国会質問

質問日:2022年 11月 17日  第210国会  憲法審査会

財政施策 軍事に従属 「総合的防衛費」 赤嶺氏が批判

衆院憲法審

 衆院憲法審査会が17日に開かれ、自由討議が行われました。日本共産党の赤嶺政賢議員は、岸田文雄政権が軍事費を倍増する大軍拡を進めるもとで、公共事業や科学技術研究費など各省庁の予算を軍事に資する「総合的防衛費」として計上することを検討していることについて「予算の編成から執行まで、国の財政と施策の全てを軍事に従属させようというものだ」と批判しました。

 赤嶺氏は、政府は地方自治体が管理する空港や港湾について、自衛隊が求める機能・施設を満たすよう整備し優先して利用できるよう検討していることを指摘。「平時から軍事を目的に整備・利用を進める狙いがあることは明らかだ」と批判しました。

 赤嶺氏は、戦前の日本が「国家総動員」の方針のもと、大学の科研費、港湾や船舶まで戦争遂行のために軍事動員して、凄惨(せいさん)な戦争へと突き進んだと指摘し、「岸田政権の軍拡は戦前の日本と同じ轍(てつ)を踏むものだ」と批判。「軍事優先の政治によって民生を押しつぶすことは断じて許されない。幅広い国民と連帯し、憲法違反の大軍拡を断固阻止する」と強調しました。(しんぶん赤旗 2022年11月18日)

 

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財政施策 軍事に従属(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 岸田政権は、年末に向けて、安保関連三文書を改定し、敵基地攻撃能力を具体化するとともに、軍事費を倍増する大軍拡の動きを加速し、大増税まで検討しています。憲法を破壊する極めて重大な動きであります。
 岸田政権が五年間の軍事費を四十八兆円に倍増しようとする下で、政府は、公共事業費や科学技術研究費、海上保安庁予算など各省庁の予算を軍事に資するものとしてまとめ、総合的防衛費などと称して計上することを検討しています。
 重大なのは、その中身です。そこでの議論は、単に予算を積み増すだけでなく、予算の編成から執行に至るまで、国の財政と施策の全てを軍事に従属させようというものにほかなりません。公共事業などインフラ整備では、地方自治体などが管理する空港や港湾について、自衛隊が必要とする機能や施設を満たすことを最優先に整備するとしています。
 さらに、自衛隊が優先して利用できるよう、空港法や港湾法などの基本方針や規定を見直すことまで検討されています。
 港湾法は、港湾の憲法と呼ばれ、地方自治の精神の下、港湾の管理権を戦前の国主体から地方自治体に移すことで、港湾政策の民主化と平和利用を図ってきました。
 ところが、岸田首相が設置した有識者会議では、自衛隊が空港や港を利用することに懸念を示す自治体を念頭に、地方自治体の意識改革が必要だなどと、地方自治を無視した主張が繰り返されているのであります。
 今、南西諸島の島々を中心に、大規模な日米共同軍事演習が行われています。そこでは、住民の反対や自治体の懸念を無視して、県が管理する空港や港を自衛隊が人員や兵器の輸送のために使用し、戦闘車を一般道路で走行させることまで強行しようとしています。まさに、岸田政権が狙う空港、港湾の軍事利用の先取りにほかなりません。有事だけでなく、平時から軍事を目的にしたインフラの整備、利用を進めようという狙いは明らかです。
 科学技術研究や開発の分野では、防衛省の目的に沿った重要技術課題を設定し、その軍事課題を実現するための研究開発に文科省や総務省などの科学技術予算を組み込もうとしています。予算の執行や事業の進捗についても防衛省が監督する仕組みとなっています。
 防衛省は、既に、競争的研究資金の導入によって研究者を軍事研究へと誘導し、さらに今後は、基礎研究にとどまらず、装備化に向けた研究への資金提供も検討しています。科学技術費の軍事予算化は、大学などへの研究予算を軍事技術や装備品の開発に振り向け、研究者をより一層軍事研究へと動員しようとするものです。
 さらに、政府は、戦闘機や戦車、ミサイルなど殺傷能力のある兵器の輸出を可能にするよう、防衛装備移転三原則を見直し、政府を挙げて武器輸出を推進し、軍事産業を成長産業へと押し上げることまで主張しています。平和国家という立場を跡形もなく投げ捨て、世界の軍縮にも逆行するものです。
 しかも、有識者会議や税調では、こうした軍拡を当然の前提として、国民への大増税が議論されています。極めて異様な事態です。
 こうした岸田政権の軍拡は、専守防衛の建前さえ投げ捨てる防衛政策の大転換にとどまらず、憲法九条を国の基本としてきた戦後の日本社会の在り方を完全に葬り去り、国政のあらゆる分野を軍事中心に進めていく、軍事国家に変えようというものです。これはまさに、戦前の日本と同じ轍を踏むものです。
 かつて政府は、国家総動員の方針の下、軍部の研究機関だけではなく、文部省や商工省などの研究予算や大学の研究者への科研費までも戦争遂行のための軍事研究へと動員し、悲惨な戦争へと突き進みました。港湾や船舶は、軍部による管理、統制が強められ、民間の使用は制限されました。港湾は戦場へと軍事物資を輸送するための拠点として利用され、その結果、米軍による爆撃の標的となり、多くの人々が犠牲となったのです。
 この反省から、戦後、日本国憲法は平和主義を掲げ、軍事を排除した社会を築いてきたのであります。
 日本国憲法の精神を土台として、戦後の社会を根底から覆し、軍事費倍増のための増税や社会保障費の削減で国民の暮らしを切り捨てるだけでなく、軍事優先の政治によって民生を押し潰すことなど、断じて許されません。
 幅広い国民と連帯して憲法違反の大軍拡を断固阻止することを強調して、発言といたします。

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