国会質問

質問日:2024年 4月 18日  第213国会  安全保障委員会

“自民要請で訓練場撤回” 防衛相は政治利用 赤嶺氏が追及

衆院安保委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は18日の衆院安全保障委員会で、防衛省が沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡地への陸上自衛隊訓練場建設の撤回を表明したプレスリリースに自民党による要請の結果だと特記したのは「政治利用だ」と批判し、削除を求めました。

 木原稔防衛相が訓練場建設の撤回を表明した11日に防衛省が公表したプレスリリースは、判断の経緯について「中村・うるま市長と島袋・自民党沖縄県連幹事長から重ねての要請を受けた結果」と記述しています。

 赤嶺氏の「大臣の指示か」との追及に木原防衛相は指示を否定し、「経緯、内容を端的に説明するため事務的に作成した」と答弁。赤嶺氏は「大臣の指示がない限り官僚の判断で書けるものではない」と強調しました。

 赤嶺氏は、沖縄では6月の県議選に向け論戦が交わされている政治情勢だと指摘。「その中で特定党派による要請を特記すれば、大臣の立場を政治利用して特定党派を支援したことになるのは明らかだ」として認識をただしました。木原防衛相は「政治利用する意図は毛頭ない」などと強弁しました。

 赤嶺氏は、訓練場建設反対の動きは特定の党派によるものではなく、静かで安全な地域を守りたいという一点で幅広い市民が声をあげ広がったものと強調。「プレスリリースは、そうした経緯が全く無視され自民党の党利党略を露骨に持ち込むものになっている」と厳しく批判しました。(しんぶん赤旗 2024年4月19日)

 

 

日米軍事介入体制へ

安保風力発電規制法案 赤嶺氏が批判

衆院安保委

 衆院安全保障委員会は18日、米軍や自衛隊のレーダーに影響を与える風力発電設備の設置を規制する「安保風力発電規制法案」を日本共産党以外の賛成多数で可決しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は討論で、政府が安保3文書に基づく長射程ミサイルの導入などで、敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた米国の統合防空ミサイル防衛(IAMD)に全面参加しようとしていると指摘。規制区域への指定を予定する全国28カ所の警戒管制レーダーなども基盤的役割を果たすとして、「日米一体の軍事介入体制づくりに障害となる民間の経済活動を規制するものだ」と批判しました。

 赤嶺氏は、法案は既存の基地の存在を前提とし、事業者側に一方的に譲歩と負担を強いるものだと指摘。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備をめぐり、防衛省が予定地近傍の風車を移転させる方針だったことにふれ、「国策最優先で、民間が犠牲を被るのは当然との姿勢は許されない」と強調しました。

 影響を与える風力発電設備の設置について、赤嶺氏は「地方自治体主導のゾーニングなどの中で、住民の参加と合意のもとで、既存の基地の廃止や機能の調整を含めて検討されるべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2024年4月21日)

質問の映像へのリンク

防衛相は政治利用(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案に入る前に、うるま市石川の陸上自衛隊訓練場の問題から質問をいたします。
 防衛大臣は、先週の十一日、現在の候補地での訓練場の整備を取りやめることを明らかにいたしました。うるま市に代わる今後の整備計画がどうなるか、そういう問題がありますが、ひとまずは、住民の要求に沿った対応として、今回の決断を歓迎したいという気持ちでおりました。ところが、公表されたプレスリリースを見て、そうとも言っておれない気持ちになりました。
 プレスリリースによると、今年二月に大臣が取得後の土地の利用の在り方を検討するよう指示したことについて、うるま市長や自民党沖縄県連からいただいた要請を重く受け止めたと書かれています。さらに、現在の候補地での整備は不可能と判断した経緯についても、特に本日の中村うるま市長と島袋自民党沖縄県連幹事長から重ねての要請を受けた結果と述べています。
 特定の党派による要請を特記しておりますけれども、政府として公式に出す文書でこのような記述は見たことがありません。これは大臣の指示によるものですか。

○木原国務大臣 御指摘のように、二月十七日に私が沖縄本島を訪問しましたが、その際に事務方に行った指示の下で、これまで、住民生活との関係を重視するとの観点から、取得後の土地の利用の在り方について改めて検討を行ってきました。その中で、時間をかけて取得後の土地の利用の在り方を検討してきましたが、その間、様々な集会が行われたり、あるいは沖縄県議会の決議が行われたり、実際に防衛省に来ていただいて私も要請を受けたり、そういうこともございました。
 そして、私が最後に決定をした日には、実際に自治体の首長である中村うるま市長が、この件に関して初めて首長さんが来られて、それに自民党県連の島袋幹事長も陪席されていたわけですが、その要請が私自身にとっては決め手となって計画の取りやめの判断を行い、所要の連絡調整を経たタイミングで、本件についてその日のうちに公表したことになります。
 うるま市における訓練場の整備計画の取りやめというのは、そういう意味でいうと、事務方はずっとそれに向けて準備を進めていたわけですが、私自身の政治判断でございます。
 委員の御指摘の公表文については、私が特に指示したことではありませんが、こうした経緯、内容を端的に説明するため、事務的に作成したものと承知しております。

○赤嶺委員 端的に事務的に公表したと言えるかどうか。やはり、大臣の指示がない限り、官僚の判断で書けるようなものではないと思いますよ。
 その数時間前、午前中に私や新垣邦男議員も同じ質問をしているんですよ。委員会では何も答えずに、そして、その後、六時間か七時間後にやった会合で、わざわざ自民党県連まで特記したプレスリリースを書く、出す。これは異常ではないですか。
 沖縄では、六月の県議選挙に向けて、今、与野党の熱い論戦が交わされております。沖縄がそうした政治情勢にあることは大臣は御存じですよね。

○木原国務大臣 沖縄県内各地において各級選挙が行われていることは承知しております。

○赤嶺委員 選挙に向けた論戦が行われている中でこうした特定の党派による要請を明記すれば、大臣の立場を政治利用して特定の党派を支援したことになるのは明らかです。そうした認識を大臣はお持ちですか。

○木原国務大臣 私が熟慮に熟慮を重ねてその日の夕方に記者会見で公表しましたが、当然、それまでの間には、いろいろな事態といいますか、私どもの考え方に対して、集会が行われたり、県議会の決議が行われたり、そして、それぞれの委員が衆議院でも参議院でも各委員会において質疑等が行われて、その件はしっかりと議事録に残されており、公表されている。まさに公式な議事録だと思います。
 そういったことの積み重ねの上で今回こういう結論に至ったということで、特に私自身がそれを政治利用する意図は毛頭ございません。

○赤嶺委員 衆議院でも参議院でも何度も質疑が交わされた、当日も交わされていた。しかし、政治利用の気持ちはなかったと言いながら、客観的に見ると、午前中に開かれた委員会では何も答えずに、そして午後になって自民党県連を特記するようなプレスリリースを出した。
 そもそも、今回の計画に反対する動きは特定の党派によるものではありません。それぞれの政治的な立場や考え方の違いを脇に置いて、静かで安全な地域を守りたいという一点で幅広い市民が声を上げ、それを保守も革新も党派を超えて応援してここまで広がったものであります。
 ところが、今回のプレスリリースはそうした経緯が全く無視されているわけです。自民党の党利党略を露骨に持ち込むものになっています。誰がどう見ても、県議選挙を前にして大臣の立場を政治利用しているのは明らかであります。
 特定の党派による要請について記述した部分は、大臣が政治的に利用していないとおっしゃるのであれば削除すべきではありませんか。

○木原国務大臣 私自身は、本当にぎりぎりまで、この考え方につきましては、あくまでも、時間をかけてでも取得後の土地利用の在り方について検討せよ、そういう指示を出しておりました。そして、熟慮に熟慮を重ねた結果こういう結論に至ったわけですが、それについては、最後、まさに地元自治体、市民の代表である中村市長がこの件について上京されて、そして防衛省に来られて私もそれに対応したということでございます。それに自民党県連の島袋幹事長も陪席されていた、これは事実であります。ですから、この事実に基づいて経緯、内容を端的に説明するための公表文だった、そのように承知しております。

○赤嶺委員 今回の記述は、地元では、これは沖縄の自民党からの要請を受けて大臣が書き込むことになったかもしれないんじゃないかと。今の大臣の答弁も白々しいですよ。事実ですよ、事実ですよと言うけれども、それ以上に大きな事実が委員会審議であったじゃないですか。そこは無視して、最後にわざわざ自民党を特記できるような形にしている。地元の人たちから見たら、今回の問題で誰がどのような役割を果たしたのか、事の経過はよく分かっておられます。
 やはり、恥ずかしいことをやっているということに大臣は気づくべきですよ。削除すべきです。大臣の立場を選挙に政治利用していると、以前にもありました、再びそう言われることのないように、潔く削除していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 訓練場の問題に関連して一点確認しておきたいと思います。
 これまで防衛省は、第一五旅団を師団に改編する理由として、国民保護の実効性の向上を挙げてきました。私は、国民の命を守る上で何より大事なことは外交だという立場であります。地域の緊張を高める軍事力の強化ではなく、緊張を緩和し、あらゆる問題を話合いで解決していくための外交を強化すること、アメリカに引きずられて地域の紛争に自ら介入し、日本に戦火が及ぶような体制づくりはやめることが重要だと思います。
 その上で、一方、政府の立場に立ったにしても、住民避難は第一義的には自治体の役割であります。仮にそのための増員が必要だというのであれば、自治体の職員をどうするか、まず議論するのが筋だと思います。
 ところが、安保三文書には自治体職員の増員についての記述はありません。大臣、これはなぜですか。三文書の策定に当たってその点は議論しなかったんですか。

○木原国務大臣 委員の問題意識は理解できます。
 国民保護に関する自治体職員の増員ということについては、防衛省の立場では、私の立場ではお答えすることは困難でございます。
 三文書の中において自治体職員の増員について議論があったのか、なかったのかというのは、御質問は今伺いましたので、今の時点では、私も整理してみないと分からないという状況でございます。

○赤嶺委員 都合のいいときに国民保護を持ち出して、自衛隊の増員、師団化が必要だという言い方はやめるべきだと思いますよ。
 二〇二二年十一月に、NHKの沖縄放送局と国士舘大学の中林啓修准教授が、沖縄県内の市町村を対象に、国民保護の取組についてアンケート調査を行っています。それによると、市町村が抱えている課題として最も多く挙げられたのは、平素の人員や時間の不足であります。三十二自治体、八二%が挙げています。こうした実態を見れば、国民保護のために自衛隊を増員するというのは政府の立場からいってもおかしいということになると思いますが、いかがですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣からも申し上げたところでございますけれども、議員御指摘の国民保護に関する自治体職員の増員そのものに関しましては、防衛省としてお答えする立場にはございませんので、お答えすることは困難であることについて御理解を賜りたいと存じます。
 その上で、一五旅団の師団への改編でございますけれども、新たに策定いたしました三文書の一つ、防衛力整備計画に基づきまして、南西地域の防衛体制を強化する必要があるとの考えの下に、沖縄における国民保護にもしっかり資するよう計画しているものでございます。これによりまして、事態生起時におきます対処、国民保護の実効性、そうしたものの向上が図られると考えているところでございます。

○赤嶺委員 都合のいいときには国民保護のためだと言っているじゃないですか。必要なのは自治体職員の増員だと言ったら、これは防衛省の範疇ではないと言って逃げ回る。外交を軽視して自国に戦火を呼び込む体制強化を進めている点でも、国民保護のためと言って自衛隊を増強しようとしている点でも、二重の意味で政府がやろうとしていることは間違っているということを指摘しておきたいと思います。
 法案に移りますけれども、その前に、先ほどの削除の点は、大臣による指示で是非削除していただきたいと強く思っていますので、よろしくお願いします。
 法案について伺います。
 今回の法案は、米軍と自衛隊のレーダーなどの運用に支障を与える風力発電の設置を規制するものです。既存の米軍や自衛隊基地の存在を前提にして民間の経済活動を規制するものですが、果たしてこういう枠組みをつくることが許されるのかという問題です。
 そもそも、米軍、自衛隊基地の多くは、地元自治体、住民の理解を得て造られたものではありません。本土の米軍基地は旧日本軍の基地を接収したものが中心です。沖縄の場合は、米軍占領下で、民有地や公有地を問わず、強権的に取り上げて構築したものであります。そうした米軍基地を引き継いできたのが自衛隊基地であります。基地の運用をめぐっても、航空機騒音、環境汚染、事件、事故など、多大な基地負担を周辺住民に強いております。
 こうした現実があるにもかかわらず、既存の基地の存在を前提にして民間の経済活動を規制する法案を提出するというのは余りにも一方的ではないかと思います。大臣はその点をどのように認識しておられますか。

○木原国務大臣 改めて本法案でございますが、風力発電の導入の促進、政府全体が取り組んでいるその取組と、一方で、自衛隊等の活動との調和を図りつつ、風力発電設備が自衛隊等の活動に及ぼす障害を回避するため、風力発電設備の設置者と防衛大臣が調整し、解決していくための仕組みを制度化するものでございます。
 具体的には、自衛隊のレーダー等に著しい障害が生じる場合において、事業者は防衛省との協議を義務づけられて、最大で二年間工事に着手できないことになりますが、協議に当たっては、自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保する観点だけではなくて、事業者による財産権の行使の観点も踏まえた上で調整を図ることとしております。
 また、我が国の安全保障環境が厳しさを一層増している中で、平素からの警戒監視や対領空侵犯措置など、自衛隊によるレーダーを用いた活動は我が国防衛の観点から必要不可欠なものでございまして、そうした活動の円滑かつ安全な実施を確保する上で本法案は極めて重要であると考えています。
 こうした自衛隊による我が国防衛のための活動については、関係自治体や地域住民の皆様に御理解、御協力いただけるよう、引き続き取り組んでまいります。

○赤嶺委員 基地の存在というのは、住民に与える被害からいっても御理解いただけるものじゃないんですよ。その前に、まずやるべきことがあるでしょう。世界一危険な普天間飛行場はいまだに一ミリも動かされず、今後も動く見通しを防衛省は語り切れない、政府は語り切れない。同時に、今、地元自治体、住民の反対を無視してオスプレイの飛行再開を容認したりする。防衛省には、こういう法案を提出する前に基地の問題ではやるべきことがあるということをまず申し上げておきたいと思います。
 風力発電の影響を受けるのは米軍や自衛隊だけではありません。気象庁の気象レーダーも同じであります。事前に気象庁に伺ってみましたが、風力発電によるレーダーへの影響を防止するために、業界団体への情報提供や自治体によるゾーニングとの連携などを行い、これまでのところ特段業務に支障が生じる事例は発生していないということでした。新たに法案を提出する予定もないということでありました。なぜ今回防衛省だけが法案を提出することになったんですか。

○木原国務大臣 風力発電の導入促進は政府一丸となって取り組むべき課題である、その一方で、風力発電設備の設置場所や規格によっては自衛隊のレーダー等に障害を及ぼすおそれがある、そういう認識でございます。
 こうした状況を踏まえると、防衛省としても、風力発電の事業者団体に対して防衛省の取組について情報提供を行い、計画策定の初期段階における相談を要請してまいりました。そのほかにも、御指摘のゾーニングマップの作成を行う自治体に対しても必要な情報提供をこれまでも行ってまいりました。
 一方で、一部の事業者におきましては、要請が任意であったために、工事着手の直前まで相談が行われず、その結果、協力が得られない場合もあり、今後、風力発電設備の導入拡大が見込まれている中においてはこうした事例が増加することも予想されます。
 こういった状況を踏まえると、今般、風力発電設備の設置者と私、防衛大臣が調整を行う仕組みを制度化させていただくための法案を提出させていただいたところでありますが、本法案を成立させていただいた暁には、事業者が計画策定の初期段階から防衛省に対する相談を行うことにつながりまして、自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保できるものだというふうに考えております。

○赤嶺委員 今まで防衛省と業界団体との話合いで、なおかつレーダーの運用に支障を与える風力発電が設置されてしまった事例というよりは、今後増えていくかもしれない、こういう答弁でありました。
 今、風力発電をめぐっては、乱開発の問題をめぐって自治体が環境保全地区と建設可能地区に分けてゾーニングも行っております。こうした自治体主導の取組の中で米軍、自衛隊の問題についても解決していく、これは可能じゃないですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 風力発電の導入促進は政府一丸として進めていくべきもの、他方で、風力発電設備の設置場所や規格によっては自衛隊のレーダー等に障害を及ぼすおそれがあるということで、こうした状況を踏まえて、防衛省としては、先ほど来大臣からも申し上げましたけれども、事業者団体等に対する情報提供を行って初期段階において相談を要請してきたということに加えまして、ゾーニングマップの作成を行う自治体に対しても必要な情報提供という取組をさせていただいてきたところでございます。
 しかしながら、一部の事業者におかれては、要請が任意でございますので、工事に着手される直前まで相談が行われない、その結果、御協力がいただけない場合もございまして、今後、風力発電設備の導入の拡大が見込まれるわけでございますので、こうした事例が増加することが予想される。そうした際に、私どもとして、今回の法律を作りまして、風力発電設備の設置者と防衛大臣が調整を行う仕組みを制度化させていただきたいということでございます。

○赤嶺委員 ゾーニングを守らない事業者もいるということですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 個々の状況については、事業者、自治体との関係もございますので控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、ゾーニングマップの作成を行っておられる自治体に対して所要の情報を提供させていただいて、ただ、それでもなお一部の業者の皆様からは早期の御相談をいただけない、それで直前の御相談になってしまっている事例があるということでございます。

○赤嶺委員 今回の法案の提出に先立って、日米間ではどのようなやり取りがあったんですか。

○大和政府参考人 お答え申し上げます。
 米側とは、防衛施設周辺における風力発電設備の設置と訓練等の安全確保に関し、平素より様々なやり取りを行っています。
 こうした米側とのやり取りの中で、青森県に所在する三沢対地射爆撃場周辺については、風力発電設備が設置されることによって航空機の飛行の安全性に影響を及ぼす可能性が高く、運用の支障の有無について慎重な確認を要する区域があるとの認識が示されてきたところであります。
 防衛省としてもその認識を共有しており、風力発電設備による安全保障への影響を回避し、自衛隊、米軍の円滑な運用の確保と風力発電の導入促進を両立するため、風力発電設備の建設、建て替えを計画される事業者に対し、事業計画策定の初期段階で防衛省に相談していただくよう、防衛省のウェブサイトにおいて周知するなどの情報提供をしております。また、事業者から相談を受けた場合には、米側とも所要の調整を行ってきているところであります。
 これ以上の個別具体的な内容については、米軍の運用に関わることに加え、事業者の皆様との関係もあることから、お答えを差し控えなければならないことは御理解いただければと思います。

○赤嶺委員 結局、米軍の意向もあって、今、三沢の射爆撃場の問題が言われましたけれども、この法案を提出することになったんじゃないかと思います。今回の防衛省の対応は、軍事だけを特別扱いしていると言われても仕方のない姿勢だと思います。
 風力発電も基地も住民生活に直接、密接に関わる問題です。住民の参加と合意の下で考えていくべき問題です。ところが、今回の法案は、既存の基地の存在を前提にして、防衛省と事業者の間だけで問題を解決しようとするものであります。こういうところにも住民合意を軽視する防衛省の姿勢が表れているということを指摘しておきたいと思います。
 法案は、風力発電の設置者と防衛大臣が、レーダーの機能を補完するための措置や工事計画の変更などについて相互に協議を求めることができるとしております。レーダーの機能を補完する措置とは具体的にどういうことを指すのですか。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御案内のとおり、本法案におきましては、自衛隊等のレーダーに著しい障害が生じる場合に、風力発電設備の設置者と防衛大臣が、レーダーの機能を補完するための措置でございますとか工事計画の変更など、必要な措置について協議を行うこととしているところでございます。
 このレーダーの機能を補完するための措置の具体的内容につきましては、個別具体的な状況に応じて検討することになりますので、現時点におきまして確定的にお答えすることは困難でございます。
 ただ、一般論といたしましては、例えば、移動式のレーダーの活用といったようなこともあり得ようかと存じます。

○赤嶺委員 業者と防衛省が協議するといっても、今のように、固定式レーダーがあるのに移動式レーダーに変えてもいいよと、何か防衛省の側から譲歩するかのような言いぶりでしたけれども、そんなことは実際には起こり得ないと思います。結局は防衛省の言い分を一方的に通していくための法案だということを申し上げて、質問を終わります。

 

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○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、安保・風力発電規制法案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、安保三文書に基づく軍事体制強化の一環を成すものだからであります。
 今政府は、三文書に基づき、敵基地攻撃を可能とする長射程ミサイルやイージスシステム搭載艦などの導入を推し進めています。これは、アメリカが進める敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた統合防空ミサイル防衛、IAMDに日本が全面的に参加するためのものにほかなりません。区域指定の対象となる全国二十八か所の警戒管制レーダーなども、その基盤的な役割を果たすものであります。
 こうした軍事体制の強化は、憲法違反の安保法制の下で、朝鮮半島や台湾海峡、南シナ海をめぐる問題に、日米一体で軍事介入する体制づくりにほかなりません。その障害となる民間の経済活動を規制するものであり、断じて容認できません。
 第二は、既存の基地の存在を前提とし、事業者側に一方的に譲歩と負担を強いるものだからです。
 現に防衛省は、イージス・アショアの配備をめぐり、予定地近傍の風車を移転させる方針でした。国策最優先で、民間が犠牲を被るのは当然との姿勢は許されません。
 地方自治体主導のゾーニングなどのプロセスの中で、住民の参加と合意の下で、既存の基地の廃止や機能の調整を含めて検討されるべきです。
 第三に、そもそも米軍・自衛隊基地の多くは、地元自治体、住民の同意を得て造られたものではありません。
 しかも、防衛省は、辺野古新基地建設を強行し、事故原因の調査が継続中であるにもかかわらず、オスプレイの飛行再開も容認しました。
 地元自治体、住民を愚弄する行動を繰り返しながら、民間の経済活動を規制するなど、もってのほかと言わなければなりません。
 以上、討論を終わります。

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参考資料

防衛省プレスリリース

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