国会質問

質問日:2022年 2月 17日  第208国会  憲法審査会

憲法違反の現実正せ 衆院憲法審 赤嶺氏「国会の役割放棄」

 

 衆院憲法審査会が17日に開かれ、国会での「オンライン審議」について、衆院法制局長から憲法上の規定や解釈をめぐる論点の報告を受け、集中討議を行いました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、国会の公開原則や自由な発言・表決などの原則を堅持した上で、国会の審議に「オンラインをどのように活用できるか」は「慎重な検討が必要な問題だ」と述べた上で、「この問題をコロナ対策として取り上げ、性急に結論を出し、詳細な制度設計することは憲法審の問題ではない」と指摘。国会の新型コロナウイルス感染症対策は、議院運営委員会で協議すべき問題だと強調しました。

 また、赤嶺氏はコロナ禍の憲法と国会の問題として、憲法53条に基づく野党の臨時国会開会要求に政府が応じなかったことを取り上げ、53条は少数者が政府をただし、国民の多様な意見を反映させる機会を保障したものと指摘。政府・与党は「国会の果たすべき役割を放棄している」と批判し、この憲法に反する現実をただすことこそ必要だと述べました。

 立憲民主党の桜井周議員も、政府が臨時国会召集に応じなかった問題について「重大な憲法違反だ」と述べました。

 社民党の新垣邦男議員は、「予算委員会審議中の憲法審開催という実績づくりとしての既成事実化に明確に反対する」と表明。オンライン審議の議題設定はコロナ禍に乗じた改憲論議の促進と共通すると指摘し、「平和憲法の理念の実現こそが求められている」と語りました。

 自民党の新藤義孝議員は、「出席の概念は緊急事態条項に関する憲法改正の中に位置づけるべきだ」と主張。立民の奥野総一郎議員は、「憲法改正を行わなくても、衆議院規則の変更でオンライン審議が実現できる」と述べました。(しんぶん赤旗 2022年2月18日)

 

質問の映像へのリンク

憲法違反の現実正せ(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 日本国憲法第四章は、国会の本会議について、全国民を代表する国会議員が、目に見える形で議場に参集し、会議公開の原則の下、何物にも干渉されず、自由に発言し、議論を尽くして表決することを要請しています。これは、近代議会制の根本原則であり、国民主権と民主主義を基本原理に持つ日本国憲法における極めて重要な原則です。
 この原則を堅持した上で、国会の審議にオンラインをどのように活用できるのかは慎重な検討が必要な問題だと思います。この問題を現下のコロナ対策として取り上げ、性急に結論を出し、詳細な制度設計まですることは、憲法審査会の問題ではありません。
 国会のコロナ感染症対策について言えば、この二年間、議院運営委員会で議論を重ね、議場でのマスク着用を徹底し、質疑時の出席者を自主的に減らすなどの対策を取ってきました。この対策で不十分だというのであれば、議運で協議すべき問題であります。コロナ対策で必要なのは、オミクロン株の特殊性などを踏まえた科学的知見に基づく対策です。
 今、喫緊の課題は、ワクチン接種が遅れていること、検査すらできないまま自宅待機を余儀なくされていること、医療体制が崩壊していることです。これらの問題は、予算委員会や関係委員会で徹底的な議論が求められていると思います。
 コロナ禍における憲法と国会の問題で重大なのは、国会の行政監視機能の発揮が最も求められていたときに国会が開かれなかったことです。二〇二〇年七月と二〇二一年七月、野党は、コロナから国民の命と生活を守るため、憲法五十三条に基づき、四分の一以上の議員の連名で、臨時国会開会要求を内閣に提出しました。ところが、政府・与党はこの要求を無視しました。その下で第三波や第五波の感染拡大が起きたのであり、その責任は重大です。
 憲法五十三条は、臨時会について、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と明記しています。この規定は、少数者が国会において問題を提起し、政府をただし、議論し、国民の多様な意見を国政に反映させる機会を保障したものです。
 二〇二〇年の那覇地裁判決は、憲法五十三条後段に基づく内閣の臨時会の召集は、憲法上明文をもって規定された法的責務であり、内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しいと明確に述べています。政府が五十三条に基づく要求を無視することは許されません。
 そもそも、この規定は明治憲法にはありませんでした。明治憲法は、議会を天皇が立法権を行使する協賛機関と位置づけ、天皇と政府が必要とする場合のみに召集し、その活動を制限していました。そのことがさきの悲惨な戦争に突き進む一因となったことへの反省から、日本国憲法は国会に召集の自律権を与え、国会の行政監視機能を強めたのです。
 これを無視することは、国会の果たすべき役割を放棄していると言わなければなりません。この憲法に反する現実を正すことこそ必要だと指摘して、発言を終わります。

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