国会質問

質問日:2022年 2月 10日  第208国会  憲法審査会

憲法に反する現実正せ 衆院憲法審 赤嶺氏が主張

 

 衆院憲法審査会が10日に今国会で初めて開かれ、自由討議を行いました。

 自民党の新藤義孝議員は、9条への自衛隊明記など「改憲4項目」をあげて、「憲法改正にかかわる議論をいよいよ項目ごとに具体的かつ本格的に深めていきたい」と主張。立憲民主党の奥野総一郎議員は、改正ありきの立場ではないとして「『改憲4項目』の議論には応じられない」と表明しました。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、憲法審査会は動かすべきではないと述べ、「9条を中心とする改憲草案づくりを進める議論は断じて許されない」と強調しました。

 赤嶺氏は、いま必要なのは、憲法に反する現実をただすことであり、コロナ禍で生存権が脅かされている現実こそ議論すべきだと主張。日米地位協定のもとで米軍関係者は自由に入国し、感染対応も米軍任せにするなど、米軍基地が感染対策の大穴になっていると指摘し、「基地と隣り合わせに暮らしている住民は常に感染の危険にさらされている。国内法を米軍にも適用すべきだ」と述べました。

 さらに、「日本国憲法の上に地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある」という翁長雄志前沖縄県知事の言葉を紹介し、日米地位協定の改定を主張しました。(しんぶん赤旗 2022年2月11日)

 

質問の映像へのリンク

憲法に反する現実正せ(衆院憲法審)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私たちは、憲法審査会は動かすべきではないという立場です。自民党の改憲四項目などの九条を中心とする改憲草案作りを進める議論は、断じて許されません。今必要なのは、憲法に反する現実を正す議論です。コロナ禍で生存権が脅かされている現実こそ議論すべきです。
 今、感染者が増加する中で、医師、看護師、保健師、医療設備の不足が深刻化し、検査や診断すら受けられず、放置される事態となっています。効率化の名の下で医療と保健所の体制を削減し続けてきた結果であります。
 コロナの長期化で失業者が増加し、二〇二一年の平均完全失業者数は百九十三万人と二年連続で増えました。その多くが、契約社員やパート、アルバイトといった不安定な労働条件の下に置かれた非正規労働者です。
 ホームレスの人や家に居場所のない子供たちは生活の場所さえ失い、民間団体が行っている無料の食料配布会の利用者は増加し続けております。
 特に、若者や女性の貧困は深刻です。コロナ禍当初、仕事を失った女性の数は男性の二倍以上に上りました。母子世帯を中心に、一人親世帯の困窮も一層深刻化しています。ジェンダーギャップ指数が百五十六か国中百二十位という、日本の不平等社会が顕在化しています。
 政府の緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置に伴う経済活動の制限により、営業の自由が制約されています。しかし、それに対する十分な補償は行われず、不備ループと言われるずさんな審査により、逆に業者が追い詰められる事態となっています。
 コロナ禍で明らかとなったこれらの問題に一つ一つ応えることこそ、今、政治に求められています。それは、憲法二十五条の生存権を始め、憲法の原則を現実に生かすことにほかなりません。
 さらに、コロナ禍で重大なのは、米軍基地が感染対策の大穴になっていることです。昨年末以降、オミクロン株のコロナ感染が急拡大した大きな要因として指摘されているのが、米軍基地からの感染のしみ出しです。
 最初に感染が広がった沖縄県では、昨年十二月上旬、アメリカ本国からキャンプ・ハンセンに入国した部隊で大規模なクラスターが発生し、その後、市中に感染が拡大しました。山口県や広島県でも、米軍岩国基地でクラスターが発生し、県内の感染者が増加することになりました。
 日本政府は、アメリカからの入国を原則停止しています。しかし、日米地位協定の下で、米軍関係者はその例外とされ、今でも自由に入国し続けています。
 さらに、米軍は、昨年九月三日から、アメリカ本国から日本に向かう際の出国前の検査を免除し、入国直後の検査については、そもそも当初から実施していませんでした。その一方で、アメリカに戻る際には出国前検査を継続していました。極めて屈辱的です。
 日本政府は、米軍の検査免除を確認したのは十二月二十四日だと言っておりますが、米軍は、九月に通知していたと主張しています。国民の命と健康に関わる重大問題であり、そごがあったの一言で片づけられる問題ではありません。
 ところが、政府は、コロナ対策について協議した日米合同委員会の議事録の開示を拒否し、国民に対する説明責任に背を向けているのであります。
 検査の方法も、日本の検疫は抗原定量検査ですが、米軍はより精度の低い抗原定性検査が認められています。
 キャンプ・ハンセンでクラスターが起きた部隊のゲノム解析は、米軍が本国で行うと言って持ち帰ったまま、一か月以上たっても日本政府に結果の報告はありません。日本政府は日本側の整合的な措置をお願いするだけで、実施するかどうかは米軍任せになっているのが現状です。その下で、基地と隣り合わせに暮らしている住民は、常に感染の危険と不安にさらされているのであります。
 検疫法や入管法など、米軍に日本の国内法を適用することは、コロナ対策における喫緊の課題であります。
 亡くなられた翁長雄志前沖縄県知事は、在任中、日本国憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会があると指摘をいたしました。
 全国知事会は、日米地位協定を抜本的に見直し、国内法令を米軍にも適用するよう求めています。
 改めて、日米地位協定の改定に党派を超えて取り組むことを強く呼びかけ、発言といたします。

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