国会質問

質問日:2022年 3月 25日  第208国会  安全保障委員会

米軍任せ 検疫合意改めよ 赤嶺議員 マスク義務解除批判

衆院安保委

 日本共産党の赤嶺政賢議員は25日の衆院安全保障委員会で、在日米軍が14日に基地内のマスク着用義務を一方的に解除したことを批判し、米軍の検疫措置を定めた日米合同委員会合意を改めるよう求めました。

 赤嶺氏は、マスク着用義務について「在日米軍が出国前検査などを免除し、市中感染を引き起こしたことを受けて設定したものだ」と指摘。政府がマスク着用などの感染防止対策の徹底を国民に呼びかけてきたことにふれ、米軍の解除方針について「外務省にはいつ説明があったのか」とただしました。外務省の市川恵一北米局長は、米軍が解除方針を公表した日と同じ14日だと答弁しました。

 赤嶺氏は、政府が日米合同委員会の下に「検疫・保健分科委員会」を設置し日米間の不一致を防ぐと強調してきたと指摘し、「事前に分科委員会で話し合ったのか」と追及。市川氏は協議の内容や時期・場所を答えませんでした。赤嶺氏は「軍事情報ではなく国民の命にかかわることだ。国民は日米間のやりとりに不安を持っており、明らかにすべきだ」と強調しました。

 また赤嶺氏は、米軍の検疫措置を定めた1996年12月の日米合同委員会の合意に、日本政府と同等の水際対策をとることや日本政府への情報提供も義務付けられていないと指摘。米軍による一方的な対策の緩和が繰り返されるのは「そうさせないための規定が合意に明記されていないからだ」と強調し、米軍に検疫を委ねる合意を改めるよう求めました。(しんぶん赤旗 2022年3月26日)

 

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米軍任せ 検疫合意改めよ(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 冒頭、北朝鮮による新型弾道ミサイルの発射について、これは国連安保理決議に違反するものであり、厳しく非難し、抗議をしたいと思います。
 法案については、後の討論でも明らかにしたいと思います。
 それで、今日は、米軍のコロナ対策について質問をいたします。
 在日米軍司令部は、三月十四日、米軍基地内のマスク着用義務について、周辺地域の感染状況が落ち着いている場合には、原則として解除する方針を明らかにいたしました。基地内のマスク着用義務は、在日米軍司令部が、出国前検査などを免除し市中感染を引き起こしたことを受けて、今年一月に設定したものです。基地で働く労働者や出入りする業者の方々からは、感染再拡大への不安の声が上がっています。
 政府はこれまで、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言の適用地域であろうとなかろうと、マスク着用や手洗い、三密回避などの基本的な感染防止対策の徹底を呼びかけてきました。国民もそれに協力を続けています。
 こうした下で、米軍はなぜ一方的に着用義務を解除したんですか。日本の措置と全く整合していないと思いますが、いかがですか。

○本田大臣政務官 お答えいたします。
 在日米軍からは、三月十四日より、国防省及び米国疾病管理予防センター、CDCの新たな方針を踏まえまして、施設・区域周辺地域の感染状況が落ち着いている場合には、施設・区域内でのマスク着用を義務としない、ただし、施設・区域外におけるマスク着用は引き続き義務とする方針を取る旨の説明を受けたところであります。
 これを受けまして、日本政府から米側に対して、マスクの着用に関する日本国内における考え方を説明しつつ、協議を行ってまいりました。
 その結果、在日米軍は、三月十八日付で、在日米軍関係者は施設・区域内で日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるとの方針にしたという旨の説明を受けました。
 政府としましては、感染拡大の防止及び地元の方々の不安解消は重要な課題だと認識をしておりまして、こうした課題について、日米合同委員会の下に設立されました検疫・保健分科委員会を通じて、引き続き日米間で連携してまいります。

○赤嶺委員 日本人従業員と接触の際にはマスク着用を推奨する方針を出したということですが、これはあくまで推奨にすぎないわけですね。着用するかどうかは本人次第ということになるのではありませんか。

○市川政府参考人 ただいま本田政務官から御答弁申し上げましたとおり、在日米軍は、三月十八日付で、在日米軍関係者は施設・区域内で日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるとの方針を示した旨の説明を受けてございます。
 日本の現在の方針、日本国内における考え方、これにつきましては丁寧に米側に説明してきているところでございますが、日本におきましては、引き続き、マスク着用は重要な対策だということで、着用をお願いしているということと理解してございます。
 そういうことを説明した上で、米側としては、日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるという方針を我々に説明をしてきたということで、我々としては、基本的に、我々の説明を受けて整合的な形で方針を説明してきた、こういうふうに理解してございます。
 ただいま政務官からもお話がありましたように、感染拡大防止、あるいは地元の方々、日本人従業者の方々、こういった方々の不安解消というのは大変重要な課題だというふうに思っておりますので、引き続き米側とは、日米合同委員会の下に設置されました検疫・保健分科委員会を通じまして、一層整合的なものとなるように日米間で連携をしていきたい、一層の努力をしていきたい、このように思っている次第でございます。

○赤嶺委員 今の答弁だと、日本側から一生懸命米側に、日本側の取っている措置と整合が取れるような措置を取ってくれと言っているけれども、向こうは推奨と言っている、これからも一層整合が取れるようにという、そういう答弁ですが、整合が取れていないということをお認めになったような答弁だと思います。
 私は、先月の予算委員会で、米軍による水際対策の緩和の問題を取り上げました。そのとき、外務大臣は、日米合同委員会の下、検疫・保健分科委員会を設置し、今後は日米間でそごが生じないようにしていくと強調しておられました。僅か一か月で同じことを繰り返すというのは、本当にこれはどういうことになっているのかと疑問を感じます。
 米軍が解除方針を明らかにしたのは三月十四日です。外務省は、いつ、どのような形で説明があったんですか。

○市川政府参考人 今の御質問の前に、先ほど申し上げましたが、マスク着用が推奨される、こういった方針は、私どもとしては、日本国内の今の方針と整合的であるというふうに思っております。ただ、一層整合的なものとなるように努力をしたい、先ほど申し上げたのはそういう趣旨でございます。
 それから、今の御質問の点でございますが、先ほど本田政務官からも御説明いたしましたが、在日米軍から説明を受けたのは三月十四日でございます。

○赤嶺委員 米軍が解除方針を公表したのも三月十四日です。ということは、解除した日に説明を受けたということになりますけれども、事前に分科委員会でこのことは話し合われていなかったということですか。

○市川政府参考人 米軍との様々なやり取り、これをつまびらかにするのは差し控えたいと思いますが、我々は、コロナの感染が発生して以来、もう毎日、日米間ではやり取りをしてございます。これは検疫・保健分科委員会が開かれようが開かれまいが毎日やってございますし、そうした中でマスクの着用の話もしてございます。
 ただ、具体的にこのマスク着用の話を、いつ、どの時点でというところについては、具体的なやり取りになりますので、お答えは差し控えたいと思います。

○赤嶺委員 いや、私はそこを聞いているんですよ。
 二月の予算委員会でも、結局、日本側と米側でそごがあり、今後はそごがないように分科委員会でしっかり議論していくというのが外務大臣の答弁ですからね。
 ですから、このマスク着用義務を外したことについても、これまでの分科委員会でそれが行われたのかどうか、いつ、どこで分科委員会は開催してきているのか。今回、このような問題を話し合わずに、分科委員会では何を話し合ったのか。
 十四日以前までに分科委員会で、これはつまびらかにすることはできないとおっしゃっていましたが、大事なことです、これは。軍事情報でもありません。県民や国民の命に関わることですから。
 分科委員会は、いつ、どのような形で行われていたか明らかにしてくれますか。

○市川政府参考人 一月二十八日に日米合同委員会の下にこの検疫・保健分科委員会を設立いたしまして、委員も御案内のように、日米双方の保健当局も参加する形で新型コロナウイルス感染症拡大への対処のために協議を集中的に行うということで一致してございます。
 それを受けまして、二月八日にこの分科委員会の第一回会合が開催されました。それ以降も、正式会合の有無に関わらず、保健当局も交えて日米間で連絡を取り合い、連携してきているところでございまして、こうしたことはこれまでも国会の場で御説明をさせていただいているところでございます。
 検疫・保健分科委員会は、保健当局も含む専門家間で専門的かつ科学的見地に基づき率直な議論を行うということを目的としていることから、議論が継続されている現時点において、協議の内容などについては、米側との関係もあり、先ほど御説明させていただいた以上にお答えすることは差し控えさせていただければと思います。

○赤嶺委員 二月の予算委員会では合同委員会の開催状況は明らかにしておりました、日付と場所ですね。今回、それは明らかにできるわけですね。いかがですか。

○市川政府参考人 若干先ほどと重複で恐縮でございますけれども、この検疫・保健分科委員会では、保健当局も含む専門家間で専門的かつ科学的見地に基づきまして率直な議論を行うということを目的としておりますことから、議論が継続されている現時点において、協議の内容や開催状況などについて、米側との関係もあり、先ほど御説明させていただいた以上にお答えすることは差し控えたいと思います。
 いずれにせよ、在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を始めとする国民の皆様の御理解と御協力をいただくことが重要でございますし、国民の皆様、従業員の方々の不安を取り除くことは非常に大事だと思ってございますので、政府としては、委員の御指摘も踏まえまして、いかなる形で検疫・保健分科委員会の開催状況などを明らかにできるかについては、米側と引き続き議論をしていく考えでございます。

○赤嶺委員 分科委員会がありながらマスク着用義務を解除したことについては、その分科委員会で議論をされたのかどうかも分からない、日付も分からない。しかし、国民はそういう日米間のやり取りにやはり不安を持っている。ここは、今までの経過もありますから、きちんと明らかにしていただきたいと思います。
 私は、この間の日米間のやり取りを見ていて、検疫をめぐる日米合意そのものに手をつける必要があるのではないかと思います。
 現在の日米地位協定には、在日米軍の検疫に関する規定はありません。その下で、具体的な米軍の検疫措置は、一九九六年十二月、SACO合意、SACO最終報告と同じ日に公表された日米合同委員会合意、これに基づいて行われている、そういう理解でいいですか。

○市川政府参考人 日米間では、ただいま委員も御指摘ございましたが、一九九六年の日米合同委員会合意に基づきまして、米軍関係者が民間空港から入国する場合には、日本政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接、在日米軍施設・区域内から入国する場合は、米側が検疫手続を行うことになってございます。
 同合意におきまして、米軍関係者が直接、在日米軍施設・区域内から入国する場合においても、検疫伝染病の患者などが発見された際の米側から日本の検疫所長への通報など、日米間の連携についても定められているところでございます。

○赤嶺委員 この合意に相当大きな問題があるわけですが、米軍基地から入国する米国の船舶、航空機は、米軍の実施する検疫手続の適用を受けるということになっています。しかし、そこには、日本政府の水際対策と同等の措置を取るべきことは、この合意の中には明記されておりません。米軍が実施する措置について、日本政府に情報提供することも義務づけられておりません。ただ、米軍が米軍の手続でやるということが書かれているだけです。
 昨年来、米軍が一方的に水際対策を緩和し、そのことを日本政府に知らせたのかどうかもはっきりしないという信じ難いことが起きたわけですね。今回のマスク着用義務の解除についても、米軍が当日に通告するだけで、勝手に決めております。
 こういうことが繰り返し起こるのは、そうさせないための規定が合意の中にきちんと明記されていないからではありませんか。

○市川政府参考人 一九九六年の日米合同委員会合意の内容につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
 それに加えまして、検疫手続につきましては、日米地位協定の下の日米合同委員会の下で、二〇二〇年七月に共同プレスリリースを発表してございます。そのリリースの中にも書いているのでございますが、それを含めて、水際対策を含む日本政府の方針に米軍は整合的な措置を取る旨、累次にわたり説明を受けているところでございます。
 その上で、一月二十八日に設置いたしました検疫・保健分科委員会には、日米双方の保健当局も参加する形で新型コロナウイルス感染症拡大対処のために議論を行う、こういうことを今やっているところでございまして、政府といたしましては、検疫手続も含めて、この分科委員会も活用しつつ、日米それぞれの措置の整合性を一層確保するための連携を強化していきたい、このように考えております。

○赤嶺委員 いや、ですから、九六年の合意が基本ですよ。そこには、米側が一方的な措置を取って、そして日本側には何の通報もしなくていいことになっているわけですよ。
 この間、共同プレスリリースを発表して、整合的な措置を取ることをアメリカは約束したと言うけれども、そのときだって、米軍基地の中でクラスターが起きて大騒ぎになって、整合的な措置を取るという話になったけれども、今だって、このマスクの問題だって、整合的な措置を取ったかどうかというのは、アメリカの一方的な措置を、日本側が、これは整合的な措置であるかどうか、ちょっと足りないから引き続き求めていくという、余りにも、日米間でそごが生じるたびにアメリカ側に要請するという対応を日本政府は繰り返しております。
 私は、九六年の基本となっている合意自体を改めるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 

○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。
 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に、特別職国家公務員である防衛省職員の給与を改定するものです。
 政府は、昨年十一月、人事院勧告に沿った期末手当の引下げを行うとともに、昨年度の引下げ分は今年六月の期末手当から減額することを決めました。
 今回の改定は、この政府方針に基づき、防衛大学校、防衛医科大学校の学生と陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当について、一般職と同様の引下げを行うものです。
 国家公務員全体の給与切下げの一環を成す本法案には反対であることを申し述べ、討論を終わります。

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