国会質問

質問日:2023年 3月 23日  第211国会  安全保障委員会

オスプレイ陸揚げ 沖縄県に事前通告なし 赤嶺議員「分断につながる」

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は23日の衆院安全保障委員会で、米海兵隊のMV22オスプレイが米軍那覇軍港(那覇市)への陸揚げと離陸を強行した問題で、米軍が那覇市には事前通告をしながら沖縄県には事後だったことを批判し、「すべての自治体に通告すべきだ」と要求しました。

 那覇市中心部の同軍港で、オスプレイ1機が18日に陸揚げされ、20日に離陸しました。県は米軍によるオスプレイなど航空機の着陸や訓練について明確に反対し、米軍に行わないよう繰り返し要求していますが、知念覚那覇市長は「訓練と移動は分けて考える」「抗議はしない」と発言しています。

 赤嶺氏は、米軍が陸揚げの際、県に事前通告をしなかった理由を質問。防衛省の深沢雅貴地方協力局長は「米の判断で那覇市限り」と答弁しました。

 赤嶺氏は、同空港周辺には国道58号があり県民の暮らしに大きく影響しているとして、「県も事前通告されて当たり前だ」と指摘。米軍機による那覇軍港使用に関する立場の違いによって情報提供するかを分けていると批判しました。浜田靖一防衛相は「常に平等に事前通告を要望している」と述べ、すべての自治体に情報が提供されるよう米軍と交渉していくと答えました。

 赤嶺氏は「『自治体によって事前通告をわけることは分断につながり、日本政府として容認できない』と米軍に言うべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2023年3月24日)

 

 

イージス搭載艦 人員増

衆院本会議で可決 赤嶺氏中止迫る

 自衛隊の電磁波領域の体制強化やイージス・システム搭載艦の人員確保・養成などを盛り込んだ防衛省設置法改定案が24日、衆院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は23日の衆院安全保障委員会で、イージス・システム搭載艦の総経費が、改修コストを理由に断念したイージス・アショア(陸上イージス)以上に膨れ上がっていると指摘。防衛省が明らかにしているだけで6000億円に上り、維持整備費を含めれば1兆円を超えるとの指摘もあると述べ、その理由をただしました。

 防衛省の川嶋貴樹整備計画局長は「アショアになかった各種能力を付与する」として、長射程化した12式地対艦誘導弾などを搭載する計画を示しました。

 赤嶺氏は、同艦用の港湾施設整備も計画されているとして、詳細を明らかにするよう要求。川嶋局長は、港湾以外に火薬庫や試験設備なども整備するとし、整備場所は「現時点で示す段階にない」と答弁しました。

 赤嶺氏は、防衛省が住民合意を置き去りに計画を進めた陸上イージスの失敗から「何も学んでいない」と批判。計画の中止を主張しました。(しんぶん赤旗 2023年3月25日)

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オスプレイ陸揚げ「すべての自治体に事前通告を」(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案に関連して、イージスシステム搭載艦について質問をします。
 イージスシステム搭載艦は、配備断念に追い込まれたイージス・アショア、陸上イージスの代わりとして出てきたものであります。
 防衛省は、米国から購入するイージスシステムやレーダーの使用に固執し、全体の構想も経費も示さないまま導入に踏み切りました。防衛省は、当初、陸上イージスの経費を、三十年間の維持整備費を含めて四千五百億円程度と説明していました。イージスシステム搭載艦は既に陸上イージスを超えています。これまでにシステム本体や発射装置などに千九百億円以上を費やしています。防衛力整備計画では、構成品の取得や艦船の建造に四千億円以上かかるとしています。これだけで六千億円です。
 なぜ陸上イージスよりもこんなに経費が膨らんでいるのか、説明していただけますか。

○川嶋政府参考人 お答えをいたします。
 まず、イージスシステム搭載艦の総経費についてでございますけれども、これは令和五年度に予算を計上しておりますけれども、細部設計、これを通じまして今後船体の建造費が精緻化されていくということ、あるいは、これも令和五年度に調達いたします防空機能、水上レーダー、あるいは通信システム、こういったFMSの装備品につきまして、六年度以降、システムインテグレーションに係る内容、経費に関しまして出てくるわけでございますが、これは現在米国政府等と協議中であり、今後精緻化されていくということ。こういった様々な要素を踏まえまして積算する必要があるということで、現時点でイージスシステム搭載艦の総経費についてお示しし得る段階ではなく、過去にお示ししたイージス・アショアの関連経費との比較は困難であることを御理解願いたいと考えております。
 いずれにいたしましても、イージスシステム搭載艦は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼とするものでございまして、情勢に応じまして、常時持続的に我が国全域を防護し得る体制の構築に、より一層貢献するものと考えてございます。
 引き続き、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底を図りつつ、イージスシステム搭載艦の整備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○赤嶺委員 あくまで全体像を明らかにしないで進めていくつもりであります。
 しかも、今、先ほど申し上げた経費の中には、今後の維持整備費というのは含まれていません。全体の経費は、これを含みますと一兆円を超えるという指摘もあります。
 二〇二〇年六月に陸上イージスの配備を断念したとき、当時の河野大臣は、その理由として、ミサイルのブースターを基地内や海上に落とすためにはシステム全体の改修に相当なコストと期間がかかると説明しました。
 ところが、既に総経費は当初の計画を大きく上回っています。大臣、今のイージスシステム搭載艦の計画は、この河野大臣の説明と矛盾しているのではありませんか。

○川嶋政府参考人 お答えをいたします。
 イージス・アショアというのは、文字どおり陸上にある。イージスシステム搭載艦、これは船でございます。
 イージスシステム搭載艦には、イージス・アショアに備えさせる計画のなかった各種能力を付与することとしてございます。具体的には、垂直発射装置、VLSと呼んでおりますけれども、これを追加する、迎撃ミサイル等の増強をする、極超音速滑空兵器、HGVと申しますけれども、へのより効果的な対処のための将来的な拡張性の保持、こういったもの。あるいは、弾道ミサイルや先ほどの極超音速滑空兵器に対し、ターミナル段階で対処する能力を有するSM6というミサイルでございますが、これを装備する。さらには、一二式地対艦誘導弾能力向上型の装備、こういったものを検討しておるということでございます。
 したがいまして、単純な比較ではなかなか申し上げることができないということでございますけれども、いずれにいたしましても、こういったことを検討中でございまして、イージス・アショアとイージスシステム搭載艦とは違ったものであるということで、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難であるということでございます。

○赤嶺委員 相当な経費と期間がかかるということで陸上イージス・アショアは取りやめになったわけですね。今度はそれ以上に経費がかかる、詳細は明らかにできない。
 さらに、防衛省は、艦船本体の経費に加えて、港湾施設も整備する必要があるとして、そのために更に一千三百億円かかるとしています。これまで、港湾施設を整備するという説明は一切ありませんでした。今回の整備計画で初めて明らかになりました。
 なぜ港湾の整備が必要なんですか。どれだけの規模の施設をどこに造る計画なのか、明らかにしていただけますか。

○川嶋政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、イージスシステム搭載艦というのは、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼として、情勢に応じまして必要な海域に展開する、運用に当たるということとしておりまして、イージス・アショアの場合とは異なって、これに必要な各種の能力を付与することとしております。
 それを前提にいたしまして、イージスシステム搭載艦は船でございますので、海上自衛隊の他の艦艇と同様に、情勢によっては、五つの総監部、横須賀、佐世保、呉、舞鶴、大湊、大きな海上自衛隊の基地がございますけれども、こういった海上自衛隊の主要な港湾に入港する可能性が想定されるということでございます。
 防衛力整備計画におきましては、イージスシステム搭載艦の関連経費として、先生御指摘のとおり、港湾施設の整備、火薬庫等の整備、実射試験、試験設備、テストサイト等に係る経費として〇・一三兆円、兆円で書いてございますけれども、を計上してございます。五年度につきましては、港湾施設の整備に関連するものといたしまして、各地の港湾のしゅんせつの要否の調査費として二億円を計上しておるところでございます。
 一方、お尋ねの、港湾施設の整備場所、港湾施設の規模等の具体的な整備内容につきましては、令和五年度に実施される細部設計を通じてイージスシステム搭載艦の船体のサイズ等が精緻化されるということに加えまして、この設計や調査の結果を踏まえつつ、所要の検討を経た上で具体的な港湾施設の整備等に着手することとなるのでありますが、現時点において、それではここだというふうにお示しできる段階にはないということを御理解願いたいと思います。

○赤嶺委員 理解できないですね。
 期限は決まっているわけですね、就役の。だのに、まだ、どこに造るか、それははっきりさせられない。私、大変無責任だと思いますよ。
 大臣、陸上イージスの失敗、大失敗でしたよね、防衛省の。私は、あれは、結局取りやめになったのは、期間と経費がかかり過ぎる、全体像を明らかにしないで進めてきた結果、そういう失敗に終わったわけです。あれから何も学んでいないのが今度の計画だと思います。搭載艦の建造は一旦中止し、計画の全体像を国民に示すこと、これが防衛省がやるべき最低限の責任ではないかと思いますが、いかがですか。

○浜田国務大臣 我々とすれば、イージス・アショアの計画の変更、そしてまた、今現在我々がそれを諦めてはいないということは、これは当然のごとく、この国を守るために必要な装備であるというふうに考えるからでありまして、これを今後とも、できるだけしっかりと丁寧に説明をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○赤嶺委員 説明できない、できないということを繰り返し答弁していながら、大臣は丁寧な説明を繰り返していくというのは、ちょっと何か全然違いますよね。
 それで、やはり、私は沖縄の基地問題と同じだと思うんですよ。辺野古の新基地建設のときも、オスプレイが配備されるんじゃないかということをずっと追及したけれども、分かりません、分かりませんと言ってきて、最後の評価書の段階でオスプレイの配備を強行したわけですよ。
 全体像を説明しない、国民が納得のいくようなやり方を取らない、そういうやり方は、やはりイージス・アショア陸上案と同様に、県民、国民の反発を強く受けるだろうということを申し上げ、そして、搭載艦の計画は中止すべきだということを申し上げておきたいと思います。

○浜田国務大臣 我々とすれば、いわゆる、今、船の方もそうでありますが、いろいろな計画を立て、そしてまた、それに対してどれだけのものができるのかということを、これを精緻化することによって、資料もまた今後いろいろと説明してくる機会もあると思います。ただ、体に合わせて、その前に、合わせる前にいろいろな港の整備をするというのは、これは無理な話でありますので、そういった意味においては、そういったことを積み重ねることを説明しながらという意味で私は申し上げているところでありますので、全くこれをオープンにしないというふうには私としては言ったつもりはございませんので、今後ともしっかりと説明をしていきたいというふうに思います。

○赤嶺委員 今の質問を通して、全体像、全く明らかにされていません。
 今、軍事に詳しい大塚議員が、内容がどうのこうのと言っておりますが、国民が分かるように説明しなきゃいけないんですよ。そういう、撤回は強く求めておきたいと思います。
 次に、那覇軍港への米軍オスプレイの離着陸について質問します。
 三月十八日、米軍はオスプレイ一機を那覇軍港に陸揚げし、二十日に普天間飛行場に向けて飛行させました。軍港でのオスプレイの離着陸に繰り返し反対してきた県の要求を無視し、住民の安全を脅かすもので、断じて容認できません。
 オスプレイの陸揚げについて、米軍は、沖縄防衛局を通じて那覇市には事前に通報をしましたが、沖縄県には何の連絡もありませんでした。なぜ、通報先を那覇市に限定して、沖縄県には連絡しなかったんですか。

○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の那覇港湾施設へのMV22オスプレイの陸揚げにつきましては、米側から沖縄防衛局に対しまして事前通告があったところですけれども、やり取りの詳細については、米側との関係から、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 その上で、本件については、米側から那覇市限りという前提で事前通告が行われたことから、陸揚げされる前日の十七日に、沖縄防衛局から那覇市に対し情報提供を行っております。また、十八日から沖縄防衛局の職員が現地に赴きまして、MV22オスプレイの陸揚げと離陸について、確認され次第、速やかに関係自治体に情報提供をさせていただいたところでございます。
 それで、今回、米軍が事前通告を那覇市に限定した理由ということでございますけれども、那覇市長の知念市長におかれましては、那覇港湾施設における米軍機の使用に関する考え方を確認していきたいとの意向が示されておりまして、知念市長からの求めに応じ、事前通告を始め、運用の安全性の確認等について、米側と協議を行いつつ、沖縄防衛局と那覇市との間で意見交換を行ってきているところであります。
 米側は、従来から、運用情報を事前通告することは保全の観点から困難であるといった立場でありますけれども、今回につきましては、米側の判断といたしまして、これまでの意見交換における知念市長の強い御要望も踏まえて、那覇市限りという前提で事前通告が行われたものでございます。
 これは、米側の判断として、運用情報の保全とのバランスを取りつつ、可能な範囲での情報提供が行われたものだというふうに考えております。

○赤嶺委員 運用の安全は、那覇市だけに事前通報して、それで十分なんですか。向こうは国道五十八号線も通り、沖縄県も事前通告をされて当たり前じゃないですか。何で差別するんですか、那覇市と。那覇市には事前通告をする、沖縄県には事後に通告しました、これで話が通りますか。不公平じゃないですか。
 基地に那覇軍港を使うことに反対している沖縄県知事と、そして那覇軍港の使い方について今後話し合っていきたいとする那覇市長と、差別しているという具合にしか思えないんですけれども、いかがですか。おかしいんじゃないですか、大臣、それは。

○浜田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、我々とすれば、常に米側との議論を続けさせていただいているわけであって、そして、その中で、今回の場合には、那覇市に対しては米国から事前通告をしたということであって、我々とすれば、常に平等に、情報の通告というのを、事前通告というのを要望しているわけでありますが、今回の場合には那覇市に対して行われたということでございまして、我々とすれば、今後も最大限の努力をして、全ての自治体に対して情報が行くように交渉はしてまいるつもりでありますが、あくまでも判断は我々の方ではできなかった、通らなかったということだと思います。

○赤嶺委員 大臣、全ての自治体にやはり事前に通報、通報すればいいというものじゃないですよ。これはもう私の考え方は、大臣、よく知っているはずですよ。通報すればいいという問題じゃない。しかし、安全上、全部に通報すべきである、今回もそうすべきであったという具合にお考えなんですね、大臣も。

○浜田国務大臣 私は、全体的な意味で申し上げたつもりであります。今回は那覇市ということでありました。今後、こういったことに関して一つの道が開けたと思いますので、今後とも努力してまいりたいと思います。

○赤嶺委員 運用について米軍が明らかにしないというのは、これまでも運用について明らかにさせてきたことは何度もあるんですよ。オスプレイの配備についても。だから、皆さんが、米軍が那覇市限りと言ったときに、ああ、そうですかといって引き下がる方がおかしいですよ。
 これまで、オスプレイのときはあなた方は全部事前連絡したじゃないですかというようなことも含めて、運用について明らかにできないというのがアメリカの考え方だ、こういうことを繰り返しているんですけれども、いやいや、米軍さん、明らかにしてきたことはあるじゃないですかといって反論して、こういうのは不公平、分断につながりますよ、日本政府としては容認できませんよということを言うべきだと思いますが、最後にいかがですか。

○鬼木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

○浜田国務大臣 我々なりに努力をしたいと思います。

○赤嶺委員 終わります。

 

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○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法一部改正案に反対の討論を行います。
 自衛官の定数変更は、岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書に基づき、自衛隊のサイバー攻撃対処や統合防空ミサイル防衛を強化するものです。
 自衛隊サイバー防衛隊の拡充は、兵器のネットワーク化が進む下で、自衛隊が米軍と共同軍事行動を取るための基盤を維持強化し、相手のサーバーへの侵入、無害化まで実行できる体制をつくろうとするものです。基幹要員の養成に着手するイージスシステム搭載艦は、米国のIAMD計画の一翼を担い、ミサイル防衛と敵基地攻撃の両面で米軍の軍事作戦を補完するものです。
 米中間の覇権争いが激化する下で、圧倒的な軍事的優位性を維持強化しようとする米国の軍事戦略に日本を一層深く組み込むものにほかなりません。
 地方防衛局の所掌事務の追加は、昨年十二月の日米合意に基づき、日本がFMS調達に係る品質管理費用の減免を受ける代償として、在日米軍が装備品等を調達する際の品質管理業務を肩代わりするためのものです。防衛省は、これによりFMS調達額を年間二十億円程度削減できるとしています。
 ところが、その一方で、岸田政権は、今後五年間で四十三兆円もの大軍拡を打ち出しています。二三年度の軍事費は前年度から一・四兆円増の六・八兆円、そのうちFMSは四倍以上の一・四兆円に上ります。地域の緊張を高め、国民に負担を押しつける大軍拡そのものを中止すべきです。
 政府は東アジアに平和をつくる外交にこそ力を尽くすべきことを強調し、討論とします。

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