老朽やいろいろなPFOSの対策などで、企業努力ではどうしようもない面がある、だからハード交付金を増やしてほしいということになっているわけですよ。何か、たくさんもらっているような、たくさんもらっていて水が確保できるならいいですよ、そんな状態にないから増やしてほしいということを沖縄県は要望しているんじゃないですか。
やはり今、全国的にもいろいろな理由で水道事業が困難にぶつかっております。沖縄は企業努力ではどうしようもない問題をぶつけられております。
今からでも政府が抜本的な対策に踏み切るべきだと思います。私は、補正予算を組んで、ハード交付金を増額すれば、値上げ幅を縮小するなどの対応を取ることも可能になるはずです。
大臣の責任で抜本的な予算措置を検討すべきだと思います。いかがですか。
○自見国務大臣 お答えをいたします。
現時点で、今後の補正予算の編成の有無につきまして予断を持ってお答えをするのは困難でございますが、その上で、一般論として申し上げれば、お尋ねのハード交付金につきましては、第六次沖縄振興計画開始後の令和四年度以降、国として必要と考えられる所要額を計上し、当初予算で三百六十八億円を計上しているところでございます。
さらに、必要性や緊急性などについても検討した上で、令和五年度の補正予算におきましても所要額を確保したところでございます。
いずれにいたしましても、内閣府といたしましては、引き続き、地元の皆様の安心、安全を求める、そういったお声にも丁寧に寄り添いながら、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○赤嶺委員 一括交付金はピーク時より一千億円減らして、ハード交付金も五百億円減らして、国が責任を果たしているかのような答弁はやめていただきたいと思います。これは、やはり補正予算を組むように大臣は努力すべきだと思います。
もう一つは、PFAS対策です。値上げの全体の一一%がPFASの対策費となっています。
沖縄県は、二〇一六年に嘉手納基地周辺の河川から高濃度のPFOSが検出されて以降、汚染源特定のために、再三にわたり、基地への立入調査と対策費用の負担を政府に求めてきました。ところが、八年以上たった今なお、立入調査は実現していません。米軍が応じないからです。
こうした下で、沖縄県はこれまで約十二億円をPFAS対策のために負担しました。今後も、毎年十億円の予算が必要になる見通しです。
ところが、米軍は一切負担していません。本来、汚染者負担の原則に基づいて、汚染者である米軍が支払うべきものであります。ところが、日米地位協定の下で立入調査ができず、対症療法的に県が負担している状態です。
外務大臣に伺いますが、汚染者である米軍が一切の負担をしていない現状はおかしいと思うはずですが、いかがですか。そういう認識にありますか。
○上川国務大臣 このPFAS等につきましては現時点ではいまだ十分な知見がなく、日本国内におきまして、PFAS等の摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生した事例は確認されていないところ。
政府といたしましては、科学的根拠に基づく総合的な対策の策定が必要であると認識をしているところであります。
その上で、PFAS等は、国内におきましては、一般的にコンビナートや、また、飛行場等の消火薬剤や半導体等の洗浄や、また、撥水加工などの工業用途など、様々な用途に使用されてきているところであります。
現時点におきまして、在日米軍施設・区域周辺におけるPFAS等の検出と米軍の活動との因果関係は明らかではなく、費用負担につきまして予断を持って検討する状況にはないと考えているところであります。
○赤嶺委員 米軍基地の嘉手納基地と、それから沖縄県の企業局、それから防衛局が三者協というのを持っています。ここでも米軍は、いや、自分たちだけがPFOSを出しているわけではないだろう、ほかにも要因があるだろうと言い張っております。
しかし、嘉手納基地のそばの大工廻川がPFOSで汚染され、それが沖縄県企業局の取水地である比謝川に流れ込み、比謝川は沖縄県企業局の水源地なんですよ、PFOSがあることを知りながら、企業局は、これは外務大臣が言うように、米軍のものであるかどうか分からないからと、汚れた水を県民に提供するわけにいかないわけですよ。毎年十億円とかかかっている、これが値上げの引き金にもなっている、原因にもなっている。
ところが、米軍は、いやいや、沖縄県の、今、粒状活性炭を日本政府が使ってPFOSを低減する方法でいいじゃないか、もしも米軍が汚染源となると分かると、土壌の改良など大変な費用が米軍にはおぶさってくる、だから今のままでいいんだと言っているんですね。
しかし、県は、蓋然性があるから立入調査をさせてくれ、そして、原因がはっきりすれば、米軍が負担すべきじゃないかということですよ。この点でも、沖縄県の水道料金の値上げ、外務省にも責任があると思いますよ、立入りを認めて、ちゃんと調査をさせるべきだと思います。いかがですか。
○上川国務大臣 今、これまで沖縄県から普天間飛行場、嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセンへの立入要請がなされているものと承知をしております。
一九七三年の環境に関する協力につきましての日米合同委員会の合意におきまして、米軍施設・区域に源を発する環境汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信ずる合理的理由のある場合には、県又は市町村若しくはその双方が調査を要請することができるとされておりまして、政府としては、この要望につきまして、適切に米側に伝達をしてきているところであります。
外務省といたしまして、米軍施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 基地の中からPFOSの汚染水があふれ出てきたときには、目の前であふれ出てきたときには、それは立ち入っていますよ。しかし、今みたいに水源地に徐々に徐々に汚染されている、数十年も。それが水道料金の引上げになっている、この場合も立入りを認めるべきです。
県民の負担を軽減するためにも、外務省も内閣府も、それぞれの責任を感じて、努力していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。