国会質問

質問日:2022年 3月 9日  第208国会  沖縄北方特別委員会

沖縄県への交付金減額 振興特措法改正案 赤嶺議員ただす

 

 衆院沖縄北方特別委員会は9日、法律の期限を10年延長する沖縄振興特措法改正案を全会一致で可決しました。質疑で日本共産党の赤嶺政賢議員は、2022年度予算案で沖縄県への一括交付金が減額され、県の事業計画が見送りを余儀なくされている実態を指摘し、政府の姿勢をただしました。

 赤嶺氏は、西銘恒三郎沖縄北方担当相が22年度の一括交付金について、市町村分を21年度と同額の必要な予算を確保できたと述べているが、「市町村分を確保できたからいいという問題ではない」と批判。県への交付金が減額され、県と市の事業が一体として進められなければ県民の利便性向上につながらないと指摘しました。

 赤嶺氏は、交付金減額により、県の河川や港湾の改修事業が遅れ、学校の危険箇所などの改修26事業が見送られたと指摘。「いずれも県民の安全にかかわる」と強調しました。

 西銘担当相は「所要額を確保した。(県には)優先度を判断し、自主的な選択で事業を実施してほしい」と答弁。赤嶺氏は「一括交付金を減らして、優先順位を決めるなどできるはずがない。現に途中で工事が止まることが起きている」と批判しました。

 同委員会は日本共産党などが共同提案した付帯決議を全会一致で可決。決議には、一括交付金の必要な予算額の確保や、鉄軌道の導入に向けた特例制度の調査・検討が盛り込まれました。(しんぶん赤旗 2022年3月10日)

 

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沖縄県への交付金減額ただす(衆院沖縄北方特別委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 一括交付金について質問をいたします。
 大臣は、昨年十二月の記者会見で、来年度の一括交付金について、県と市町村の配分割合をそれぞれ三百八十一億円の一対一と想定した上で財務大臣との折衝に臨み、予算を計上したと述べられました。大臣は、玉城デニー知事にもそのように説明したとしています。
 しかし、元々、一括交付金、ソフト交付金の配分額は、当初から、県と市町村の話合いで五対三と決まっておりました。その経過を無視して、あたかも一対一にしろと言わんばかりに頭越しに発言するなど、これは許されないと思います。
 一体、何の権限があってこんな発言をしたんですか。

○西銘国務大臣 当初示された予算額がかなり、極めて低い数字であったというところから、大臣折衝の場においての基本的な考え方としまして、その前に様々な要請、要望等を聞いている中で、市町村、市長会、町村会の方々から、一括交付金がなくなったら市町村の事業ができなくなって非常に困るという強い要望を受けておりました。内示の数字は極めて低かったものですから、これは最低限、市町村の三百八十一億円、令和三年度の実績の額を何としても確保しないといけないのではないかという思いで大臣折衝に臨み、それと同額の県分の三百八十一億円という形で大臣折衝した経緯を今思い起こしております。
 今、赤嶺委員御指摘の、県と市町村がその配分を決めるという点につきましては、私はそこまでの中身までは踏み込んでおりません。ただ、大臣折衝の過程で極めて内示額が少なかったものですから、どう予算を回復していくかというときの考え方の一つとして、最低限、市町村が令和三年度に使った一括交付金の金額は確保すべきであるという思いで大臣折衝に臨み、その市町村の分と同額の県分も確保していかないといけないという思いでやりました。
 形としては一対一になっておりますが、記者会見でも申し上げましたが、あくまでも、県と市町村の割合を決めるのは県と市町村が話し合って決めるものであるということも併せて話しておりますので、赤嶺委員御指摘の点は、少し認識が違うのかなという思いで今聞いておりました。
 あくまでも、県と市町村の割合の決め方は、地元、県と市町村、町村会、市長会が相談をして決めるべきものであるという認識はしっかりと踏まえておりましたので、御理解をいただきたいと思います。

○赤嶺委員 大臣の発言が大きな騒ぎになったんですね。配分額まで決めるような、そしてその後、市長会長や町村会長と一緒に、一対一になったぞと。じゃ、今度は配分額も一対一になるんだな、そういう騒ぎにまでなっていったわけです。やはり、一つ一つの問題についての発言の慎重さ、思慮深さ、こういうのが求められると思います。
 大臣は、市町村の事業への影響を避けるためだと市町村分として今年度と同額を確保し、同じ額を県分として上乗せし、必要な予算を確保できた、このように言っています。
 しかし、市町村分を確保できたからよいという問題ではないと思います。道路工事一つ取っても、国道、県道、市道が一体となって整備されることで県民の利便性向上につながるのであり、一部の整備が進まなければ、効果は発揮されません。国道と市町村道は整備された、県道は計画どおり工事が進まない、一括交付金を使ってのもので、進まない。
 大臣の考え方ではこういういびつな問題、事態を引き起こしてしまうのではないかと思いますが、いかがですか。

○西銘国務大臣 一括交付金につきましては、今後も様々な政策課題に沖縄が主体的に対応していく必要があることなどから、令和四年度政府予算案においても、トータルとして七百六十二億円を計上しているところであります。政府としては所要額を確保していると考えており、引き続き、一括交付金も含む様々な財源の活用を図りながら、地域の実情に即して事業の優先度を判断し、自主的な選択に基づいて沖縄の振興に資する事業を実施していただきたいと考えております。
 その中で、ハード交付金は、他県にはない高率補助の予算として、沖縄県が自主的な選択に基づいて実施する社会資本の整備に活用されているものと認識をしております。
 先ほどのお話でありますが、県と市町村が一括交付金の配分を決めるということは十二分に認識した上で私は発言をしたつもりであります。ただ、大臣折衝の過程での大臣とのやり取り含めて、考え方として、市町村の分をまず、一括交付金、令和三年度並みの三百八十一億円を確保しなければならないという悲壮感漂う思いで交渉したことを覚えております。
 財務大臣からは、効率的に、効果的に予算を使ってほしいという御指摘も受けましたが、県と市町村が配分を決めるという分については、私は、認識としても踏み込んでいない、いなかったという認識でおります。

○赤嶺委員 世間に、踏み込んでいると思われて、報道もそのような報道が広がっていって、その上で更に、市長会長や町村会長と一緒に、一対一になったぞと言って。現に市長会長なんか、一対一になったじゃないかといって配分を決めるところでの発言もありますからね。
 これは、政治家として何が大事かというようなことをよく考えて発言なさらないと、何か政治的に事を引っ張っていこうとすると間違いが起こりますから、強く指摘しておきたいと思います。
 それで、十年前の一括交付金の総額は、ソフト、ハードを合わせて千五百七十五億円でした。来年度は七百六十二億円です。これは先ほど西銘大臣がおっしゃったように、九百八十一億円から七百六十二億円、どんどんどんどん削られた中で、自由に使い道を決めなさいと言われても、いろいろな制限があると思います。
 この間の一括交付金の削減により、実際に県の事業に大きな影響が出ています。例えば、八重瀬町の報得川水系では、降雨時に水量が増加し、度々水難事故、子供が亡くなる事故もありました。そして、道路の冠水も起きています。
 県は河川の改修を進めていますが、一括交付金が減額されたために、来年度予定していた事業を先送りせざるを得ませんでした。
 離島の粟国港でも、湾内の安全のため護岸の改修が必要ですが、進んでおりません。
 あるいは、沖縄県の学校は、一九七〇年代に建てられたものが多くありますが、今、老朽化が進んでいます。今回の一括交付金の減額によって、県は計画していた百五十八の改修事業のうち二十六事業を見送らざるを得ませんでした。その中には、コンクリートの剥離、あるいは危険校舎の危険箇所の改修、あるいはクーラーなどの空調整備、あるいはトイレを和式から洋式に移す、そういう工事、事業がどんどんどんどん遅れているわけですよ、一括交付金でやってきたものが。いずれも県民の安全に関わる問題です。
 こうした影響について大臣は認識されていますか。

○西銘国務大臣 政府としましては、所要額を確保していると考えております。引き続き、一括交付金も含む様々な財源の活用を図りながら、地域の実情に即して事業の優先度を判断し、自主的な選択に基づいて沖縄の振興に資する事業を実施していただきたいと考えております。
 赤嶺委員御指摘の県立高校、学校の施設の整備につきましても、県におけるハード交付金の優先順位の中で決定されるものであると考えております。

○赤嶺委員 一括交付金を半分近く削っておいて、優先順位は県で決めろとか、できっこないじゃないですか。
 八重瀬町の報得川なんて、大臣の選挙区じゃないですか。そこで子供が溺れて亡くなったところの整備事業が途中で予算が削られて止まってしまう、こんなことが起きているんですよ。県道の整備が進まない。
 所要の額を満たしたと言うけれども、現にこれだけの工事が停滞しているのに、それでも所要額を満たすという認識であるならば、内閣府や大臣の認識と我々との間には乖離があるということを指摘せざるを得ません。
 最後に、第三十二軍司令部ごうの保存、公開について伺います。
 二〇二二年度は首里城正殿の復元工事の着工が予定されており、一つの節目を迎えます。首里城の地下には旧日本軍の第三十二軍司令部ごうが存在しています。市民の間からは、首里城の復元工事と一体のものとして、第三十二軍ごうの保存、公開を求める声が広がっています。当時の第三十二軍司令部は、既に敗戦が明らかになっていたにもかかわらず、本土決戦を一日でも遅らせるとして大勢の住民を巻き込んだ悲惨な沖縄戦を起こした歴史的責任が問われています。沖縄県は、昨年一月から、有識者らでつくる第三十二軍保存・公開検討委員会もつくって、その在り方を検討しております。
 第三十二軍司令部ごう、沖縄県民も一体となって保存、公開を求めているわけですが、そのことについて、受け止めと、それから、戦争体験者の間には、三十二軍の司令部ごう公開は本来県がやることではなくて、あれだけの犠牲を起こした国が率先して取り組むべきだという強い意見も上がっています。受け止めをお願いします。

○西銘国務大臣 先ほど赤嶺委員御指摘の報得川の氾濫によって子供が亡くなった事例は、私も現場を見させていただいております。そういう意味では、安全、安心は全てに最優先する事項であるということを認識しているということを申し添えておきたいと思います。
 三十二軍司令部ごうにつきましては、首里城の地下にある第三十二軍司令部ごうを保存、公開すべきとの意見があることは承知をしております。司令部ごうにつきましては、沖縄県において有識者から意見聴取をするため、第三十二軍司令部壕保存・公開検討委員会を設置をしており、これまでに四回の会合を開催し、検討を進めているところであります。
 当該委員会における議論を踏まえ、坑道の未発掘区間の把握を優先的に行うとともに、既に発掘されている区間については、デジタル技術を活用して坑道内部を公開、発信することとしていると承知をしております。
 ちなみに、この三十二軍司令部ごう、昔あった琉大の女子寮の近くに、私も県議の頃に友人と二人で中に入って視察をしたことがあります。もう当時、少ししか開いていなかった場所から入っていったのでありますが、そこで、かつて三十代の頃にウートートゥしたことを思い出しながら今答弁しております。
 内閣府としましては、現に司令部ごうを管理している沖縄県の検討状況を注視してまいりたいと考えております。

○赤嶺委員 三十代にウートートゥ、拝んだなら、その保存、公開についても、しっかり国の責任も自覚して前に進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

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