衆院予算委分科会
日本共産党の赤嶺政賢議員は16日の衆院予算委員会分科会で、在沖米海兵隊が市街地に所在する那覇軍港(那覇市)で8~13日に、兵員約250人とMV22オスプレイやCH53Eヘリなどの軍用機を投入した軍事訓練を実施した問題を追及し、訓練中止を米側に求めるよう迫りました。
赤嶺氏は、那覇軍港が国道に面し商業・観光施設や学校、病院などが密集する地域にあると指摘。「市街地で軍用機を使用した訓練を行い、トラブルが起きれば、直ちに重大な事故に直結する。なぜ反対しないのか」と追及しました。岸信夫防衛相は「国道が隣接し、商業等さまざまな用途のものが多数所在する」と述べる一方、「那覇港湾施設の使用主目的にそったものだ」と強弁しました。
沖縄の本土復帰時に米軍基地の使用条件を決めた「5・15メモ」では、同軍港の使用主目的を「港湾施設及び貯油所」としています。赤嶺氏は「この50年間、使用条件が変更されたことはあるか」と質問。防衛省の岡真臣地方協力局長は「ない」と答弁しました。
赤嶺氏は、その後、日米間では米軍機の飛行は人口密集地域上空を避けると明記した合意が結ばれたとして「こうした合意は踏まえる必要はないとの立場なのか」と迫りました。
外務省の金井正彰大臣官房参事官は「日米合意にのっとり、地元に最小限の影響となるよう米側に配慮を申し入れている」と答弁。赤嶺氏は「米軍は配慮などしない。県民の側に立ち、二度と繰り返されることがないよう毅然(きぜん)と申し入れるべきだ」と要求しました。(しんぶん赤旗 2022年2月17日)
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人口密集地の那覇軍港 米に軍事訓練中止求めよ(衆院予算委分科会)
議事録
○赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。
米軍が那覇軍港で行った軍事訓練について質問をいたします。
米海兵隊は、二月八日から十三日まで、市街地に所在し、那覇空港に近接する那覇軍港で、MV22オスプレイやCH53Eヘリなどの軍用機を投入し、兵員約二百五十人が参加する軍事訓練を行いました。
今回の訓練は、地元自治体、住民の意思を真っ向から踏みにじって強行したものです。
昨年十一月、オスプレイやヘリが何の連絡もなく突然軍港に飛来し、多くの県民を驚かせました。かつてなかった運用がなされたことに対して、沖縄県の玉城デニー知事や城間幹子那覇市長は、二度と繰り返すことのないよう、厳重に抗議をしました。
ところが、米軍は、こうした要請を全く意に介さず、訓練を強行しました。しかも、提供施設・区域内で行われる運用だから自治体の要請は受け付けないという姿勢であります。断じて容認できるものではありません。
前回は、米軍機のメンテナンスで米本国に輸送するためだと説明していましたが、今回は正真正銘の訓練です。今後も繰り返され、常態化されるのではないかという不安の声が上がっています。
まず、防衛大臣の基本的な認識を伺いますが、那覇軍港は、多くの県民、観光客が行き交う国道五十八号線に面し、すぐ近くには、沖縄の空の玄関口である那覇空港や、プロ野球の読売ジャイアンツもキャンプを張る沖縄セルラースタジアム那覇があります。様々な商業施設やホテル、観光関連施設、学校、病院、バスターミナル、官公庁などが密集している地域です。
那覇軍港が市街地に所在しているという認識は、防衛大臣、お持ちですか。
○岸国務大臣 米海兵隊は、令和四年二月八日から十三日の日程で、那覇港湾施設において人道支援や非戦闘員退避等の訓練を実施し、MV22オスプレイやCH53Eなどの航空機や、海軍の輸送艦艇が使用されたと承知をしております。
一般論として申し上げますと、在外自国民保護を始め、緊急時における非戦闘員の退避においては、航空機や船舶など様々な手段を用いてこれに対応し、その過程において港湾や活動の場所として使用されることが想定されております。
今般の訓練に際しても、米側の説明によれば、一般的に港湾施設の使用が想定される運用に係る訓練と考えられ、那覇港湾施設の使用主目的に沿ったものだと考えております。
なお、米軍の訓練に際しては、公共の安全に妥当な配慮が払われるのが当然のことであり、防衛省としては、引き続き、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してまいります。
○赤嶺分科員 質問に答えてください。
私が聞いたのは、那覇軍港が市街地にあるという基本的な認識を、防衛大臣、持っているのかどうかであります。様々な施設が密集している地域であり、自明のことだと思いますが、改めてこの点、大臣の認識を聞いているのであります。
○岸国務大臣 御指摘のとおり、那覇の港湾施設、国道が隣接して通っているということ、あるいは、隣接する民有地は商業等様々な用途のものが多数所在していること等を承知しておるところでございます。
○赤嶺分科員 市街地だという認識を持っておられるということでしたけれども、こういう市街地で軍用機を使用した訓練を行い、何らかのトラブルが起これば、直ちに重大な事故に直結いたします。この点は普天間基地と同じなんですね。
政府は、これまで、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は避けなければならない、このように強調してきました。同じように市街地にある那覇軍港での訓練になぜ反対しないんですか。
○岸国務大臣 米軍は、その任務遂行能力を維持し、我が国の防衛など日米安保条約の目的を達成するために必要な訓練を行っているものと承知をしております。
他方で、米軍の訓練に際しては、公共の安全に妥当な配慮を払うのが当然であります。防衛省としても、地元の皆様に与える影響が最小限となるように、適切に対応してきておるところでございます。
本件に関し、防衛省としては、二月七日の午前中に現地米軍より情報提供を受けながら、継続的に情報提供を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限となるように、米軍への申入れを行う等の対応を行ってまいりました。引き続き、米軍の訓練に際して、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
○赤嶺分科員 公共の安全に配慮していない市街地の訓練だからみんな怒っていらっしゃるんですよ、知事も、那覇市長も、市民も。
政府は、今回の訓練が、米軍基地の使用条件を取り決めた五・一五メモに反しない、このように強調しています。那覇軍港の使用主目的は港湾施設及び貯油所とされており、これに沿ったものだ、このように強弁しております。
しかし、昨年十一月末までは、航空機を使って訓練が行われるなどということはありませんでした。それどころか、ほとんど使われておらず、半ば遊休化している状態でした。
防衛省は、過去に那覇軍港で航空機を使用した訓練が行われた事例、これを把握しておりますか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
那覇港湾施設への米軍の航空機の飛来については、防衛省として常時確認しているものではなく、その全てを把握しているものではございません。
ございませんが、その上で申し上げますと、今般、米海兵隊は、MV22オスプレイやCH53Eなどの航空機、海軍の輸送艇を使用し、人道支援や非戦闘員退避等の訓練を那覇港湾施設において実施したものと承知しておりますが、防衛省において把握している範囲において、同施設でこのような訓練が行われたのは初めてであると認識をしております。
○赤嶺分科員 外務省に伺いますけれども、日米合同委員会の議事録などで、那覇軍港の使用目的に航空機の運用が含まれることを明示した文書を示すことはできますか。
○金井政府参考人 御答弁申し上げます。
那覇港湾施設に関しましては、その提供に関します昭和四十七年五月の日米合同委員会合意におきまして、使用の主目的といたしまして、港湾施設及び貯油所と記載されてございます。これは、同施設の使用の主たる目的を定めたものでございまして、米軍の活動が主目的としての形態に反するものでない限り、同施設での航空機の運用を排除しているとは考えてございません。
○赤嶺分科員 外務省、私が聞いたのは、那覇軍港の使用目的に航空機の運用が含まれることを明示した文書、あなた方の解釈ではなくて、そういう文書を示すことができますか。
○金井政府参考人 お答え申し上げます。
日米合同委員会におけます具体的なやり取り、協議内容に関しましては、外交上のやり取りでございますことからお答えを差し控えたいと存じますけれども、いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたとおり、那覇港湾施設の使用主目的は、ただいま御説明したとおり、港湾施設及び貯油所というふうに記載されているところでございます。
○赤嶺分科員 今まで一度も航空機を使った訓練はしたことない、そして、航空機を使った訓練が認められる文書はあるかといえば、それは答えない、秘密だと。しかし、実際には航空機を使った訓練が行われている。
那覇軍港の使用条件は、先ほど説明がありましたように、沖縄が本土に復帰する際、日米合同委員会で合意したものです。五十年前のものです。
これは、防衛省あるいは外務省、どちらでもいいんですが、この五十年の間に那覇軍港の使用条件が改正されたことはありますか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会合意、いわゆる五・一五メモでございますが、これにつきまして、当該合意以降、那覇港湾施設の使用条件がこれまでに変更されたという事実はございません。
○赤嶺分科員 五・一五メモというのは、七二年に作られ、秘密でした。なぜ沖縄の基地の使用目的が秘密にされているのかと、一九九五年の少女暴行事件の直後に県民の怒りが爆発して、一九九七年に五・一五メモは公開をされました。こういう歴史を持つものであります。一度も改正をされず、半世紀前のままということであります。
その一方で、日米間では、米軍機の飛行については、人口密集地域上空を避けるという方針は繰り返し確認されてきています。
一つは、一九九九年の、米軍機の低空飛行訓練に関する合意です。在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を、安全かつ実際的な形で回避し、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、学校や病院等に妥当な考慮を払うと、航空機の運用について九九年の合意があります。
さらに、二〇一二年の、沖縄へのオスプレイの配備に当たって交わした合意も同じです。低空飛行訓練について、原子力エネルギー施設、史跡、民間空港、人口密集地域、学校、病院などの上空を避けて飛行する。米軍施設・区域周辺における飛行経路について、周辺住民への影響を最小限とするため、進入及び出発経路を可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるよう設定する。このように明記しています。
那覇軍港の主目的は港湾施設なわけですから、航空機の使用も想定される、このように強弁しておりますけれども、こうした航空機の運用についての日米間の合意は踏まえる必要があると思いますが、いかがですか。
○金井政府参考人 御答弁申し上げます。
繰り返しの御答弁で大変恐縮でございますが、先ほど来御示唆いただいております那覇港湾施設に関しましては、昭和四十七年五月の、累次御答弁申し上げております日米合同委員会合意におきまして、使用主目的として、港湾施設及び貯油所と記載されているところでございます。
繰り返しで恐縮でございますが、この施設の使用の主たる目的の形態に反するものでない限り、同施設での航空機の運用を排除しているとは考えてございません。
○赤嶺分科員 外務省、今私が質問したのを聞いていなかったんですか。
その主目的、あなた方が強弁するものであったにしても、我々はそれを認めないんですけれども、しかし、その後五十年の間に、航空機の運用については、市街地上空は飛ばない、こういうことを、一九九九年やその後、オスプレイの配備のときにも、これは日米合同委員会合意として発表されているんですよ。
五十年前の五・一五メモに加えて、この合意と併せて考えてみた場合に、市街地上空での航空機の運用はやめるべきではないか、このように考えるんですが、また、そのように合意されていると思うんですが、いかがですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど外務省の方から答弁があったことに補足的に、また、大臣からも、防衛省として、引き続き、地元の皆様に与える影響が最小限となるよう適切に対応してまいりたい、申入れを行ったというようなことも申し上げたところでございます。
その中で、これは二月七日でございますけれども、沖縄防衛局から沖縄の海兵隊に対しましては、航空機の運用に当たっては安全面に最大限配慮することということに併せて、MV22オスプレイの飛行に関する日米合同委員会合意を始めとする日米合同委員会合意にのっとること、そして、本件訓練に関する情報を引き続き提供すること、こういった申入れを行っているところでございます。
○赤嶺分科員 合同委員会合意に基づけばその訓練は中止すべきであるということを日本政府は申し入れるべきですよ。配慮してくれなんて、米軍は配慮なんかしないですよ。はっきり物を言わないと駄目ですよ。那覇軍港では、合意に基づけば中止すべきものであると。
この那覇軍港は、沖縄戦のいわゆる一〇・一〇空襲で破壊された那覇港を、その周辺の那覇市垣花町などの集落と一体で米軍が接収して、構築したものです。垣花の人々は、今でも、接収された軍事基地を前に、周辺に住んでおられます。静かな漁村でした。
沖縄は一九七二年に本土復帰を果たしましたが、日米両政府が推し進めた沖縄返還は、県民の願いにも反して、占領下で構築した基地を存続させるものでありました。県民の怒りの高まりの中で、それから二年後の一九七四年に返還合意をしたのが那覇軍港です。本来であれば、とっくに返還されていなければいけない基地であります。ところが、移設条件をつけたために、いまだに返還は実現していません。
遊休化していた基地の無条件返還を求めるのが政府のやるべきことであるにもかかわらず、これまで行われてこなかった、しかも、航空機を使用した訓練まで容認し、基地負担の拡大に手をかす、こういうことはあり得ないことですよ。
日本政府は、県民の側に立って、二度と訓練が繰り返されることがないように、毅然とアメリカ側に申し入れるべきだ。配慮してくれじゃ駄目ですよ。やめろ、中止しろということを申し入れなければ駄目だと思います。このことを強く申し上げておきたいと思います。
次に、在日米軍のコロナ対策について伺います。
まず、米軍が昨年九月以降に免除したのはどの検査なのかという点から確認をしますが、外務大臣は、昨年十二月二十二日の記者会見で、アメリカ側に照会した結果として、アメリカからの出国時と日本への到着直後の双方で検査を実施していないことが判明したと述べています。ところが、その二日後の二十四日の会見以降は、実施していないことが判明した検査として出国時のみを挙げるようになっています。入国直後の検査を挙げなくなったのはなぜですか。
○本田大臣政務官 答弁申し上げます。
御指摘のように、昨年十二月二十二日に行いました、林外務大臣からラップ在日米軍司令官に対する申入れ後の記者会見におきましては、林大臣から、キャンプ・ハンセンにおいて感染者が発生した部隊に関して、米国からの出国時と日本への到着直後、共に検査を実施していないことが判明したと述べました。その上で、出国時も到着直後も両方検査をしていないという運用は日本側の措置とは整合的だとは言えないということを述べたわけでございます。
その上で、十二月二十二日の申入れにおきましては、林大臣からラップ司令官に対して出国前及び入国時の検査の実施を徹底するよう求めたことに対しまして、司令官の方からは、出国前検査を行うこととしたということ、また、入国時の検査については、入国後に実施していた検査に追加して何かほかにできないか検討することとしたという説明がございました。
他方で、十二月二十四日の記者会見における林大臣の発言は、在日米軍が以前から実施していた出国時の検査について新たな事実が判明したわけでございます。昨年の九月三日から免除していたのは、キャンプ・ハンセンにおいて感染者が発生した部隊のみだけではなくて、全世界を対象とした米国防省の方針に基づいて、ワクチン接種者については、昨年九月三日以降、出国前検査を免除していたということが確認されましたので、そのことについて焦点を当てて説明をしたということでございます。
その上で、在日米軍は、昨年十二月二十二日の林大臣からの強い申入れを受けまして、昨年十二月二十六日からは出国前の検査を再開するとともに、より一層日本側の措置と整合的となるように、昨年十二月三十日以降は入国後二十四時間以内の検査も実施するということにしたわけでございます。
○赤嶺分科員 つまり、入国直後の検査は、これまでずっと米軍では行われていなかったという理解でよろしいですか。
○金井政府参考人 事実関係でございますので、私より御答弁申し上げます。
先ほど政務官からも御答弁申し上げましたとおり、昨年十二月三十日以降、林大臣を含めまして私どもからの強い申入れを受けまして、在日米軍といたしましては、入国後二十四時間以内の検査を実施することとしたものでございます。
○赤嶺分科員 前はやっていなかったわけですよね。出国時の検査は九月に緩和されたけれども、入国直後の検査というのはそれ以前からずっとやっていなかったわけですよ。
出国前だけでなく入国直後の検査が義務づけられております。そもそも日本側の措置と整合していなかった、そういうことではありませんか。
○金井政府参考人 重ねて御答弁申し上げます。
御照会の入国直後の検査の件でございますけれども、在日米軍関係者は、軍用機等で在日米軍施設・区域から直接入国する場合につきまして、米国からは、米軍の部隊がワクチン接種済みであること、さらに、入国後に、行動制限期間を終了するまで施設・区域外に出ないことを含む厳格な行動制限に置かれるということを前提といたしまして、入国後五日目に検査を実施しているという説明を従来から受けておりました。
いずれにいたしましても、昨年十二月以降の感染者の拡大を踏まえまして、私どもからの強い申入れを受けまして、昨年十二月三十日以降は入国後二十四時間以内の検査を実施することとしたものでございます。
○赤嶺分科員 今日はちょっと時間がなくなってしまっているんですけれども、米軍の検疫体制が一層拡大悪化したのが、一九九六年のSACO合意のときに結ばれた日米合同委員会合意であります。ここでも、極めて屈辱的で、主権のない状態があります。
それで、最後に一問、ちょっと聞きますけれども、米軍関係者の検疫について、日米地位協定でどのように取り扱われているかということについて確認します。
日米地位協定九条は、米軍関係者が外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外されることを規定しています。過去の政府答弁でも、地位協定上は何ら規定がない、このように答弁してきました。管理に検疫が含まれるという説明は聞いたことがありません。
外務省は、報道にあるように、管理に検査が含まれるという見解ですか。これまでの政府見解を変えたということですか。
○島尻主査 金井大臣官房参事官、質疑の時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○金井政府参考人 御答弁申し上げます。
一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑み、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えております。
以上は、日本に駐留する米軍についても同様でございまして、このような従来の見解に変更はございません。
○赤嶺分科員 終わります。